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過去の情報の重要さ 新潟の高気密高断熱の住まい 緑の家の歴史

この画像は、当事務所が2000年に計画し、2001年に完成したK邸の広告折込チラシである。10年まえからQ値が2.0W以下の次世代省エネ基準を遥かに超える断熱基準で木の家を造っていたし、薦めていた。

この写真は国内大手ハウスメーカーの2003年のパンフレット。赤丸を見てほしい。省エネルギー基準が3等級。つまり高気密高断熱ではない。このパンフレットには高気密高断熱という文字は出てこない。これはこの会社だけでなく、大手ハウスメーカーの殆どが高気密高断熱住宅は薦めていない。がしかし、この2年後(2005年)にはすべてのメーカーが高気密高断熱住宅(次世代省エネルギー基準をぎりぎりで満たす程度)が標準仕様となる。この身代わりの早さ。高気密高断熱住宅は、今一番政府が力を入れているところ。だから補助金も出ていたのだ。しかしこのパンフレットの会社は、当時百年基準住宅として販売していたはず・・・。なのに数年で一番重要な性能が変わるとは・・・。

昨日のブログで過去の当掲示板へリンクを貼っている。過去記事を探すときざっと眺めたのであるが、やはり過去の掲示板や過去のHP(ホームページ)、パンフレットは大変重要だ。情報をどのように発信しているか?その情報は数年後でも確かか?が大変よくわかる。これが建築会社の信用性ではないだろうか?ひいてはその家の未来の価値にも直結することだ。

2008年のオーブルデザインの掲示板↓

http://arbre.green.coocan.jp/?m=listtop&p=1

2001年のオーブルデザインの掲示板↓

http://arbre.green.coocan.jp/?m=listtop&p=43

過去8年分がある全43ページをご覧いただければありがたい。これは当事務所の自負するところである。

Q値2.0を薦めて12年経った。今度の12年はQ値0.99以下である。また周りのメーカーが標準とするのは多分8年後。8年後を先取りしよう。


長期優良住宅の普及の促進と地球温暖化に関わる暖房について。新潟県版

上のグラフでわかるとおり、日本は結構がんばっている。中国が排出量は世界2位だが一人当たりとなると非常に少ない。しかしこの国民の一人当たり消費量が大きなるとアメリカの2倍以上となる。これを先進国は止められる理由がない。今まで使いたい放題だったから。

地球温暖化について2回目の話題として「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」と暖房の面から考える。

昨年12月に決議された長期優良住宅の普及の促進に関する法律は今年の6月頃施行される。内容は「性能の高い家でメンテナンス計画が確立していれば、税金やその他資金の面で優遇しますよ。」ということ。この性能が高い家というのは、当事務所で「緑の家は標準だよ」と申し上げている。「耐震性では性能表示の等級2以上」、「劣化対策では等級3」、「維持管理対策等級では3」以上が条件。無論次世代省エネ基準でなければならない。それらがあってメンテナンス計画がしっかりできているかどうか?で長期優良住宅だと判断される。

私はこの中で一番今後もっとも強化する項目は、次世代省エネ基準だと思う。現在の家の多くが次世代省エネ基準をクリヤーしてきている。「緑の家」は標準で次世代省エネ基準より1.35くらい性能が高い。にもかかわらず、やはり暖房費用は年間12万~10万かかる。このエネルギー価格がまだ安い時代(2010年)でもこの価格だから20年後(2030年)ではどのくらいかかかるか不安になる。

私は7年くらい前の当掲示板に、今後はハイブリッド車がいいよ!って書いている。当時は電気自動車や、燃料電池車も囁かれていたが、私はハイブリッドこそ本命と掲示板で書いている。それが去年から大ブレイク。プリウスは北米で売れに売れていて、国内でもプリウスをよく見る。そして今月ホンダがハイブリッド車インサイトを189万(プリウスは240万)で発表。一週間で1万件の受注となったそうだ。このペースでいけば予言したとおり新車販売の半分は、ハイブリットになるかも。しかしプリウスに乗っている人は、私も含め皆中年以上の男性か、女性がほとんど。若い方や30代の男性が乗っているのを見ないのは・・・。

