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新潟 住まい 耐雪2m住宅「自然素材の外壁」

無塗装の木の外壁の家がとうとうお披露目になった。とは言っても足場が外れただけ。しかし木の雰囲気はばっちりと伝わる。

Q値はまだ正確に算出していないが、1.9W/km2くらいだ。その割には窓が大きく開放的。5月下旬には完成する。

このY邸は、プランはほとんど建て主さんがお考えになり、その裏付けを当事務所でしっかりととり、耐雪2m住宅としてご提案した。

Yさんは、ウェブで当事務所を探し当てて頂き、お選びになった。当HPは探しにくく、検索でもなかなか上位に来ない。そんな中お選び頂いたことについては改めてお礼申し上げます。

耐雪2m住宅なので外観はいたってシンプル。これは箱形にすることで、屋根の上に2mの雪をバランスよく載せることができる。加えて耐力壁が通常の約
1.3倍程度割増しでに入らないと、地震時の安全性を確保できない。これで等級2相当で、積雪1mであれば等級3相当になる。それとともに地盤面2mから固い土となる適所地に表層地盤改良、オーバースペックのよう壁、ダブル配筋の高さ1mのべた基礎など自然災害に対し極力被害が少なくなるように考えた高性能住宅。長持ち仕様だ。

玄関が奥に引っ込んでいるのは、季節風の様子によって、風除室を設置できるスペースを残したから・・・。

後は仕上げとなる「対のシンボルツリー」。これが植えられると木の無塗装の外壁がピシッと決まる。


約25年も使い続けた定番の照明器具。それが今年廃盤・・・。

が建築業界に入ったのは23年前。そのころから使い続けた定番の照明器具(パナソニックのNL56262)が今年で廃盤となった。少し寂しい。

この器具はご覧の通り壁に使う。本来なら天井につけるのだろうが、壁でないと雰囲気が悪い。一日の初めと終わりには、お天道様が真横にくる。その光でできる影と同じように横に照明器具を設置する。すると表情が穏やかにみえる。これは、食卓におく燭台(しょくだい)と同じ効果。横からの光に照らされてできる影は独特の雰囲気がある。だから廊下やトイレ、階段など横につける事が多い。 ご覧のとおり白い壁には独特の陰影ができるのも魅力。

木に囲まれた家にも似合う。時には鏡をくり抜いてつけることも出来ので事務所の定番器具になった。

この器具のよいところは、本体が鋼板製というところ。プラスチックが多い中、なんとなく金属にには引かれる。またこれに代わる定番器具を探すことにしよう。


新潟の家 「熱」について

熱の量=熱量というと何が思い浮かぶだろうか?やはり食べ物のカロリー(熱量)ではないだろうか?

物を動かすというエネルギーは熱と比べると意外と希薄なエネルギーだ。重さ1000kgもある車が時速60km/hから急に止まると、そのエネルギーの多くはブレーキで熱になる。確かに手では触れないほど熱くなるが、鉄が赤くなるほどではない。そのくらいで運動エネルギーを熱で吸収(置き換えること)できる。

車の燃費を10km/L、ガソリンの発熱量1L=9.6Kw とする。成人男性が一日に必要とするエネルギーが2300Kcal くらい。これをワットに直すと2.67Kwとなる。このエネルギーを運動エネルギーだけに変換すると仮定し、人間の食べている食品で重さ1000kgある車をどれだけ移動できるかを考えると・・・2.67/9.6*10=2.78km 一日で約3km車を動かせるエネルギーになる。いつも食べるご飯やおかずだけで造れる熱なのにすごい量である。車を押したことがある人ならわかるが、タイヤがあっても意外と押す力は大変。実際は人間の体温維持(つまり熱)に2km分のエネルギーを知らない間に使っているので、1kmしか動かすことができない。それだけ熱はエネルギー密度が高いといえる。

このように熱は密度が高いので、冬の暖房の熱のエネルギーロスがあると大きなエネルギーを捨てていることになる。たとえばQ値2.0w/km2の高断熱高気密の家では、冬の一日で96000wのエネルギーを捨てている。もしこの96000wの熱エネルギーをそのまま運動エネルギーとして車に使うことができると、普通車を100kmくらい走らせる事ができるくらいのエネルギーとなる。20度の室内外温度差がつく暖房期間が4ヶ月間あるとすると、100km*30日*4ヶ月=12000kmとなる。12000kmは東京新潟30往復くらいだ。車の燃費は敏感にわかるけれど家から逃げる熱はには鈍感。暖房(熱)はエネルギーの塊である。大事に使いたい。


新潟 性能表示の耐震等級2の家に「自然素材の外壁」

現在施工中である旧栄町の性能表示住宅は、工事も半分を終えその雰囲気が徐々にわかるようになってきた。

納屋の外壁は、最近お勧めしている無塗装の杉の外壁。軒の出のある意匠とスッキリとした羽目板のバランスがとても良い。雨板にすると突然和風になるが、羽目板はそういう雰囲気にはならない。

雨板・・・新潟県の古くからの木の外壁のこと。縦に細い木を取り付ける貼り方。木の暴れが抑えられる。今でも田舎では使われる。

最近思う。木がなぜ気持ちよく感じるのだろう?その答えのひとつが色が変わる素材だからと思う。

自然界にある素材のほとんどが、濡れた時の色と乾いているときの色に差がある。いつも当たり前に見ているが、これが色が変わらない素材であったならどうだろうか?朝起きて外を見たとき、道の「濡れ色」を見て「ああ、昨夜雨が降ったのだな。」と感じることができるが、色が変わらない道路(カラー歩道)であればぱっと見た瞬間では判断できない。その瞬間に感じる空気感という表現があるが、この濡れ色も空気感の一部であると思う。

この無塗装の杉の壁は、自然界にある木の幹と同じく雨の時の色と晴れた時の色が大きく違う。また、年月が経ったとき、緑色の藻が所々生えたりもする。人間と同じようにゆっくりと常に変化している。だからこそ心に響くものがある。そんな素材の使い方(耐久性も大事にしながら)を心がけたい。


新潟の住まい 自然素材と木の構造を考える 

木の家といえば木の構造が思い浮かぶと思う。木の構造は日本では大きく4つに分けられ、「軸組み工法」、「2×4工法」、「ログハウス工法」、「その他(ハウスメーカー)」となる。県内で一番なじみの深いものは、軸組み工法であり、当事務所もほとんどこの構造で家を作る。最近この軸組み工法が2×4工法のよい所を取り入れ、プラットフォーム(床に合板を張り強くする工法)や耐震壁に合板を使うことが普通になっているため、両者は同じような形になってきている。しかし決定的に軸組み工法と2×4工法の違いがある。それは鉛直荷重をどの部材で支えるかということ。軸組みは無論「柱」で荷重を支え、2×4工法は壁で荷重を支える。ここが大きな違い。今日のブログは少々専門的な表現や記述が多いので読み飛ばして頂ければと思う。

軸組み工法の柱は、梁から荷重を受け取り柱で支える訳であるが、その接合部がとても重要なポイントとなる。昔はこの接合部を大工さんが刻んで作る「仕口」と呼ばれるものであるが、現在は「プレカット」と呼ばれ上写真の通り工場でこの「仕口」が機械加工される。この丸みのある形状のプレカットは軸組みの半数以上を占めるくらいまで普及しているが、当事務所ではめったに使わない。それは・・・

このプレカットは機械加工なので仕口は数種類程度の形状で統一される。そこに問題がある。新潟県は空間が大きく造られる家が多い。また雪の荷重で、関東の家より大きな力が仕口にかかる。図を見てほしい。これはプレカットで加工した仕口部分の模式図である。雪や床の加重は梁を通して柱にかかる。たとえば梁一本で約1000kg(10KN)の力がかかると、両端部には500kgづつに分散され柱に伝わる。この500kgをたった梁の端部15mm×120mmの断面で力を柱に伝えるのが今のプレカットの仕口である。するとこの15mm×120mmの面積では、片側529kg(松の場合、杉なら340kg)までなら木が押しつぶされなく支えることができるが600kgならNGとなる。瞬間的にはこの2倍1000kgまで大丈夫であるが、それでも1000kgというとそう大きい数字ではない。

一般的には床の積載荷重(梁用)が130kg/m2で、固定荷重が65kg/m2であわせて約200kg/m2で構造計算する。すると床の広さ10m2で2000kgになる。これは片側1000kgの重さとなりその広さは10m2で畳6枚くらいである。このようにあっという間にMAXの重さになり余裕がない。一方当事務所が標準としているクレテック金物を使った軸組みであると、529kgのところ1800kg迄大丈夫となる。瞬間的には3700kgまでOKという。この差は大きく、クレテック金物を使えば耐雪住宅や、12帖以上の広い空間をつくる時に有効であるため13年前から当事務所では使っている。

さらに地震時に梁が受ける引っ張り耐力もプレカット仕口ではクレテック金物より大きく劣っている。クレテック金物は少々高いが耐力的に今までの仕口とは大きく違うものである

では、昔ながらの大工さんはどうしてかというと、大きい荷重がかかるところは、梁と柱の接合断面積を増やすように仕口を選んで加工していたのである。ところがプレカット加工では、工場でオペレーターが計画、加工するシステムで、いちいち細かい梁の力加減に対応できずに大きな力がかかっても小さな断面積の加工となる場合が多い。運任せに近いシステムともいえる。ただ、標準的な家や耐雪住宅でない場合は安価でよいシステムである。


新潟の住まい 性能表示 自然素材の家。

三条栄地区で建設中の「緑の家 シェーカー風」が順調に施工されている。施工会社は栄地区一番の建設会社「住宅のよしけん」さんこと、吉田建設さんである。

シンプルであるが、素材や形、デザインを吟味した質実剛健米国版=シェーカー風である。

屋根にもこだわりがあり、アスファルトシングル葺きでケラバまで綺麗にシングルで納めるデザインで、日本の屋根ではないイメージを出している。見学会は6月20日21日に行われる予定。是非こだわりの内外装をご覧くださいませ!!

ケラバとは、切妻屋根の斜め部分の面のこと。通常板金(金属)で仕上げるのであるが、見た目はアスファルトシングルそのままのほうが良い。

アスファルトシングルは、コロニアル葺きにイメージが似ているが、手で曲がるほどやわらかい素材。だから雪下ろしに屋根に上がっても割れないので積雪地にも都合が良い。


新潟 木の家 木の外壁 自然素材はやっぱりそのままが良い④

三条下田地区に現在新築中の「緑の家」はこの春の陽気につられて、外壁が貼り終えた。とっても良い感じである。外壁も無塗装の杉板を貼る事で今後目指す「緑の家」となった(近くに寄るだけで気持ちよいですよこの外壁は)。

新築時の色も良いが、上の写真のような(拙宅)数年経った時の外壁色が好きである。シルバーグレーに近づきつつある。杉板なので最終的にはシルバーグレーよりも少しこげ茶色がかるはず。

2mの雪が屋根にあっても全く問題ない耐雪住宅の屋根は、上りやすく形がとってもシンプル。外周全ての屋根がちょっと雪庇防止の落雪であるため、珍しくアンテナは屋根頂上へ設置することになる。

最近木の外壁が使われているが、まちっがた計画が多い。木には必ず屋根が必要。一部雨ざらしでも耐久性がある「ウリン」などがあるが、これは例外。デザイン重視で軒の出の無い建物には木の外壁は絶対お勧めできない。たとえ防腐剤をたっぷり塗ろうとも、多雨である日本では耐久性は半分以下となり正しい使い方とは言えない。


新潟の住まい 高気密高断熱と自然素材と防腐防蟻?

