「 家の論評、業界裏話 」一覧


新潟での高気密高断熱の自然素材の家 10年目のメンテナンス

「緑の家」では既にお住まいになられてから10年経過した家が数件あります。その中の一件を数日前に10年目の点検に行って来ました。外装デザインは本物の焼き物タイルにあわせて少し洋風、サッシはこの当時から樹脂サッシ(LOW-Eガラス)仕様で今の高気密高断熱S仕様と同じです。これが10年経っても通用する「緑の家」の性能コンセプトです。

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業界紙 日経ホームビルダーの勧めと超高断熱はスタンダートに


工務店さん向けに出版されている業界誌に「日経ホームビルダー」という月刊誌があります。いつもおもしろい記事で感心しておりますが、今月号は特に住友不動産が1億7千万円の不正受給という興味深い記事内容です。
実はこのように業界の裏事情も記載されており、家造りに興味あるある建て主さんも一読をしても良いと思います。一般の方にも販売自由(バックナンバーなら1冊単位で購入可)なはずですので是非どうぞ。
さて今週のびっくり事件は・・・

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新潟超高断熱高気密の家  アルミサッシの終焉 説明編

先日、「アルミサッシの終焉」と記事にしたら、数件のお問い合わせがありましたのでちょっと業界の事を補足説明いたします(良いんでしょうかこんな事説明して・・・ちょっと過激ですね)。

まず殆どの方が「YKK」や「トステム」と言えばアルミサッシメーカーだとお思いでしょう。でも住宅用アルミサッシに至っては「YKK」や「トステム」はアルミサッシの単なる「部品メーカー」です。

上の図のように、従来はアルミサッシは次のような流れです。YKKさんやトステムさんはアルミの枠部品を主に都市のガラス屋さんに売っているだけです。ところが省エネ法などでサッシ性能が重要視され始めると、ガラス自体もYKKさんやトステムさんが指定するのでアルミサッシメーカーから買う事になってきました。しかし依然、アルミサッシでは組み立ては町のガラス屋さんなのです。ですのでアルミサッシの窓としての保証はYKKさんやトステムさんではありません。ガラス屋さんです。「えっ」とお思いでしょうが、これが今までの流れです。なぜこんな流れになったのかと言う事は説明を省きます。

さて今までガラス屋さんは組み立てから配送、メンテナンス、また時にはアルミサッシのカットなど多くの工程があります。

下の図をご覧下さい。これが樹脂サッシになるとガラス屋さんは殆ど工程が無くなるのです。主に網戸と調整メンテナンスくらいです。つまり
「工程がなくなる事=利益巾が減る」
と言う事になりガラス屋さんがとても困ります。

だからガラス屋さんはできるだけアルミサッシが多い方が良いのです。従って工務店さんから発注を受けるガラス屋さんは、意図的にアルミサッシの方を樹脂サッシより安く価格設定します。ガラス屋さんは樹脂サッシにしたくないのです。サッシメーカーもアルミ精錬工場を持っているのでできればアルミが多い方が良いですのでお互いの利益が合致して建築現場では樹脂サッシの価格が下がらなかったのです。

しかし省エネ法が厳しくなり関東から東地区は樹脂サッシの断熱性がないと次の断熱基準をクリヤーできないので、行政がアルミサッシメーカーを説得したのでしょう。そうなると数社あるアルミサッシメーカーはやはりパイを大きくしたいので、樹脂サッシ拡販に舵を切り始めました。そして直接のお客様であるガラス屋さんの意図に反して樹脂サッシを売り込み始めたのです。

そもそも先進国ではアルミサッシより樹脂サッシが高い事はありません。アルミサッシはアルミの精錬に超大量の電気を使う事は有名です。そして今後はこの電気を発電する燃料が高騰することは目に見えていますので、電気を多く使わない塩ビ(樹脂サッシ原料)に将来性があると決断したのでしょう。

今まで国内の樹脂サッシはほぼエクセルシャノンさんしか販売しておりません。エクセルシャノンさの樹脂サッシは「ガラス屋さん」を基本的に通らないため、樹脂サッシより性能の低いアルミ樹脂複合サッシと同じ価格(白のみ)で販売して営業を始めております。ここから推測ですが・・・そこで危機感を抱いたアルミサッシメーカーが自社で樹脂サッシ販売拡販を始めました。その発注システムもガラス屋さんを飛ばしてネット発注を受けます(伝票はガラス屋さんをとおります)。

ですのでガラス屋さんにしがらみを多く持つ工務店さんは樹脂サッシの価格は下がりませんが、エクセルシャノンさんとお付き合いのある工務店さんなら樹脂サッシの価格は下がります(YKKさんやトステムさんと競争させれば白色以外も下がる可能性あり)。


自然素材の家新潟から アルミサッシの終焉です。その2

アルミサッシ(アルミ樹脂の複合サッシ)がいよいよ終焉。(その1)と3月のブログに書いております。それを裏付ける情報が入りました。

今日ある大手サッシメーカーがいらっしゃって
「新しく樹脂サッシが発売されました。是非!!」
「価格はアルミと樹脂複合サッシと同じです」
と伝えてきました。

 当事務所は昨年から全て樹脂サッシに切り替えております。それは樹脂サッシがアルミと樹脂複合サッシと同じ価格になったからです。とは言ってもアルミメーカーの樹脂サッシではなく、樹脂専用メーカー「エクセルシャノン」さんの白サッシ(他カラーは高い)でした。
ところが今日からアルミメーカーが、樹脂サッシも同じ価格で売ります。おまけに白以外も同価格で!と宣言してきたのです。そこで

オーブル
「アルミサッシメーカーは、巨大投資した本業のアルミサッシを売らなくてよいのですか?」

アルミサッシメーカー
「勿論です。樹脂工場も完成しますので、今後は樹脂サッシに力を入れます」
「内緒ですが樹脂トリプルガラスサッシも視野に入れております」

との事です。

いよいよアルミサッシ(アルミ樹脂複合)の終焉です。
さて、現在もし家造りを計画されているなら、そのサッシが樹脂サッシ(オール樹脂サッシのことでアルミと樹脂の複合サッシではない)か確認された方が良いですよ。もしアルミと樹脂の複合サッシを奨めているなら、その家の「高気密高断熱の将来性」は本物ではない(もっと平たく言うと偽物)でしょう。

アルミサッシメーカー曰く
「新潟地域は2年後に住宅の断熱基準が引き上げられ、樹脂サッシでないと基準をクリヤーできなくなるので樹脂サッシがこれからの本命!環境負荷もアルミサッシより低い。」
と宣言していたので、完全な方向転換です。

いまアルミと樹脂の複合サッシを使うと言う事は、賞味期限品のサッシを買うようなものです。いよいよSSプランの断熱仕様がやっぱり良いね!と世の中が動き始めてます。


はてな?湿気と結露・・・お風呂場の勘違い。

その日の最後、お風呂からでるときに、壁に飛んだ石けん泡を「水で流しますか?」それとも「お湯で流しますか?」

これから新潟県ではカビの生えやすい第二時期=梅雨になります(第一時期は冬ですね)。
そこでネットのニュースを見ていたらある建築士が「お風呂からでる最後の人は、壁に冷水をかけ石けんかすを流すと同時に壁を冷やしてください。湿気が減りカビ防止になります。」・・・

はぁ?
全く反対!カビ防止なら壁の水分を早く飛ばさなければなりません。つまり乾かさなければなりません。その時水をかけると、水分が気化するのに必要な熱がなくなります。正しくは「熱いお湯をかけて石けんかすを流し、換気扇をON!」が一番早く壁が乾きカビ防止です。

当たり前ですね。お茶碗をお湯で洗った方が水で洗うより早く乾きます。
食洗機で洗い終わったら、扉半開きで(換気のこと)直ぐ乾きます。これは食器が熱湯で暖まっていて、水滴に直ぐに気化熱を与えることが可能だからなのです。すごく単純な科学です。乾くには基本的に「熱」が必要なのです。折角熱気で暖まっている壁をわざわざ冷やすなんて「・・・・・」ですよ。

建築士が湿気と結露のことわかっていないのです。お風呂場の壁が入浴中にびしょびしょになるのは、壁が冷たいから結露するのであって、壁が暖かかったなら水蒸気でかすんでいる風呂場の壁でも結露はしません。どうも「暖かい部屋」=「結露する」と勘違いしているようです。
だから「壁を冷やす」=「温度がさがり湿気がなくなる」と間違って思い込んでいるのでしょう。
その発想だから冬でも風呂場の窓を開け冷たい空気を入れたがるのでしょう。
冬は窓を開けるより、室内の暖かい空気で気化熱を与えながら換気をする方が早く乾燥します。


朱鷺の死亡で思う その② 

朱鷺の死亡で思う事その①はここ

今日、3月の朱鷺のゲージに小動物が侵入し、9羽が死んだ原因と対策をその特別検証チームがまとめ知事に報告しましたとのニュースがありました。

主な原因は

朱鷺の天敵に対し認識不十分だった。

緊急事態時に対応ができなかった。

各関係部者の責任の所在が曖昧な点があった。

とニュースでアナウンスしていました。詳しい報告はこのブログで紹介されています。このブログでも全く稚拙な事と言及してますし、私もその通りだと思います。

しかし全く不可解な報告です。
なぜなら死んだ原因は小動物が朱鷺のゲージに入ったからでしょう。天敵に対し認識不十分って、では何で「2.5cmのメッシュでゲージ」を造ったの?逃げないようにするためだけ?違うでしょう。それだけなら倍の5cmでも充分。2.5cmは天敵から守るためもあるって子供でもわかりそうです。責任が特定されていな事は、とても今の行政がおかしい現れです。ゲージを造ったからにはその発注者が必ずいるでしょう?そしてこのゲージの完成チェックをする部署(人)は誰だったのかはっきりとさせ、原因はそこにあるとしない限り、税金と朱鷺の死が無駄になる事は間違い無いでしょう。一個人を攻めない事が正義のような事とされがちですが、それは時と場合によります。あまりにも酷すぎます。調査チームって何?

どの物作りでも必ず同じです。誰かがそのゲージが正しく造られたかチェックしなければならいはずですし、そのように決まっているはずですがどうしてここを曖昧にするのでしょうか?

もしこれが民間で例えば住宅にたとえると、

設計図に「2階バルコニーの手摺りは子供が落ちないように、12cm以下に施工する」と記載があったのに、実際は26カ所も15cmの箇所があった。その一カ所から子供が不運にも落ちて亡くなった。
調査チームが調査したらその原因は
「子供の行動に対し認識不十分だった」
「緊急事態時に下で受け取る対応ができていなかった」
「バルコニーへでれる窓を監視していなかった(親のせい)」
「工事のできあがりをチェックする連携ができていなかった」

となるのでしょうか?それで親が納得するのでしょうか?絶対に親は「手摺りが設計図通り施工いていない施工者とそれを完成チェックしていない監理者が原因」と訴えるであろうし、それが事実です。

住宅も工事監理者が事実上不在なら同じ事が起きてます。そして名義上の監理者はこう言うでしょう。「私はあなたと直接工事監理契約をしていない。だから責任はない」と。


最近多い 梁の室内表し(露出)で法律違反か?