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話がそれましたが、今後の長期優良住宅の基本は、「Q値0.99以下のコンパクトか断熱区画がある家」です。言い切ります。更に付け加えれば高基礎の愛着がある家です。愛着とは家をかわいがることのできる工夫があるということです。その愛着は緑ともに生まれます。どんな立派な豪邸でも、周囲や庭に「緑」がないと冷たい雰囲気で、とても素敵な家とは思えないでしょう。だから大手ハウスメーカーのパンフレットでも家は木(緑)と共に写ってます。次の子供の世代で間違いなく「水、食料、エネルギー」問題はおきるでしょう。水と食料を我慢することはできませんが、エネルギーは少し家を小さくしたり、断熱性能を上げれば、小さな機器(目標2kw以下)でほんのちょっとの我慢することで、寒いという恐怖から開放されます。事務所設立当初から申し上げておりますが、「寒さ」=「人間の恐怖」です。恐怖があると人は、悪のパワーが強くなります。恐怖がなければ穏やかに豊かに過ごせます。その恐怖の代表が「寒さ」と「飢え」です。昔から日本では「衣食住」といいますが暖かい国では、「食」と「住」でOKです。暖かければ水着のような小さな衣装だけあればよいからです。だから寒いという恐怖から開放する「家」があれば先ずは豊かな気持ちで生活可能です。

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築90年木造民家は、メンテナンスだってしっかりとしてきているのに、解体しようとする人が多い。それは寒いから。寒い家はカビ臭もして陰気くさい、改修してもとても暖かくなるとは想像できないから壊す。民家に住んでいる人は、必ず言う。「夏は快適なのだけれどねー。」という言葉にすべて物語られている。たった90年前でこういう家だ。だから今はそこまでしなくてもねというQ値0.99以下が必要。

さて、そのQ値0.99の家の仕様であるが、基礎の断熱にはネオマフォームクラスで100mm、土間下に〃断熱材で50mm、壁はネオマフォーム50mm+高性能GW100mm、天井はセルローズ吹き込みで450mm。これに全熱交換換気70%以上で冬の換気を30m3/人に設定。夏は0.5回/h厳守だが、冬はこれで十分。残るは窓。窓は大きい窓を除き樹脂サッシにアルゴンLOW-Eで(1.7W/m2h)、大きい窓は〃サッシに断熱補強部材を設ける。これで何とか0.99をクリヤーする。価格は標準仕様より4~5万/坪アップでご提案する。

さて、このSS仕様の「緑の家」を建てて見ませんか?私が今自分の家を建てる事ができるなら、他の部分は4万/坪削ってもこの仕様です。必ず将来よかったと思います。


新潟の住まい 自然素材と高気密高断熱 と古材利用。

古材を使った床の間。ピカピカしていないところが良い。

写真一番上は、三条市大面のK邸の床の間のアップである。この床いたは、Kさんのご両親が、ご自分の家を建てるときに使用できればと思って保管していたのであるが、いざその時に建設会社にお願いすると、「使わないほうが良い」と断られていたのである。その理由はあまり良くない素材で、今の新しい材料のほうが良いということ??

どの古材にも長年使われたきた味がある。特に「緑の家」のインテリアは、無塗装の木。だから古材が新材と一緒でもとても違和感なく納まる。だから私どもはいつでも古材を使うことに賛成する立場(多少加工費やお掃除代は掛かるが)。確かに、新建材や塗装を施した木のインテリアでは古材はあわないだろう。写真にある、玄関部分の床などは違和感なく納まり、非常に美しいと思う。上写真の床板も、腕の良い大工さんの仕上げ直し(お掃除)でケヤキ本来の良さが戻った。後日談ではあるが、ケヤキを仕上げるかんなの歯を研ぎ出せるかが心配だったらしい。ケヤキはとても硬い木で普段かんなをかける杉やヒノキとは違う「歯」研ぎをする必要がある。昔はケヤキを良く扱ったのだけれど最近はないので、その研ぎ感覚を思い出すことができるか?という心配事である。

さて、Kさんとは見学会でご縁があったと記憶している。当初から愛犬のスペースのご要望があり、2箇所計画した。そのひとつが玄関横の床下部分。床上より若干温度低くなりがちではあるが、何しろ広く空間が取れえる。もうひとつはリビングの一角でテラコッタタイル貼りの部分。テラコッタ自身は素焼きであるため、汚れが残りやすい。そこで表面に撥水加工のあるテラコッタをチョイスした。既製品では軽すぎる質感が好きではないので、棚や台、大きなテーブル、洗面台などは造りつけである。


