床下エアコンのメイン冷房化は慎重に。その3

古いデータがある・・・その頃から床下内には感心が高い「緑の家」

こちらは10年以上前(2005年測定)の「緑の家」の床下内の温湿度測定をしたグラフです。
当時は床下暖房を標準とはしておらずこちらの家も、基礎断熱(1m高基礎)の上、床暖房が設置されておりました。

続きを読む


超高断熱で高い基礎 「緑の家」1

西裏館3丁目の家の基礎現場です。

今回から新しい鋼製型枠1m一枚物に変わっております。この型枠の長さは住宅用として今まで販売されていませんでしたが、「緑の家」のせいでしょうか、市販化され更に一発打込みようの治具までカタログ販売されているようです。

続きを読む


床下暖房(エアコン)の事・・・その2理由

床下暖房(エアコン)は少し認知されてきました。

高気密高断熱で24時間暖房の家になると一般的に床下暖房しなくとも床面の快適性は維持できます。だからこそ15年前から床下へエアコンを設置する「緑の家」は有りましたが例外でした。それがどうして床下暖房が6年前から標準となったのでしょか。快適だからという簡単な単語ではありません。

続きを読む



床下暖房と床下の湿気(新潟県)

「緑の家」標準(一番低い)の床下940mm。収納として大活躍。

「緑の家」では基礎断熱が基本となっております。そしてその基礎断熱は通常の倍以上の高さがあるので、床下収納として利用しております。これが大変便利な空間なのですが、注意点があります。

続きを読む


高断熱浴槽は必要か?査読論文から

浴槽(バスタブ)の廻りに断熱材を貼った高断熱浴槽が最近のユニットバスの主流になってきております。まだオプション扱いもありで標準仕様ではありませんので、建て主さんからあった方が方がよいかどうか聞かれます。

オーブルデザインの結論は・・・

「緑の家」に限って言えば、続いて入る習慣があればあえて高断熱浴槽採用の必要無し。しかし数時間の間隔で入浴する事が普通であれば必要。

と答えております。その根拠になりそうな論文がありますので紹介します。

続きを読む


長期優良住宅の申請・・・超高断熱の計算

現在実施設計を行っているなかで長期優良住宅の申請をしている家があります。

長期優良住宅の申請はお勧めですが、各技術審査をする団体によって指摘や書込みする事項が違うので困ることが多々あります。

赤矢印のところがチェックを付けなくともよいと言われ、あえて修正液でけしたところ。ところが条件は全く同じなのに今回は逆にチェックが必要といわれた。

上の写真の申請書一面で、ここは建て主さんの署名と印鑑をもらう大事な表紙です。そこで選ぶ項目が審査する団体によって変化します。このあたり一度ではすまないところです。

続きを読む


日経ホームビルダーの記事から

2014.01.22 図の間違いあり訂正

写真は故意に荒くしてある。

日経ホームビルダーの記事から・・・。いつ見ても業界がどっきりするような内容です。今回の記事は「基礎断熱なのに床下が結露」という季節感あるタイムリーな記事。

どの部位で結露したのか・・・詳しくは日経ホームビルダー2014.1月号をお買い求めください

続きを読む


「て・こあ」でのある一日 ⑱ 冬の一日

家の設計を高性能で自然・木の素材。三条 長岡見附 柏崎 新発田 新潟で高断熱 

12月4日緑字加筆

玄関土間に今年のスズメバチの巣を飾る。どんなオブジェより繊細な造形が自然の営みの証。持つと凹むくらい柔らかい。

昨日の定休日に「て・こあ」で何時ものように奉仕活動をしてきました。

冷たい雨が吹き付けていたので今回は冬の内仕事・・・です。

続きを読む


大手住宅掲示板などネットでの書込み等々・・・

今回、「衝撃の提言」(笑)でアクセス数が増え、また書込みも増え、ふとある検索をした時に、住宅の大ききな掲示板などに「オーブルデザイン」という名称が出てくることに気づきました。

特に「基礎断熱」や「床下暖房」という語意では、結構その手の人達の掲示板に認知されている新潟の設計事務所なのだな~と感じました。これも皆様がご覧頂いてアクセス数がアップしているからだと思っております。ありがとうございます。

ただとても気になった事が・・・

続きを読む






民家の涼しさを検証する・・・大地露出構造

2010年の4月12日の記事です。とてもよい話なので復刻しました。

さて、冷房中の家でどこに洗濯物を干すか?に少し昔の民家が涼しいと言われる理由をダブらせて考えてみます。ここからは番外ですが、昔の民家のすばらしさわかります。

まずおさらいとして

夏の洗濯物は「排気用換気扇の近くで干す」事でした。これは

洗濯物が乾く時、空気から熱を奪い、これで冷やされた空気は下へゆっくり下がります。一方気化した水は湿気(潜熱)となって均一に広がろうとしますから、これを排気用換気扇で広がる前にできるだけ排出するのです。すると顕熱は冷やされ潜熱だけ排出されやすく、家の冷房効果が上がります。大きな効果は無いですが理屈ではこの方法が良いですね。

と書きました。実はこの原理を昔の民家は家そのものがもっていました。

続きを読む


床下暖房と超高断熱効果 その③

氷点下4度の中の完成見学会でその断熱性能の実力を見せた緑の家。関東の人には驚きの2mの積雪が凄い・・・でも普通の設計範囲。

床下暖房と超高断熱効果 その③です。

1階床下暖房と2階床下暖房を持つ「片貝の家」です。床下暖房をする家は新潟県でもオーブル以外にありますが、オーブルデザインの「緑の家」はそこにオリジナルとして

A 2階床下暖房

B 基礎を蓄熱材として利用(コスト1/3深夜電力利用)

という2つを計画しています。Aは前回のその②でご紹介しておりますので今日はBを少しだけご紹介します。

続きを読む


超高断熱の家 西裏館の家の工夫① 設計の工夫

上部に付加断熱材が設置された基礎内断熱の構造。基礎下部は外断熱され、中間部のみ基礎が露出している。

この写真・・・

「あれっ」

と思われた方もいらっしゃるでしょう。

基礎が高い「SSプランAsグレードの緑の家」なのに、基礎があまり見えない・・・

しかしこれがシロアリ対策と熱橋対策のバランスです。

続きを読む


新潟の家 超高断熱だけで良いか? ③床下内は清潔?

当時築30年の床下。当時はこのように下は平らではなく木が左右にあり、湿っぽく蜘蛛の巣やカビ、ゲジゲジ、ムカデもいる。今はこれほど酷くはないが、それでも綺麗ではない。

床下が綺麗だと思っている人は、きっと自分で床下に潜って作業したことがないのでしょう。家のメンテナンスは人任せで、本当は家のメンテナンスに興味がない人だと思います。

続きを読む


対地震性能、超高断熱性能(Q値)には認定やお墨付きを!せめて半分でも。

昔から
「この建物は耐震性が高いです」
とか
「この家は断熱性能が優れています」

必ず住宅会社、建設会社、工務店は宣伝しています。

しかしその多くが第三者の評価(長期優良住宅認定や性能評価)を受けていません。

つまり勝手に自己の評価で宣伝しているだけです。

これは結構問題ではありませんか?