上の写真は現在三条市に建設中の「緑の家」。見慣れた新築時の明るい木の色が青空に映えますね。また密に並んだ柱が構造計算に支えられた力強さを表現してます。また基礎が普通と違う事がこの写真からでもすぐわかります。

一方この写真は、ある分譲地の木の家の新築中(撮影は数年前であるが、今も同じ)のもの。こちらはほとんどの木の色が暗い色をしている。理由は、このメーカーさんは、ほとんどすべての木に防腐防蟻薬剤を工場で加圧注入し、色をつけている(色が付かない薬剤もあるが・・・)。

ここから先は好き嫌いで判断するので様々なご意見があることをご承知の上お聞きください。

私はできる限り薬剤塗布を木にしたくない派です。なぜでしょうか?

身近にある話を先にすると・・・最近、屋外で煮炊き、魚を焼ける釜場を作りました。その釜場では現場で捨てる木っ端を頂き、燃料にしています。このときやはり虫を一切寄せ付けない防腐防蟻薬剤が処理された木で、魚を焼くには抵抗があります。何か体に良くないと直感的に思うからです。自然の木でも燃やすと煙には「クレオソート」という劇薬成分が発生しします。昔このクレオソートの強防腐性を、鉄道の枕木に塗っていた事は良く知られてます。 この成分も体に良くないでしょうが、色々な化学物質が入ってますが人は何千年も前の大昔から木を燃やしそれで煮炊きや食物を焼いてきました。だからこの成分には多少体が解毒作用を持っていると考えてます。ところがこの防腐防蟻剤は数年ごとに成分が変わったり、薬剤自体が販売中止になっていることが常です。つまりそんなに頻繁に変わっていたら体の解毒作用は追い付かないと想像します。現実的に言うと、防腐防蟻薬剤処理された木の「箸」を使う人はいません。ある程度で腐ってもいいから何も塗らない木の箸がいいに決まっています!!

緑の家」は国が定めた家の性能表示において、「耐久性」の性能が最高ランクで評価されます。しかし「緑の家」では薬剤処理された木は使う事はありません(2%はどうしてもやむを得ない所だけに使います)。一方下の写真のように普通に造ると、薬剤処理された木を使うことが多くなります。特にこの写真のメーカーさんは、ほとんどの木に加圧薬剤処理された木を使うことを自慢し宣伝してます。ここまで使わなくても、、国の「耐久性」の性能が最高ランクを取得できます。しかしこのメーカーさんは、耐久性の「正しい施工」に拘ってます。良いことです。普通の建設会社は工場ではなく現場で防腐防蟻剤を塗ったりしてますが、この現場塗り薬剤は耐久性が長くても10年といわれてますから、20年位たったらまた外壁を壊して防腐防蟻剤の塗り直しです。でもこれは現実には不可能です。だからこのメーカーさんは工場で薬剤を加圧注入するということで効果が長く発揮されるこの正しい防腐防蟻施工をしているのです。拍手ものです。(ではなぜ「緑の家」はそのままでも耐久性が大丈夫なのでしょうか?その理由はここにあります。)

しかし、私はこの正しく防腐防蟻された家に住む事にためらいを感じます。防腐防蟻処理された木は、虫や菌がほとんどつきません。そんな虫一匹住むことを許さない木に囲まれて生活して木の家の良さがあるのでしょうか?(感情論なので気に障る方は流しください)木は水や湿気があれば腐ります。だから循環する材料(自然素材)なのです。腐らないものがよければコンクリートで家を造った方が理にかなってますね。腐りやすい木を、できるだけ木のままで長持ちされる工夫が自然素材を使う「人」の知恵であり、先人の棟梁さんが伝えた知恵と技です。

「緑の家」の構造では自然素材の木に少し加工を施した集成材も多く使います。しかし集成材は、木と同じように腐りますし、虫もつきます。少しでも木のメリットである循環性を残そうとしてます。できれば私は集成材をやめて無垢材にしたいと思いますが、まだ品質、性能的に製材が一般的に勧められないので集成材を使う事にためらいはありません。しかし長期にわたって薬剤効果が持続する加圧注入された防腐防蟻材を大量に使う事にはどうしても抵抗があります。写真のように何十年も色が変わらない真っ黒い木の家は、これが自然と共存できる家とは思えません・・・。

2009年4月9日訂正。

木を燃やしてできるクレオソートは、正式には「木クレオソート」と呼ばれ、防腐剤として使われるクレオソートと全く別物でした。「木クレオソート」は医薬品として正露丸に含まていて、安全性は高いそうです。間違った情報を書き込みお詫びと訂正いたします。


新潟の住まい 自然素材の家 海と屋上菜園

事務所定休日である 昨日は快晴。拙宅の小さな屋上菜園では種まき準備です。昨年作った海の嵐から守る菜園の屋根。よく潮風から守りました。このトーメイな屋根で冬取りのスティックセニョールは収穫量も多く、とても楽しめました。

イソヒヨドリがえさの少ない厳冬時に、スティックセニョールの葉を丸々食べて管理者はショックを受けつつ、「冬のおすそ分けだからよし」と寛大な言葉。

自然農で全く肥料を入れない菜園。そこで不思議とよく育つ緑。

時にはイソヒヨドリがスティックセニョールを食べた代わりに落とした、よくわからない木の赤い実が芽吹くこともあるらしい。小さいけれどミラクルワールドですね。

鳥も人も犬も狸もみんな無事に冬を越せたことに感謝です。


うれしいこと! IN 新潟の住まい 高気密高断熱の家

私ども住まいを供給する者にとってうれしいのは、お手伝いさせて頂いた方のご紹介で次のご縁があること。特に写真にある建築中の家は、右に写っているベージュの家のお嬢様夫妻の家。ベージュの家は、5年位前に建て替えの設計と企画をさせて頂いた。そして、そのお嬢様の家をお隣に造ることになった。

同じガルバニュームの外観であるが、親世帯は落ち着いたベージュ色、そして子世帯は真っ白。素材感が同じなので意外とマッチしている。

既存の庭木をなるべく残しす設計を心がけ、玄関の屋根は斜め。ちょっとでもシンボルツリーがあると、暖かい雰囲気になりますね。


新潟の住まい 自然素材と高気密高断熱の性能表示住宅

性能表示住宅を三条市で建築中とご案内した。現在は屋根下地や外壁下地を造作中。その屋根下地であるが、新潟県の屋根の主流は「ガルバニューム鋼板葺き」である。当事務所でもほぼ100%がこの屋根である。ところが、今年から100%アスファルトシングル葺きに変わってきている。  アスファルトシングル屋根は写真のような感じの仕上がり。20年位前にアスファルトシングル屋根が流行し、一度は手がけたことのある屋根屋さんも多いだろう。しかし当時の商品は粗悪品で苦労したと聞いている。もともと素材は道路のアスファルトと同質の石油製品。アスファルト自体は古くから屋根の防水に使われてきた実績のあるもの。昔はそれを浸み込ませた基材となったものが紙質のようなものであったため、粘りがなく風で寸断され飛ばされた。今の製品は基材にガラス繊維を使い。それにアスファルトを浸み込ませ防水性を確保するというもの。基材がまるっきり違う。メーカーの説明によると、なんと北米極寒のアラスカから灼熱のグアムまで半分以上の戸建住宅の屋根に採用されているらしい。耐久性も30年とガルバニュームと同じくらいで、価格も同等か低いぐらい。そして何より写真のとおり意匠がよい。特に私はこの屋根材の特性上、20年も経つと色が変わったり、藻が生えたりする可能性もあるところが気に入っている。これはうれしい。藻が生えたりすると嫌う人が多いが、最近は屋根緑化が流行中。私は雨漏りしなければ全く問題ないと思うというか、緑色屋根大賛成である。

しかし気をつけなければならないところがある。それは、今まで施工されていない屋根の防水下地(所謂ルーフィング)と水切りの両面テープ貼りが必要だということ。従来のガルバニューム屋根は、水切り板金と屋根が一体になるため、このテープは貼られていないくても全く問題ないが、関東で主流のコロニアル葺きなどは、このアスファルトシングルと同じため、両面テープ貼りが普通。そして今年から瑕疵担保保証加入住宅では、この両面テープ貼りが原則だ。 重要なポイントなので是非上棟時見てみよう。新潟県ではたぶんほとんどの住宅で施工されていないはず。しかし瑕疵担保検査員はチェックしていないと思われる。だって検査に来るタイミングは、この上に屋根材が貼られてしまっているから。やはり工事監理は専門の監理者が必要!!←自画自賛ですみません。

ちなみにアスファルトシングルはまだ耐雪住宅での採用は見合わせている。それは耐雪住宅が普通の屋根より勾配が緩い事と雪圧力が普通の2から3倍になる為。


新潟 新築 住まい 「緑の家」無塗装の自然素材 木の外壁の進捗情報

三条で建築中である無塗装の木の外壁が、着々と完成に向かっている。外壁は上の写真のとおり杉の無塗装の羽目板。いい感じですね~。

完成は、写真(模型)のように非常にシンプルなBOXの形。これは地域柄、2mの耐雪住宅のため。木の外壁の時は、軒の出は大きいほどよい。軒の出がない建物に、木の外壁を使っているところをたまに見るが、腐食が早期に始まり見るも無残なことになる可能性が高い。昔からの大工さんはそのことを親方からよく聞いているので、屋根のないところに「普通の木」を使うことはしない。木の塀でも屋根があることは見慣れた光景である。

木は無塗装でも意外と耐久性はある。上の写真は築50年は経過したと思われる木の外壁の建物。道路に近いところは、緑色の藻が生えているがいまだ現役(藻は木を腐らせる腐朽菌ではない)。これを汚いと感じる人にはお勧めできないが、私にはとてもエコに見える。無論こういった建物から連想するのは、かび臭く寒い家となるので、なんとなく印象が悪いのであるが、中が暖かく清潔ならどうだろう。そのままの木はエコ住宅の代表である。

下の写真は田舎でよく見る「雨板貼り」の家。築30年位だろうか?無塗装の木の外壁はこのような色で落ち着く。ここに緑(木に葉)があるととても感じがよい。無塗装の木の外壁には必ず「シンボルツリー」や、花等の緑と共にある必要がある。まさしく「緑の家」である。


新潟 「緑の家」の工事監理。性能表示 耐震等級2の基礎③

緑字は2009.04.02加筆

加筆前回の性能表示 耐震等級2の基礎②では、「緑の家の基礎は一体打ち込み」とご案内した。なぜ一体打ち込みがよいか?