高気密高断熱で家中暖房は不可能を可能にする。BY新潟


2009.02.09写真更新

真っ白い簡素な浴室。この状態で18年経つ。白一色の浴室は、タイル貼りではなく、「ビニコート」という塗装仕上げ。下地はフレキシブルボード。所謂左官工事を省いたローコスト仕上げ。

ある自然派推進サイトの人は、「浴室に白い色を使うのには愚の骨頂。カビが生えて見るも無残。だから最初から黒っぽい色を使う事をお勧めする。」といっていたような記憶がある。

浴室のカビが生えやすい時期は一年で2回ある。昔は梅雨時だけだったが、今は冬に結露や乾燥しにくくこれが原因でカビが多く生える。最近は冬のほうがカビが生えやすいといえる。

しかし、全室暖房(浴室乾燥機ではない)をする住まいでは、浴室でも半日で乾燥するので冬の方がカビは生えない。勿論浴槽にいつも水がある状態ではそうとは言い切れないが、普通につかえば壁や天井にはカビは付かない。

恥ずかしい話だが、毎日一生懸命掃除しているのではない。壁は床から1mくらいのところを、2ヶ月1回するかしないかのペースで軽くこする。2m以上高さの壁や天井は、竣工以来一度も掃除していない。( ̄○ ̄;)!

床はさすがにピンク色の酵母が生えるがここも一週間に一度くらいペースだと酵母もお目にかからない。こんな感じである。そういえば、よく海外の映画では寝室の一角に浴室がある。よく湿気っぽくならないなーと思っていたけれど、先進諸国の家は家中暖房があたり前だね。今までの常識が常識でなくなるのが「高気密高断熱住宅」の家中暖房である。今でも冬の浴室はじめじめとおもっている人は体験して見て!!論より証拠

床がところどころ黒っぽいところがあるのは、最近床を青いビニコートから白いビニコートにしたため。これは自分で施工したが、密閉空間トルエン中毒で倒れてしまった・・・。最後はほとんど記憶なし。(*^-^)


住宅のメンテナンスは床下がほとんど。

先日築1年経った家のメンテナンスに伺った。特に重要視するところは、「緑の家」の床下。左の写真は床下のもの。配管や排水管が露出され、誰でも見ることが可能。加えて、お分かりの通り明るい。人は暗いところには、なかなか行きたがらない。この床下は、照明器具が配置されているので、明るく乾燥している。住宅は床下に配管や電線が集中している。加えて湿気やシロアリの害を受けやすい弱点が集中するする部分。中越地震後の被害地に建つ家のメンテナンスに行ったとき排水管が少し外れていることに気が付いた。緑の家のような家中の床下が見れる構造でなければ、気がつかなかっただろう。見逃せば、後々木が腐ったり、カビ臭が出てくる。普通の家は、床下隅々まで簡単にはいけない(ご自分の床下を見たことがない人がほとんどのはず)。

ユニットバスの下の配管を見たことがありますか?下の写真は、ユニットバスの下の配管部分。人の大きさと比べると如何に余裕を持ってメンテナンスできるかがわかると思う。光ファイバーの増設でも床下で配管すれば、設置業者さんもらくらく。勿論、1階の床面積の1/2まで床下収納にも使える。くまなく床下を動けるように計画され且つ財団法人住宅保証機構の基礎計画を守った立ち上がり人通口(人が行き来できる開口部)も重要点。最近は床下を使う家も増えてきているが、基礎の構造計算や計画はとてもずさん。本当にこれで大丈夫なの?という基礎も多くある。普段目にしない床下の構造まできっちり美しいのが「緑の家」である。


基本計画の重要性

現在施工中の家が新潟市にあります。この住宅の敷地条件は通常の考えでは、あまり良くありません。東側道路で東西に長いのですが、南にすぐ住宅のがあるため南の景観が期待できないからです。しかし考え方によっては、とても良い条件に変わります。写真のとおり、北側の保育園があるからとても開けているのです。特に境界付近にケヤキのような広葉樹があるので、窓から見ると借景としてとても良い雰囲気です(写真は足場がまだあり、養生シートで曇って見えます)。また東側窓の位置を、前の道路にあわせて目線の先の障害物がないので広々としており、市街地のコンパクトな敷地を感じさせないばかりか、とても贅沢な景観が見れます。この見学会は、1月くらいを予定しておりますが、お越し頂き、真剣に考える設計事務所のプランとコストの絶妙さをお感じいただければ幸いです。