最近有名なドイツ発の「パッシブハウス」も必ず、必ず「評価」されて初めてパッシブハウスと名乗れるのですからね。自己評価ではありません。

続きを読む


新潟の家から 超高断熱高気密の家はバランス

家を建てる上でネット検索し情報を得ることは非常に簡単。いい世の中になったと思います。昔は図書館や書店などで「家」に関する本を購入。しかしどんなに購入してもいまほどの情報を建て主さんが得ることは不可能でした。ユーザーにとって素晴らしい進歩がこの10年でありました(但し書籍と違いネット情報はいい加減な物が殆ど)。

ところが良く勉強している人にとって逆に陥りがちな間違いがあります。それは・・・

続きを読む


超高断熱 Q値0.97w/m2K μ値0.27の基礎工事

長岡市に建設中の超高断熱SSプランの家の基礎工事です。耐雪2mで耐震等級2、長期優良住宅認定でスキップフロアーと難易度の高い設計です。組み込みの車庫があり、基礎の高低差があり、耐雪2mと地盤強さから基礎は布基礎を選択しました。どんな条件でも全てべた基礎で計画する事はありません。その計画にあった方法で計画しないと高コスになります。無論構造計算しないべた基礎は論外です。

続きを読む


最近のオーブルデザインの基礎工事現場から ②

今日は午前と午後の打ち合わせの後に基礎配筋のチェックにいきました。

平らな基礎スラブと高い立ち上がり部分、そして細かく密に入る鉄筋が如何にも『基礎に拘る緑の家」の工事です。


区画スパン短辺4.55m、長辺4.55m 鉄筋D13 上ピッチ125mm 下ピッチ150mm スラブ厚さ180mm 設計強度30N/mm2 基礎立ち上がり1m 巾0.15m 以上SSプラン(普及版)のべた基礎です。SSプラン標準基礎はこちらです。

続きを読む



床下 エアコン 暖房 や床下循環で注意すること。 実体験編

 家の床下を見たことがありますか?

この写真は2年目のメンテナンスで、昨日床下の点検をした時に撮った写真です。
当事務所「緑の家」の床下は、照明が完備されているのでこのように明るいのですね。良く点検ができます。普通の家は床下で歩腹前進且つ懐中電灯なので、隅々まで見ることはできません。

「おや」  矢印の所に何かあります。

 なんと丸虫(ダンゴムシ)と蜘蛛の死骸です。それも大量です。この家は完成時気密測定0.4cm2/m2と超高気密の家で、基礎断熱をしている「緑の家」です。その隙間のなさは、普通の家の1/10以下ですが、それでも丸虫(ダンゴムシ)は入ってきます。周囲は田舎ではなく普通の近郊住宅地で庭も芝生が綺麗に揃っている家です。

もっとよく見回ります、すると・・・
 ふと足下をにはこんな名前もわからない虫もひからびてます。でも別に驚くことはありません。この状況は普通です。
私は「緑の家」の50件以上の床下に入りましたが、多かれ少なかれ必ず築2年で虫が結構死んでいます。

このように築2年でも基礎断熱のであろうと床下は、昆虫の死骸が沢山あります。この家だけでなく、暖かい高気密高断熱住宅は、越冬に虫が寄って来ることが大変多いと思って下さい。

しかし床下が照明完備で「明るく」、「自由に見廻れる高さがある」からこそ、気軽にこんな写真も撮れるし、「ああ、虫が死んでいる」なんて事もわかるのですね。
さすが基礎高さ1m万歳です!

気軽に入れない普通の高さの床下はどうなっている事やら・・・・想像したくないです。

この家は床下暖房や床下に温風を入れたり循環させたりしないので、この床下の空気が積極的に室内に入る事はありません。しかし床下空気を積極的に室内に循環させる家は、築2年目でこのような状態の空気を室内に循環させたいと思いますか?私はいやですね。

とにかく確認できない所の空気は綺麗だとは言い切れませんので、床下を何らかに使う場合は、このようにメンテナンスが気軽にできる基礎1mが最低条件です。

もし少しでも予算があるならそれは外壁の見栄えに使うのではなく、基礎を1mにすることに使いましょう。緑の家は過去12年間全ての家で基礎1mで提案しています。これが良い家を本気で奨める建築士の発想なのですね(手前味噌)。


民家の涼しさを検証する・・・大地露出構造

さて、冷房中の家でどこに洗濯物を干すか?に少し昔の民家が涼しいと言われる理由をダブらせて考えてみます。ここからは番外ですが、昔の民家のすばらしさわかります。

まずおさらいとして

夏の洗濯物は「排気用換気扇の近くで干す」事でした。これは

洗濯物が乾く時、空気から熱を奪い、これで冷やされた空気は下へゆっくり下がります。一方気化した水は湿気(潜熱)となって均一に広がろうとしますから、これを排気用換気扇で広がる前にできるだけ排出するのです。すると顕熱は冷やされ潜熱だけ排出されやすく、家の冷房効果が上がります。大きな効果は無いですが理屈ではこの方法が良いですね。

と書きました。実はこの原理を昔の民家は家そのものがもっていました。

続きを読む


新潟の家 責任不在の情報過多の時代

先月あるサイトから当サイトにリンクされてくるゲストさんがよくいらっしゃるので、そのリンク元サイトへ行ってみると・・・

そこは日本最大と謳った家の情報を集めたサイトで掲示板が多数有り、大手メーカーからローカルな新潟県のメーカーや建設会社さんを題材にしてコメントもされてました。そのコメントを多さは一ヶ月で1000以上となっています。
だいたいが一つの質問に複数で答える「スレッド」記事になっいて、例えばこんな質問があるとします。

話題提供者 「基礎断熱っていいの」

とすると

匿名A 「うちは選択肢の中にあったけれど床断熱にした」

匿名B 「基礎断熱ってよくないよ。だって(略)・・・」

匿名C 「○×メーカーのこれがよいよ」

などなどです。

殆ど全てが匿名の情報です。これはとても、とても不思議な事です。匿名だから同じ人が別の人になりすまして答える事も可能です。また思い込み情報でも可能で、私からみると平気でまちがい(法律に添わない)を答えたり、勧めたりしている発言もありました。仕方無いのでしょうか?プロが造る家でも未だに「手摺りのない階段」が堂々とチラシに載ってたりしますから、プロで無い方がどのようにコメントしても問題にならないのでしょう。

これも時代なのでしょうか?どの情報が正しいかと間違っているかよりも、そのやりとりを楽しんでいるコメント者も多く、何ともいえない気持ちになります。
コメントも「だと思う・・・」だったり、逆に根拠無し言い切り捨て型だったりしてます。