しっかりと管理されたコンクリート建築は、打ち継ぎがあっても問題ない。そうでなければ、コンクリートの高層建築ができるはずもない。よって住宅の基礎では、2回打ちでも1回打ちでもしっかり管理すれば構造耐力に差はなくどちらでもよい。ではなぜ一体打ち込みにこだわるのか?

上の写真はある大手メーカーのべた基礎完成風景。公道から撮影しているので少々荒れている画像であるが、赤丸のところを見てほしい。この部分がベースと立ち上がりの接合部分。素人でもここがつながっていないことがわかるジャンカが見える。これは2度打ち基礎工法で基礎立ち上がりを打つ際、周囲まできっちりとコンクリートが入らなかったのである。たぶんコンクリート強度(水セメント比)を高くした高品質生コンが裏目となって、打ち継ぎに隙間が発生してのだろう。しかししっかりとバイブレーターを掛ければジャンカはなくなるはず。きっと全体的にこの現象があるので、施工管理が甘いと想像できる。しかしジャンカは大きな事ではない。表面を直せばOK。問題は施工管理が甘いと、ジャンカ以外に一番怖いレイタンスをそのままにして打ち込んだ可能性がある。これは問題である。せっかく立ち上がりが低い事をべた基礎のベースを一体化することで高くするように考えられている基礎なのに、これでは一体化にならない。また、この打ち継ぎの大きな欠点がある。今後完成時に図のように間違って地面の周囲が高くすると、雨水が床下に進入する恐れがある(当事務所でも一度経験あり)。「緑の家」のようにいつも人が入ってメンテナンスしている床下ならすぐわかるが、そうでないと床が腐るまでわからないことになる。

このような管理が大変なので、一体打ちをお勧めしている次第である。すると下の写真のように、一体の基礎ができる。これで設計計算どおりの基礎体力が確保される。

この写真は緑の家の基礎で、型枠をはずしたばかりのところ。立ち上がりとべた基礎のスラブとの境は全くない。一体化されていることがわかる。気泡が抜けきっていないが、耐力には影響はない。右下のところは、コンクリート型枠が他の部分とは違っていたため、色がついた。

写真を見ていてもうひとつ不思議な事に気がついた。一番上写真の大手ハウスメーカーの家の基礎は、基礎が土の中にないのである。所謂根入れが浅いのである。法律では120mm以上だから、たぶんぎりぎり問題ないと思われるが、すごく不自然な基礎である。上の「緑の家」の基礎は、周囲が掘り込んである事がわかると思う。これで根入れは220mmである。


新潟の住まい 冬に結露しないガラスの条件とは?

まず写真の図4を見てほしい。これは、岩手県立大学の本間義規准教授の「結露しない窓の断熱性能とは?」に出てくる図である。外気温-5度(新潟では年に1回位ある温度)のときの窓の構成による結露発生図である。

普通のペアガラス(空気層12mm)は、K=3であるため、常に結露する。このときの室内条件は15度で湿度70%(20度で湿度50%)のとき。LOW-Eペアガラス※にするとK=2となるので結露はしない。この空気条件で温度22度にすると、湿度が45%になり、温度23度のときは湿度が42%となる。つまり一般的に高性能といわれるLOW-Eペアガラスでも、室内の湿度が高いと結露する。特に風が強く吹き付けるガラスは、温度が低くなりがちで、多少室内が渇き気味でも結露の可能があるということ。逆に結露させたくないのであれば、LOW-Eペアガラスの上、湿度45%以下にする。このときの温度は22度であり、もし24度まで上げるなら湿度は40%以下にしなければならない。

一般的に快適な湿度が55%から40%といわれているので、もし温度湿度とも上げる(温度23度湿度55%)なら結露がおきる事は多少目をつむる事も必要となる。新潟県の室外温度は0度が多いのでLOW-Eペアガラスでなくとも22度45%ぐらいで結露がおきないが、風が強く吹いたり、雪が直接ペアガラスにつくと表面熱伝達抵抗が変わり直ぐ結露する。

この体験は皆さんが車に乗っているときに感じているはず。気温が氷点下でも空が曇っていれば窓ガラスが曇ることは少ないが、雪や雨がウインドウに着いたとたんガラスは曇りだす。これも空気中の湿気の量が変わったのではなく、ガラスと外気が触れる条件(表面熱伝達抵抗)が変わったためである。もっと具体的に言うと、同じ0度の空気と水がある。でも手をその中に入れると圧倒的に水が冷たい。これも手の表面の表面熱伝達抵抗によるものである。静止した空気は、熱を伝えにくいのである。

※・・・LOW-Eペアガラスとは、ペアガラスに薄く金属膜をコーティングした高性能のガラス。反射して鏡のように見える場合がある。価格はペアガラスの10~20%増。


新潟の住まい 省エネ法改正で玄関周囲の基礎断熱省略可能!

来月(4月)から省エネ法の改正が行われる。平成11年に次世代新省エネ基準以来の大幅改正。地域区分が細分化されたことと、気密工事が防湿工事と分離され気密の規定(所謂C値)がなくなったこと、そして今回の問題である玄関やお風呂周りの断熱工事が省略できることである。この「省略できる」が曲者で、省略したい人は、省略しても省エネ性能に関係ないからOKだよ!ということ。省略しなさいとは言っていない。同じように、床面面積に対し2%までは断熱性のある窓にしなくてもよくなった。

昨日基礎の表面結露が出てしまった家があったとご報告した。その中には基礎と断熱材のわずかなずれ(1から6mm)で結露していたところがあり、熱橋と呼んでもよさそうなわずかな部位がある。今回改正された玄関もお風呂もやはりこれと同条件になる。確かに冬季のある条件になると結露するが継続的ではないことを勘案すると、建物に被害をもたらすことにはならないという判断。小さな窓も同じ考えで、例えばトイレにあるような小さな窓は、普通のガラスのサッシでもOK。この程度なら断熱性に影響はなしで、さらに結露しても良いとも言える。

・・・と思ったが実は違う。

この「省略できる」や、「しなくてもよい」というのは、あくまでも省エネ上の計算であって、結露しても良いとは言っていない。確かにその部位が結露してもその被害は微小と思われるが、実務上それが許されることは少ない。結露すれば建て主さんは「どうして?」と思うし、できるなら結露しないようにし改善してほしいと要求されると思うし、私もそう思う。ここは勘違いをしないように気をつけなければならない。今までどおり玄関もお風呂も小さな窓もその家に見合うバランスの取れた断熱をしなければならない・・・と思う。


新潟の住まい 「緑の家」で基礎表面に結露発生!!

緑字は加筆部分

1月の末にA様の「緑の家」の床下で「表面結露らしき物があるので見に来てくれ」との要請があり伺った。すると確かに基礎表面に結露がある。7年ぐらい前に基礎に表面結露が発生したお宅があったが、その原因は加湿しすぎであった。今回はどうも違う。当事務所の基礎断熱は基礎内側に断熱を貼るタイプである。断熱材は基礎上端まできっちりと貼っていたのであるが、一部数ミリ露出していた所と、大丈夫と考え貼っていなかった部分があった。その北側隅だけに結露が発生していた(写真上)。下写真は東側の熱橋部分で、結露はしていない。北側結露原因は明らかに熱橋によるものであるが、過去にこの部分での結露はなかった。そこで1ヶ月間ほど床下の温湿度を測定し、熱橋以外に原因があるかどうかを調査した。

グラフ1は、1月31日から3月6日までの、結露した北側部分と結露のない東側部分の床下温湿度である。同じ床下空間でありながら結露した北側が東側より温度が1.5度低い。最初は外気、外風の影響で北側が低くなるのではないかと考えたが、一ヶ月ほぼ同じように推移する。この一ヶ月の新潟の天候は、寒かったり、暖かかったりを周期的に繰り返していた。よってこの1.5度の差は外的要因(外気温、風速)にはあまり関係ないと思われる。となると何か?この北側の真上床は畳である。そして普段使わない和室なので積極的な暖気取り入れはない模様。その影響が床下にそのまま温度差として現れたらしい。つまり床下への暖気供給は、上部床の熱伝導率と室温に大きく影響を受ける。

グラフ2は測定一ヶ月間の中で最も寒い期間である2月18日の北側床下温度である。床下温度は、11度まで下がり、この日結露していたらしい(A様曰く「寒い日に結露している。少し寒気が緩むとしていない」)。そしてこのときの東側では13度であり結露はしていない。たった1.5から2度の差が表面結露をおこすかおこさないかの分かれ目といえる。

今までの測定では床下温湿度は、冬季の床下温度は15度から17度くらいである。しかしA様の家は普通の緑の家の床下より1.5倍ほど容積があり、表面積が大きくなるため外周から熱が逃げやすい。それで一般床下より2度から3度低くなったと考えられる。

定常状態の式でシュミレーション(透湿抵抗大)すると

θ1・・・コンクリート表面温度 θ0・・・外気温-1度 θi・・・床下温度

r・・・室内側熱伝達抵抗 R・・・rを含む基礎全体の熱貫流抵抗 

R・・・0.11+0.09+0.04=0.24W/m2k

θ1=θi-r/R(θi-θ0)で求められる。

すると11度北側のコンクリート表面温度は6.5度

14度の東側のコンクリート表面温度は7.1度となる。

もし16度あればコンクリート表面温度は8.2度まで上がる。

グラフ2の黄色い線が露点温度であり、6.5度位で結露することを示しており、計算とぴったり合う。

しかしこのくらいの温度差で結露するのでは当事務所の標準施工としてよくない。安全率をもう少し大きくしたほうがよいと考えるので、少し納まりを変更しようと決めた。以上が今回の状況である。

A様にはご迷惑をかけたことこの場をお借りして改めてお詫びいたします。この部分の改善は数日中に行う予定です。尚、この後に他の数件の「緑の家」の床下を点検しましたが、このような結露や発生跡がなかったので、今のところすべての点検の計画はありません。もしご心配な方は、点検に伺いますので恐れ入りますがご連絡ください。また、よくウエブでも指摘されているアンカーボルトの結露がなっかた事、合わせてお伝えいたします。今回の件は、より一層良い「緑の家」をご提供していく上で学ぶ事の多い事例であり、早期発見通報頂いたこととても感謝しております。


認めましょう! 新潟 家造り 自然と人工のバランス

認めましょう!

