Q値に関する断熱、換気の基本② 個別同時給排型換気扇

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 これは事務所のSSプランの家の標準換気扇(縦設置)が設置されているところです。

ダクト(配管)は極力避け個別に居室ごとに取り付けるタイプの換気扇で、私どもでは全熱回収型セパレート換気システムと呼んでおります。

さて超高断熱高気密住宅では、ダクトで各部屋に給排計画し、中央に一つ機械が設置される熱交換型セントラル換気システムが多く採用されております。しかし当事務所換気扇はダクトがないダクトレスが殆どです。それは・・・

換気は「たかが換気」ですが「されど換気」です。換気には多くの種類と方式がありその換気選定の集大成と言えるのが下の写真の本です。執筆者は各専門分野の第一人者、実務者で監修は小峰教授(千葉工業大)です。トステム財団が発刊しておりますが、内容は公平で技術論とコストも踏まえた指南書です。

換気だけを説明したこの本は厚さは3cmもある(資料部分を除くと2cm)くらい多種であり奥が深く様々な装置、仕組みがあります。それを住宅用として簡単に分けると・・・・

24時間計画換気(機械式)

このような7種類になります。
ダクトレス?第三種換気?など各専門用語の説明の必要ですが、そこから始めるとこのほんのように厚さ2cmで200ページも必要ですから、緑の家で使われる換気システムを中心に専門用語はネットで調べる事を前提でご案内します(ネットで調べて下さいませ)。

緑の家のSSプランの家ではAが標準で、Sプランの家ではDが標準仕様です。ダクト(配管)を使わないダクトレスは、その設備の単純さが導入時の設置費とメンテナンス時の手軽さ、取り替え時の負担分散などメリットがデメリットに比べ多くあります。
しかしAタイプの設備は給気口と排気口が近すぎてショートサーキットが相当多くあるのではと考える人もいらっしゃると思います。しかしこのようなショートサーキットの効果を評価できる空気齢から見ると問題ないことが既に建築学会で多く発表されております。だから写真のようなこれだけ多数の機器が大手から販売されていると言うことなのですね。勿論コストや配管空間が許せばダクト式の換気もお勧めします。

ショートサーキットとは、外部から入って来たばかりの新鮮な空気が直ぐに排気口から出てしまう事を指し、少し前の常識では給気口と排気口が並んで設置する事は考えられなかったと思います。しかし下のシミュレーションや実測で給気口と排気口の間隔を20cmも離せば全く問題ないことがわかりました。そこで一番上のような一カ所で給気と排気を熱交換する換気扇が数多く販売されております。ダクトを使用した換気システムと比較すれば確かに少し劣りますが目的である換気の条件は満たします。

下はその裏付けデータです(データ算出は赤林研究室)。

部屋の大きさは10帖程度を想定。通常ありがちなケースBとして下のデータを得る

Cass9が給気口と排気口の間隔が200mm。換気量は法定の最低限0.5回/時でシミュレーション。

上の図の中に表現されている数値が空気齢。殆どの箇所で1となっている。1は完全拡散なので澱みがが少なく換気として問題なく機能している事を示す。

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