またそのようなサイトをよくご覧になり、あたかも「家に正しい知識を知ったかように」なってしまっている人も多いと思います。家は家電製品とは違い巨大な物です。ある小さな部位や一つの仕様などの特定情報だけでは判断できないところが沢山あります。だから国が専門職として「建築士」などの免許を与えるのですね。

随分前から申し上げているとおり当ブログやHPでは、できるだけ実測、実物、法律、または国が定めた仕様や規律、基準で表現するようにしてます。また間違った情報の時は訂正線等で後で見てもわかるように記述します。私が趣味で情報収集に訪れる他のHPやブログは殆どそのようになっています。それが責任ある情報発信と思いますが、不思議と建設業界のホームページやブログに「訂正線」があるのをあまり見た事がありません。

絶対間違っていない情報だからそうなっていると思いたいのですが、なんとなく違う気がします。建築業界は一度お客様になったらリピートが30年無いので、情報が毎年変わっても気にならない人が多いのでしょう。だから、造る側もその時よければそれでよし。となる習慣ができあがったと思います。また詳細な図面がないという習慣が拍車をかけたのでしょう。何事も図面が無ければ始まりません。 最低でも50枚以上ある図面。図面は大事な建物の履歴。増改築の時もこれが無いと始まらない。

10年の寿命の家電製品でも、品番検索すれば10年前の製品の仕様が残っていますが、家の情報は3年前でも全く残っていません。新しく建築しようとする方は、わざわざ3年前の情報を探す人はいません。ですが、家は他のMONOと違い、一度建てたら最低30年は使い続けます。ですので3年前の情報も大事なのです。・・・とオーブルでは考えてます。だからHPの情報は消さないし、間違った時は訂正線で書き直します。それが責任ある情報発信者だと思ってます。過去を消せない(消さない)から慎重になるし、吟味した情報と家の仕様を発信できるのだと思います。訂正線もなく、いつの間にか消えているページが多々あったり、数年前のページが全く無かったりすれば、間違った物を簡単に消して忘れられる気持ちになります。私は多分設計図を多く造るので、必ず手元に記録が残る事が当たり前=間違った履歴は残せない  と考えるようになったのでしょう。

あっ・・・誤字脱字は例外で、そこだけは消して修正します。(笑)


自然素材の新潟の家 基礎工事の設計と監理

木造住宅は、建築物のなかでも大変軽量な建物ため、その基礎は鉄筋コンクリートであるにもかかわらず、今まで重要視をされてきませんでした。ところが長期優良住宅認定が行われるようになった昨年から、少し構造が改善されてきております。しかしまだ緩いところが白アリ対策です。

当事務所の「緑の家」の基礎は、コンクリートを一回で打ち込む「一発打ち施工」を標準で行っております(もう5年以上前から標準)。2回分けて施工するより、材料費と型枠に手間が掛かるので一般的ではありません。普通の工務店さんはやりません。なぜ目立たないこのようなところにコストをかけるのでしょうか?
それは、やはり「白アリ対策」なのですね。白アリの被害はその予防と修繕に多くの費用が掛かります。白アリの被害をほっとけば耐震性も危うく成ります。

下の写真をご覧ください。

 これはある大手メーカーの基礎の立ち上がりとベース(べた基礎のためスラブ)を写したところです。雪が降って基礎の内部側に水が貯まっているのが換気口から見えますね。たぶんその水を抜こうとベースと立ち上がり境に穴が開いてます。たぶんこの穴は後日モルタルで埋めるので問題ないと思います。
しかしよく見てください。この基礎の立ち上がりとベースの境目にはおびただしいジャンカ(コンクリートがしっかり入りきらないで砂利が見えるところ)があり、その部分から水が染み出ています。水が染み出るという事は、小さな穴が内部まで貫通しているという事です。その微細な穴から白アリが内部侵入してきたら、いくら基礎断熱の内側断熱材施工であったとしても簡単に内部に入られてしまいます。

ジャンカ自体はモルタルで埋めればある程度強度は問題ないのですが、この程度のジャンカがこのように全周に渡ってあるときに補修はしないでしょう(この現場もしていない)。

 上の写真の直ぐ近所にある「緑の家」の基礎です。雪がもう溶けましたが内部には水が結構たまっています。でも・・・
水漏れが外周にありませんね。ここが一発打ち込み凄いところです。施工も丁寧にしているため表面のガラス質が均一にでき容易に水の出入りを許しません。と言う事は白アリも容易に侵入はできません。だから基礎内断熱が生かされます。コストが仮に30万多くなっても、将来白アリ被害で補修や予防するよりずっと安価です。

たったこんな事ですが、これが白アリに対し強いバリアを構築します。如何ですか?このような設計や計画は家全体の事を知っているからできるのですね。パーツ、パーツの専門的知識も重要ですが、設計者は指揮者でありるべきです。全体の把握と調整をするのが設計事務所の設計計画です。

基礎にこそしっかりした計画と施工がされる会社を選びましょう。


高気密高断熱住宅の欠点④ 基礎内断熱とシロアリ 新潟の家から

家を造る勉強をされているかたなら、基礎断熱という断熱工法を知っていると思います。
15年くらい前から北海道で開発され次第に南下し、今では大手ハウスメーカーにも標準採用されている断熱工法です。前々回のブログでも申し上げているとおり、断熱方法としてはとても理にかなった方法でとても優れています。

がしかし、
①シロアリを呼び寄せる
②シロアリに対し進入されやすい部分が多い
③シロアリが進入した場合駆除がし難い
という欠点も併せて持ちます。

当事務所では90%くらいが基礎断熱工法を採用しており、そのうち98%くらいが基礎内側断熱です。基礎内断熱に拘るのは②の欠点を和らげるためです。

下の図は(財)住宅金融支援機構刊の木造住宅工事仕様書(解説付)からの抜粋です。
この団体は国と変わらないくらいの権威がある団体で、40年以上も日本の住宅の基準を作ってきました。そこには・・・

関東以西の地域は必ずこの仕様。シロアリ予防の仕様.