と、唐突にいわれても・・・では何を?人間はわがままなのです。ということを・・・。

家造りに関して、「エコだから薪ストーブ」がよいとか、「家造りは自然が取り込める家がよく、高断熱や高気密なんてもってのほか、少しは寒さの我慢を」とか、「石油製品や気密シートを貼る家造りはやめよう」おっしゃるサイトが多々あります。前にも検証したとおり、日本中の暖房を薪ストーブで行った日には、日本中の森や林が数十年で丸坊主ですよ。それでも薪を国民全てが使うように勧めることが「エコ」ですか?薪を自分で集める事をした人はそんなことを言いません。それだけ薪はあっという間になくなります。薪ストーブは楽しみ(趣味)の一つですし、周りが森林のところでの暖房方法です。

自然が取り込める家だとしても、冬はやっぱりほとんど暖房してますよ。自然派雑誌の写真はどれもこれも室内で「暖」を取ってますよね。普段の生活の中、室内で分厚いコート着て写真に写っているアウトドアマンは見たことがありません。それだったらホームレスの人の段ボール住まいが、一番自然の気候とマッチした家です。

そして石油製品から造る気密シート(所謂ビニール)はおっしゃるとおり人工材料です。でも暖房という行為は、そもそも力まかせで自然気候ではありえない温度差20度の人工気候を造ることですよ。温度差20度といったら、冷蔵庫内の温度と室温の差以上ありますよ。この人工気候状態を維持できるのは、やはり人工素材をどこかに使わないといけませんね。冷蔵庫の箱を木と土で作れますか?造れませんね。すぐにだめになるのは目に見えてます。だから家の壁や天井の材料は、一種類でも人工物(ポリエチレンフィルム等)が必要なのですよ。

どうしてこんな単純な事から目をそむけるのだろう。現代は車(石油エネルギー)なしではほとんど生活できない。コマーシャルでもあったように、「今あなたがすっている空気でさえ、車が運んだ石油によって造られる電気によって換気されている空気ですよ。」

するとこういう人がいるだろう。「大丈夫私の家では換気扇がついていない。」

では、「その家を作るのに、材料を車で運ばなかったのかい?材料を切るのに電気工具を使わなかったのかい?」 「その着ている服は・・・」

いい加減に認めようよ。人間はわがままなのだよ。巷で言う自然はもう自然ではないのだよ。その自然を支える化石燃料もそろそろ限界が見えてきているが・・・。

しかしこの先も自然と同居できる希望はある。この豊かさが持続可能なように今の責任をしっかり尽くそうとしているし、受け継ぐ子孫を信じる事ができるから・・・。だから正しい情報を伝えようよ。人間はわがままだから、暖房も必要、車も電気も必要。だからこそそれらを造る原料を与えてくれる自然に心から感謝して、大事に使う気持ち育み、自分ができる行動を着実に行う事が重要な事を・・・。島国日本から率先して始めたいね!

(写真は拙者が作ったかまどの火入れ模様。伐採された枝が燃料。)


長期優良住宅先進的モデル事業に申し込みました。

赤字は2009.03.25加筆

先週、国交省の補助金事業の「長期優良住宅先進的モデル事業」に申し込みました。なんと申し込もうと思ったのがその2週間前。実質作業開始が7日間くらい。よく間に合ったものです。これは図面関連のスペシャリストと文関連のスペシャリストがいる当事務所ならではです(思い立った時すぐ実行のわがまま筆者もいます)。

ここにあるのは低画質画像ですが、当ホームページにPDFファイルとして申請した提案書を近日中においときます。ご興味のある方はご覧ください。住宅最新ニュース」のタグから入れます。

内容は今まで作ってきた「緑の家」のSS仕様です。これにちょっとだけ提案を加えて今回の応募する長期優良仕様になってます。 これが受理されれば、当事務所が12年間ずーと取り組んできた「緑の家」が公にも「超耐久性のある住宅」として認められた事になります。

昨年から2度の募集があり今までおおよそ100プロジェクトが採択されてますが、新潟県の民間企業(フランチャイズや共同組合を除く)が採択された事がまだありません。この当事務所が採択されると民間企業としては新潟県初となります。限定5棟だけに補助金200万が建て主さんの新築建設資金となります。是非お問い合わせください。

とにかくバランスがよい家。それが緑の家です。今後ともよろしくお願いいたします。


新潟での高気密高断熱 緑の家 木の外壁③

  春満開です。三条市下田地区でも黄色いクロッカスが満開です。

小川のせせらぎも心地よいですね。

今、特にお勧め外壁「杉板 無塗装。」こちらこちらのページでも良さをお伝えしています。そしていま三条市でも着々と出来つつあります。現在は上棟が終わり外壁下地を作っているところです。

この地域は今年こそ雪は少なく、いつもは1.5mくらい降ることも多い地域。だからこの「緑の家」は耐雪2.0m住宅。さらに、品格法の耐震表示等級2相当です。

正面から見るとわかるが、ビルトイン車庫があるプランで、当事務所の厳しい偏心基準0.15で設計されています。性能表示耐震等級2の基準では偏心率0.3以内との決まりがありますが、その倍以上の厳しいさで設計してます。それには理由があり、偏心率が低い家ほど地震時の損傷が少ないとされているからです。偏心率とは、たてものの重心(建物重量的中心)と剛心(耐力壁の中心)のずれをいい、このずれが少ないほうが建物変形がしにくくなります。さて、その0.15の偏心率にするためには、工夫がいります。開口部の多くなる玄関側に赤丸で囲まれたところをラーメン構造(梁柱剛接合)にします。ラーメン接合といえば、古い民家の大きい柱と梁の接合方法と同じ接合のことですね。こうすると開口部であっても建物は強くなります。

そのラーメン接合はなかなか重厚で下のような写真の感じです。

柱下部はM16アンカーボルト2本で固定され上部は新幹線柱脚の補強としても有名なアラミド繊維シートで緊結されています(ハイテク素材です)。柱として36cmにもなる柱脚は木造の接合部ではないくらいの雰囲気です。

このような技術で無理なくビルトインガレージを作るのが安心の家ですね。


新潟 住宅性能表示で耐震等級2の構造計算した基礎

さてこれは何でしょうか?

これは基礎を作るコンクリートの中にある鉄筋を浮かせるためのサイコロと呼ばれるものです。大きさが違いますが、左は一般住宅で使われる4-5-6と呼ばれるコロ。右は緑の家で使う7-8-9-10のコロ。それを7の位置で使っているところ。この数字は鉄筋のかぶり厚を示す。かぶり厚とは、鉄筋を腐食から守るためコンクリートで保護する厚さ。厚いほど腐食スピードが遅くなる(つまり基礎の耐久性が上がる)。このかぶり厚は法律で決まっており、基礎スラブで下からの寸法は最低6cm必要。だから普通の現場は左の4-5-6の6の部分をつかう(よく5cmで違法建築を見るが・・・)。一方「緑の家」では7cmを指定する。これは構造計算時、かぶり厚を7cmで計算しているから。通常固定端のスラブは端部下端筋に一番大き応力がかかるので、下端筋が効果的になるように最低の6cmにしている。ところが現場では下写真のように人が上から踏みつけたりして、 6cmのコロを使うと5cmくらいのかぶり厚部分も生まれる。また、構造計算の考え方で端部ピン端にするとスラブ中央の上端筋に一番の応力がかかる。そのためできるだけ上に近いほうに鉄筋があった方が有利なので、下からなるべく離す7、8、9cmのほうがよい。その2つ理由から「緑の家」ではあえて住宅基礎では普通は使わない大きなコロを使う。この辺が設計事務所の工事監理と設計手法。施工オンリーの工務店では考えられないところ。これはシングル配筋時のことで、ダブル配筋の場合は6cmでOK。下端筋を踏みつけられないし、上端筋は別にあるから・・・。


新潟の住宅設計ブログ・・・「知ってましたか? 新築住宅の設備に・・・」

  今日「国交省主宰のある講習会」の中で配られた資料があった。それが上の写真。それによると屋内ガス給湯器類と石油給湯器、FF式石油温風暖房機、ビルトイン式電気食洗機、浴室用電気乾燥機は、ある程度の期間(7~10年くらいだろうか?)経過したとき、持ち主の依頼で定期点検をしなければならなくなった。もちろん有料である。この持ち主の依頼というのがどうも・・・。年金と同じ「申請」があれば払うに似ている。つまり持ち主が依頼せずそのせいで故障し被害があっても「点検申請しない人が悪い」になると解釈すればよいのか、今までどおりでもかまいませんよという選択肢があると理解したらよいのか・・・。

不思議なのが、石油給湯器だけ屋内屋外問わず点検が必要ということ。ガスの給湯機で屋外の場合は、問題ないらしい。ということは、石油のほうが製品的な危険性が高いということか?そこが不思議である。石油式のほうが技術的に劣っているということか?また、今や新三種の神器の食洗機(古いか)もリストに上がっている。これはなぜ?

さて何でこんなことになったのか?思い出してほしい。これは数年前に起こった松下製(現パナソニック)のFF式石油ストーブ回収事件、及びパロマの改造被害のせいであろう。20年以上前の機種を使い続けていたら不具合がでた。これはメーカーが悪い。回収せよという強い世論に押され(その前にパロマの事があった為か)、3年間ぐらいCMなどで呼びかけ回収していた。松下さんは相当な経費を掛けたと想像できる。ここまでメーカーの責任は必要なのかと思った内容であった。ここからは推測であるが、日本一の家電メーカーから、「これではメーカーがとても不利。法改正を!!ユーザーとメーカーの半々。」という働きかけがあったのではと勝手に想像している。

不具合が多くあるのにこのリストに載っていない製品もある。最近色々騒がせたリチウムイオン電池と車である。この不具合でも、下手をすれば出火し人命に影響を及ぼすはず。でもこれはリストにはっいってない。またまた推測であるが、リチウムイオン電池、車は、全世界へと輸出されているものばかり(ノートパソコンの電池等)。一方今回のリストに上がったものは、国内限定品ばかり。これは一体・・・。世界的にみると、今回のような法律を輸出商品に該当させたら、世界からバッシングを受けるのでリストアップしない・・・と感じる。うーム 製品(形あるもの)には必ず劣化寿命がある。それを使用しているものが、しっかりと管理するのが大原則なのだが・・・。なんでもかんでも行政に何とかしろというと「大きな政府」になる。そのしっぺ返しは必ずユーザーに値上がりという形で帰ってくる。・・・と思う。火を使う給湯機より明らかに危険と感じにくいリチウムイオン電池のほうが危険で点検が必要な気がするがリチウムイオン電池の場合、劣化ではなく設計製造の不具合らしい。なんとも一筋縄ではいかない。


最大手積水ハウスの偽造 告発

今日業界の住宅ニュースを見ていたら、「建築確認の公文書を偽造、積水ハウス浜松支店の元社員刑事告発」とあった。びっくりした。最大手の積水ハウスが10棟もの建物について偽造していたとは・・・。これではどんどん確認申請の書類審査が厳しくなるはず。しかしいつも思うことは、悪いことをする人は世の中にはいる。こういう人に合わせて決まりを強化するのではなく、悪いことをした人をしっかりとキツク罰するほうが良いと思う。法律を守る人まで、法律強化のとばっちりをうけて、確認申請料のアップや、確認申請料書類の煩雑化となり、結局建て主さんへ経費アップとしてつけが回るから。積水ハウス浜松支店の設計事務所登録を抹消するくらいの事をすれば、こういうインチキはなくなると思う。普通この建築士だけの個人判断ではできない、支店ぐるみの行為では・・・と思う。でなければ管理建築士の管理が相当ずさんでやはり設計事務所登録の末梢にあたる。静岡県知事が決めることだけど、とてもひどい話である。積水ハウスは建築士の懲戒解雇と言っているが、そんな社内的な話ではないはず。
いつも申し上げるが、大手だから大丈夫!ということはありません。この事件のニュースはこのリンク先ですが、見るには会員登録(無料)が必要かも知れません。