この写真のように、最近吹き抜けや梁材が室内に露出する事が多いですね。

この写真の矢印部分等が梁材の端部であれば、平成12年の法律改正で金物によって緊結(しっかりと固定)が実質義務づけられています。そのため一般的な梁の緊結は下の写真のように補強ボルトによる金物(羽子板ボルト)で行います。

ところが最近、見た目を優先してこのような金物を取り付けていない建物を多く見ます。この補強ボルトの見栄えが悪いので敢えてつけないのでしょう。それとも法律上でもここに補強ボルトが必要なことを知らないのかもしれません(法律義務でなくとも、耐力上必要ならつけなければならない)。

しかし法文では

令第47条

 構造耐力上主要な部分※である継手又は仕口は、ボルト締、かすがい打、込み栓打その他国土交通大臣が定める構造方法によりその部分の存在応力を伝えるように緊結しなければならない。・・・以下省略

具体的には基礎基礎ぐい、壁、柱、小屋組土台、斜材(筋交いや方づえ、火打材等)、床版、屋根版、横架材(梁や桁)を指す。

とあり、その具体例として許容応力度設計の解説本では「全ての梁の端部は最低羽子板ボルト以上を取り付けなければならない」とされています。しかし、どうもこの事が守られていないようです。

建物の最優先は絶対に「安全性」です。これを度外視してのデザインや見た目重視は許されないのではないでしょうか?

もし見学会やカタログで見る機会があれば是非建物をチェックしてみてください。きっとありますよ。
その時金物がなくても大丈夫!」と即答する営業マンは一番タチが悪いと思ってください。法律を故意に違反することは偽造事件と同じですし、決められていることと違うことをする場合は、それ相応の根拠が必要です。

この件では住宅コラムに詳しく解説しているのでご覧頂ければと思います。
ちなみに「緑の家」では標準でクレテック金物を使っているので羽子板ボルトは必要ありません(そのためクレテック金物+集成材を13年前から採用しているのです)。


新潟の家 超高断熱高気密の家 過去を熱く語る。

今日の朝は寺泊海岸清掃のボランティアです。昨年の嵐とは違い快晴で気持ちよく参加しました。

美しい海岸を次の世代にきちっと引き継ぎたいですね。皆さんお疲れ様でした。

さて、昨日も建て主さんにある事を熱く語ってしまい少々反省です。
それは・・・

以前からご紹介しているとおり

「家造りの過去を消去するな」

です。
製品寿命が10年から20年の家電製品や車でも、誠意があるメーカーのホームページに行けば普通は過去の製品のスペックや取り扱い説明書などが閲覧できます。
ところがなぜか家を提供するハウスメーカーや建設会社、工務店のホームページにはありません。まず間違いなく消去されています。

家の寿命は短くても30年。そしてこれからは50年以上、もしくは100年くらいは使い続けたいと願っている人が多いと思います。
だからこそ過去の家のスペックや考え方の保存期間は20年以上はほしいと思いませんか?しかし、現在の住宅業界ではたった2年間まえの家造りの姿勢やスペックでさえ残っていません。完全に故意に消し去っています(当事務所では13年間まえのお勧めスペックなどほとんど残ってます)。新しい現在お勧めの性能やデザイン、仕様だけ大きく掲げ過去の家はほとんどありません。

いくら完全注文住宅でもその当時建て主さんは、工務店さんが勧めるあるスペック(例えばこの家は檜で全てつくられているとか、地震に対してはこのように考えているとか、気密断熱性はこう考えているとか、基礎はこのように考えている、内装仕上げはこれが良い)を聴いて、そしてそれを信じて購入しています。
だからその頃の情報を削除する事は、その当時の建て主さんを削除しているような気がしてなりません。

ではなぜ消し去るのでしょうか?

「過去お勧めした家造りのスペックに自信がない」
からでしょうか?

「その時だけよければ10年後はどうでも良い家」
だからでしょうか?

性能が高ければコストが掛かります。だからコストと性能のバランスを考え、この家なら20年後も性能的に問題無く使えるよ。とか10年は大丈夫とかと決めてお勧めしているのではないでしょうか?そうであれば自信をもって過去を紹介すれば良いと思います。それが国民の生命と財産を守る建築士という国家資格をもつ「プロ」といえる仕事だと私は考えます。


築20年の今日の拙宅。シンボルツリーの幹の陰がシルバーグレー色の無塗装の外壁に。この陰がつくるデザインはどんな有名な画家でも描けない一瞬一品もの。しばし見とれる・・・。

ちなみに拙宅は築20年経ちます。その性能はQ値で1.9、C値で0.9です。今も上位クラスの家の性能で、勿論快適です。そして、20年前から無塗装の木を全ての壁天井に使っています。だからこそ今でも自信をもって緑の家を勧めていますし、これからも過去を消す事はありません。


「自然共生建築を求めて」を読んで。

先週、「自然共生建築を求めて」という本を購入し、読み始めましたとご案内しました。ようやく読み終えて感想を・・・。

「すばらしい!その通り・・・ただ難しくしすぎて私では読み飛ばしてしまう」の一言です。きっとその分野では凄い事が書いてあると思いますし、私がよく助言を頂く環境系先生も「その分野では第一人者」とおっしゃっていました。興味がある方はどうぞお読みください。

この本ではエントロピーエクセルギーという概念で様々な現象を解いています。これが意外と頭に入らなくて、この概念に置き換えなくとも普段の生活の表現(経験則)のままの方が良いと私みたいな老化が始まった人はそう思いました(温房概念は理解が容易)。

ある物質を人が使用すれば(エネルギーを使えば)、廃棄物(熱も含)は必ず発生する事は日々の生活で身にしみてます。またこの廃棄物は、人間以外の他の生物がまた使用して、それを繰り返すことで再び人間が使用できる状態になります。これは大地と共に暮らしていれば当たり前に実体験でわかることです。これをあえて建築関連ではエントロピーとかエクセルギー等という机上の言葉にするとわかりにくくなり、とてもついていけませんでした。
また開かれた系においてエクセルギーの使用には必ず熱などを捨てなければ使えないという発想は少し理解が・・・できませんでした。循環に順番はなく、あるのはバランスのみでは無いかと思ってましたから・・・。逆を言えばバランスがとれていなければ循環はあり得ないと言うことだと思っていました。近年の地球の気温が上がる現象はバランスをとるために温度修正をしているだけで気温が上がれば、宇宙へ逃げる熱は増え、また太陽の熱を空気中の多量になった水蒸気で遮る等しながら数十億年過ぎたのだと思ってます。
エネルギーの概念では必ずこういう定義(エントロピー等)が無ければいけないのですが、私みたいに実践だけの設計者は非常に頭に入りにくかったです。つらい・・・まさしく老化です。

もし「自然と共生する建築」と問われたら私の率直な意見は、

「自然共生建築」や「環境共生住宅」などは出来ない。多分その言葉を使うなら
「自然共生の文明の建物」や「環境共生文化の住まい」になるだろうと思うからです。文化や文明の中の住まい方の一つに建物があるだけかな?

私は今の社会で一住まい(いちすまい)の単位で自然と共生するなんてとてもいえないと思っています。仮に一都市の単位でも同じで日本のほとんどが同じ意識(つまり文化)にならなければほとんど意味の無いことで自己満足(趣味)にしかなりません。本気で考えならまずは東京一極集中の施策を最初にやめなければ到底無理でしょう。

田舎である「寺泊」に住み、趣味で自然農等に関わっていても、自給自足、自然のサイクルに寄り添う事などできないと日々知らされているからです。多分大都市に住むんでいると感覚が麻痺し、日本でも田舎に行けば、自然と共生できる建物が出来ると勘違いするのでは無いかと思いますが、日本において現代の文化では無理といえるでしょう。

仮に一個人レベルでも山に籠もった仙人のように生活すれば自然と共生しているのでは?等と問う方もいらっしゃると思いますが、その人が暮らして行くためにどのくらいの縄張り(テリトリー)が必要でしょうか?せめて1km四方の土地は最低いるでしょうね。すると日本の国土が377,835km2ですからたった37万人しか仙人になれません。それを裏付けるように縄文時代はこのくらいの人口でした。これ以上の人数では食料やエネルギーで争いが絶えないでしょう。山でとれる食べられる物は思っているほど多くありませんし、木だって一度切れば30年後でないと使えません。
余談ですが実は稲作が最初に人を自然環境との共生文化から決別させたのです。稲作により、飛躍的に人口が増え、分業が進み文化(生活方法)が変わって急に人口密度が増え始めたのです。さらに18世紀の産業革命で今まで地球が経験したことのない未曾有の急激な人口増となります。

さて、ここまで来ると話があまりにも飛躍してしまいますので、少し戻して・・・

田舎に住み、自分のテリトリー内である程度循環させる事を考えると、その時の基本は

「大切にする、使う」

につきます。自然農の行われている畑では、勿論水道なんてものはありません。山に降る雨水がメインですから、これを貯める事から始まります。雨水でも一度土に染みこんだわき水を使いますが、あふれる程あるわけでもありません。乾期には枯れますし・・・だからその使用には順番があります。飲めるような浄化装置はありません。飲み水だけは自宅から容器で持って行きます。
まず一番きれいな水は食器荒い等に使います。次に野菜の下洗い、最後に畑へ・・・。大切に大切に使います。大切にすれば、何とか貯め水だけでやりくり出来ます。

このわき水はこの自然農のガーデンの持ち主が水のかすかな音を頼りに掘り当てた(40cmくらい地中の水脈)

煮炊きも山の枯れ木を使いますが、釜などを造って効率を考えます。野炊きではあっという間に多くの木を燃やしてしまいますから、釜を作り枯れ木でさえ大事に燃料にします。でないと木は直ぐに無くなります。例えば以前から申し上げておりますが、断熱性能ない家での薪ストーブは地球温暖化防止に貢献してません。大事に資源を使う工夫を今の技術を使って最大限努力するのです。釜の中であれば小枝だけでも煮炊き可能。

こういうことが自然と共になるべく過ごす基本です。自家発電装置だって畑にはありますが、全く人工的な物を排除するすのではなく、大切に使わないとあっという間に資源は無くなる事を学ぶのです。そして「足を知る」事です。それが今の日本人が自然と共生する第一歩です。広大な土地と資源を持つ米国のまねをしすぎたところを直す事から始めることが重要だと考えてます。

しかし縄文時代のような生活を目指す事では無く、せっかく祖先が造った文明の利器を使い、今の技術にあった自然と共生する文化を目指すのですね。たとえば寒いときには暖房を・・・、移動運搬には車を・・・またソーラーパネルから電力を・・・。
そして暖房が手放すことが出来ない文化なら、その暖房のエクセルギーを浪費しないように大事に使わなければなりません。太平洋側では、日射が多く利用できるのである程度の高断熱と蓄熱などと組み合わせれば良いのでしょうが、お日様がでない日本海側の住宅では「超高断熱仕様」が必須となるのです。


換気扇フードの欠陥。換気不良の原因で結露やシックハウス!