新潟県を含む北陸以北で採用が可能な基礎断熱。但し家の周囲にシロアリが生息している場合は採用注意とある。

とあります。つまりシロアリ予防が高いのが基礎内断熱です。基礎外断熱はシロアリが現在いなくてもいつ家の周囲に来るかわからないので、当事務所では10年以上前から採用していません。

 これは当社がSSプランの標準基礎内断熱の図です。

このように基礎の内側に断熱材を貼り付けます。これは地中から進入しようとするシロアリをコンクリートでブロックするためです。が、基礎のL字を一回で打ち込む工法でないと効果は薄いです。それは2回でコンクリートを打ち込むとそのうち次ぎ面にわずかな隙間(設置金物錆、ジャンカ)が残りやすいためです(Sプラン布基礎の場合はこれを改善した方法で対処します)。
またこの方法では基礎内断熱の欠点である熱僑をうまく防いでおり、シロアリに侵入を目視できるようにしております。詳しくはこの日のブログです。

またオーブルの緑の家オリジナル仕様は、床下エアコンによる蓄熱暖房をしているので、人がいる階上よりはかえって断熱性能が高く考えてあることです。その一部が外部土の中に設置される外断熱です。

こんなに丁寧にブログで解説すると、他業者さんがまねをしてオーブルさんには不利益になるのではないですか?とのご心配をいただきますが、

「出し惜しみしない事が建て主さんの、そして自分の幸せになるよ」とのある方の教えがあり、私もその通りだと感じます。もし私の考えにご共感頂ければもっと詳しくご説明します。


高気密高断熱住宅の欠点③ 玄関とシロアリ 新潟の家から

家の設計はバランスに尽きます。いくら地震に強い家でも、寒い家なら長持ちしないし、いくら自然素材を多用した家でもシロアリのことを考えていない家は耐久性が低いでしょう。高気密高断熱で暖かくても、地震に弱かったり耐久性がない家でもだめですね。本当に良い家はすべての性能が高次元バランスで成り立つものなのです。

緑の家のSSプランは、シロアリに対して至高の方法を標準としています。最近のシロアリ被害は、玄関付近と風呂、勝手口付近に集中しております。これは、今の99%の住宅で土と接しているところが玄関付近と風呂、勝手口に限定されるためです。土壌型シロアリは、巣を土の中に造ったり、地中から家に進入する事がほとんどです。このため土と接しているところが加害部分になるのです。特に玄関部分はどうしても土と接っしなけらばならない機能を持ち合わせているので、家のしろありに対しての一番の弱点となります。だからこの部分さえ注意すれば、玄関部分の侵入を著しく防ぐことが可能です(緑の家の場合)

 他社 一般の家の玄関部分のコンクリート

上の写真は一般の家の玄関部分を作っているところです。このように土と玄関戸は接しているので、ここからシロアリが侵入してきます。

 それに対し緑の家のSSプランの家は玄関ポーチ下が空間なのです。また玄関ポーチのコンクリートは外壁や玄関戸と接してません。だからシロアリの侵入が困難で且つメンテナンスが簡単なのです。
県内でここまで気を使う設計はないでしょう。
「シロアリ予防に対しここまでやる必要があるのか?薬剤予防でよいのでは?」
といわれたこともありますが、SSプランの家は100年以上の住宅のあり方を真剣に考えて提案しております。耐久性に最も大きく影響を及ぼすシロアリの加害にはできる限り注意を払いたいと思ってます。特にシロアリを引きつけやすい「基礎断熱」工法は注意しすぎることはありません基礎断熱工法は安易に採用してはいけません。

また薬剤による予防は、所詮「化学物質」です。その効能は長くて10年(加圧注入でも30~40年)で且つそのほとんどが危険で中止になった歴史があり、40年も継続し販売されている薬剤は聞いたことがありません。物理的に半永久なこの方が理にかなってますね。当然ヒバ油とか炭とかという自然素材はおまじない程度の効き目しかありません。その情報は先日ブログで紹介したシロアリサイトに詳しくあります。

どうですか? あなたの家の設計者は、シロアリ予防とメンテナンスをしっかりと説明しバランスよく提案してますか?


高気密高断熱住宅の欠点 土壌型シロアリ 新潟の家から

このブログは1月25日の追加修正版です。

真冬なのでシロアリはまだまだ「旬」な話題ではありません。が、シロアリは今も活動している事が多くなりました。その理由は冬季の地表面(深さ2mまで)温度の上昇です。その温度上昇の原因が基礎断熱によるものであるとされてます。
基礎断熱は地面を断熱材とするので、数年で基礎の下の接している地面の温度が15度から10度くらいで安定します(常時湿潤土地を除く)。するとこの暖かさにつられてシロアリがやってくるとシロアリ駆除の技術者から解説がされてます。

これは全く同意で、拙宅の20年を迎える高気密高断熱の壁の断熱材や、天井の吹き込み断熱材の中に、おびただしい数の団子虫やゲジ、ムカデが干からびて死んでいます。彼らは「暖かさ」に惹かれ、越冬地として選んだのですがあまりに断熱材の中が乾燥するので春を迎えることなく死んだのでしょう。自然の中では木の皮の下や石の下が越冬地ですので、湿気は多量にありますが、高断熱高気密の断熱材の中は、相対湿度が20%から50%のところも存在するので干からびます。

基礎断熱を施すと間違いなく地中の虫を呼び寄せます。虫も越冬するのに暖かい方がよいに決まってます。あまり温かすぎて干からびたのは彼らの誤算でしょうが、とにかく暖かい事はみんな(昆虫も動物、植物も)好きです。
だからこそ基礎断熱では注意が必要です。特に次の工法で基礎断熱を施工するところは、今一度熟考が必要です。

1.基礎外に断熱材がある場合(耐白蟻剤含有製品を含む)。

2.基礎のコンクリートを2度に分けて流し込み作った基礎。

3.玄関土間下(勝手口土間下、ユニットバス下)が「土」の場合。

4.排水管が地面から見えないところで内部に引き込まれている場合。

です。

オーブルデザインでは8年くらい前に一度シロアリに玄関内部のかまちとよばれる木材を加害され、それ以降この問題にはとても注意してます。理由については次回にします。

シロアリの詳しいHPはいっぱいありますが、上の4つを比較的わかりやすく偏りが少ないところは

http://www.skunion.ecnet.jp/

がよさそうです。無論当HPの

http://homepage2.nifty.com/arbre_d/kisodannnetu/01.htm

にもありますし、

http://www.sinfonia.or.jp/~isoptera/myhtm/dannetsu/dannetsu.htm

も少々主張が強いですが、いろいろな所でご活躍されている方が主宰の有名なシロアリサイトです(このサイトでは基礎断熱は結構悪者ですが知見は深いです)。

基礎断熱は温熱環境を考えた時はすばらしい方法ですが、一方でシロアリのリスクがあります。この部分はコストが安いだけではいけません。当事務所が薦める「緑の家」ようにきっちっりとメンテナンス対策がされているが重要です。


発想の転換!なぜ超断熱の長期優良住宅は窓に奥行きがあるのか?その2

今の常識が10年後には非常識になる事はよくあります。
住宅でいえば本州での基礎断熱工法。
15年以上前から北海道で積極的に採用されていたこの工法。当時本州ではソーラーサーキット工法やエアサイクル工法という特殊方法と、当事務所みたいな高断熱高気密のマニアックな住宅会社しか採用されていませんでした。最近では高断熱高気密をそんなに知らなくても採用している会社がありますし、全国規模の大手ハウスメーカーも採用しております。
同じように、この外壁のサッシ周囲に枠のあるような住宅が多くなると思います。ただ県内ではまだオーブルデザインだけでしょう。