新潟 「緑の家」の工事監理。性能表示 耐震等級2の基礎②

先月の末、 CASBEEの戸建評価委員として登録された。私は登録や免許や資格取得は最小限度にしている(実際は取れない)ので、久しぶりの資格である。CASBEEとは、今後主流になるであろう「持続可能性」の推進念頭においた「建築物総合環境性能評価システム」のことである。簡単にいうと、「住宅の環境効率」となる。さらに噛み砕くと、その家の快適性とその家の与える環境負荷の比率というのだろうか?自分の家単体だけではなく、周りの環境にその家がどのような影響を与えるか迄考える住宅の評価である。庭がしっかりある「緑の家」では、最高覧ランクになる可能性は高い。

さて、性能評価を受けているS邸の進捗であるが、先週コンクリート打ち(一発打ち)を行った。午前中スラブ及び150mm程度の立ち上がり。アンカーボルトを設置して午後から立ち上がり打せつ。

最初の写真は、ポンプ車のホースに最初に通すノロを捨てているところ。結構これをそのまま打ち込む会社が多いが、これは×。コンクリートと違って水のりみたいなもの。捨てないといけない。

一発打ち込みは、立ち上がりとベースが一体化するので、シロアリの弱点となる金物周囲の隙ができにくく、構造計算本来の梁の高さが取れる。「緑の家」では当たりまえであるが、世の中まだまだ2回に分けてコンクリート打ち込み(別々に打ち込む)ことが多い。私どもは1.2mの立ち上がりまで、一発で打ち込む。

基礎の区画はご覧の通りの地中梁が計画される。また人通口のような立ち上がり高さが低いところでも、一般の立ち上がり高さより高い。そしてD16を2本とD13を1本の補強鉄筋が入る。これでもぎりぎりの鉄筋量である。普通のべた基礎の家は、補強筋はD13を一本だけだろう。

たて筋にフックをつけていないのは、構造計算時せん断力がフックなしのコンクリートだけでもOKであるため。これは今後コスト共に検討しフックありになる可能性大。代わりに周囲のベースハンチを取りやめる方向。

この型枠の高さを見ると、普通の基礎ではないことがわかる。これから立ち上がりを打ち込む。


超高断熱の家 環境住宅「緑の家」は必要か?

赤字2009.09.16加筆

あるサイトのブログを見ていたら、食糧危機がおきた時のマニュアルがあることを知った。その名前は「不測時の食料安全保障マニュアル」となっている。この中で想定されているレベル2には、「一人一日当たり供給量が2000Kcalを下回ると予想される場合を目安」とあり、例として国内農産物だけで2020Kcal分の食料を考えると、

上の表のとおりである(農水省HPから抜粋)。この食事内容だけで2000Kcalを超えるとは、いかにいつも過カロリー生活をしているのかがわかるし、国内物だけだとこんなものか?とショックを受ける内容だ。しかしこれは現実に起こりうるということと考えたほうがよい。現在の世界の人口は、68億くらい。ところが2025年には79億になると予想されている。現在でも飢えで苦しむ人々はたくさんいる。これがさらに増え、世界的に穀物が不作になると、日本に輸出してくれる国は少なくなるであろう(今は円にものをいわせて買ってこれるが、・・・)。農業のことは私は専門外なので何か自分なりできることはないかと考えると、国産材を積極的に買うことしか思いつかない。

また、石油が不足するとまず最初に農作物に使われる石油の確保がおこなわれる法律があるのをご存知だろうか?この法律は石油需給適正化法と呼ばれている。よって石油が入りにくくなると暖房(北海道を除く)や家庭のマイカーなどは制限される可能性がある。この場合、新潟県の住宅は寒さを我慢する生活になるのだろう。その時に超高断熱の家であれば、家内部での発熱(人、調理など)で少しは温度が上がるはず。太陽が出れば充分暖かい室温も考えられる。しかし今の次世代基準の断熱ではそこまで室温が上がることはなく、この1/3以下と考えられつらい生活となる。今からその時のための準備をしておこう。拙宅は20年前は新潟県で充分と思われるQ値1.9W以下であるが、今実感するのはもっと高性能(Q値が高い)が必要だということ。だからお勧めしているのが緑の家SS仕様である。確かに金額は3から4万/坪(40坪程度の断熱性のみSSプラン。その他の仕様はSプラン)やは上がってしまうが、当時の高気密高断熱住宅がそうであったように価値はある。

ちなみに海がまん前というせいか、拙宅の樹脂サッシのガラスを止めている押し縁ビートから、暴風雨のときは、注射器で出すように水がにじみ出る。そろそろパッキンの取替え時になるのか?まだ築18年である。


新潟 「緑の家」の工事監理。性能表示 耐震等級2の基礎

今日は三条市で施工中の緑の家の工事監理に行ってきました。配筋検査は明日ですが、その前に問題がないか、間違いはないか見てきました。概ね良好です。まだスラブのかぶりがと鉄筋の空きがしっかりと取れていませんが、その他は良好です。スラブから立ち上がりへの上鉄筋と考えた場合の定着は25dとしております。下鉄筋と考えた場合は斜め筋があるので35d以上となりますね。

他の基礎工事現場と比べるとわかりますが、床の配筋と立ち上がりの配筋を一緒に造ってます。これは基礎の「一体打ち込み」と呼ばれる造り方です。この一体打ち込みとは、基礎の立ち上がりと平らな所を同時にコンクリートを流す事をいいます。普通は、平らなところを先にコンクリートを流して、固まってから(1週間くらい)立ち上がり部分のコンクリートを流す2度打ちといわれるものです。どちらが良いかといえば、一体打ち込みのほうが良いに決まってます。また一体打ち込みのほうが手間と費用がかかります。どうしてそんなお金を掛けて一体打ち込みするのでしょうか?それはコンクリートは一体となって初めて強度が出るもの。2度打ちでは打ち継ぎ箇所ができ、どうしても肌別れ(隙間)が生じやすく、水やシロアリが浸入しやすくなります。

「緑の家」の基礎は1mあります。これを一体で打つには時間と技術が必要です。ですが、基礎は住宅の一番下を支える大事なところ。多少のコストは必要と考えてます。

きっちりと区画され、開口部補強にはなんと2本の16mmの異型鉄筋と13mmの3本が入ります。斜め補強は16mm鉄筋と普段お目にかかれない補強です。この開口部が普通の家の基礎とほぼ同じ高さがあり、それでもこれだけの鉄筋が必要です。

スラブ配筋はD13が120mmピッチで組まれます。

写真でわかるとおり、床から貫通する配管類はない。


建て主さんの味方 住宅瑕疵担保履行法 実質開始

昨日国土交通省主宰の講習会に行ってきた。内容は住宅瑕疵担保履行法の実務講習会である。会場が直前に変更されるほど大勢の方が見えていた。

この住宅瑕疵担保履行法は、9年くらい前に「これからの住宅は築後10年間瑕疵があった場合、請け負った会社は無償で改善しなければならない」という法律ができた。これは建て主にとって非常に有益な法律であったが、欠陥が「姉歯偽装事件」で露呈した。つまり10年以内に建てた会社が倒産した場合、この責任が消滅するのである。そこで今回の住宅瑕疵担保履行法では、建てた会社が倒産しても、保険会社によってその責務を引き継ごうと言うもの(供託という方法もあるが)。これによって建て主さんは、9年前の法律の欠陥が解消された。ヽ(´▽`)/

この10年保険保証は既に20年まえからあり、当事務所は任意で設立からほぼ100%の住宅で加入している。しかし世の中の加入率は昨年で3割~4割と聞いている。とうことは今回6割くらいの建設会社が新たに入ることになる。

10年間の保険料は、120m2(37坪)位の家で、8万。一年当たり0.8万となっており、割安感がある。無論、家の価格に転化される。

さて、保険と言うからには、所謂「家の身体検査」がある。どんな建物でも保険に入ることができると、いい加減に造った家の損害で保険料が高くなるため。生命保険と同様に家の健康診断があると言える。この健康診断は、各保険業務会社(全国で5社)でほぼ横並びで規定されている。がしかし・・・、基礎の部分である会社だけ「はてな?」と思う規定がある。それは各会社規定を比較した下の表(上の写真本から抜粋)。

薄く水色で囲った部分が、べた基礎に対して規定である。4社が構造計算を基本としている。この部分が先日のブログのべた基礎が少なくなるゆえん。しかし不思議な規定もある。中央の会社の規定には

「設計図書(設計図の事)として、(基礎配筋)の規定がない場合は、JIO基礎配筋要領図による事ができる」

となっている。という事は、家を造る時に基礎の大事な配筋図が設計図にないので、その場合はJIO基礎配筋要領図による検査だよ という事?そんな家があるのか?と疑いたくなるのであるが、実際はこういう家は多い。現実に沿った規定?ともいえる。しかし建て主さんから見れば全くへんなお話。「家は基礎にあり」と言うくらい大事な部分の設計図がないのである。一方木構造のほうは、規定がないところがほとんど。規定がないということは、裏返せば、今たっている家の殆どが問題がない部分なので規定はいらないと取るか、法律に詳しく記載があり、それに沿った木造を建てるだろうという性善説で考えている。という事は、基礎は法律に細かく規定がなく問題が多いので、保証会社のほうで規定を作ったという事。なるほど!!

今年の10月以降に引き渡される新築住宅は、この保証が義務。ただ会場ではこんな質問が・・・。

質問者

「なにか逃げのような規定はないのか?」

担当講師

「ない・・・。がしかし、この規定は新築住宅に限る。新築でなく、たった一度でも人が住んだ家は新築とは言わない・・・。」

質問者

「ありがとうございます」

w(゚o゚)w


新潟の住宅 構造計算と設計者の思想の重要性 長期優良住宅とは?