オーブルデザインでは換気扇フードは決まった物を使用しております。ですがあるお宅で指定品番と違う物が付いているのに数ヶ月のアフター点検で気づきました。
完成の竣工検査で気づく事ができず建て主様にはご迷惑をかけ申し訳ありませんでした。この場で改めてお詫びいたします。

 さて、取り付けられていた換気扇はフードは上の写真のように網が付いてます。これが問題なのですね。当事務所は設立以来このように網が付いているフードを一度も指定(取り付けた)した事はありません。それは下の写真のように直ぐ埃で詰まるからです。特に排気用換気扇は、室内の埃が付きやすく早い時は1年で、遅くても数年でつまります。詰まると殆ど排気されず換気量不足に陥り、冬は結露が発生し、夏はシックハウスになる可能性が高くなります。この写真のような位置に網があるとメンテナンスはまず不可能です。更に高いところにあれば、専門家に頼んで外すしかありません。

 上の換気扇をひっくり返した所。表からでは埃で詰まっている事に気づかないからとてもやっかい。

実は換気扇フードカタログでも末尾の品番1文字違いで普通に網付きのフードが売らてます。何となくあると虫が入らないような安心という錯覚に陥ります。だから専門家でも間違った知識で取り付けられている可能性は高いとおもいます(今回も電気屋さんが勝手に気を利かせたつもりで付けていた)。
もし皆様の家にこのような換気扇フードが取り付いていたなら、直ぐに交換してもらいましょう。これは換気扇のシステム欠陥です。24時間換気が法律で定められた10年以内の建物なら無料交換となるはずです。

因みに「緑の家」にお住まいの皆さまは大丈夫です。網はありません。


ちょっとだけ急がないと補助金100万が・・・。

「平成22年度 木のいえ整備促進事業(長期優良住宅普及促進事業)の募集開始について」が先日ようやく発表されました。が・・・
なっなんと、今回の補助金100万(120万)の申し込み期限が
10月1日必着となっています。ということは・・・
8月31日までに設計図を全てそろえないと間に合いません。ここから逆算すると当事務所の場合は・・・

4月 設計ご相談
5月 基本設計終了
6月 実施設計開始
7月 実施設計終了
8月 長期優良住宅申請、確認申請手続き
9月 見積もり後(入札) 請負会社決定 契約 補助金申請

となります。
4月5日頃にようやく発表されたこの補助金ですが、実質8月くらいには殆ど終了していないと申請できません。あまりにも早すぎますが、なぜこんな急ぎ足になったのでしょうか?
   
その平成22年度 木のいえ整備促進事業(長期優良住宅普及促進事業)の募集開始についてはこちらに詳しくあります。
もしこの補助金を目当てにされている方はちょっとだけ急いで行動した方がよろしいかと思います。
こちらの補助金を逃すと次はエコポイント(30万)になりますから70万も違う事になります。

超断熱住宅における冬の洗濯物④ 新潟の自然素材の家から

超高断熱住宅における冬(夏)の洗濯物のお話も最後です。その4は・・・

まず最初に・・・超高断熱で夏の冷房のお話をすると、

「この工法は○×といって夏でも昔の民家みたいに涼しいよ」

と胸を張っておっしゃっている建設会社や工務店さんがいらっしゃいます。

???です。昔の民家はその工法だけで涼しいわけではありません。周囲の環境もとても重要です。昔の民家の周りには近所はなく裏に山や田んぼがあったりします。その山や田んぼの緑で冷やされた(ご存じ気化熱です)空気が、家中に呼び込める環境があったからこそ涼しく過ごせる事も可能でした。むろん住んでいる人もステテコにランニングシャツと軽装で通風の抵抗となる網戸も皆無でしたし・・・。それを無視して工法だけ工夫すれば涼しい家ができるなんて都合の良い解釈は、家の設計者、提供者として失格です。襟元の閉まった服装や長ズボンを身につけるような現代の生活では、仮に昔と同じ室温、湿度でも不快に感じてしまいます。
都市部では特に暑い日ほど夜も温度が下がりにくいので夜間通風さえも期待できません。←その論文です(たった2%の効果)。

さて昨日の続きです。

おさらい・・・

エアコンは空気だけを冷やしているのではなく湿気を除去するのに半分もの電気エネルギーを使用しているのですね。

それが前提でようやく換気扇の話になります。
顕熱交換型換気扇は温度だけを交換します。つまり折角全エネルギーの半分ものエネルギーを使って除湿した空気をそのまま捨てているのです。数値で表すと

顕熱交換率80%の顕熱交換換気扇は、実際には80%×0.5=全熱回収率40%
↑一昨日のエアコンは半分は除湿(潜熱)負荷なので0.5とした。

顕熱交換率70%、潜熱交換率50%の全熱交換換気扇は
70%×0.5=35% + 50%×0.5=25% →全熱回収率60%

全熱交換型換気扇の方が1.5倍も熱回収効率がよいのですね。

更に全熱交換換気扇の方が湿度を空気を冷やしすぎること無く下げる事ができます。つまり温度が高くてもカラッとした空気になりやすいのです。

夏にありがちな冷房病は低温高湿で起きやすく高温低湿の環境では起きにくいと言われてます。確かに夏に湿度が高い日本(新潟)より、湿度が低い中東(カイロ等)の夏の方が過ごしやすいですね。

さて、冷房中の家でどこに洗濯物を干すか?
ここまで連続第四回にお付き合いして頂いた方なら何となくわかりますよね。それは・・・

「排気用換気扇の近くで干す」事です。

例えば換気扇が動いている浴室内とか・・・夏は浴室換気扇を連続or4時間以上ON。

洗濯物が乾く時、空気から熱を奪います。これで冷やされた空気は下へゆっくり下がります。一方気化した水は湿気(潜熱)となって均一に広がろうとしますから、これを排気用換気扇で広がる前にできるだけ排出するのです。すると顕熱は冷やされ潜熱だけ排出されやすく、家の冷房効果が上がります。大きな効果は無いですが理屈ではこの方法が良いですね。普段も何となく排気用換気扇の近くで干しますが、これは夏が効果的で冬はあまり関係ないと言うより、逆効果になります(家中暖房する前提・開放型ストーブは論外)。

さて、ここまで4回で「超断熱住宅における冬の洗濯物」についてお話ししました。こんな理論的な話はつまらないと思いますが、設計者にとって理論は設計の拠り所となります。

最後にネットで見つけた個人ブログで、ある有名な工務店さんで家を建てた日記がありました。スラブヒーター(床下暖房)というキーワードで入ったのでそのページを見ると、
「新築後直ぐにスラブヒーターが工務店の説明とは違い、冬暖かくならなかった。メーカーにも来てもらったが機器は正常だがやはり家は暖かくない。そこで工務店さんは薪ストーブを代わりに用意してくださった。とてもありがたかった。」とありました。
普通は「いい工務店だね」となるのですが、技術者の私から見れば「建て主に原因を不明にして、追加で暖房機をもらってっも、この先暖房費を払うのは建て主さん。仮に暖房費を負担してくれてもあたりまえ。多分原因は、高断熱高気密性能がしっかり出ていなかったので、想定したヒーター容量では暖まらなかったのだろう。これは設計と施工のミス。」となります。ここから見ても・・・
まず理論、次に実践(施工)、検証という事がわかります


超断熱住宅における冬の洗濯物② 新潟の自然素材の家から

昨日も前文で

設計事務所では特に理論と実践を大事にします。設計はそもそもこの世に同じ物が無いので設計する事になります(あれば前の設計図をそのまま造れば良いので設計図の必要がない)。だから今まで一度も造くられた事が無いので「理論」を頼りにし、設計段階で「理論」が成り立たなければ「実現」は困難と言う事を知っているからです。←当たりまえですね。

と書きましたが、ようやくその理論の方へ今日は話が移ります。

冬は家の中で積極的に洗濯物を干そう!と勧めて12年。その理論は今も変わりません。で、おさらいですが・・・

洗濯物が仮に10~12kg(5人家族の一日の量)とした時、その濡れている水の量は6kgありますから洗濯物からでる水蒸気の量も5~6Kgにもなります。この時濡れているこの水が気体の水蒸気になるための気化熱は586cal/g=586Kcal/kg=0.681Kw/kgです。つまり最低4kwhのエネルギーを必要とします。・・・とここまでは昨日と同じ。

この乾燥に必要な気化熱が超断熱住宅では結構な熱消費となります。

超高断熱ではQ値0.9w/m2k以下なので30坪くらいの家では真冬に一日あたり

0.9×18℃(平均温度差)×100m2(30坪)×24時間=38880wh=39kwh

あれば家中を22度で維持できます。これに対し

気化熱に対する全体の熱は4/39=0.1となり10%にあたります。洗濯物を乾かす行為は意外と結構大きな熱が室内から奪われます(超高断熱の場合は分母が小さいため)。

ところがこの奪われた熱は潜熱と呼ばれ室温から奪われたように見えますが、室内にある限り無駄にはなっていません。それは・・・
快適な湿度を維持する事になっているからです。快適な湿度とは約50%であり、湿度が低すぎると室温が22度あっても快適ではありません。ここから計算です。難しく考えないでさらっと流しても結果だけ見てもOKです。

では・・・

仮に延べ床面積で30坪家の気積(家全体の空気の量)が240m3ある家とすると

240/0.5回=120m3/h以上が換気されるように法律で最低設定されています。

この換気により外の空気が室内に入ります。
外の条件を冬のみぞれが降っている時とすると

単純に2℃の湿度100%の空気の水蒸気量5.6g/m3←外気

部屋22℃の湿度50%の空気の水蒸気量10g/m3←室内空気

法律で決められた24時間連続換気するすると考えると

一日で室内に放出される水蒸気16kg(洗濯物も含む1家族あたり)

結構多いでしょう!このくらいでてますよ。

120m3/h×24h=2880m3
120m3×5.6g×24h+16kg×1000=32128g

湿気が完全拡散であると考えると
当初部屋にあった空気の水蒸気量
120m3×10g=1200g
と発生する水蒸気の量の合計を総空気の量で割るとm3あたりの湿気となる。

(1200+32128)/2880=11.6g/m3・・・空気約1kgに含まれる水蒸気量

するとこの11.6gの飽和素蒸気量である空気が22℃の時は
湿度51.6%であり、当初の空気の湿度とほぼ変わりない。
と言う事は

結果

洗濯物を室内で干すと・・・

22℃の室内の空気は湿度約50%で安定する事になる。

実際は水蒸気の発生場所は排気用換気扇に近いので、湿気の完全拡散は無く湿気の多い空気は早めの排出されるので乾燥方向になります。そこで第三種換気システム(排気のみファンを使ったシステム)や第一種熱交換型換気扇(顕熱タイプ)を使った家では洗濯物を室内に干しても湿度40%くらいになります。 数日前にご紹介した全熱交換の換気扇を使用したA邸の室内の湿度。人間の活動と室温の変化で湿度も数パーセント変わる事が見て取れる。

一方、第一種換気システムでも潜熱交換をする熱交換型換気扇タイプでは、湿度50~55%になる傾向があります。インフルエンザのビールスはこの50%以上の湿度では長く存在できないとされていると言うことと、体力の衰えた時には湿度を高めにする事で体内の無駄なエネルギー消耗(呼吸による気化熱)が少なく、だから湿度50%がよいとされてます。

 熱交換型換気扇  この画像は三菱電機さんから※外気温度 0℃、室内温度 20℃、温度交換効率75%の場合。

オーブルデザインのSSプランではこの第一種換気システムでも潜熱交換をする全熱交換型換気扇(ダクトレス)を現在使っています。理由は、冒頭の洗濯物乾燥に使った熱を捨てない事による冬期の高湿度維持と、夏期のエアコン除湿の時、非常に効率が良いからです。この理由は次の③でお伝えします。

ここから先は追加事項ですが実は・・・

寒冷地の超高断熱住宅やパッシブハウス等では結露対策をした顕熱タイプの換気システムが推奨されています。これは全熱交換型換気システムでは、

1.湿気交換時に臭気等まで移動する←トイレは別系統になる

2.お風呂排気は高湿度でふさわしくない←風呂は別系統になる

3.高断熱先進国では顕熱タイプが当たり前

であるからです。

これについて私は

1.別系統で問題なし。(3分でOFF。消し遅れスイッチだけでOK)

2.床下暖房の家は2時間で浴室は乾く。(タイマースイッチでOK)

3.高断熱先進国(欧米)は日本みたいに冷房期間がない

と考えてます。

実は20年ほど前(1991年)、以前の職場で新大と一緒にこの全熱タイプ換気扇が浴室に使えるかどうか実験をしています。すると結果は、瞬間的には湿度が高くなるが全体的に考えると影響はないという結果となりました。よくよく考えると欧米では浴室は部屋の片隅にあったりして、殆ど換気扇が無い状態もあります。拙宅浴室でも冬期は換気扇は2時間でOFFで問題なく乾きます(床一部除く)。20年間実績もあり、湿度が50~55%で安定する全熱交換型換気扇でも支障は無いと私は現時点では結論付けています。

全熱交換型換気扇の夏の優位性とは・・・次の日に!