なぜ外壁の周囲に枠のような物がとりついているか?
それは、窓単体で取り換え可能な構造にしているからです。
住宅が高性能になればなるほど窓は重要な部位となり、求める性能維持期間が長くなります。先のブログで説明したとおり、当事務所の目指す気密性能は最終的には、パッシブハウスと同じ超高気密性(隙間相当面積で0.25~0.3cm2/m2)です。このくらいの性能になると、窓の気密性はとても重要です。とはいっても、引き違い窓がだめではありません。気密測定をしても超高気密住宅0.1cm2/m2くらいの家は、特に引き違いが少ない家ではありません。むしろ多い家です。9か所も大きい引き違いサッシがあっても隙間相当面積0.1cm2/m2になります。ですので最近の超気密住宅のサッシは引き違いでも問題ありません。

ではなぜ性能を高く求めるとサッシの取り換えが必要なのでしょう。

車を考えてみましょう。今の車は10年くらい乗っていても気密性が落ちたと感じられませんが、私みたいに20年くらい乗っていると(笑)、ドアの気密性を維持するパッキンが劣化し気密性がおち、走行中に外の音が聞こえやすくなります。パッキンはEPDMという超耐久反発性ゴムが使われており、これと同じような性格の素材がサッシのゴムに使われています。
また、可動性があるものはその部分に金属がつかわれている関係上、疲労破壊や酸化により、速い場合で20年遅い場合でも30年くらいでだめになります。ゴムがだめになればそこから隙間風が入ってきます。
更に、最近はペアガラスもしくはトリプルガラスを使っていますが、そのガラスに挟まれた気体の漏れ、抜けでガラス内結露します。こうなるとガラス部分の取り換えをしますが、20年もたてば、更に性能のよいサッシが販売されているはずですから、ガラスの取り換えよりサッシ全体の取り換えをしたほうが効果が高いのは明らかです(ペアガラスの保証は10年)。
つまり取り換えが、各々出てくるはずです。より多く使って窓はやはり早く劣化しますし、あまり使わないところは、劣化まで時間があるでしょう。つまりサッシ各々で取り換える時期が違うはずです。

さて、ここでお気づきの方もいらっしゃるようですが、今の施工方法では外壁や、内側の木枠を壊さないとサッシがはずせません。   となると外壁の一部を壊してはずすのですが、最近の外壁は、サイディングのタイル調であったり、特殊な形状の表面ですね。特に大手メーカーほど拘った形状です。そんな特殊な同じ表面の外壁が20年後もあると考える方は・・・いませんよね。あるはずがありません。そうなるとどういうことになるか?
一個サッシが交換で、その外壁全てやり返えですね。そうでなければカッコ悪いでしょう?
だから今の家は、サッシ交換などせず、どうせならといい、建て替えてしまうのです。すると統計上の日本の家の寿命30年はサッシから見てもちょうど交換時期なのです。
勿体ないですね。
すぐ建て替えられる人はまだ良いでしょうが、建て替えできない人は性能の悪くなった家に住み続けなければなりません。新築時は最高の気密性があったにも関わらず、20年後はサッシから隙間風が吹き込む・・・なんて事も考えられます。

実は築19年の拙宅では、その事例が出てきてます。当時気密性が最高性能オール樹脂サッシ開きタイプですが、パッキンの劣化や海の前ということで、ステンレス以外の枠に埋め込まれた金属からさびが出てきてます。この現象はある一個のサッシだけなのですが、これを変えるには外壁を剥がさなくてはなりません。一個のサッシのためせっかく数年前に木に張り替えたばかりの外壁なのに・・・。
それでも拙宅は外壁が木なので色違いは許せます。数年で同じく同化しますから。ここが無塗装の木の外壁の利点です。
ところがハウスメーカーのような特殊外壁の場合、全て貼り直しということが考えられます。そもそもサッシの取り替えを考えていなので、一部だけ外壁を切って貼るということは、防水処理上問題があるからです。ここでまとめです。

長期に対応する住宅の外部重要ポイントは

1.サッシ単体で交換できる構造(納まり)
2.シーリング修繕が家の中からできる

3.1.2ができなければ同じ外壁が20年後も入手可能なものである。

ということです。ハウスメーカーの宣伝であるように、外壁の寿命が長い事がそう重要ではありません。
住宅寿命が長い欧州は、外壁素材ががほとんど決まっているのですね。日本みたいに「石調サイディング」、「タイル調サイディング」など1年で変わる物はつかいません。あくまでも、木そのものや、漆喰などの左官、レンガ等です。
これら素材なら、一部直しでも違和感なく、また数十年でなくなる素材ではありませんから。


一気に普及か?超断熱住宅。大手、特にトヨタホームが宣言!!

オーブルデザインでは、いま一生懸命超断熱の家をお勧めしてます。
が、なかなかそこまでする建て主さんの理解が得られていません。
がしかし、さてこんな記事があります。

「2013年にゼロエネルギー住宅を商品化すると宣言したトヨタホーム。」

大ヒット「プリウス」で有名なトヨタのエコ戦略。そのトヨタの子会社でトヨタホームの出した戦略です。新潟県では無名のハウスメーカーですが、中部では大手ハウスメーカーとして有名です(あのトヨタ自動車ですから)。
そこの社長さんが、この表現で発表するとインパクトありますね~。
オーブルデザインが昨年からこれからは超断熱住宅といっても、
「そこまで必要ないよ」という声もありますが、プリウスのトヨタさんが言うと、
「なるほど!そうか!」と思うのですね。

さて、この記事(インタビュー)によると、
1.家の断熱性を高くし
2.エコ設備を装備し
3.自然エネルギーを利用する

なってます。この3つは世の流れです。
この内 2.は年々変わる新製品に変わる設備に重きを置いても仕方ありません。ある程度考え、そして10年後入れ替えたときに簡単に入れ替えられるようにする空間を用意するほうが利にかないます。←床下空間のように・・・
3.の自然エネルギー利用も同様で、設置できるよう考えれば済むことです。普通はここに自然素材も入りますが、プレハブメーカーはそれができませんので言いません。
問題は 1.のQ値です。やはりこれが一番変更不可。最初からそういう家にしなければいけませんし、建築士の仕事です。

トヨタホームさんのQ値(熱損失係数)は今一番よい自社建物が約1.9W/m2kとあります。これは緑の家のSプランくらいです。これは今では当たり前の性能ですね。しかしそんな性能も表示していない住宅会社が新潟県では大変多いですね。ここは本当不思議な物語です・・。2年後急に「当社の熱損失は○×だ。凄いだろう!」と宣伝するのでしょうか?