中越沖地震から早1年と7ヶ月が過ぎました。そろそろ落ち着いてご案内できるのでこの写真をご紹介します。この写真は2007年の11月ごろ撮影したものです。ですので地震から4ヶ月ほど経過しております。場所は柏崎市中浜という震度6強の地域。

赤字のところが「緑の家」です。建物は外観上ヒビひとつ入っておりません。地震発生後の市の調査でも「調査済み」の貼り札でした。一方右隣の数件は市の調査で「危険」となり「退去勧告」が出されました。というのは、家自体はそう被害は大きくなかったのですが、このように家の後ろの崖が崩れてしまったのです。B(中央)は既に直し始めていますが、その左右AとCはこの時点ではまだ修理しておりません。緑の家もご覧のように擁壁がありますが、全くの無傷です。下部にブルーシートがあるのは、擁壁が直立無傷だったのでその接している土が下に引っ張られ土の隙間ができたため、その隙間に雨水が入らないように、念のための養生です。

Aの擁壁はしっかりしているように見えますが、実はこんなに傾いており危険な状態です。Bはとても危険なので直ぐ取り壊されてしまってます。またCはこのままでは、家に住み続けることは不可能です。家も多少傾いております。緑の家の擁壁はこんな周囲状況の中、何事もなかったように直立してます。ある方はおっしゃるでしょう。「緑の家」の方が、崖の高さが低いので、擁壁高さも低いから平気だった」と・・・。しかし法律では、「高さ2mを超える擁壁は、構造計算して安全性を確かめなくてはならない」となっており、安全性の確認はしております。では違いは何か?ここが設計者の「思想」です。実は、「緑の家」の擁壁は、オーバースペックで造られています。 擁壁の安全性は、通常時(地盤の変動がないとき)の安全性であり、地盤が変動したときについて特に決まりはありません。建築基準法は「最低の基準を定めた法律」です。だから長期優良住宅では設計者の「思想」が大事のときの分かれ目なのです。

私は、中越地震もあったことから、この土地に擁壁を造るときには、地面の自然法角30度以内に擁壁のベースを入れ、かつ住宅の基礎に擁壁を緊結させ万全に構えて計画しました。まさしく地震時にベース基礎の地面が変動し、擁壁が倒れることを予想して対処した計画だったのです。これを施工しているときには、その工事していた人は、こんなに頑丈に作らなくてもいいんじゃない?既に地震(中越地震)があったばかりなので、当分来ないよ!と言ってました。私もついうなづこうとしたのですが、何しろこの建物は、100年もたせなければなりません(使う古部材が100年前の家のものだから、私もそのあと100年と思ってます)。だからこそ地面はとても大事なのです。

建て主さんからは、「オーブル」さんで本当に良かったと言われました。それ以上に私も「自分自身の信念に沿って良かった」と自分自身で褒めておりました。このことは他の住宅にもいえます。私が手がけた「緑の家」は、すべてが耐震等級2です(仮に構造計算に多少の差があってもほぼ変わらないくらい耐力壁が多くあります)。そのよさがわかるのは、このような本当に必要なときです。その時のために私はこの職種を全うできるように心がけます。


長期優良住宅先導的モデル事業に申し込みます。

表題どおり、21年度第一回の長期優良住宅先導的モデル事業に申し込みます(多分)。先回は他力本願的に申し込みましたが、今回は自力で申し込みたいと思います。無論「緑の家」SS仕様+アルファーで!!

「緑の家」はとてもトータル的に完成されたものと自負してますが、世の中には、ある性能だけを見れば突出してよい住宅や新技術住宅が多数あります。今回目指すのは、このモデルが波及性、普及性の高いもの(決して超高価ではない)として提案したいと思います。内容は今は公開できませんが、既に頭の中には完成しております。これをいかに説得力ある実像に変えていけるかが鍵です。申し込み期限まであと2週間です。できるか?全力でやるだけ!!


太陽光発電の電力買取の倍額検討開始

やりましたね。市民運動の力だと思います。政府が太陽光発電の電力買取の倍額検討開始したとの報道が入りました。これで今まで補助金なしで設置された方も報われると思います。電力会社の太陽光発電の買取増額負担は、各世帯に振り分けられ一世帯月100円だそうです。喜んで拙者は負担します。


新潟での高気密高断熱 緑の家はそのままの素材。

今日の医療ニュースで次のような事が報道されていた。

以下Yahoo Japanニュースから引用

「将来、子どもが花粉症で苦しまないようにするためにはどうすればよいか―。理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センターの谷口克センター長が「花粉症にならないための9か条」を紹介した。

 2月23日に横浜市の理研横浜研究所で報道関係者を対象に開かれた「製薬協プレスツアー」(主催=日本製薬工業協会)で、谷口センター長は「スギ花粉症ワクチン開発」と題して講演。この中で、▽生後早期にBCGを接種させる▽幼児期からヨーグルトなど乳酸菌飲食物を摂取させる▽小児期にはなるべく抗生物質を使わない▽猫、犬を家の中で飼育する▽早期に託児所などに預け、細菌感染の機会を増やす▽適度に不衛生な環境を維持する▽狭い家で、子だくさんの状態で育てる▽農家で育てる▽手や顔を洗う回数を少なくする―の9か条を紹介した。」

引用終わり

なかなか勇気のある提言である。生後早期のBDG接種と託児所に預けなくても、集団の中で育てるということでもOKだと思うが、そのほかの内容は説得力がある。まあ簡単に言うと「現代社会は綺麗すぎる。もう少しルーズの方がアレルギーになりにくい」ということ。

確かに住宅業界でも、手に触れるところすべて「抗菌仕様」といっているハウスメーカーや、設備機器などが主流。特に建材製品は殆どが何らかの抗菌がセールスポイントになっていたりする。壁紙といわれるビニールクロスでは、抗菌や抗ビールス等というものもあったりする。

「緑の家」は手に触れるところの殆どが「天然木」だったり「ステンレスそのまま」がほとんど。そういえば「抗菌仕様」ということで、PRした事がないなー。ほとんど事象があてはまると思うけれど、「やりすぎ」はよくないということかな?自然素材だって現代生活の中で使いすぎると思わぬ(湿気の放出)デメリットを生じることになるし、熱帯夜のエアコン除湿が快適だからって、一夏中していると子供の汗腺の発達に悪い(拙宅で実証済み)ということもある。
あと大事なことは、楽しく行っているうちは平気だが、苦痛で神経質になるような行動はよくないという事ではないだろうか?

今年は新型インフルエンザ流行してもいないのに、高性能マスクをつける行為が見られたし、子供に手を洗え洗えと神経質に指導する親も、この提言では「人間は風邪はひくことで抵抗力つけているのに、これを拒むのは非健康的、花粉症体質になりやすい」と言っていることになるのかな。


新潟 高断熱高気密、自然素材の「緑の家」をHPにアップしました。

ここ2年間くらい、当HP上に最近のお手伝いした家のアップをしておりませんでした。が、ようやくアップしました(暫定ですが)。
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/otetudai/otetudai.html
なかなか個性的な家が多いのですが、いずれも耐震等級2相当(相当とは、性能表示に申請はしておりませんが、構造計算で同等の耐力があると確認されたこと)。
Q値は1.2W/m2Kから2.0W/m2Kで次世代省エネ基準の2.2倍から1.3倍くらいの高性能。無論、劣化防止や維持管理の容易の性能もトップ性能。基礎下やスラブ下に排水管や給湯給水管を埋め込まない仕様です。

最近、政策研究・提言を業とする「東京財団」という団体から、建築基準法の基準の見直し提言がされた。
http://www.tkfd.or.jp/admin/files/2008-10.pdf
この財団がどのような影響を持つのか不明であるが、現在の耐震性の底上げを要求している。大枠では賛成である。ただし木造一戸建て住宅に限ると、建物の上屋(地盤を除く基礎より上ということ)だけを強くしてもなかなか被害の軽減にはならない。中越地震や中越沖地震を肌で見てきたものととして、建物は強く作ることは無論必要であるが、それと同じように地面(地盤)の安定性が必要とかんじる。新潟県は大きな平野がある。これは、信濃川と阿賀野川とその支流によってもたらされた大地。逆にいえば関東ローム層のような火山灰がつもってできた平野と違い、何度となく押し寄せた洪水によって土が運ばれ堆積した平野である。したがって地盤調査すると、深いところでは10m以上も未成熟の腐葉土(スポンジのような土)で圧密沈下の可能性大である。また、河川周囲には、ゆるい砂質土がサンドイッチされている地域があり、これが原因で液状化をおこして傾いた家が多くある。また一方では、古くからの宅地は少なくなり、丘や山を削って分譲地を造った「長岡高町団地」や「長岡ニュータウン」があり、高町団地では地盤の変形によって大きな被害が発生している。この大きな被害のほとんどは、家がしっかりしているのに、建物が傾くという典型的な地盤被害である。このときの現地震度は6(一部6強)と発表されている。
基準法は無論、住宅性能評価でも、このような非常時の場合の地盤については取り決めがない。さらに、地盤改良を行ったとしても、地震時の不動沈下、液状化については、どんな地盤改良も現時点で保証する工法や団体はない。東京財団の提言では、耐震性能の最高ランクが等級3より良い性能になるような記述(+2)があるが、この性能と共に地盤についての保証や裏付けが安価に取れる仕組みがひつようである。
当事務所の「緑の家」では、ある方からのご要望で、「液状化が心配される所で、地震が来て家が傾くことは仕方がない。傾いた時簡単にジャッキアップできる方法にしたい」ということで、地盤改良をした上に、オーバースペックのダブル配筋べた基礎で造った。この後このような家は新潟市で2年間ずっとご提供してきたが、昨年の鉄筋の高騰で必要な時だけご提案している。このような方法対処方法も良いのではないか?


過去の情報の重要さ 新潟の高気密高断熱の住まい 緑の家の歴史

この画像は、当事務所が2000年に計画し、2001年に完成したK邸の広告折込チラシである。10年まえからQ値が2.0W以下の次世代省エネ基準を遥かに超える断熱基準で木の家を造っていたし、薦めていた。

この写真は国内大手ハウスメーカーの2003年のパンフレット。赤丸を見てほしい。省エネルギー基準が3等級。つまり高気密高断熱ではない。このパンフレットには高気密高断熱という文字は出てこない。これはこの会社だけでなく、大手ハウスメーカーの殆どが高気密高断熱住宅は薦めていない。がしかし、この2年後(2005年)にはすべてのメーカーが高気密高断熱住宅(次世代省エネルギー基準をぎりぎりで満たす程度)が標準仕様となる。この身代わりの早さ。高気密高断熱住宅は、今一番政府が力を入れているところ。だから補助金も出ていたのだ。しかしこのパンフレットの会社は、当時百年基準住宅として販売していたはず・・・。なのに数年で一番重要な性能が変わるとは・・・。

昨日のブログで過去の当掲示板へリンクを貼っている。過去記事を探すときざっと眺めたのであるが、やはり過去の掲示板や過去のHP(ホームページ)、パンフレットは大変重要だ。情報をどのように発信しているか?その情報は数年後でも確かか?が大変よくわかる。これが建築会社の信用性ではないだろうか?ひいてはその家の未来の価値にも直結することだ。

2008年のオーブルデザインの掲示板↓

http://arbre.green.coocan.jp/?m=listtop&p=1

2001年のオーブルデザインの掲示板↓

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過去8年分がある全43ページをご覧いただければありがたい。これは当事務所の自負するところである。