北側に隣接する保育園の園庭がとても贅沢な敷地条件

リビングの窓からは、すべて広がりのある景観。(施工中)

窓のすぐ外には市街地では、よほど庭が広くないとめったに見れないケヤキの紅葉も真近に見える。

2階北側の窓から見える風景は、園庭のおかげ開放感たっぷり。まるで自分の敷地がそこにあるよう・・・。

南に窓があっても目の前に家があるようではカーテンが閉めっぱなし。それに比べこの住宅では、北と東の窓がいつもオープン状態。市街地の敷地ではこれがとても贅沢なこと。良い敷地を選ばれました。


光る床!

今日築8年を経た「緑の家」I邸に撮影のため訪問させて頂いた。

家の撮影なら新築の家が被写体になるのが普通。ところが「緑の家」では、築年数を経た家のほうが美しい部分が多い。その代表がヒノキの無塗装の床である。写真は光が床に反射して輝いているのがわかると思う。実はこの艶は、8年の歳月で自然と出てきたもの。通常1年目から出始め、5、6年で深みがあるくらい光る。お手入れは特別必要ない。裸足でよく歩いてもらうだけ。足が多く触れたところほど光る。この状態になれば汚れもつかない。(多少吸湿感も落ちるが、たたみもそうであるように素足になじむ)

新築時は、赤ん坊のようなピンクの床が、こんな感じで「飴色」になる。そしてさらに数十年たつとお寺さんの床のように茶色くなってくる。そんな床が「緑の家」の無塗装の床だ!!

ちなみにI邸は2年までご夫妻だけの住家であったが、この2年間はお孫さんと同居している。多少へこみも増えたが、トップクラスの美しい床をもつ「緑の家」。お忙しい中、撮影ご協力して頂きありがとうございます。

この写真は、新築時の「緑の家」のヒノキの床。このピンクも良いし、あめ色もよい。しかしシグマのSD14で撮った写真は、色や質感を忠実に再現する。


近隣にも迷惑をかける法律違反

何度かブログHP上のコラムで「建築基準法違反の小屋裏」をお伝えしている。この小屋裏(ロフト)の中で一番多い違法部分は、最高天井高1.4m以下の厳守が守られていない事。この最高天井高が1.4mを越えると階数(3階建て)になる。1.4mでは居住するのには不都合。頭をいつも曲げていなければならなくなるので、居室にはならない。だからここで天井高を高くしたくなる。だから違法がわかっていながら作ってしまう。でもこれでは、先日の大阪であった、申請上は9階建てなのに実際は10階ある建物と全く変わりない。数年前の姉歯偽装建物と50歩100歩である。

さて、どうして小屋裏に天井高1.4m以下の規制があるのか?というと、先ほどの理由と反対で「常時人がいる空間としたくない」からだ。これは、2階建より3階建の方が緊急時に(火災等)、逃げ出す事が難しくなるから。3階建てには折りたたみ非常梯子や、消防隊員非常用侵入口の設置義務があるが、2階建はない。この差は大きい。火災や地震は忘れた頃にやってくる。違法建築であったため大きな事故になったではすまない。1戸建て住宅の場合、住居人がそれを承知しているならこれは仕方ない。しかし・・・

小屋裏(ロフト)が違法で3階建てとなる事で、近隣に迷惑をかけるとなると、「住居人がOKだから良し」ではすまない。特に第一種、第二種低層住居専用地域にある違法小屋裏が3階建になると、建築基準法の日影規制対象建物となる。日影規制とは、良好な都市(町並み)をつくるため、背の高い建物が近隣の建物や敷地に必要以上の日影を作らないようにする規制。関東ではこの日影をめぐって訴訟にまで発展する基本的居住性能である。特に第一種、第二種低層住居専用地域内では、字のごとく低層建物をつくる地域にすることで、皆がなるべく日があたるようにという規制が強い地域。だから3階建住宅にすると無条件に日影規制対象建物になる。これは他の住居専用地域や第一種中高層住居専用地域と違うところ。更に3階建ての方が地震時の揺れや建物挙動が大きくなるため、外壁の落下、倒壊の恐れが高くなるので、技術的施工要求も高く求められる。外壁の落下で歩行者や付近の人が怪我をしないようにという近隣配慮規制のため、法律を守らなければならないはず。このような法律を無視し違法する業者(設計者)は、他にも重大な違法性がその建物にはあるとといって差し支えないと考える。