更にこれを強化するとトヨタホームさんは言っていますから、多分Q値1.3~1.4W/m2kくらいが2013年の目標でしょう。当事務所は2013年で全ての緑の家を0.9w/m2k以下と思ってます。更に窓を強化するだけで0.8w/m2kになります。この窓は先日ご紹介した
この高性能3層真空ガラスサッシで実現できます。金額は30坪くらいの家であれば30万ほど上がりますが、価値はあると思います。

ミサワホームさんやその他大手さんが実験棟で宣言し始めているゼロエネルギー住宅(超断熱)の先取り、そして更に先行をしましょう。

この超断熱仕様はときっと将来よかったと思いますよ。

追加
ミサワホームさんの未来型ゼロ住宅実験棟は何と「基礎断熱」によるもの。白蟻関係者や床断熱派からあれだけいろいろなことが言われた基礎断熱。オーブルデザインではもう設立時の13年前から標準です。






  

新潟の住まい 地中熱は?評価は?将来性は?

最近地中熱利用の話題を2つ耳にしました。ひとつは、ローカル新聞の記事。もうひとつは見学会にお越しいただいたお客様からです。

地中熱利用は古くから何度も実験や実測されて、実用されています。住宅において地中熱利用は2つに分けられます。一つ目はパッシブ的(受身的)利用です。たとえば当事務所の仕様である基礎断熱がそのひとつでしょう。建設時一年目は、基礎下地面の温度は周囲外部地面と同じ位ですが、一冬過ぎたころから、周囲地面に比べ多い温度で安定します。これは冬室内空間となる基礎下は、外気で冷やされることがないため、周囲地中温度より高くなり、これが結果冬の地中へ奪われえる暖かさが減ります。しかしパッシブ的な利用なので、このことを大きく宣伝する必要はありませんし、極普通の技術です。

次に積極的利用される場合です。ローカル新聞の記事とは違いますが最近は、仙台市の住宅展示場でも設置されているような利用方法があります。地中40mくらいまで直径数十センチの穴を掘り、深い地中の安定した熱を取り出して暖房や冷房に利用します。冷房は今から50年以上も前に井戸水冷房が多くの住宅に設置されていたことを思い出す人もいると思います。しかし井戸水冷房はくみ上げた井戸水を使ったら河に捨ててしまう事が環境によくないと言うことで今では消滅してしまってます。こちらは(仙台市)井戸水の熱だけを使うので井戸水は直接取り出しません(取り出しても地中に戻すと言う方法もある)。地下の地下水中にエアコンの室外機を水没させると思ってください。これについては今年の建築学会で効率の発表があります。結果は暖房COP平均は3.1だそうです。3年前に新潟で実測した当事務所のエアコンの平均COPが4を超えてましたので、特にエコロジー、または経済的とはいえません。

ローカル新聞で発表された地中熱利用は、

現在の地中熱冷房方法は、ドイツで多く設置されているクールチューブと言われるもので、地下に40mくらいの穴を設けそこに空気を通して家の中に取り入れれば天然冷房(暖房)となるという原理で設置されています。一見よさそうなクールチューブですが、日本(新潟)にはあまり効果はありませんし、不衛生になりがちです。それは

①日本は梅雨と言う雨季があり、地中の大気に開放された穴は、この雨季に水没する危険性がいつもあり、実用されているドイツと違う環境と言うことです。(密閉回路で水没回避可能です。)

②クールチューブ内夏季はいつも湿度100%状態です。つまりカビ菌に最適な環境で、仮にいつも通風状態であっても、カビは多量に発性します。この中を新鮮な外気が通って来た場合、家に入ってくる空気は多量のカビ胞子が混入します。(これが健康によい空気でしょうか?)エアコンのドレン管も同じような状態ですが、カビ球ができるくらいの環境です。クールチューブ内は当初綺麗ですが、数年すると間違いなくカビに汚染されると論文発表があります。また物理的に掃除はできません。

③地面は断熱性が高いので安定した土温になります。逆を言えば最初クールチューブを通って来た空気は効果的に冷やされておりますが、土の断熱性が高いため、あっという間にクールチューブ内は温度が上がり(地下水であれば回避可能)冷やされた空気が入ってきにくくなります。本当に50%削減もできるのでしょうか?

この3点でクールチューブは実用が難しいと建築学会で何度なく発表されております。特に今回は地下5mくらいで地下水利用ではなさそうです。

建築学会とは、日本では唯一の権威ある学会で、こちらで査読された論文でなければ大学の最高学位(博士)の取得ができないとされている学会ですので、その信憑性は国際的に有効です。

このような建築の学会では既に多くの発表がありますので、このシステムは国交省からの受賞暦はなく、環境省や土木工学会、通産産業省となってますね。地中熱利用に将来性はあると思いますが、ローカル新聞の記事には「冷暖房費50%削減」となってます。本当ですか?その根拠を知りたいです。これに惑わされ裏づけの少ない実験住宅を購入されないことを願います。

新潟においてエコで快適な家は何よりも先に「超断熱」からです。


新潟の住まい 「緑の家」で基礎表面に結露発生!!

緑字は加筆部分

1月の末にA様の「緑の家」の床下で「表面結露らしき物があるので見に来てくれ」との要請があり伺った。すると確かに基礎表面に結露がある。7年ぐらい前に基礎に表面結露が発生したお宅があったが、その原因は加湿しすぎであった。今回はどうも違う。当事務所の基礎断熱は基礎内側に断熱を貼るタイプである。断熱材は基礎上端まできっちりと貼っていたのであるが、一部数ミリ露出していた所と、大丈夫と考え貼っていなかった部分があった。その北側隅だけに結露が発生していた(写真上)。下写真は東側の熱橋部分で、結露はしていない。北側結露原因は明らかに熱橋によるものであるが、過去にこの部分での結露はなかった。そこで1ヶ月間ほど床下の温湿度を測定し、熱橋以外に原因があるかどうかを調査した。

グラフ1は、1月31日から3月6日までの、結露した北側部分と結露のない東側部分の床下温湿度である。同じ床下空間でありながら結露した北側が東側より温度が1.5度低い。最初は外気、外風の影響で北側が低くなるのではないかと考えたが、一ヶ月ほぼ同じように推移する。この一ヶ月の新潟の天候は、寒かったり、暖かかったりを周期的に繰り返していた。よってこの1.5度の差は外的要因(外気温、風速)にはあまり関係ないと思われる。となると何か?この北側の真上床は畳である。そして普段使わない和室なので積極的な暖気取り入れはない模様。その影響が床下にそのまま温度差として現れたらしい。つまり床下への暖気供給は、上部床の熱伝導率と室温に大きく影響を受ける。

グラフ2は測定一ヶ月間の中で最も寒い期間である2月18日の北側床下温度である。床下温度は、11度まで下がり、この日結露していたらしい(A様曰く「寒い日に結露している。少し寒気が緩むとしていない」)。そしてこのときの東側では13度であり結露はしていない。たった1.5から2度の差が表面結露をおこすかおこさないかの分かれ目といえる。

今までの測定では床下温湿度は、冬季の床下温度は15度から17度くらいである。しかしA様の家は普通の緑の家の床下より1.5倍ほど容積があり、表面積が大きくなるため外周から熱が逃げやすい。それで一般床下より2度から3度低くなったと考えられる。

