2018年建築学会 梗概集から その2 床下多湿
床下暖房や床下除湿を行う注意点

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今朝の各地の外気温。21度以下はここ30日以上なかった。昨日言ったとおり秋の気配を感じる北陸、東北地方に対し近畿地方は盛夏真っ盛り。

さて・・・

さて・・・お待ちかねの床下の環境に関する論文。これがなかなか実務者には役に立つ論文。筆者らは一昨年のラボでありその建物(多分表1のC邸)の追跡解析となっているので大変興味深い。

まず上のグラフをご覧頂きたい。累積頻度のグラフを見慣れない人にはわかり難いが、左のグラフで赤い線のC邸建物床下がとてもまずい状況がわかる。夏季は常にRH(相対湿度)85%以上とカビの害を受けやすい環境になっている。実際カビの有無はこの論文では行っていないが、床下を積極的に利用しない建物ならすぐに問題になることはない。

その赤い線のC邸であるが・・・

他の建物と違うのは「床下と1階とに小さな開口部が3つあること」と「夏季に窓を開放していることが多い」とある。

一方他の建物では床下と1階床上との繋がりは

B邸では全く無い

A邸では計画換気扇の出入り口が床下にある

D邸では外気につながる床下換気口で積極的に夏季でも床下内を換気

しているとのこと。D邸の基礎断熱なのに床下換気口がある家は昨今では珍しい。

この条件では計画換気も床下に入れないB邸の床下密閉環境が最もAH(絶対湿度)およびRH(相対湿度)が低いとの結果がある。しかし、建物の周囲環境や使い方ににも大きく左右されるので、密閉していることが一番よいとは単純に言えないが一つの事実はである事に違いない。

また論文中には

C邸は床に無垢杉のフローリングを使っているとの記載があり、夏季に窓を開放している使い方から・・・所謂「自然素材住宅」と思われる。一方床下のAH、RH(相対湿度)共に最も低いB邸の1階床が合板?のフローリングと下地合板を使っていることは大変皮肉ともとれる。

上の図1では2013年の測定でD邸は測定されていないが、下の図2では基礎断熱なのに床下換気口を持つD邸の測定もあり、その結果は2年前に「緑の家」でも示したとおり大変高湿になる期間がある。

D邸は累積頻度の出現カーブだけ他の家とは違うことが見て取れ、この結果からわかるとおり、この地域では基礎断熱なのに床下換気口を持つ事がカビの点からみてふさわしく無いことがわかる。だからこそ最近はこのような基礎断熱なのに床下換気口を持つ家の構造が少ない(所謂○×サーキットなど)。

次に・・・筆者らは図3でわかるとおり、1階のAHと床下のAHの相関が高いことからC邸の床下高湿化が床下と1階を小さく繋げる床下開口部(床下スリット)にあると考え、2017年にこの開口部を塞いで測定を行っている。

その結果は・・・

図5よりあまりその効果が無いことがわかった。

つまり床下と1階を小さく繋げる床下開口部(床下スリット)は床下高湿化の原因ではなかったとのこと。論文では推測として床面および床と床下につながる他の隙間から湿気が流入しているとの事である。

C邸の床下高湿化の改善も論文中にあるが・・・

これも推測であることに注意したい。

やはり高湿化の改善は1階のAH(絶対湿度)を低くすることであり、この地域で夏季の窓開けは床下の高湿化となり、窓締めで空調したほうが最も簡単で且つ確実に改善できると思う。

つまり夏季の床下の高湿化を防ぐには窓を閉め家中空調を24時間行うことである。

私の見方だが・・・

再び図1、図2に戻るがC邸に限らずB邸以外はRH(相対湿度)80%の頻度が夏季の半分を超える床下は、目視や掃除が出来るなら問題ないが普通に考えればこれら床下はダンプネス空間である。浅間の仮説に寄れば築10年を超えるこれから床下内で問題がおこる可能性が高いと思える。この事はFirst Authorらが一昨年に発表した冒頭リンクで紹介した論文に詳しく記載があるのでご覧頂きたい。

First Authorらは大学機関であるため以下全文を置く。

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コメント

  1. 水野 より:

    浅間様

    おはようございます。

    >21度以下

    再熱除湿の連続運転はどういった条件で止めるのでしょうか?