新潟の家 責任不在の情報過多の時代

先月あるサイトから当サイトにリンクされてくるゲストさんがよくいらっしゃるので、そのリンク元サイトへ行ってみると・・・

そこは日本最大と謳った家の情報を集めたサイトで掲示板が多数有り、大手メーカーからローカルな新潟県のメーカーや建設会社さんを題材にしてコメントもされてました。そのコメントを多さは一ヶ月で1000以上となっています。
だいたいが一つの質問に複数で答える「スレッド」記事になっいて、例えばこんな質問があるとします。

話題提供者 「基礎断熱っていいの」

とすると

匿名A 「うちは選択肢の中にあったけれど床断熱にした」

匿名B 「基礎断熱ってよくないよ。だって(略)・・・」

匿名C 「○×メーカーのこれがよいよ」

などなどです。

殆ど全てが匿名の情報です。これはとても、とても不思議な事です。匿名だから同じ人が別の人になりすまして答える事も可能です。また思い込み情報でも可能で、私からみると平気でまちがい(法律に添わない)を答えたり、勧めたりしている発言もありました。仕方無いのでしょうか?プロが造る家でも未だに「手摺りのない階段」が堂々とチラシに載ってたりしますから、プロで無い方がどのようにコメントしても問題にならないのでしょう。

これも時代なのでしょうか?どの情報が正しいかと間違っているかよりも、そのやりとりを楽しんでいるコメント者も多く、何ともいえない気持ちになります。
コメントも「だと思う・・・」だったり、逆に根拠無し言い切り捨て型だったりしてます。

またそのようなサイトをよくご覧になり、あたかも「家に正しい知識を知ったかように」なってしまっている人も多いと思います。家は家電製品とは違い巨大な物です。ある小さな部位や一つの仕様などの特定情報だけでは判断できないところが沢山あります。だから国が専門職として「建築士」などの免許を与えるのですね。

随分前から申し上げているとおり当ブログやHPでは、できるだけ実測、実物、法律、または国が定めた仕様や規律、基準で表現するようにしてます。また間違った情報の時は訂正線等で後で見てもわかるように記述します。私が趣味で情報収集に訪れる他のHPやブログは殆どそのようになっています。それが責任ある情報発信と思いますが、不思議と建設業界のホームページやブログに「訂正線」があるのをあまり見た事がありません。

絶対間違っていない情報だからそうなっていると思いたいのですが、なんとなく違う気がします。建築業界は一度お客様になったらリピートが30年無いので、情報が毎年変わっても気にならない人が多いのでしょう。だから、造る側もその時よければそれでよし。となる習慣ができあがったと思います。また詳細な図面がないという習慣が拍車をかけたのでしょう。何事も図面が無ければ始まりません。 最低でも50枚以上ある図面。図面は大事な建物の履歴。増改築の時もこれが無いと始まらない。

10年の寿命の家電製品でも、品番検索すれば10年前の製品の仕様が残っていますが、家の情報は3年前でも全く残っていません。新しく建築しようとする方は、わざわざ3年前の情報を探す人はいません。ですが、家は他のMONOと違い、一度建てたら最低30年は使い続けます。ですので3年前の情報も大事なのです。・・・とオーブルでは考えてます。だからHPの情報は消さないし、間違った時は訂正線で書き直します。それが責任ある情報発信者だと思ってます。過去を消せない(消さない)から慎重になるし、吟味した情報と家の仕様を発信できるのだと思います。訂正線もなく、いつの間にか消えているページが多々あったり、数年前のページが全く無かったりすれば、間違った物を簡単に消して忘れられる気持ちになります。私は多分設計図を多く造るので、必ず手元に記録が残る事が当たり前=間違った履歴は残せない  と考えるようになったのでしょう。

あっ・・・誤字脱字は例外で、そこだけは消して修正します。(笑)


新潟の家 基礎断熱の欠点 朱鷺の死亡で思う事・・・。 

昨日朱鷺がネットで完全保護された飼育場内でテン等の小動物に襲われ死亡したニュースを聞きました。この飼育場はネットで完全保護されており、土などを掘ってもネットは地面下50cmは埋めてあるのでどこから入ったかは、現時点ではわからないそうです。

国が完全管理する保護場でも、「対」野生生物では予想しない事や、人間の不完全さから防護上の落とし穴ができるという事がわかります。ここから学べる事は・・・

基礎外断熱をするときは対白アリのためステンレスメッシュ(ターミメッシュ)を周囲にぐるっと施し白アリ対策する方法があります。このステンレスメッシュとは、白アリが通れないような細かい網の目のメッシュで土に埋め込まれる断熱への侵入を防ぐと言う理屈です。
しかし朱鷺と同じ事が起こる事が想像されます。朱鷺の保護場のように2.5cmのメッシュに対しし、白アリのメッシュは0.5mm程度でしょう。0.5mmの精度の施工が、建築現場でできると思う事自体無理があります。2.5cmの穴でさえどこかに見落としがあるのに、0.5mmの見落としがないという事は考えにくいです。私は基礎断熱推進派ですが、そのメッシュにコストをかけるより、基礎内断熱や、高基礎などを選んでます。この施工のほうが仮に白アリ被害があったときメンテナンスが格段に楽です。勿論基礎コンクリート一発打ち込みや玄関部分の配慮も必要です。生物から完全に防ぐ方法を考えるより、侵入されにくい予防と万一侵入された時に直ぐ対処できる仕組みが現実的で理にかなってます。

PS
地元の方の努力には敬意を払います。が、人の手によって保護されなければ生きていけない朱鷺ならば、現在の日本の自然環境がそうなのですから絶滅はこれこそ自然の事です(実際絶滅しました)。環境の変化に対応できない種は、いつの時代でも滅亡してます。「昔、朱鷺というそれはそれは綺麗な鳥がいたの。でも人間が人の住みやすい環境に変えたので朱鷺は対応できずに絶滅したの。だから人はいつでも未来へ繋ぐ責任がある事自覚し生きていかなければならないのだよ」と強く学ぶ事も重要と私は感じます。取り返しがつかないこともあるのです。なぜか「獣の躁者」の物語が頭をよぎります。


新潟市 雪のトラブルを防ぐ 家編

今年は新潟市では26年?ぶりに積雪80cmを超えました。最近の新潟市は一番多く降っても30~40cm。その倍の積雪が2日間で降ったので交通は大混乱との報道もありました。

長岡市で一晩40cm積もっても交通が壊滅するほどの影響は受けません。ところが新潟市では一晩に40cm降ると交通は壊滅的な影響を受けます。新潟市は融雪道路ではないため除雪車が頼りですが、除雪車が通ると道幅は半分くらいになり、また4m道路など狭い道や坂道も多いのでとても大変な状況になります。こんな時は無理をせず素直に会社や学校を臨時休業したほうが良さそうです(やむ得ない業務を除く)。

さて本題ですが、
雪のトラブルで一番多いのが、屋根からの落雪で怪我や車などが壊れてしまう事です。特に最近流行の「太陽光発電パネル」は表面が強化ガラスでとても滑りやすい素材です。ですので何らかの対応がされていない屋根に設置すると雪はおもしろいように落下します。先般このブログで注意喚起してましたが、やはり多くのところで問題が起きたそうです。
新築時ならそれ相応に設計者が気をつけるようですが、後付け施工された太陽光パネルから落雪でカーポートの屋根を壊した等の被害を聞きました。
実は当事務所のある家もお隣からの落雪が敷地内に飛び込んできて、設置されていたエアコンが雪で埋まり運転が不調になった事を聞きました(掘り出すのも堅い雪のため大変だったらしい)。

我々設計者は「新潟市では1mの雪が降る」事を前提に家を設計します。これは法律で決まっている事で、もし1m以上の雪なら「想定外」といえますが、1m以内の雪で建物の不具合が生じてはいけないですね(自戒をこめて)。

 7年前に建築した新潟市のある家。建物平面形状が△であるため屋根に曲面を持つ急勾配部分がある。そこで雪止めが鱗のように細かく設置されている。見た目はイマイチ(勿論ファサード側ではないので許せるはず)であるが近隣敷地へ雪がなだれ込まないような配慮で設計してある。外壁はガルバニューム。


家のネット情報・・・大手メーカーの力

ふとある事から立ち寄った個人HPには家の裁判になった事が書かれていました。たまたま基礎の件や建築基準法の件で関心があったのでしばし閲覧。

厳しい現実ですね。読んであると息が詰まりそうです。相手は大手ハウスメーカーでした。裁判になるとお互いの論理のぶつけ合いは仕方無いとしても、建築基準法の書かれている事を守らなくても、「力」で論理が通ればそれは瑕疵はないという裁判所の判断には大変驚きました。

例えば・・・基礎が鉄筋コンクリート造の場合、その鉄筋のかぶり厚さ(コンクリートに埋め込まれる鉄筋の外気から最低距離)が6cm以上(土に接するところ)と建築基準法に明記されているのに、裁判になると「4cmでも基準を満たす」との判断が判事から出る不思議??

大手のハウスメーカーは、その財力を生かし、一般人には理解しがたい論理をその筋の技術者に証言させ、「図面や基準法どおりでは無いが、瑕疵はない」事を立証するようです。この「互いに納得した図面と違うが施工に瑕疵はない」という言葉が私にはとても理解しがたいですね。でも裁判になるとこれが普通に行われるそうです。家の発注者である個人は、財力が企業ほどある人はまれですからなかなかこれを覆す証人(技術者)を立てる事ができないそうです。勿論大手企業には息が掛かった技術者がたくさんいますし、行政や業界、調停員※への影響も大きいですからあえて反論証言しない技術者も多くいると思います。
※・・・元々建築訴訟の調停員は「業界で飯を食う建築士」が殆どで、調停員なるくらいだからいろいろなコネやしがらみが多く公正な調停ができるか疑問。

もともと建築基準法は明治大正のころに造られたので、施工者(大工さん)を守る意識も盛り込まれているらしいのです。当時はお金持ちも人しか家を発注しなかったので(大家)、受けた大工さんをお金持ちのパワーハラスメントから守る事も考えられていたらしいのです。しかし時代はかわり今や全く反対の力関係が多くなりました。いつも建て主さんには、「大手は基準がしっかりしてます」と言っていましたが、いざとなった時は、一番大手が怖いですね。

このHPの最後の方には

「欠陥住宅を防止する第一歩は【工事監理者】をしっかり自分で選んで契約する事」と結んでいます。ご自宅はハウスメーカーが勝手に指定した(委任状も勝手に造ったらしい)一度も面識がない「工事監理者」で工事が行われたそうです。

このHPは検索エンジンGoogleで「基礎 欠陥 大手 多摩 パ」で検索すると最初の方に出てきます。心臓が弱い方は見ない方が良い(特に調停の部分)と思いますし、建て主さんのブログやHPなので少々感傷的な事例もある事をご承知ください。


新潟の家 広告、営業話術に惑わされるな。

ブログでもよく申し上げますが、広告(チラシ、HP)がすべて正しい情報とは限りません。どちらかというと誇大広告が殆どです。これは表現の自由という憲法により、故意に人を惑わす事が書かれて限り自由表現OKということです。