インターネット記事から

建築業界の情報発信サイトのQ&Aに「建て主から「高気密のメリットは?」と聞かれ困った」と掲載されていた。その記事の内容は同感できる。が、しかしコメント欄に書かれた読者の1つのコメントに愕然とした。だから私もコメントした。このヘンテコなコメントの方は同業者ではないと祈るが、高気密の理解がないままにそれを頭から否定するような内容に、CO2を削減しようと躍起なっているこの時に見過ごせなかったから。その方は、24時間換気を廃止しよう。換気のための建物の気密化には頷けないとある。そうですよ。換気のために気密化を始めたわけではありません。国民の大部分が「暖房する生活」を望んだので、建物の断熱化(気密も同じ)が進んだのですよ。断熱(気密)化が進んだので、今度は換気が必要になったのですよ。もし機械による換気をしたくなければ、暖房生活とは縁を切る事です。そうしなければ、貴重なエネルギーを無駄に空気中に捨てていることになりますから。

私のコメントもや本文が載っているHPは

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/kenzai/20080519/520407/?ST=building

です。


家造りの科学的理屈。

所員から指摘有り訂正しました。02.18

新潟県の木造住宅では、20年ほど前から、2階のバルコニーにはFRP防水がよく使われる。新潟では不思議な県人で、意外と新しいもの抵抗なく受け入れることができる。たとえばそのひとつは、そのFRP防水である。20年前のバルコニーの防水方法の全国的標準は、シート防水だったのではないだろうか?しかし県内では早くからFRP防水が採用されていた。今ではほとんどがFRP防水のバルコニーである。最近その防水を20年まえから施工している業者さんのピコイさんにお会いした。最初から20年たった今もFRP本体からの漏水は一軒もないこと伺った。すごいことだ。当事務所でも防水はFRP以外使ったことがない。結構広い面積のFRP防水を計画してきたが、今のところ安定している。特に最近は、メンテナンス忘れがないように、非常用排水口をつけて更に安全性を強化している(排水溝のつまりは多く、陸屋根の欠点のひとつであるが、非常用排水溝をつけることで、詰まったことを目視できるようにしている。但し当事務所の家しか見たことがないのほか見ることは少ない)。

もうひとつは、通気工法と高気密高断熱である。北海道で20年前に普及した高気密高断熱は、本州に入ってきた時期も新潟県では東北3県と同じくらい早かった(現ジェベックの社長の吉岡さんの功績は非常におおきい)。特に通気工法は、数年前に住宅金融公庫(住宅金融支援機構)の耐久性をあげる工法の標準として採用される15年も前に、県内では広く普及していた。このように新潟県の施工業者は意外と保守的ではない。但し経験(実績)が重要で、理屈は不明でもOKという人がほとんどということが欠点。高気密高断熱ではあたたかくなる事はわかるけれど、どうして防湿層が必要なのかは、知っている人は少ないし、冬に換気すればするほど乾くということを理屈で知っている人は数少ない。そこが問題。だから時々断熱方法で宇宙技術の輻射断熱だけで家の断熱ができると考える人も出てくる。もしこの技術が本当なら、防寒服のすべてが輻射(表面がアルミ箔のような)素材になるだろう。しかし地上の低温(0~40度)環境では伝導と対流そして輻射を組み合わせた素材が主流である。


土台の樹種について考える。

  「緑の家」では土台の樹種に「米ヒバ」を使っています。土台と基礎と混同して表現される人がいますが、柱の下にある横になっている木が土台という部材です。

土台に米ヒバを使う建設会社は、最近増えてます。チラシやカタログなどではその理由を、「米ヒバは防腐・防蟻効果が高い樹種であるた め」とあります、まったくそのとおりです。が、防腐・防蟻効果が高い材料は世の中に沢山あり、その中でもコストが高いのが「米ヒバ」です。コストの安いもので、防腐・防蟻薬剤を塗布、染み込ませたPGスケヤー土台があります。防腐・防蟻効果に差はありません。ではなぜ「緑の家」ではあえて米ヒバを使うのでしょうか?右の写真を見てください。土台を基礎に伏せる前に、アンカーボルトの穴を現場で必ずあけます。なぜ工場で開けないかと言うと、アンカーボルトの精度は±10mmはあたりまえだからです。鉄鋼造ではもっと誤差が少ないですが、木造の場合、土台が加工しやすい木であることと、アンカーボルトの数が50以上になる事も当たり前で、そのためシビアな精度でアンカーボルトを設置するよりも、前述の誤差でアンカーボルトを施設し、土台の穴をそれに合わせて開けた方が  効率が高 いからです。