Q値2.0を薦めて12年経った。今度の12年はQ値0.99以下である。また周りのメーカーが標準とするのは多分8年後。8年後を先取りしよう。


長期優良住宅の普及の促進と地球温暖化に関わる暖房について。新潟県版

上のグラフでわかるとおり、日本は結構がんばっている。中国が排出量は世界2位だが一人当たりとなると非常に少ない。しかしこの国民の一人当たり消費量が大きなるとアメリカの2倍以上となる。これを先進国は止められる理由がない。今まで使いたい放題だったから。

地球温暖化について2回目の話題として「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」と暖房の面から考える。

昨年12月に決議された長期優良住宅の普及の促進に関する法律は今年の6月頃施行される。内容は「性能の高い家でメンテナンス計画が確立していれば、税金やその他資金の面で優遇しますよ。」ということ。この性能が高い家というのは、当事務所で「緑の家は標準だよ」と申し上げている。「耐震性では性能表示の等級2以上」、「劣化対策では等級3」、「維持管理対策等級では3」以上が条件。無論次世代省エネ基準でなければならない。それらがあってメンテナンス計画がしっかりできているかどうか?で長期優良住宅だと判断される。

私はこの中で一番今後もっとも強化する項目は、次世代省エネ基準だと思う。現在の家の多くが次世代省エネ基準をクリヤーしてきている。「緑の家」は標準で次世代省エネ基準より1.35くらい性能が高い。にもかかわらず、やはり暖房費用は年間12万~10万かかる。このエネルギー価格がまだ安い時代(2010年)でもこの価格だから20年後(2030年)ではどのくらいかかかるか不安になる。

私は7年くらい前の当掲示板に、今後はハイブリッド車がいいよ!って書いている。当時は電気自動車や、燃料電池車も囁かれていたが、私はハイブリッドこそ本命と掲示板で書いている。それが去年から大ブレイク。プリウスは北米で売れに売れていて、国内でもプリウスをよく見る。そして今月ホンダがハイブリッド車インサイトを189万(プリウスは240万)で発表。一週間で1万件の受注となったそうだ。このペースでいけば予言したとおり新車販売の半分は、ハイブリットになるかも。しかしプリウスに乗っている人は、私も含め皆中年以上の男性か、女性がほとんど。若い方や30代の男性が乗っているのを見ないのは・・・。

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話がそれましたが、今後の長期優良住宅の基本は、「Q値0.99以下のコンパクトか断熱区画がある家」です。言い切ります。更に付け加えれば高基礎の愛着がある家です。愛着とは家をかわいがることのできる工夫があるということです。その愛着は緑ともに生まれます。どんな立派な豪邸でも、周囲や庭に「緑」がないと冷たい雰囲気で、とても素敵な家とは思えないでしょう。だから大手ハウスメーカーのパンフレットでも家は木(緑)と共に写ってます。次の子供の世代で間違いなく「水、食料、エネルギー」問題はおきるでしょう。水と食料を我慢することはできませんが、エネルギーは少し家を小さくしたり、断熱性能を上げれば、小さな機器(目標2kw以下)でほんのちょっとの我慢することで、寒いという恐怖から開放されます。事務所設立当初から申し上げておりますが、「寒さ」=「人間の恐怖」です。恐怖があると人は、悪のパワーが強くなります。恐怖がなければ穏やかに豊かに過ごせます。その恐怖の代表が「寒さ」と「飢え」です。昔から日本では「衣食住」といいますが暖かい国では、「食」と「住」でOKです。暖かければ水着のような小さな衣装だけあればよいからです。だから寒いという恐怖から開放する「家」があれば先ずは豊かな気持ちで生活可能です。

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築90年木造民家は、メンテナンスだってしっかりとしてきているのに、解体しようとする人が多い。それは寒いから。寒い家はカビ臭もして陰気くさい、改修してもとても暖かくなるとは想像できないから壊す。民家に住んでいる人は、必ず言う。「夏は快適なのだけれどねー。」という言葉にすべて物語られている。たった90年前でこういう家だ。だから今はそこまでしなくてもねというQ値0.99以下が必要。

さて、そのQ値0.99の家の仕様であるが、基礎の断熱にはネオマフォームクラスで100mm、土間下に〃断熱材で50mm、壁はネオマフォーム50mm+高性能GW100mm、天井はセルローズ吹き込みで450mm。これに全熱交換換気70%以上で冬の換気を30m3/人に設定。夏は0.5回/h厳守だが、冬はこれで十分。残るは窓。窓は大きい窓を除き樹脂サッシにアルゴンLOW-Eで(1.7W/m2h)、大きい窓は〃サッシに断熱補強部材を設ける。これで何とか0.99をクリヤーする。価格は標準仕様より4~5万/坪アップでご提案する。

さて、このSS仕様の「緑の家」を建てて見ませんか?私が今自分の家を建てる事ができるなら、他の部分は4万/坪削ってもこの仕様です。必ず将来よかったと思います。


三条で地鎮祭。お気に入りの日本酒を!キムラ屋酒店オリジナル

2013年緑字更新

この日本酒は当事務所の定番。というか私の定番酒(7年くらい浮気なし)。地鎮祭や上棟式があるときに80%くらい指名するお酒(2012年~2013年まで酒元の都合により休止。残念)。販売元は三条のキムラ屋酒店で、ここのご亭主のこだわりでオリジナル。ここでしか手に入りません。吟醸酒なので香りがとてもよい。口ざわりはきりっととして味があるタイプのお酒。最近は端麗辛口が多いが、端麗でも味がしっかりある日本酒。価格も2342円でお手頃。ご興味のある方は一度ご賞味を。無論常温で一番おいしい!!

三条でまた工事が始まった。今回の家は、茶室のある家。凝ったアプローチとシックで飽きのこない外観、そして高性能木製サッシを提案。暖房は床下暖房と薪ストーブを併用したあったかい家。竣工は8月乞うご期待。Q値はただいま計算中。たぶん1.6Wくらい。


真面目な意見。地球温暖化と薪ストーブについて。

2009.10.02 2013.01緑字修正

昨日は、東北電力さん主宰の新しいヒートポンプの活用の実際を、仙台市に見に行った。仙台に一日でトンボ帰りという強行日程。上の写真は、午後4時頃の仙台市郊外。この5時間後には新潟県に戻ってくるのだが、その雪一色の環境の違いに改めて驚く。

さて本題であるが、「地球温暖化はどういう決議が国際的に決まってもすぐには止められない。」と感じる。これは決してあきらめているのではなく、現実をしっかり捉えるとそう感じるのである。地球温暖化が進行しても、その変化はゆっくりしたものが多い中、水、食料とエネルギー問題はあっという間に死活危機をもたらす。2050年頃の問題は地球温暖化より食料やエネルギー枯渇危機(完全になくなるのではなく高騰により入手困難)ではないかと考える。この100年で地球上の人類は20億人(1900年)から65億人(2006年)になり、2050年には100億人になりそうな勢い。 まず間違いなく食料や水は足りない。自然が淘汰するまで待つ(地球規模の飢餓)にならないように知恵を絞る必要がある。地球温暖化防止といいつつ商業的に利用している商いが多い事は、とても残念なこと。

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新潟県三条で昨日着工 性能表示住宅(NEDOの補助金該当)です。

上の写真は昨日から基礎工事が始まった性能表示住宅。(耐震等級2、維持管理、劣化防止等級最高ランク)で評価された。残ねんだが雪で工事がちょっと中断中。

9年くらいに前にスタートした国の住宅性能表示という法律。これは質の良い住宅を安心して取得できるようにするためにつくられた法律。チラシやパンフレットには、地震に強いとか、耐久性があると科学的裏づけがなくて勝手に宣伝しても、よほどの事がない限り違法性はない。これは表現の自由が憲法によって保障されているから。だから、自分が勝手に日本一地震に強い家と思い込んでしまったら、その人はそのように表現してよい。但し宣伝する場合言い切ると問題があるのでよく「日本一地震に強い家を目指します」となる・・・。

しかしこれが極端になってしまうと「ジャロ」や「国民生活センター」又は「公正取引委員会」の注意、指導、勧告を受けることになる。従って全国規模の大手ハウスメーカーのチラシには、ただ単に地震に強い家という広告はなく、法律との比較や実大実験によるという注釈がある。一方中小施工店程度であると、このようなモラルが守られていないことが多い。それは大手みたいに実大実験をするような豊富な資金力(営業経費)がないため裏づけが難しいのである。そこで国は平成12年に法律を作り、誰でも同じ土俵で比較できる基準を作った。これが住宅の性能表示制度である。この制度を使えば、大手メーカーであろうが、小さな工務店であろうが、住宅の持つ性能を同じ基準で比較できる。

そんないい法律があるならなぜもっと建て主さんに広まらないかと思われるだろう。これには理由がある。

理由1・・・評価にお金がかかる。申請書手続きの費用は別として、申請費用だけで約15万。それに申請書の作成料が15万から25万。計少なくても30万は最低かかる。30万掛けて申請する人は少ない。

理由2・・・造る側(工務店、建設会社)は、自分の作る家を評価されたくない。評価されると地震に強い家と宣伝していたことが違った場合大変なことになる。

という2つの理由で、新潟県の住宅性能表示の申請件数は大手ハウスメーカーを除くとほとんど利用されていない。特に新潟県の中小建設会社が利用するであろう審査機関の(財)新潟県建築住宅センターでの19年度の利用率は0件。しかしこの(財)新潟県建築住宅センター以外の利用率は419件。つまり新潟県以外でも営業されている大手会社しか一昨年度は利用していないということ。昨年度は当事務所でも2棟申請し、今年は既に1棟申請しているので、0ではなくなるし、私が知っている限りでは、昨年度地域工務店さんが2棟申請したということは聞いている。それでも昨年度の(財)新潟県建築住宅センターでの申請は10件程度だろう。

大手ハウスメーカーを除くと、法律上の評価を受けた棟数が年間10棟しかない。といことは、その他の家は、自分勝手に「地震に強い工法」とか、「耐久性がある工法」と根拠もなく言っているに過ぎない。特に何度も申し上げている「基礎」については、ほとんど裏づけのない計画と施工ということ。(一般住宅の確認申請では、行政の構造のチェックはしなくてもよいと法律で定められているので・・・)


初期投資型ゼロエネルギー住宅 「持続可能な社会をづくりをすすめる会」の新潟市で講習会(セミナー)

昨日新潟市でNPO法人「持続可能な社会をづくりをすすめる会」(事務局 河辺氏)のセミナーに参加してきました。

内容は、「K邸における二酸化炭素排出の消費量の報告」で、2001年に建築された建物で排出される「CO2の排出量報告2007、2008年版」ということでした。結果から申し上げると、電気会社に払った電気料金は年間たった6千円とのこと。所謂オール電化住宅のなので、光熱費はこれがすべてということです。もうすぐで実質ゼロエネルギー住宅(初期投資型)となります。