例えば、
TV通販でも「○×を食べたらで目がすっきりした」という体験談ならOKで、「○×を食べたら目の視力が直ります」と販売会社が宣伝すると薬事法?に触れます。「目がすっきりするのは個人差があります」とトドメにテロップで流せば、目がすっきりしなくて責任はありません。

同じように住宅でも社長の思い込みで、この家は「地震に強い家」と宣伝してもそう大きな問題になりません。が、もし裁判にでもなれば思い込みだけ(裏付けなし)で「地震に強い家」と言って販売し、それが購入に大きな影響を与えたとなると、たぶん耐震等級2以上の基準を満たしていなければ詐欺か等級1を満たしていなければ建築基準法違反になります。

広告会社はこれを回避するため、小さい字で「プランにより替わります」とか「オプションです」とか記載されてます。が、それを読む人はあまり多くありませんし、重要なことと思って気にとめる人もいません。その後すぐに説明があれば仕方無いことですが、契約まで無いとすると問題です。そのあたりの解説が詳しく載っているHPは下のところです。

http://www.ads-network.co.jp/mitumori-zumen/koukoku-01.htm

耐震性では、特に私は許容応力度設計で構造計算しますから、通常の会社で行う壁量計算はあまり眼中になく気にしていなかったので、

建築基準法の壁量×1.25=耐震等級2ではない!
は考えたことがありませんでした。 

http://www.ads-network.co.jp/mitumori-zumen/zumen-11-jiku.htm

のサイトで数値で説明してます。なぜそうなるかは、建築基準法は雑壁を耐力壁として算定していな事と、多雪地域の雪加重の考慮がないことが原因と思います(雑壁ってなに?はおいといて・・・)。
同じように断熱性能表示Q値=1.9といって広告していた建物が、しっかり計算すると遙かに悪いQ値2.5だったりします。これは建て主さんにとって殆ど詐欺ですよね。
とにかく大事なことは、世界に一棟しかない注文住宅なら個別にみんな計算して数値で表示してもらうことですね。数値は後で残りますが、「高気密高断熱ですよ」とか「地震に強い」という曖昧な表現では、建設会社に逃げを許した事になり・・・×です。

上のリンクはおもしろいサイトなのでいちど立ち寄る事をおすすめします。ただ開設者が太平洋側の人なので、温熱環境については参考にならないところもありますが、その他は頷くことが多いサイトです。[E:shine]


ネットは簡単に削除可能。その① これが一番の問題。

よい家を建てるには、正しく情報を処理できる人、企業、会社をパートナーにすることが一番重要であると思います。既に商品が完成している建売住宅は、他の購入品と同じようにそれだけを評価すればよい家を手に入れることが比較的簡単に可能です。
しかし、まだ世の中に存在していない注文住宅の場合、設計図さえも世の中にまだ存在していないわけですから、その設計図からスタートです。設計図とはどの世界でも最も重要な行為成果物で、ここで間違っている情報で設計すると、完成した家も数年で価値のないものが出来上がります。

さて、ここから本題ですが今はインターネット全盛で、ほぼ全ての製品の仕様説明がネット上から見れますが、これをいちいちペーパーにダウンロードしてみている人は少ないですね。ここが問題です。
建設会社のHPへ行くとめまぐるしく商品が更新がされていて、一ヶ月前に見た仕様やデーターがきれいさっぱり削除されております。一ヶ月間には
「私の過去の経験やいろいろを調べた結果、基礎は○×という基準、施工にしましました」

と書かれていたはずなのに、もうそのページが削除されています。多分間違いにきづいたのでしょう。
人間ですから間違いはあります。その間違いを誤魔化さず訂正線などで直し、理由や場合によってはお詫びすればよいかと思います。まるっきり削除では、誠意のかけらもありません。勉強が足りません。そんな会社に、50年も維持する家を頼むことができますか?

ここに大きなインターネットの問題があります。簡単に今まで主張が削除できるのです。全く反対のことが書いてあっても証拠はありません。
過去のHPを違うサーバーにコピーでもしてあれば、ITの最大長所「コピーの無限可」がいかされますが、よほど問題(裁判や犯罪)でもなければそんなこといちいちしている人はいません。

とにかく、家造りでよいパートナー(企業や人)を見つけるには、書物(パンフレットではない)を出版し容易に削除できないようなっている仕組みか、過去のホームページやブログを一切削除しないで、公開している人や企業がよいですね。
住宅産業だけです。過去の家造りや、新商品(新仕様)が出ると前の仕様を削除する企業は・・・。
出版物は簡単には訂正できませんから慎重によく調べ、時には第三者から精査してもらいます。ですのでネット情報とは違い、ある程度正しい情報が発信されます。
正当な理由もなしに今日から家の仕様が急に変わりますといわれたら、それ以前に建てた人はどう思うのでしょうか?
正当な理由とは法律が変わったとか等で、その理由を明確にする必要があります。特に構造や断熱に関わる数値(基礎、コンクリート、木軸組、性能評価)などです。


こんな時期だから「住宅完成保証」をお勧めします。

昨年のリーマンブラザースの破綻から世界的な不景気となり、日本も景気が大きく後退しています。大手会社はようやく景気が上向き兆候がでたものの、地方の中小零細企業はなかなか明るい話がありません。
特に建築業界も悪く、新聞紙上で中規模の建設会社や住宅会社の破綻が伝えられております。確かに10年前のバブル直後は超大手ハウスメーカーの破綻もあったくらいですから。

最近聞いた話では、
「住宅の新築工事を契約したその月に工務店が倒産してしまい、その契約金1200万がなくなった。いま処理をしているけれど建物は始まったばかりなのに・・・」
という話です。一般工務店さんのお支払いは本来なら、ほとんどが出来高払いという現場に見合った金額を払う仕組みです。確かに着手金は慣例で1/4になる工務店さんもありますが、これも話し合いで出来高払いに変更可能です。
また、こんなご時勢は住宅完成保証制度」という保険を利用するのがよいと思います。私共も今後はその保証に入る又は入っている施工会社を薦めて行くようにしたいと考えてます。
ただ保険ですから当然「掛け金」が請け負いに金額に上乗せされます。多分一軒当たり6~12万になりますので今まではあまりお勧めしませんでした。が、このご時勢、私どもでもどの施工会社がいつ倒産するということはわかりません。住宅の請負契約は金額が大きく、損害が大きいのでやはり転ばぬ先の杖は必要で、仕方のない経費だと考えております。

ちなみに「完成保証」とは・・・
契約してからその家が完成するまで、仮にその施工会社が倒産しても、保険会社が次の施工する会社を見つけて、金額増がおきないのように完成させるという保険です。建て主さんにとって面倒なことがおきにくい保険です。無論財団法人が保険窓口です。詳しくはここです。

当事務所もこの秋より景気の影響を受けつつあります。が、そこは専門の設計事務所の強みで、仮に廃業があっても倒産がない仕事が設計事務所です。これは税理士事務所や設計事務所等は商品や物品を仕入れて売るという形態ではないため銀行からお金を借りる行為がないので、所謂「倒産」が普通(大きい会社は別ですが)はありません。
また、建て主さんにとって成果物納入後のお支払いがほとんどなので万一何かあっても被害は最小限度で、そこが施工会社と違うところです。

こんな話題ではこんな時期にもっと寒くなりますので少し楽しそうな明るい話題を。
今週の22日(日)に寺泊の拙宅の近くで私がお手伝いしている無農薬、無肥料、無耕作不耕起自然農風の「スパイラル・ゲイト」で「芋ほりとさつま芋づくし」を行います。一応お子さんには芋ほりを、大人にはゆるい時間を過ごしてもらおうということで、妻が企画開催します。もうちょっと余裕がありますので、ご興味のある方は、お問い合わせください。
最近拙者が特にナチュラル指向にはまっているのは・・・このガーデンのせいですね。ゆっくりした時間ですごして頂きたいので、午前中の芋ほり以外の時間の決め事はありません。ここにその企画のリンクをおきます。
一応天気予報では曇りとなってますが、晴れる(雨と風がない)こと祈ってます。

ちなみに不耕起とは、その名のとおりで土を耕しません。表面の雑草を削りとる程度です。後は植物根によって数年かけて土の奥からふかふかにする農法のことです。凄い手抜き農法(笑)です。と思われがちですが、実は一番土と植物との対話が必要な農法です。
写真がその畑でとれた芋です。しっかりとした根ですね。当然虫食いに弱い品種や肥料がないと育ちにくい作物は植えません。多少虫がついても大丈夫な品種(数は多く取れない)や、昔から日本で育てていた作物が中心です。もともと素材が持っていた味がします。
潮風が先週大変強かったので、現在の地上の作物が塩もみ状態ですが・・・でも芋はお楽しみです。
2009.1120誤字等修正しました。


びっくりした。公式のインタビューで私は初めて聞いた。

 「初代プリウスを出した当時、『けっして充電することのないクルマ』と宣伝してきた。しかし、環境問題や化石燃料の枯渇の状況がより深刻になり、充電という手間を惜しまないようになった。それがPHVのコンセプトになった」

これは・・・
トヨタ自動車は12月に家庭の電源から充電できる「プラグインハイブリッド」(PHV)の販売を始めるますが、その開発者の田中義和氏(48)氏の発言です。

今まで環境問題や地球温暖化がハイブリット自動車や電気自動車の背景にあると、様々のところで公式に発言されてきましたが、「化石燃料の枯渇の状況がより深刻になり」という本当のことと思われる理由を?初めて聞きました(私は)。

化石燃料の資源が全くない日本のメーカーの発言ということを差し引いても、世界一の自動車メーカーの開発担当者の言葉だと社会に与える影響は大きいはずですが、はっきりと述べてます。今まで「化石燃料の枯渇が深刻」と国は言った事がありません。
だから家でも「化石燃料の枯渇」というキーワードで住宅を開発、または企画する大手はほとんどありません。だいたいが環境、地球温暖化というキーワードです。
当事務所は2年ほど前から、「化石燃料の枯渇」の時にでも暖かい家に暮らす事を目的に超断熱の家を勧めてます。持続可能な社会のためでもありますが、エネルギーの危機管理は今や企業、国より個人の家のほうが重要です。個人の家は一番寿命が長く、あなたが30年以上は責任を持ち、そして次の世代への社会的資産になるわけですから・・・。
だからエネルギーの無駄遣いは許されません。当事務所のように自然素材大好きな家は無論、ビニールクロスの家でも、大事に使うために家の超断熱がお勧めです。

 

そろそろ真剣に国民レベルで議論する時が来ていると思います。決して恐怖や脅かしではなく、世界が脱石油の産業革命を迎えようとしています。それを地球温暖化防止というきれな言葉だけでごまかしてはいけないと感じます。・・・真剣モードです(汗)


お手本です。綺麗な長期優良住宅の施工。

新潟県で一番多く長期優良住宅を施工されている会社さんの施工現場をご好意で見せていただきました。最初に感じたのは、
「凄く綺麗な現場」だったことです。なぜかなと、ふと見ると足場の下にはブルーシートがきっちり敷きこめられていました。こうすれば落ちた釘や木屑など簡単に掃除可能です。見事です。当事務所は施工はしないのでここまで指示できるかわかりませんが、さすがです、すばらしいです。お手本です。
次に
「通気層に防虫フィルターが施工」されていたことです。この施工は初めてみました。他の会社さんもいらしたので、その方に伺ってみたら、「カメムシやこうもりが入らないため」とおっしゃってました。そうか地域によっていろいろ配慮があるなーと感じました。
設計の計画は当事務所もプロなので負ける気がしませんが、常設展示場などで建て主さんが目で見てわかる物を拝見させて頂くととても勉強になります。同業者に見せることは勇気のいることと思いますが、気にせず公開される気さくな社長さん(もう会長さん?)には大変感謝申し上げます。ありがとうございます。