定常状態の式でシュミレーション(透湿抵抗大)すると

θ1・・・コンクリート表面温度 θ0・・・外気温-1度 θi・・・床下温度

r・・・室内側熱伝達抵抗 R・・・rを含む基礎全体の熱貫流抵抗 

R・・・0.11+0.09+0.04=0.24W/m2k

θ1=θi-r/R(θi-θ0)で求められる。

すると11度北側のコンクリート表面温度は6.5度

14度の東側のコンクリート表面温度は7.1度となる。

もし16度あればコンクリート表面温度は8.2度まで上がる。

グラフ2の黄色い線が露点温度であり、6.5度位で結露することを示しており、計算とぴったり合う。

しかしこのくらいの温度差で結露するのでは当事務所の標準施工としてよくない。安全率をもう少し大きくしたほうがよいと考えるので、少し納まりを変更しようと決めた。以上が今回の状況である。

A様にはご迷惑をかけたことこの場をお借りして改めてお詫びいたします。この部分の改善は数日中に行う予定です。尚、この後に他の数件の「緑の家」の床下を点検しましたが、このような結露や発生跡がなかったので、今のところすべての点検の計画はありません。もしご心配な方は、点検に伺いますので恐れ入りますがご連絡ください。また、よくウエブでも指摘されているアンカーボルトの結露がなっかた事、合わせてお伝えいたします。今回の件は、より一層良い「緑の家」をご提供していく上で学ぶ事の多い事例であり、早期発見通報頂いたこととても感謝しております。


夏のエアコン生活・・・悩ましい。

赤字2008.08.14に加筆

暦ではもう秋。残暑お見舞い申し上げます。が夏の暑さはまだまだ。今拙宅では24時間冷房中。8月に入ってから熱帯夜になる日は少なく、24時間冷房を止め、窓を開けようかなと悩むところではある。しかし、次の日もエアコンをつけるとわかっていると、エアコンは消せない。(拙宅の8月の電気使用料金は、約9000円。これで24時間エアコンをつけっぱなしだから効率は非常に高いと自負している)

新潟市のアメダスのデータでは、昨日は深夜0時は気温25.7度、湿度67%で比エンタルピは61.2KJ/kgであり、その時室内は26度湿度55%で比エンタルピは55.6KJ/kg。という事は、外気温が室内温度より下がっているのであるが、潜熱が大きいので、比エンタルピは室内より高く、外気を入れたとたん体感温度が上がるという状態(風は無視)。

更に温度の下がる早朝3時でもは気温23.5度、湿度75%で比エンタルピは58.3KJ/kg、朝6時で22.8度、湿度78度、比エンタルピは57.5KJ/kgと、室内の空気よりは熱がある。つまり防犯上問題が無く窓をおもっきり開け室温より冷たい外気を取り入れても、この程度の気候であればエアコン空調された部屋26度湿度55%の方が熱が少ない。ここで悩む。次の日もどうせ冷房を入れるなら窓を締め切ってエアコンをつけておいても、そう消費電力に変わりないのではと思うから。それは拙宅は、壁や天井全てが無塗装の木(シナベニヤ)で出来ているので、湿気が短時間で大量に吸湿されてしまうため。つまり体感温度に影響を与える潜熱が蓄積されてやすいのだ。木などの多孔質の吸湿は、吸湿された瞬間は問題ないのだが、窓を閉めてエアコンを始動させると、湿気の放出が始まり、この時点で蓄熱と同じ状態になり、除湿のために余計なエネルギーを使う。だから悩ましいと感じる。

番外編

有名な外断熱の基礎断熱工法で、夜は基礎についている換気口を開ける工法がある。夜涼しくなった空気を床下に導こうと言う発想である。しかし新潟県は↑記述とおり、空気のエンタルピは下がっていない。熱のある空気で折角熱の無い空気(床下空気実測では23度湿度70%で比エンタルピ54.4KJ/kg)のところに暑い空気を入れる事になる。つまりエンタルピを無視した工法である。朝、気温が下がるからその空気を取り入れることで快適などと言っているが、まったく潜熱を考えていない。まあその結果、新潟県は普及していないが・・・。薦める会社は潜熱さえもしらない環境系モグリであると言える。例えば冷房中の快適室内環境を上の26度、湿度55%で比エンタルピは55.6KJ/kgとすると、これと同じ比エンタルピは、22度、湿度80%くらいになる。新潟県では、夜から朝に掛けて22度まで下がる季節は、アメダスによると例年8月下旬ごろから。ところがその時は最高気温も28度くらいに下がるので、エアコンは使わなくても良い時期。つまり日中に窓を開けても快適性が得られる季節なので、わざわざ床下の換気口をあける必要はない。基礎断熱工法に複雑な仕組みはいらないと言う事がはっきりわかる。写真は床下温室度の実測。


200年住宅のコンセプト その③ 基礎コンクリート

200年住宅の③は基礎に使うコンクリートの話。コンクリートとは、砂利と砂と水をセメントという物質で固めた物。ちょっとだけ空気やその他の添加剤が入るが、基本的には上の4物質で出来ている。この中でセメントは水和反応という化学変化をして硬化する。簡単に言うと水に反応してコチコチになる。この硬化で4物質を固める。だからセメントと水の関係は重要でこの重量配合関係を「水セメント比」と呼ぶ。水セメント比(%)=水/セメント×100となる。

正しく配筋された場合、コンクリートが強い(呼び強度)ほど基礎の耐久性が上がる。これは基礎が鉄筋コンクリートで造られる為。鉄筋は所謂「鉄」(実は物質的に鋼と呼ぶ)で出来ているため、そのまま空気中にあるだけでも錆びる。錆びないようにするため、強アルカリでできたコンクリートが鉄筋の周りを取り囲む。この強アルカリも、空気中の二酸化炭素でいずれ中和し一般の基礎では、40から50年くらいで中性化する。中和化すると鉄筋は錆びて朽ちる。これでは高耐久の200年住宅は出来ない。木の柱は簡単に取り替えられても、基礎は簡単にはいかない。もしかしたら全部壊した方が早いかもしれない。だから基礎の耐久性=家の耐久性(布基礎やベタ基礎採用の家)とも言える。

では鉄筋コンクリートの耐久性を上げるには、どうしたらいいだろうか?簡単だ。呼び強度を上げる(実際の強度も上がる)事が一番簡単でコストもかからない現実的方法。普通の建設会社やハウスメーカーで使われているコンクリートは、呼び強度21N/mm2であるが、これを2ランクアップさせて27N/mm2にするだけで中性化は倍近く遅れる。つまり耐久性が倍近くになる。すると75年くらいで中性化する。更に30/mm2まであげると中性化まで100年かかる。では200年を考えると・・・。これ以上呼び強度をあげる方法もあるが、他にデメリットもでてくるため、鉄筋の周りを囲むコンクリ-トの厚さ(かぶり厚)を+15mm余計に厚くし、基礎表面を強アルカリのモルタルや密閉性の高い断熱材で保護し、二酸化炭素から守る事ができれば150年はいけるだろう。

「緑の家」では、10年前の事務所設立時から標準のSプランで27N/mm2を採用し、SSプランでは30N/mm2を指定する。更に基礎断熱で二酸化炭素から守るため、150年基礎となる。あなたの家の基礎のコンクリートは21N/mm2ですか?それとも・・・・。

左上の写真は「緑の家」のSSプランのコンクリートの配合報告書。ピンクのところにコンクリートの呼び強度が書かれている。なんと33N/mm2!!!スランプ12cm!!!※ これは12月の外気温では7度以下になる事が予想されるため、強度を上げる温度補正をおこなったため。

※スランプとはまだ固まらないコンクリートの硬さ(流動性)を示すもの。この数値が低いほうが硬い=高品質のコンクリート。一般基礎では18cmである。


200年住宅のコンセプト その②

2月頃、「200年住宅のコンセプト」について申し上げたとおりである。その思いは変わりないのであるが、実は国土交通省が募集した、「200年住宅=超長期住宅先導的モデル事業の提案の第一回公募」に免震装置で有名な「IAU」さんのシステムで申し込んだ。7月ごろOKもしくはNGがでるので、OKがでれば200万の補助金がその装置を導入した家に支払われる。ほぼ申し込み最終日に申請書を仕上げるあたり、IAUさんには大変お世話になった。

なぜ免震装置に興味があったというと、当HPのコラムに載せた時には「新潟県の平野部では効果は少ない」と結論付けた。この時の理由は、新潟県の平野部の大部分は第3種地盤(但し法律上では第3種と指定されていないため、各地盤調査データ分析で決める)というとても地盤が悪いところだから。それを裏付けるように、昨年起きた中越沖地震で多大な被害が出た柏崎中央商店街では、その地面である砂丘地のゆれの周期が約0.75s(所謂軟弱地盤の周期)だったので、大ゆれの後半に壊れかけた家のゆれ周期が0.75s(壊れる前は0.2~0.3である)と共振し、一気に倒壊したという結果が出ている。やはり軟弱地盤の恐怖である。当事務所が設計した家は、ほとんど無傷で問題なかったが、備品の一部が棚から落ちて割れ、タンスはひっくり返ったので、揺れによる「恐怖」はあると思う。そこでその恐怖を低減できる免震装置に興味が湧いた。そこで事務所のある三条に計画中の家に免震装置が付けられるかどうかと、実際の費用と構造が知りたくて「IAU」さんに問い合わせた。結果はぎりぎりOKの地盤らしい。となると、後は費用の問題。補助金200万の他どの位の費用で設置可能か?多分更に300万以上はかかると思われるが、これはこれからしっかりと詰めたい。もし皆様で免震装置をつけたい方は、当事務所に申し込んでほしい。補助金申請はシステムで行ったので、地盤さえクリヤーすればどなたでも免震装置の取り付けた家の設計施工可能である。(三条に決定すれば今期分は終了)免新装置のメリットは、はやり震度7クラスの大地震でも、4程度の揺れしか感じない事。これは家具の転倒や恐怖を感じない揺れである。すると200年に一度起こる大地震でも等級2クラス(住宅性能表示制度)の耐震性で倒壊しない家となる。この等級2くらいが重要で、免震装置がなくても大地震が来ても倒壊しない等級3になると、窓が小さくなり、大きな空間も出来きにくい。こういった制約がなくなることがメリットだ。さらに、マニアックなこの装置は、200年住宅の大事なコンセプト=「愛する家」につながる。愛することのできる家は、200年住宅の最大のポイント「メンテナンスをしてくれる家」となるからだ。デメリットは「緑の家」のコンセプトになるかもしれない「基礎断熱」→「床断熱」となり「床下収納」がほぼ使えなくなること。まあ、屋外物置と考えれば使えるが、洋服等はしまえなくなる。CO2問題で太陽光発電や太陽光給湯に目が行きやすいが、こういう基本的な性能にコストを掛けるのも悪くはないはずだ。

上図はIAUさんのHPから転載 (2008年6月に加筆修正)


最近のハウスメーカー

2011.01.24加筆緑字

当ホームページの「住宅最新NEWS」に取り上げたが、ひょんな事からある大手プレハブメーカーのHPへ訪れた。すると「基礎断熱工法を取り入れ、床下に蓄熱暖房機を設置し・・・」等とオーブルでは見慣れた言葉の商品があった。しかしこの商品では5年後にはクレームが多くなり、消滅商品になると私は推測する。というのは、床下に暖房機をを入れるのは快適性と衛生面との諸刃の剣となるから。詳しくは上のコラムを読んで頂きたいが、簡単に説明すると、「床下は絶対と言っていいほどお掃除する事の無い空間。そこに新鮮空気や暖房空気を循環させたりする事は、不衛生極まりない。新築時は良いが、10年も経てば昆虫の死骸などは至るところにあるだろうし、塵や埃、時にはカビもあるだろう。そんな空間の空気を室内に循環させてどうするつもりなのか?一番綺麗な空気は外気で、それをいかにダイレクトに入れるかがポイント(定期メンテナンスのされたクリーンルームは例外)なのに・・・。また床下はそのほとんどがコンクリート。このコンクリートは長い間「灰汁臭」と呼ばれる独特の異臭を放つ。本気で大量販売する商品とは思えない。どうしたの大手プレハブ!!また得意の数年で方針(商品)転換か?


2009から床下暖房を推進する立場に変わりました。
なぜか?
まず最初に、床下暖房の家は床下には上のような換気扇がありません。
これは・・・
床下エアコンが夏は除湿も行ってくれるからです(冬は暖気を送り込む)。
建築当初の特に1年は、コンクリートから湿気が多く放散されており、これを排
出する目的及び床下の灰汁の匂いが室内に侵入する事を防止するため換気扇を設
置しておりました。
ところが定期メンテナンスで伺っている時に、床下を積極的にお使いになってい
る方の家の床下が匂わないことに気づきました。積極的に使っていない家はやは
り灰汁匂いがします。つまり、床下に換気扇をつけてもまんべんなく床下の換気
がされているのではなく、ある一部だけが換気されている状態なのでしょう。当
たり前ですよね。1階床と床下は気密処理されていないので好き勝手な隙間から
床下へ給気され、それが仮に床下換気扇の近くだったらショートサーキットされ
床下内でまんべんなく換気が期待できないからです。
一方積極的に使われる家は、まんべんなく床下の空気が入れ替わっているため、
灰汁の匂いがしません。確かにコンクリート打放しの家(RC住宅)でも、一年く
らいたてばあの灰汁匂いは殆どしませんから。
ようは私の間違いだったのでしょう。これで床下内空気が綺麗と言えるためには
行う事は「定期的の掃除」だけになります(防腐防蟻剤塗布は論外)。
こちらは高床なので簡単に解決でき、それで今は床下暖房を勧める事ができるよ
うになりました。
以上修正し訂正させて頂きます。

1 2 3 4