このように現場加工があるため米ヒバを選んでます。つまり現場で穴をあけてところは、その木自体が防腐・防蟻効果が高い物であれば、防腐・防蟻剤を塗布する必要がないからです。ところが防腐・防蟻剤を染み込ませた上写真の土台は、外部からおおむね10mm以上のところは薬剤が染み込んでいないため、改めて現場であけた穴に防腐・防蟻剤を塗布しなければなりません。(白蟻とは薬剤のないところから侵入する事が多いと聞きますし、事実公庫の仕様には記載があります)。

私どもは正しい設計、施工の工事監理をおこないたいため、アンカーボルトの穴がいくらあろうと、薬剤塗布チェックしなくて良い「米ヒバ」を選びました。住宅業界では最近、第三者監理というもの行われておりますが、土台が米ヒバでなければ、一日中付きっ切りで現場にいなければなりません。果たして付っきりで見ているのでしょうか?見ていませんよね。この監理コストを樹種に当てればよいと判断し、材料が多少高くても米ヒバを選びました。米ヒバを土台に選んでいるメーカーも、同じ理由があると思いますが、その事には触れません。なぜかは、米ヒバを使っている自社現場だけではないので主張できないのか、そもそもこの事をわかっていないかです。


無添加=安全か?

最近「無添加です。だから安全です」と大々的に広告しているものの多いこと多いこと。そもそも無添加という言葉は広辞林(20年前)には記載されていないが、添加とは次のように記載されている「添加=働きをよくするために添え加える事。また添え加えること」つまり添加物とは本来よい働きするものである。しかし現代はなぜか添加物というと悪いイメージとなる。その色眼鏡的な感覚が問題である。

添加物というと真っ先に思い浮かぶのは、「食品添加物」である。この食品添加物の定義は「加工食品をつくるときに使われる水以外の原料のうち素材となる食品の他に使われるものを食品添加物と考える事ができる」(日本食品添加物協会より引用)。ところが添加されていてもその添加物が通常食品として食べられるものは、添加物と呼ばない。例えばかまぼこの中に塩やお醤油が微量はいっていても、これらは通常食品であるため添加物ではないそうだ。ここでキーポイントは「加工食品」ということと、「素材となる食品の他に使われるもの」ということである。加工=人間の手を加えたものとすると、加工食品の逆は自然食品となる。つまり自然のまま使えば添加物という定義はあてはまらない。建築では添加とか無添加かの定義は無いが、あえて強引にあてはめると、無垢のヒノキの床板は、加工されていないと考えられるので本来添加、無添加などという言葉は当てはまらない自然材料だ。緑の家ではこの床を使うが、ヒノキの床板が汚れや水シミが気になるからオイル塗るという事は、加工品となり、オイルがヒノキ床材に対して添加物となる。でも使う場所によっては必要な加工である。更にオイルの中に、オイル以外の成分物を添加すればそれもまた添加物となる。しかしオイルのなかには食品である亜麻仁油ように酸化発熱しやすい物があり、それを抑える物質を入れなくれば直ぐに消費期限となったり最悪発火したりする可能性もある。添加物があるおかげで安全性や使いやすくしているのである。従って単純に添加物=危険、無添加=安全とはいえないと感じる。

自然素材のままだから優れていることは無い例として昔の土壁である。土壁は、本来、田んぼ土が素材である。しかし土ばかりであるとヒビが入りやすいのでわらすさを添加している立派な添加物入り加工素材である。無添加物ではない。この添加物のおかげでよい土壁ができる。

ここから下加筆2008.08

添加物に対して正しい知識をもつ事が重要のように、家も正しい知識(法律厳守が最低基本)を守るビルダーが良く、イメージや言葉に踊らされないように。


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