確かにK邸の性能は、Q値が1.8w/km2(床下収納を床面積0.6で換算)、で完成C値が0.7cm2/m2で8年前の建物としては高性能(S仕様)。また太陽光発電5KWもあります。がこれではゼロエネルギー住宅(初期投資型)にはなかなかなりません。ではどうしたかというと、今年は実験的にある程度暖房を我慢生活。家の中は15度以下で普段長時間いる場所のみ22度くらい、コタツも使用した・・・との記憶。このように消費エネルギーの1/3を占める暖房費削減はとても有効です。確かに法律上の床面積は50坪くらいでありますが、気積(家の暖房空間の体積)から見ると65~70坪の住宅並み。その全室を暖めるとなるとある程度のエネルギーは必要。例えば厳寒期1.8*20度*65坪*3.3124=7800Wなのでこれをエアコンで一ヶ月暖めると、4万以上の電気代がかかります。これではゼロエネルギー達成不可能。そこで暖房温度を下げ、暖房区画をしエネルギーの削減を行ったといことです。この行動には頭が下がります。少し贅沢をしなければ太陽光発電だけでエネルギー確保できるという実証をされました。これに、現在の「緑の家」の最近のお勧め「コンパクトな家」か「断熱区画」を採用すればS仕様でもたぶんゼロエネルギー住宅(初期投資型)はできます。(当時は断熱区画は考えにありませんでした。)

しかしセミナーでも説明されていたように、お正月や盆などに普段生活していない子供たちが帰ってくると、「寒い!」といって暖房全開モードにするようです。環境に志高くあられる方は、「寒さ我慢」を実施できますが、次の世代や他の人に強要はできません(このせいで古民家が手放されるということは何度も御案内済み)。そこで当「緑の家」SS仕様が必要になります。この仕様と見合った大きさの太陽光発電を付ければ、充分ゼロエネルギー住宅(初期投資型)になります。

これが少なくても今後の100年住宅の基本と思いますが、政府の掲げる200年住宅の当選住宅でさえもそんな性能の家はほとんどありませんね。

・・・ゼロエネルギー住宅(初期投資型)とは、最初に太陽光発電設備等や断熱性能に投資することで、この投資費用を考えなければ、その家で年間の使うエネルギーと生み出すエネルギーが釣合い、差し引き0以下(造るエネルギーが大きい家)になる家と定義する。


新潟の高気密高断熱住まい 設計事務所とは? その2 施工と設計の分離

この写真は、 7年位前のある家の設計と施工が同属会社の工事中の写真。

その2では、設計と施工の分離が完成後とても大事ということをご説明したい。

設計と施工が分かれていると瑕疵があった場合、責任の所在が明確にならないため良くないという不思議な主張がされていることがある。責任が明確にならないのは、しっかりした図面がないからの一言。施工と設計が違う会社だからではない(また付け加えるなら、工事監理者が施工側の人間だとさらに問題)。60枚以上にもなる図面があれば、その記録があるので責任の所在はおのずから明らかになる。なるから公共建築では設計と施工の分離が当たり前である。責任の所在が明らかにならないのは、記録が建て主側にはないということが一番。例えば設計や工事監理が施工と同じ場合の問題点は以前当コラムに載せた。まさにこの会社が設計と施工が同じほうが責任の所在が明らかになるといっているが、その写真の現場をどう説明するのだろう。「昔のことだから、釘の指定の記録がないので仕方ない」といわれた建て主はたまらないだろう。このころからしっかりと、専用釘以外は問題あると住宅金融公庫にも記載があるし、業界では常識。

また、一番感じるのは設計と施工が同じ会社であると、建築後(入居後)問題が起きたときに建て主側に立つ専門家がいないこと。設計者は、建物が図面どおり建築されるだけでその職務が終わることはない。建築後その建物に何か問題があった場合、設計の瑕疵なのか、施工の瑕疵なのかを一番わかる立場である。もし設計に重大な瑕疵があれば、施工中に普通は発覚し施工や建て主から是正を求められる。一方施工の瑕疵があり、それが工事監理中に見つけることのできないもの、例えば木材の品質(造作材や構造材も製品上の欠陥は、工事監理で見つけることは難しい)、設備機器や配管の品質等は専門性が高いので一般的に難しい。このような不具合が見つかったときに、第三者の立場(建て主さん寄りの)できちっと対処してくれる。ところが、設計と施工が同じ会社の場合、どちらの原因であっても経費(修繕費)が発生するので、なるべく両者とも穏便に済ませようとする。これは営利団体である以上仕方のない性である。全くの別会社であればそういうことにはならない。ましてや設計者は建て主に雇われた専門家である。間違いなく分離されたほうが、責任の所在は明らかになりやすいことは、冷静に考えればわかる。

また、設計と施工の分離の場合、コストコントロールが難しいというご指摘もある。これもう不思議な話。設計と施工の分離は、適正な価格がわかる最良の方法。万一、仮にどこに見積もりを出しても予算がオーバーするなら、その建物はその位の資産価値があることを、皆が認めたもの。予算オーバーなら、減額設計を行えば適正価格になるし、資産価値と同様の価格ということ。一方、設計と施工が同じ会社だとコストコントロールできるという主張は、昔の棟梁一括請負と同じ主張。予算があわなければ、建て主の気にしないところ(気づかれないところ)の仕様を削って予算を合わせる(利益を出す)ことになる。それが営利団体。勿論、図面と仕様がしっかりあれば(図面枚数60枚以上)こういうことにならないだろうが、ほとんどが少ない図面数(30枚程度)。

また、入札で建築後施工会社が安く受けたのことで倒産しやすく、その倒産後困る。などというのもおかしな話。しっかりした建物は、仮に造った会社が倒産しても特に大きな問題はない。建築後その施工会社が倒産して困るのと思うのは、無料の不具合修正がなくなるという恐怖感。しっかりとした設計で工事監理を行った建物は、不具合が少ない。先日倒産した大手マンションメーカーの住民は、建物自体では多きな問題はないはず(管理会社の倒産は大変困る)。

色々な言い方や主張がある。それは仕方のないことあるが、裏づけのない事象で「恐怖」をあおる様な説明は、あまり歓迎しない。


新潟の高気密高断熱住まい 設計事務所とは?

今日は午後から仕事。これは午前中の家の前の海の様子。風があったせいで波が白いが、沖はエメラルド色。

ここ数年「デザイナーズハウス」とか「建築事務所」と宣伝する、法律で決められた「設計事務所」でないのに、その匂いを感じさせる名称や商品名が多い。
設計事務所と会社名称につけられるのは、施工を行わない純粋な設計または、工事監理等しか行わない会社にしかつけることはできない。これは○○病院と同じように、その専門性(免許が必要)の保護の観点から法律で定められている。
ところが、設計事務所というと「センスの良い」、「最近の」というイメージがあるので、最近の建設会社の名称に、○○建築事務所と名称を付ける会社が多い。このぐらいなら良いと思うのであるが、一番納得がいかないのは、設計事務所が設計したのに、施工する会社をグループ会社や親族経営や設計事務所と社長が同じという会社に限定しているところ。まるで分譲地の建築条件付きと同じ販売方法。(公共建築ではあり得ない)
本来設計事務所とは、建築を造るという一大事業の計画を、建築を専門としない建て主さんの代わりに免許のある専門家が設計図という成果物で「形」にする仕事。先進国のほとんどは、この設計業務と建設業務を注文住宅という小規模の建物でも分離することが普通。日本でも公共建築のほとんど全ては、設計(工事監理)と施工が完全分離されている。これは建て主の利益を冷静に考えれば当たり前である。
しかし最近は注文住宅でも設計と施工が同じ会社のほうが良い建物ができると豪語する住宅会社がある(規格、プレハブ住宅は別)。それが本当なら公共建築も世界の国々も、設計と施工一体の事業がほとんどになるだろうが、そんな話は聞いたことがない。そんな眉唾な話をチラシ等で情報発信するのであるから不思議な感覚。本来建て主さんのメリットを考えるなら、設計と施工の一体化のメリットとデメリットをきちっと話せばすむことなのに、最初から丸めこもうととしているこの説明は、とても信じがたい。誰が考えても注文住宅なら設計と施工が分離されたほうが、しっかりと図面通りの建物が建つ確率は高い。図面がない戦前の大工棟梁の家なら別であるが・・・。
設計と施工を分けるデメリットとは、施工会社が決まるまで確定金額が不明であることに尽きる。当事務所の「緑の家」では仕様がほぼ同じなので、計画金額と実施金額の差が3%に納まることがほとんどであるので、このデメリットはそう大きくないが・・・。
みんな自分の業に誇りを持ってその仕事に当たれば、そう誇張宣伝する必要もないと思う。


新潟の住まい 性能表示とメンテナンス性 高気密高断熱の緑の家

先日S邸の「住宅性能評価書」をERIさんから頂いた。 設計性能どおり建設も同じ評価を頂いた。

評価は10項目あるが、「緑の家」が大切にする評価は1.耐震性、2.温熱環境(所謂高気密高断熱)、3劣化防止性、4.維持管理の4つである。この4つ以外は光や音、防犯性、バリアフリー等がある。

耐震性を除く等級はすべてトップ等級であり、耐震性は上から2番目の等級2である。耐震性をトップの等級3にすることは経済的にも技術的にも簡単であるが、あえて基本は等級2である。この等級は地震時の避難施設にも求められる性能で、必要且つ充分と見ている。等級3になると、吹き抜けや窓の大きさが制限されやすい。無論等級3にこしたことはないが、後はバランスの問題である。ちなみに耐震性最低評価の等級1は、評価機関で基礎の構造チェックをしないので、果たして基準法を守っているかどうかは、その設計者しか知らないブラックボックスとになり、これが問題である。

さて、超寿命住宅はどなたでも求めているものであるが、そのとき大事な性能が「メンテナンスのし易さ」だと私どもは考えている。例えば配管設備類。配管は長くても20年くらいで掃除やチェックが必要になるといわれている。その時、下写真のように最近流行のべた基礎の基礎スラブ内に配管されていたら、これではメンテナンスし難い。もちろん性能評価でも配管類をスラブ下に埋め込むと維持管理のしやすさの評価は低い。加えて床下にあるので、歩腹全身でしかメンテナンスできない。メンテナンス性がよいとはおせいじにもいえない。

中越地震のとき、被害地には「緑の家」があり、ある程度被災地が落ち着いてから被害状況確認と修繕のつもりで点検に伺った。内一軒で、床下内の排水管接合部のずれが見つかった。大きく漏水はしていないものの、ぽた、ぽたとしずくが落ちているのが確認できたので、早速修繕した。普通の家ではこのような発見は難しい。大きく漏水するまで発見はできないだろう。普通の家では、歩腹前進と真っ暗な床下は誰も入ることを躊躇するから・・・。

緑の家では11年間このように簡単にメンテナンスできる床下をほぼ100%提供し続けている。これが自慢である。

「緑の家」のお風呂の床下配管メンテナンス写真。配管は基礎立ち上がりから屋外に貫通し、スラブに埋め込まれていない。普通お風呂の配管は一番見にくい場所と構造になり、こんなにオープンに見えることはありえない。


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