新潟の住まい 地中熱は?評価は?将来性は?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最近地中熱利用の話題を2つ耳にしました。ひとつは、ローカル新聞の記事。もうひとつは見学会にお越しいただいたお客様からです。

地中熱利用は古くから何度も実験や実測されて、実用されています。住宅において地中熱利用は2つに分けられます。一つ目はパッシブ的(受身的)利用です。たとえば当事務所の仕様である基礎断熱がそのひとつでしょう。建設時一年目は、基礎下地面の温度は周囲外部地面と同じ位ですが、一冬過ぎたころから、周囲地面に比べ多い温度で安定します。これは冬室内空間となる基礎下は、外気で冷やされることがないため、周囲地中温度より高くなり、これが結果冬の地中へ奪われえる暖かさが減ります。しかしパッシブ的な利用なので、このことを大きく宣伝する必要はありませんし、極普通の技術です。

次に積極的利用される場合です。ローカル新聞の記事とは違いますが最近は、仙台市の住宅展示場でも設置されているような利用方法があります。地中40mくらいまで直径数十センチの穴を掘り、深い地中の安定した熱を取り出して暖房や冷房に利用します。冷房は今から50年以上も前に井戸水冷房が多くの住宅に設置されていたことを思い出す人もいると思います。しかし井戸水冷房はくみ上げた井戸水を使ったら河に捨ててしまう事が環境によくないと言うことで今では消滅してしまってます。こちらは(仙台市)井戸水の熱だけを使うので井戸水は直接取り出しません(取り出しても地中に戻すと言う方法もある)。地下の地下水中にエアコンの室外機を水没させると思ってください。これについては今年の建築学会で効率の発表があります。結果は暖房COP平均は3.1だそうです。3年前に新潟で実測した当事務所のエアコンの平均COPが4を超えてましたので、特にエコロジー、または経済的とはいえません。

ローカル新聞で発表された地中熱利用は、

現在の地中熱冷房方法は、ドイツで多く設置されているクールチューブと言われるもので、地下に40mくらいの穴を設けそこに空気を通して家の中に取り入れれば天然冷房(暖房)となるという原理で設置されています。一見よさそうなクールチューブですが、日本(新潟)にはあまり効果はありませんし、不衛生になりがちです。それは

①日本は梅雨と言う雨季があり、地中の大気に開放された穴は、この雨季に水没する危険性がいつもあり、実用されているドイツと違う環境と言うことです。(密閉回路で水没回避可能です。)

②クールチューブ内夏季はいつも湿度100%状態です。つまりカビ菌に最適な環境で、仮にいつも通風状態であっても、カビは多量に発性します。この中を新鮮な外気が通って来た場合、家に入ってくる空気は多量のカビ胞子が混入します。(これが健康によい空気でしょうか?)エアコンのドレン管も同じような状態ですが、カビ球ができるくらいの環境です。クールチューブ内は当初綺麗ですが、数年すると間違いなくカビに汚染されると論文発表があります。また物理的に掃除はできません。

③地面は断熱性が高いので安定した土温になります。逆を言えば最初クールチューブを通って来た空気は効果的に冷やされておりますが、土の断熱性が高いため、あっという間にクールチューブ内は温度が上がり(地下水であれば回避可能)冷やされた空気が入ってきにくくなります。本当に50%削減もできるのでしょうか?

この3点でクールチューブは実用が難しいと建築学会で何度なく発表されております。特に今回は地下5mくらいで地下水利用ではなさそうです。

建築学会とは、日本では唯一の権威ある学会で、こちらで査読された論文でなければ大学の最高学位(博士)の取得ができないとされている学会ですので、その信憑性は国際的に有効です。

このような建築の学会では既に多くの発表がありますので、このシステムは国交省からの受賞暦はなく、環境省や土木工学会、通産産業省となってますね。地中熱利用に将来性はあると思いますが、ローカル新聞の記事には「冷暖房費50%削減」となってます。本当ですか?その根拠を知りたいです。これに惑わされ裏づけの少ない実験住宅を購入されないことを願います。

新潟においてエコで快適な家は何よりも先に「超断熱」からです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする