例外の仕様 緑の家

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清五郎の家のけらばの納まりと丸環製作図。

清五郎の家では2階の窓に大きなFIX窓を使用している。FIX窓は最近流行のようだが以前ご紹介したデメリットがあり通常お勧めしない例外仕様である。

公園をのぞむ大きな4枚のFIX窓。

大きな吹き抜けに計画された大きなFIX4枚。
これは建て主さんの希望である。「緑の家」では希望があればメリットデメリットを説明して納得して頂ければ採用する事は否定しない。・・・というか喜んで採用する。

今回のFIX窓(はめころし窓)のデメリットは2階の簾をかけることが出来ないことである。簾が無ければ超高断熱での夏の日射取得は最も厳しい冷房負荷となる。このため建て主さんはお考えになり、外側から釣り竿のようなスライドで伸びる棒にフックをつけて、軒下に設置した丸環に固定するという方法で簾設置を解決した。日射遮蔽は電動ブラインドが一番手軽だがコスト増はかなり大きい。よって簾掛としたが、既製品では固定できる丸環を探すことが出来なかったので、特注製作となった。それが冒頭の図面にある右上の部品である。

FIX窓の簾掛の解決策として最も単純な縦長の丸環を設置。

清五郎の家は切妻屋根である。丸環が破風側と鼻隠し側に設置される事になると形状を変えないと設置しにくいだろうと考え、当初破風側2個、鼻隠し側6個の2種類8個を設計するつもりであったが、特注で2種類では単価が高くなるので1種類になるようにした。それでも8個で10万を超える・・・。流石にSUSオリジナルは高い。

ここに簾をかけて地上で固定しテンションをかけてあおり防止をするとのこと。

このように解決策があれば積極的に2階のFIX窓も設計する。また他の例外的仕様として・・・天井高2.1mの居室である。

小部屋や廊下は天井が低いことを提案する時があるが、1,2階の居室全てが通常の2.4mより300mm低い2.1mとは初めてである。それを今日の工事監理で体験し、「ああ、このプランならこの低い仕様はあるかも・・・逆に広く感じるような錯覚が生まれる」と思った。

天井高2.1mと最小寸法で造られた2階の空間。

仕上げをすると素敵な空間になるかも・・・と思っている。が、エアコンの設置、照明の設置、CFなど制約が多すぎて一般的にお勧めすることは出来ない。そもそも建築基準法では2.1m未満の居室はNGなので、一カ所でも下がり天井があれば法律違反となる。

隣地側は必要最小限度の窓

今回の基本プランはほとんど建て主さんが作成している。構造的チェック等の工学的な事、矛盾した場所、仕様は当方で確認し、実施設計となった。

そしてこちらの例外的窓形状はやはりこれで正解!と現場で確認した。

現在は窓先の足場ネットで見えないが、サザンカの緑の壁がまさしく切り取られる。

清五郎の家の窓は、エクセルシャノンさんでは最も高い断熱性能を誇るUFシリーズ仕様(フレームにウレタン断熱材が注入されたトリプルサッシ)であるがこの窓だけはトリプルガラスのみ樹脂サッシである。実は3mを超えるUF仕様はなくこの窓は巾3mを超える。しかし3m以下にすると壁が一部残りかっこわるい。そこでUFシリーズはあきらめ普通のトリプルガラス仕様となった。しかしやはりそれで正解。この窓に切り取られる窓先には、

窓先からサザンカまで4mくらいの離れ感。当然公園のため他者の視線はない。

公園のサザンカであり、壁を残すことなく切り取られた方が感じがよい。

真上から窓先のサザンカと木々をみる。

このように清五郎の家は例外仕様が多いのである。

更にまだ例外仕様はあるが、現時点では施工されていないので施工されたときに改めてご案内する。

5人の設備職人さん達がおのおの仕事をてきぱきとこなす。

現在現場は設備工事が中心となっている。設備屋さんの年期の入ったワゴン車の中の道具類はいつ見ても玄人仕様。

施工中でもこんな感じでどこに何があるか一目でわかる。設備機器は特殊な工具も必要であり種類が多い。

移動する道具箱である。使い込まれた道具達が職人さんの仕事量を語っている。

一方室内では勝山さんが造作作業の真っ最中。

杉の無塗装の窓枠の手触り・・・最高であるが、ウッドショックで現在価格急上昇。

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