新潟の家 エアコンマニアのエアコンの選び方と実情 2009秋

朝日新聞社のネットに
「エコポイント」対象でもある省エネ型の家庭用エアコンについて、経済産業省が省エネ性能の調査に乗り出す。」
と昨日掲載されました。
http://www.asahi.com/business/update/1019/TKY200910190158.html

簡単には、エコポイントがつく省エネエアコンなのに省エネにならない事例があり、これではエコポイントを付けるの意味がない。とのことです。

過去のブログや拙者が3年前に書いた論文ではエアコンは、取り付けるシェルター性能に見合った機種を設置しないと効率が落ち、COP、APFや部屋の大きさで選定するだけでは必ずしも省エネ効果がよいといえない。」と結論をまとめています。ようやく市場でも問題が提起されたようです。エアコンマニアとしてはうれしい報道です。

そもそもユーザーがエアコンを選ぶときは、まず設置する部屋の大きさを考えますよね。8帖なのか、12帖なのか?それから価格や性能、機能を選ぶとおもいます。このとき最初の選定条件である部屋の大きさ(断熱性能による負荷)が間違っていたら、正しい性能を発揮できませんよね。

この部屋の設定条件は1964年に冷房中心で取り決めからほとんど変わっていないのがそもそも問題です。当時の部屋の設定は南側の部屋の設定で断熱性はほとんどありません。そういう部屋で使ったときのCOPが一番よくなるように調整し販売されてます。しかし最近のマンションや高気密高断熱の一戸建てでは5倍程の断熱気密性能があり、小さな部屋機種でも充分冷えますし、北側向きの部屋でも同様です。

仮にJIS9612に規定された平均的な?部屋条件(暖房)でQ値を算出すると、
2600W/20度/10m2=13W/m2kとなります。
個別暖房ながら現在のⅣ地域次世代基準の5倍近い基準です。

しかしユーザーが購入する量販店で店員にエアコンを聞くと、まず間違いなく設置部屋に応じたエアコンを勧められます。いかに断熱性能がよくても店員さんは、カタログ上の冷房推奨設置面積を薦めます。なぜか?

1.大きい部屋機種ほど販売価格(儲けも)が高いため。

2.小さな機種を薦めて万一冷えなかった(暖まらなかった)場合、責任が販売店に来る。

3.ユーザーの使い方が不明のため安全率を高く見る。

4.冷房時の部屋面積で決めたほうが、クレームにならない

この4つの理由でいかに断熱性能や遮熱性能がよくても推奨機種を薦められます。つまり最近のマンション内にある12帖リビングのエアコンを購入しにいくと、店頭では冷房12帖(暖房16帖迄)のエアコンを勧められ設置することになります。しかし本来は断熱性能がよく、6帖用でも充分なのに12帖用のエアコンですから、12帖用の大きすぎる性能のため、エアコンのインバーター制御範囲を超えてON、OFF運転が始まります。するとエアコンのCOPが急に下がり、本来の省エネにはならない範囲で多く使うことになります。

また、付属機能が多くなりすぎていることも問題です。例えば「再加熱除湿」を使うと大幅にCOPが下がり省エネではなくなります。もともと除湿とは弱冷房のようなものですから、ある程度冷風が出ます。この冷風が気持ちよくないので、メーカーは本来外に排出する熱を再び室内に戻し使います。すると熱交換機の半分が使えなくなるので効率が下がます。もちろん潜熱も熱ですからそれを室内で排出する自体負荷を増やし、省エネルギーとはなりません。再加熱除湿はできるだけ使わないほうが省エネになりますが、カタログには記載されません。
また加湿できるエアコンも同じように本来の性能を削いでます。また加湿も少量で他の方法で加湿したほうが効率は高いと考えられます。

エアコン業界はカタログ推奨の大きさを自ら変えるつもりはなさそうです。というのは、

1.現時点の推奨面積のほうが機器が大きくなり、高く売れる。

2.現時点の推奨面積のほうが冷えにくいというクレームが少ない。

3.効率が下がっても付加価値で差別化をはかり販売アップにつなげたい。

ということです。1.の多く売れるということはメーカー業界にとって重要で、販売点側と利害が一致します。そこで国が実態調査に乗り出したということですね。省エネの補助金という御旗を翳せば、業界も協力しないわけには行きません。

もっとエアコンが進化してどのように使っても高効率を維持できるなら必要ありませんが、エアコンの効率が最大になるように、ひとつひとつ性能の違う家に設置するためには我々建築士がアドバイスしなければならないでしょう。また、エアコンの設置はいまや100%に近いわけですから、建築新築時にその条件で最も効率よく動くエアコンを設置しておけば問題は少なくなるでしょう。
いずれの場合でも、エアコンメーカーはもっとCOPに対する情報(部分負荷率ー外気温)を開示してほしいです。そうすればもっと最適なエアコン設置も可能です。

 有効なアドバイスが受けれない方は、今は写真の東芝PDRの6帖用エアコンがお勧めです。6帖から20帖くらいは問題なく冷える(暖まる)と思いますし、効率が高い範囲が広く、本体に消費電力量を表示して、省エネを可視化させております。またコンパクト(規定寸法)ですので、設置条件が広がります。
新築時はパナソニックのCS-X229A(設置フリー)が最高性能ですので最適ですね。ちょっと掃除音が大きいですけれどまあ許せます。


新潟の家 家をつくるポイント メーカー選びのポイント


上の写真は現在施工中の超断熱の長期優良住宅です。その2階から小屋を見上げて写真を撮ってます。
ご覧とおり、2階の天井上に28mmもある厚さの合板を貼ってます。綺麗ですね。これだけでもデザインになってますが、これは耐震等級3の性能の家を造るために必要なものです(広いプランで)。

さて、実質今年から始まった長期優良住宅は、その対応年数を80年から100年位と考えて施工されています。
ここ15年で家造りは大きくかわりました。15年前、断熱性はあまり重要視されておりませんでした。ですので、そのころに建築された家は、残念ですがほとんど断熱性がきちっとありません。暖房にお金がかかる結露しやすい家です。なぜこのようなもったいない家造りになったのでしょうか?それは当時、建築主さんにとって情報不足が原因だったといえるでしょう。今はネットがあり、ありとあらゆる情報が手に入ります。しかし・・・
 たぶん家を造るにあたって、建て主さんは間違った情報収集される方が多いと思います。普通の建て主さんは「今」の家の情報を大事に集めるでしょう。しかし大事な情報は過去の情報です。
家は他の「物」と違って簡単に取り換えることはできませんし、買い替えることも活発に行われません。多くの人が長い「ローン」を組み、数十年間も新築時のお金を払うことになると思います。つまり建て家は、できるだけ長い間その機能(性能)が社会の流れと同じような価値を見出されなければなりません。例えば今から15年前に断熱性能ない家を造った人は、現在の家の性能と大きく違い劣ってます。問題なのはこの劣った性能を、リフォームで何とかしようとすると、何と1000万以上かかってしまいます。新築時に行っていれば200万アップくらいで済んだのに・・・。
建築士はその高い専門を生かし、せめて15年くらい経っても、15年後の家と遜色が無いような性能の家を提供する誠意が必要ですし、少量の金額で性能アップできるように考えて計画する義務があります。これを考えていないと、10年間無料でアフターしようが10年経って時代にそぐわない家は「造りっぱなし」と変わりありませんね。
資金上やむなく低価格住宅しかできない建て主さんは仕方ないですが、数坪減らせばよい家が手に入る資金のある方にはそう申し上げたいですね(拙宅は資金不足だったのでが、どうしても高気密高断熱で建てたかったので当初は24坪と小さくしました。今は36坪くらいまでなりました。超断熱でも増築は可能です)。せめて12年まえから高気密高断熱住宅を勧めていたメーカーかくらいは調べたほうがよいと思います。誠実な情報を建て主さんに提供しているかどうか・・・。

さて、毎回申し上げておりますが、これから必要な性能は
「超断熱Q=1.0以下」です。
来るべき石油枯渇、取り合い値上がり、でエネルギー価格は倍になるでしょう。その時もお日様さえさせば、暖房など一切いらないそんな性能です。
また
「超高床1.4m」によるメンテナンス性、
「窓の交換」のしやすさ
も予算が取れれば取り入れたい仕様です。

もちろん自然素材のインテリアと高基礎は標準ですね。

オーブルデザインは過去の家のデーターや取り組みを全てHP、ブログ、掲示板上で公開してます。これは建て主さんに対する建築士の「誠意」です。
また、過去にお手伝いさせて頂いた建て主さんへの「責任」でもあります。
どうして他メーカーが同じように公開しないか理解できませんし、建て主さんも「自分の家」だけは違うと思っているのか、過去の家造りのデーターに関心がありませんね。

環境住宅「緑の家」は今見ても全く「誠意」ある12年前の性能。例えば全て高気密高断熱や高基礎によるメンテナンス良好やコンクリート強度など、これら13年前の仕様はすべて今の長期優良住宅の基準を上回っております。全棟、全棟です。どの建て主さんにも正しい情報を発信できたと思います。手前味噌ですがすごいと自負できます。

1998年作成 緑の家の特徴
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/midorinoie/midorinoietoha01.html

1999年作成 住宅コラム
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/15.html

1999、2002年作成 住宅コラム ある中堅県内メーカーチラシから
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/20.html
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/53.html

1999年作成 住宅コラム 一年でかわるチラシ
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/11.html

2001年作成 住宅コラム ○井ホームへの苦言
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/01.html

2001年コラム 住宅コラム チラシについて
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/28.html

2000年 住宅コラム 設計工事監理契約
http://homepage2.nifty.com/arbre_d/news/b_number/38.html

2001年 掲示板 基礎高
http://arbre.green.coocan.jp/?m=listtop&p=46


東芝の住宅用換気扇とその応対 

今の住宅では法律で定められた24時間換気扇が設置されています。だから換気扇が止まると結露、シックハウス等いろいろな不具合がおきる事が想像されます。行政指導では24時間換気扇のスイッチは容易に切れないようにすることが推奨されており、もし手元にスイッチがある場合は、常時ONの注意表示をします。

その換気扇が最近いろいろ問題が出始めてきました。写真は最近あるお宅のトイレで使用されている換気扇を掃除したところ、蓋が閉じないことがわかり建て主さんが調べたところ、故障部分と思われるところの樹脂が茶色くなっていました。どうも油ではなく熱による変色のようです。この換気扇はお住まいになってから一度も止めたことがない24時間換気扇で、いつからこのような状態であったかは推測はできません。またこの換気扇は東芝VFP-8XS2という当事務所でずっと使い続けている定番中の定番です。延べ50台以上は設置されていると思いますので、心配になりメーカー相談窓口に連絡しました。最初はカタログにあった電話番号へ、次にそこから紹介された番号かけました。いずれのところでも全く同じ説明をしました。
私としては、この茶色変色は設計の想定内か?他に使っている換気扇は大丈夫か?がわかれば問題なかったのですが、メーカーさんは、「直接見ないとわからない」との事だったので、この写真は送れず、建て主さんに直接連絡してもらいました。
すると、建て主さんから電話があり、「東芝さんが「出張料5000円」がかかるといわれた。有料修理のつもりはないので、「考えます」といって電話を切った」、そして私のところにその話を頂きました。
私が東芝さんと電話でお話したことと違うので、再び東芝ライテックさんの担当者さんにかけると「昨日の担当者とはおつなぎできない。再び経緯を話してください。」との事で3度目の説明┐( ̄ヘ ̄)┌ もちろん最初から。最後に
「修理依頼ではない。変色を見なくても大丈夫というならそれでこの件はおしまいにします」と私。
「お答えできないので少々お待ちを」で電話が切れ
また違う担当者から
「ではやはり見に行きます」
「ではお願いします」・・・と私。

少し残念ですね。技術者にこの写真を見せれば、茶色く変色した想定内かどうかなんて直ぐわかると思うのですが。想定内ならまったく問題ないで簡単に話は終わります。単なる寿命です。
最近は簡単に精密な写真をやり取りできたりするので、いらぬ出張経費を使わなくても良いことが推奨されており、無駄なエネルギーを省く世の中の流れだと思いますが、どうしてなかなかそうならないかな~。

この換気扇に対する思いは、この春施行された、「長期使用製品安全表示制度」のため、
「設計上の使用期間13年。これを超えて使用されると発火、怪我などの事故に至る恐れがあります。」
と今のこの換気扇には表示されています。が、まだ3年でこの変色だから心配でメーカーに伺ったのに・・・。

  そこで決心しました。このメーカーの換気扇は今後使いません。先日検討していたパナに決定します。
あー決心がついてよかった。東芝さんに感謝!!


新潟の家 長期優良住宅の問題点と補助金


ようやく来ました。長期優良住宅の補助金交付決定通知。名義人が「仲村建設」さんになっているのは、先回お話したとおり、今回の補助金申請人は、「建設会社」でなければなりません。がしかし、この補助金の申し込みには、建て主さんにこの補助金を渡す(補助金はあくまでも建て主さんに行く)という覚書のようなものが必要です。ですので建て主さんの代理者であれば「設計者」であろうが「施工者」であろうが極端なことを言えば「司法書士」であろうが問題ないと思いますが、今回は選挙があったせいか知りませんが、「建設会社=施工者」になるところに疑問符がつきます。

そしてもっと不思議なことは
この補助金を受けた長期優良住宅の完成チェック機能がまだないことです。

言い換えれば、インチキしやすいシステムということでしょう。これが建て主さんの立場で考えるとこのシステムの問題点です。

具体的に言うと、

1.耐震等級2以上の基礎の施工チェックがない。

2.温熱環境最高レベル等級4の施工チェックがない。

3.メンテナンス最高レベル等級3の施工チェックがない

4.耐久性最高レベル等級3の施工チェックがない

ということです。

長期優良住宅の申請者はもちろん建て主さんです。が、専門知識が必要なこの申請は絶対と言ってよいほど「建築士」が代理申請します。このときこの建築士は「確認申請上の設計者、工事監理者ではなくとも良いのです(ここが問題ですが、解釈が間違っているかも知れませんので。後日確認します)。
確認申請の作業より数段上の難易度の長期優良住宅の申請には、構造計算書や各種メンテナンスの考慮が必要で、確認申請時の設計図書より数倍の量になります。この図面どおり施工が行われるかどうかのチェックが公の機関では行われません(写真程度)。本来なら法律上の工事監理者が責任を持って行われるはずですが、先ほど申し上げたとおり、確認申請時の法律上の工事監理者と、長期優良住宅の代理者が別であるとすると、責任の所在がありません。法律では設計工事監理委託の重要事項説明時にその点が明らかに説明されなければならないはずですが、それは稀でしょう。だから長期優良住宅に対応する工事をしていなくても、図面さえそうなっていれば「補助金」がおりる可能性があります。施工のチェックシステムがない補助金システムはとても問題です。「性善説だよ」という説明であれば、ここ数年これだけ厳しくした行政のチェック機構は一体何だったのでしょうか?
税金を直接補助金として特定の建て主さんだけに交付するこのシステム。

特に問題は個人建て主さんではなく、建売販売する業者さんがでしょう。個人建て主さんは自分の家ですから少しでもチェックするでしょうが、業者さんはいかに原価を下げるか?ということをいつも考えてます。長期優良住宅の内容がほとんど完成表面に出てこない仕様(耐震性、省エネ性、耐久性)ですから、完成してからではほんとに施工されているかどうかわかりません。もし悪意がある団体であれば・・・。施工途中の写真報告はありますが、悪意があれば写真なんてどうにでもなります。

性能表示では建設評価があり、公的な人が現場で細かくチェックします(本来なら工事監理者の仕事です)。だから長期優良住宅と違い施工のチェックする公の人がいます。長期優良住宅では、図面の公のチェックは入りますが、施工のちチェックはありません。
私は法律で決められた工事監理者(確認申請書に記載)がいれば、そもそも公のチェックなど必要ないと思います。それが本来の姿ですが、工事監理者が誰だかわからない建築主さんがほとんどの現在、交付金を使う公のチェックはあったほうが良いと思います。交付金は皆さんが納めた税金ですから。

補助金自体は大変感謝できることですが、建て主さんが不利益を受けやすいシステムは大問題です。やはり長期優良住宅は仕様が少し上なので価格が高くなりますから。


新潟で南雄三講師の勉強会「長期高価値住宅」とは?

2009.09.18加筆
2009.09.27赤字修正

 

昨日住宅評論家として有名な「南雄三」講師による講演というか勉強会に出席させて頂きました。
主催は上野住宅建材(見附市)です。この会社は県内にR2000を紹介した由緒正しい高気密高断熱建材及び輸入会社です。
さて内容は、南講師が力をこめる「長期高価値住宅とは」です。
皆様ご存知のとおり、最近は長期優良住宅が推進されてます。これは他の先進諸国と比べ日本の家の建て替え寿命が著しく短い「短命住宅」であるからです。ちなみに日本が30年に対し最長のイギリスが80年以上、米国等でも60年以上だそうです。これでは一向に家が社会資産とはなりません。返済が終わると同時にとりこわしですね。

まずジャブとして日本の抱える欠陥(世界との比較)ということで、
日本では先進国の中で特殊な高齢者高貯蓄国家。老後における国の施策が不安なので老人の貯蓄が世界一。この不安(恐怖)がある限り、お金が回らない内政状況・・・。
そのとおりですね。老後の恐怖がなくなれば、もっと心が豊かになりますよね。あの高福祉国家スエーデン?(だったと思う)は、100年位前に「姥捨て谷」があったらしいとの事です。それが今は世界一の高福祉高負担国家で、経済も住まい豊かといわれてます。老人は不安なく日々過ごせるそうです。日本には姥捨て山があったのですが、姥捨て谷とは・・・高齢者を突き落とす谷の事です(絶句)。

次に・・・この本は、南講師が「絶対買いなさい」に脅された(笑)本です。昨日早速アマゾンで中古を購入しました。

さて、日本の住宅はなぜ30年で取り壊されるのか?日本は家を買ったらその家は死ぬまで住む(借金返済)という前提。だから自分だけの家を建てるし、老後不安だからその家でお金のかかるメンテナンスなどしないでお金をためる→その建てた住人が死んだら誰もその痛んだ家には魅力がない→流通に乗らない→売れないで壊される。そして政府の持ち家政策が推奨され、自分だけの家となり、短命ということらしいです。

いつも賛同する南講師のご意見ですが今回は・・・実は私はそう単純ではないと思います。

ここから拙者の主観で書きますので興味のある方だけお読みください。

日本には長い寿命の住宅も多くあります。例えば新潟県の農家の家は、50年以上は当たり前に建っていることが多いです。一方新潟県でも市街地に建てられる家の多くが短命です。また、日本は他の先進国と違い大部分が亜熱帯地方に属するような気候があります。その亜熱帯地方の建物は比較的短命です。

さて、農家の家がどうして長命だったか?それはまず戦後すぐでも家にお金をかけられた。つまりお金もちだったからからです。そして農家には家を継ぐ(あと取り)という習慣があり、農地とともに家ごと引き継いできました。農地は移転はできませんから、家もその周囲になければなりません。ところが農家以外の職種では、この「あと取り」という習慣が薄く、家を引き継ぐ理由がなかったのです。そして戦後お金があった(食料が一番お金になったころ)農家は立派な家(広くて庭がなどしっかりある)が建てることができました。
一方農家以外の家は小さく、家があれば良いという程度の家(国もそう推進していた)なのでどちらかといえば粗末な家が造られました。実は亜熱帯地方の気候である日本は、粗末な家でも耐えられる気候だったのです。ここが他の先進国と違います。亜熱帯地方の普通の家は、ほとんど薄い壁、雨がしのげればよい程度の屋根だけです。一方日本の中でも寒い気候に属する北海道ではそれではなかなかつらい気候ですが、これはほんの日本の一部でしかなので、国の施策は、とにかく安い家でいいからたくさん建てて、人を増やすことに力を注いだのではないでしょうか?日本の人口密度を他の先進諸国と比べると高い事がわかります。人口密度高い国は、気候が亜熱帯以上の国がほとんどです。韓国が日本より高い人口密度ですが、森林を占める面積が多い日本では、実質同じぐらいでしょうか。

そしてこの亜熱帯気候。これがやはり住宅の寿命を大きく左右しているのではないかと思います。
それはカビと腐朽菌です。日本の気候では、家は放って置くだけでカビが蔓延します。特に有機天然素材で作られた家は必ずカビが生えます。一方住宅長寿先進国は気候が北海道並で梅雨などないところがほとんどで、カビが勝手に増殖する気候ではありません。
よく「取り壊された家は構造的に寿命でだめという理由はほとんどない(構造が腐って勝手に家が倒れた)」と言われます。そのとおりですね。でも古い家はほとんどといってよいほどカビ臭がします。また手入れを怠った家も独特のにおいがします。この匂いは、簡単に取れませんし、日本人は強い匂いを生理的に嫌う傾向があります。特にこの匂いはその家々で違うようで、自分の住んでいる家の匂いは問題ないでしょうが、他の家の匂いは受付にくいですよね(体臭でもそうですよね)。ですので真新しい木の匂いにとても価値を感じるのでしょう。
一方カビの生える気候は悪いことばかりではありません。木が生長しやすい気候であるため、木造住宅を50年持たせれば、木の循環が可能となります。だから50年で壊しても良いことにはなりませんが、木材が比較的手に入りやすいので、壊しやすかったともいえます(今は北米、北欧の輸入木材が安価なので大半を占め、少し矛盾してますが)。

さて短命の理由は、好き勝手に建てられる家のため売れない→流通が育たない→取り壊される
ということも無論ありますが、私はこの日本の気候と戦後の貧しさと国の政策の問題が大きいと思います(一極集中施策、非木造推進施策※を含む)。好き勝手に作るのは、そうしないと造れない地代の高さと制限があり、またその制限が町並みに対する制限をまったく含んでいなかったせいでしょう。いろいろなデザイン、新建材が横行したのは、貧しさゆえの表面のごまかし(建材含む)だと思います。お金をかけられた家は、古くてもデザイン的に今も問題ない家が多いですから・・・。
また歴史的背景もありそうです。江戸の庶民の家は火災が多く、結構頻繁に建て替えがあったとされてます。庶民の家(大きな武家や地主の家は別)は、短命でも仕方ないと思って歴史が長かったのでしょうか?

勉強会で賛同する部分というか、「そうか!!」という部分は、「モーゲージ・ローン」と「ノン・リコース・ローン」でした。このローンで「貧しさ=家にお金がかけられない」という部分が解消されるきっかけになりそうです。
米国では、住宅の融資の基本はこのモーゲージ・ローン(且つノン・リコース・ローン)だそうです。これは、家、土地だけの担保でお金を借りれ、もし払えなくなったときはその家と土地を手放せば、それ以上責任を取らなくても良いというローンだそうです。日本では、人にお金を貸しますので、仮に家と土地を手放しても、借金が残っていれば払い続ける必要がありますが、モーゲージノン・リコース・ローンでは、手放せばローンは一切チャラとなり、また出直せるということです。これはすごいシステムで中古住宅が流通に乗る基盤になります。人にお金を貸した場合は、その人が今後稼ぐ以上に融資は無理ですが、このローンなら関係ありません。その人の収入がどうであれ家が社会的資産になりますから・・・。是非このシステムが日本にも定着することを願います。

さて、私の結論ですが、今までの短命住宅は仕方ないというより感謝です。これだけ経済が成長できた政策優先は支持しますし、それを行って頂いた諸先輩には感謝申し上げます。
今後はやはり長期高価値住宅は、子供たちに残す財産として必要です。もっと心が豊かになるように、家の借金が終わった途端壊されるというローン地獄の連鎖を断ち切る必要があります。その長期価値住宅の目標とする対応年数は、木造で平均60~80年くらいではないかと思います。これで地方では約3世代が引き継ぎます。一方都市部ではコンクリートの寿命となる80~100年くらいで、10から20サイクル(転勤や転属で4~8年)の入れ代わりが相応という気がします。
地球環境が激変する可能性の高い今世紀。手塚治氏のような想像力があれば別でしょうが、我々技術者ではどうがんばっても60~80年の目標をたてるだけでも精一杯です。

最後にいろいろなことを考えれる時間があった、講師の南様は無論、このような講演を主宰された上野様にも感謝申し上げます。

※・・・日本建築学会が木造住宅推進だった昭和34年からの20年間は、木造住宅の構造的進歩が止まりました。このころ建てられた多くの家には耐震性や断熱、耐久性などはまったくといってよいほど考えられてません。このような基本的性能がない家だから取り壊すしかないと考えます。


新潟の家 24時間換気システム 排気換気扇の悩み・・・。その2

窓を閉め切る冬や真夏には、換気扇が運転し換気されていないと、結露やCO2の増加、臭気など問題が出ます。ですので24時間換気システムは、現在の住宅で健康や衛生の要となっています。
数日前のブログに24時間換気システムの悩みとして排気用の換気扇にフィルター付きにするかどうか悩んでいるとご紹介しました。今年度の建築学会の論文にその点が研究発表されてました(これはタイムリー、、、当事務所っていつもその最先端の悩みあり?? (笑))。

これは2009年建築学会論文の中の北海道大学、菊田先生らによる論文41139から抜粋

この写真の排気用換気扇は、当事務所が使用しようと思っていた機種と思われます。
実験によると、粉塵2.5gを吸い込むと換気量が下がり始めるとなってます。では2.5g吸い込む時間は・・・約4ヶ月だそうです。
グラフによるとフィルターを設置してある排気用換気扇は、1年で排気量が半分近くなるような結果となっています。
やはり、当事務所が使っている給気用換気扇のフィルターメンテナンス時期と同じく、フィルター付き排気用換気扇も4ヶ月に1回はお掃除の必要がありそうです。
フィルターなしの場合は、数年間は問題なような報告が以前されました。だからメンテナンスは格段に減るのですが、埃が付き過ぎると壊れます。これらを踏まえてフィルター付き換気扇を標準(Sプラン)にするかどうか悩むところです。

あっ・・・「SSプラン」では同時給排型熱交換換気扇が標準なのでいずれにしても4季ごとにフィルター掃除は欠かせませんが、これは仕方ないことでしょう。

PS
今日6年ほど前に竣工した建物の排気用換気扇が壊れたというご連絡を頂きました。実は18年くらい使っている拙宅の24時間排気換気扇はまだ壊れません。プロペラ掃除はこれまで2回程度です。品質のばらつき?メーカー?すこし不思議です。ちなみ拙宅はパナ製ですが、どのメーカーも全て大手です。


新潟の家 24時間換気システム 排気換気扇の悩み・・・。

当事務所の24時間換気方式は2通りありSプランが第一種セパレート換気システム。SSプランが第一種セパレート換気システム(熱交換付)である。違いは熱交換があるか?ないか?だけ。そもそも第一種とは、排気と給気の両方に電気を使うプロペラが入っている換気のこと。また、セパレート換気とは各寝室それぞれに換気扇があり個別に運転している換気システムのこと。このシステムの採用はかれこれ15年以上前になる。当時新大の建築学科の研究室で換気についていろいろ実験をして頂いた。このとき一番安価でどんな条件でも効率が良かったのが、この換気システム。

さて悩みとは・・・。最近「排気」換気扇にフィルター付が販売されている。私としてはこれを採用したいと思うのであるが、1つの問題で躊躇している。本来排気換気扇にフィルターは不要である。なぜフィルターがある排気用換気扇があるかというと、プロペラのお掃除をしなくとも良いからである。プロペラは10年くらい経つと埃が着き、効率が落ちる。ほっておくと機器の寿命を縮めることにもなる。だから7年から8年ぐらいでお掃除するが、結構面倒。そこでフィルター付が発売された。

しかしフィルターがあるということは、フィルターのお掃除を必ず一年に一回は必要とすること。エアコンのフィルターもお掃除することが重要であるが、あまりしていないご家庭だってある。エアコンはフィルターを掃除しなくても効率が落ちるだけであるが(これも問題だが)、排気換気扇は目詰まりしたら換気が不十分で健康や家自体に悪影響を及ぼす場合がある。そこでお掃除が数年間は必要ないフィルターなしのほうが良い気もする。
・・・悩むところ・・・(フィルターがある機種はやはり価格が少し高いが、それでも4台で+6000円であるのでまあ良しとする)。

さて、先月ある「緑の家」の24時間給気用換気扇が全てがおかしくなりました。7台とも全てです。築6年であるということは6年間動き続けておかしくなったかと思ったら、実は1年以上前からうるさかったので止めたとの事です。実運転は5年くらいでしょうか?あまりにも短く全てだったので、こちらの故障の原因をメーカー工場の品質保証部で確認して頂いたところ「経年劣化による寿命」という報告書が来ました。24時間換気扇で販売しているのに5年で寿命???納得はできませんが、担当者のせいではないですからここは抑えて一応電話を切ります。
そういうこともあり換気扇機種を再考しようと考えてます(ここ数年間の使用機種はこのメーカーではありません)。しかし最近の今使っているメーカーの同じような機種にはシールには「標準使用期間13年」とあるのにこの短さ・・・残念・・・です。某大手換気扇メーカーさんがんばって下さい!!

下は最近使用している換気扇です。


新潟の住まい ログハウス等は雨漏れ仕方ないの?

最近の業界情報によると

「ログハウスと外壁が真壁構造(伝統工法や数奇屋建築に多くある)の家の雨漏れは、瑕疵保証制度の10年保証とはならない」

となっています。

つまり工法上ログハウスと真壁構造の家は隙間が生じやすく、暴風時に雨水の浸入は起こりますので、それは瑕疵ではありませんよ。と言うことです。これには賛同します。もともとアルミサッシでさえ、著しくサッシの持つ性能超えた場合(降雨量が240mm/hで風速23m/s時W-4)、雨水が逆流し室内に流入します。しかし一時のことなのでそれは仕方無いこととなります。市街地では発生しにくいのですが、野中の一軒やや、海岸沿いの家では年1度以上はあります。これは冬の拙宅の暴風時、サッシから雨水が吹き出てくるときがあります。樹脂サッシの開き戸という引き違いサッシより水密性が数段高いサッシでもこの通りですから・・・(18年目なのでパッキンが痛んでいると思いますが)。

さてログハウス(丸太組み工法)では、建築当初から壁を構成する丸太の乾燥は大変難しいので、数年後乾燥が進みそれに伴い丸太が縮み隙間ができます。これをセトリングといい、通常セトリングの修正するのですが、それでも一様な縮みではないので隙間が生じます。そこから暴風雨時雨水が浸入します。仕方のないことですね。と言うことは気密性もないと言うことですが、そこには触れないように・・・。ログハウスが好きな方は、そのくらい何でもないことですから。

写真は風の強い冬のログハウスの外部囲いの様子。

PS・・・20年位前から寺泊にあるログハウスで有名なレストランの「WINDS」はなんともなかったのでしょうか。半端じゃない条件のところにありますよね。今度伺ってみますね。きっと初期メンテナンスがよいのでしょうね。


デザインと安全性。せめて違法な階段撲滅。

日経ホームビルダーや日経アーキテクチュアーの発売元大手の日経BP社の記事は時折深く考えさせられます。今回もそのひとつです。(全文を見るのに無料会員登録が必要です。)

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20090714/534038/

階段で子供を抱えた女性が子供が動いたはずみに、手からこぼれ手すりを越え十数メートル落下し子供が死亡した事故です。普通ではありえないことがおきましたが、階段は屋内空間では非常に危険な場所です。

当事務所の階段の手すりの高さは80cm程度です。特に高くはありません。もし住宅でなく不特定の人が利用する建築物であっても110cmです。しかしこの110cmの高さがあっても今回の事故(事件ではないと思う)は防げなかったでしょう。悲しい事故です。法律の基準を守っていながらでも事故はおきます。階段はお風呂と並び最も重大事故がおきやすい危険場所です。お風呂の危険性は、小さい子供のいる家庭以外なかなか実感できませんが、階段の危険性は、ほとんどの方が一度は「ひやっ」としていると思いますので、わかると思います。しかしそんな中でも、いまだに片側に壁や手すりが存在しない危険な「法律違反」の階段を堂々とホームページに載せている建築会社があります。かなしい事です。既に数年前以上からこの話題をHP上で公開してますが、いまだその会社のHPでは法律違反の階段が堂々と大きな写真として載ってます。小さな会社なら指摘はしませんが大きい会社です。こんな重要な部分を違反する会社の建物は他の部分でも・・・違反(偽り)しているでしょう。また間違いを平気で否定するでしょうね。くわばらくわばら。

話は変わりますが、上の日経BPのHPには、トーメイなガラスに衝突して亡くなった子供の記事もあります。トーメイなガラスがないものと思ってぶつかった経験はありませんか?実は私はあります。ですので室内でトーメイなガラス戸を使うときはアイポイントを必ず貼ります。最近は室内戸のトーメイのガラスの設置自体がありませんが・・・。ちなみに米国のほとんどの州で、ある一定以上の大きさの掃き出し窓(テラス戸)には、強化ガラスの義務付けあります。子供を危険から守る法律では徹底しています。これは日本でも必要かも知れません。


新潟の住まい 本当にヒノキ、杉は耐久性があるのか?

もう10年くらい前に当HP上でもご案内している古いニュースであるが、最近誤解されて使っている方が多いのでが改めて説明する。

この写真は巷でよく使われるヒノキの4寸(120mm角)柱。

さて、この有名なヒノキは耐久性があると言われているがそれは本当か?

国の見解では、写真のような柱ではホントでもあり間違いでもある。

というのは、写真の四角い柱の木口の赤い丸のようなところと白く残るところの耐久性は著しく違う。つまり白いところは耐久性が松や栂(心材)よりも劣る。この白いところは「辺材」と呼ばれ、木が生長途中の未成熟な部分。一方赤いところは「心材」と呼ばれ成長しきった部分。硬くて耐久性もあり、この部分で木の重さを支える。だから耐久性も高い。

チラシや広告などでは「1200年前法隆寺の柱はヒノキで造られている。」というヒノキは「心材」だけで造られている。辺材は造作材(窓枠、戸枠、床、天井)として使われる。

性能評価の技術解説書(国交省住宅局監修)の劣化防止の解説では下の写真のように書かれている(オレンジのアンダーライン)。

この文で「望ましい」と書かれている理由は、ほとんどの工務店、ビルダーで上の写真のような柱を使っているため、「だめ」とかけない。しかし実際は弱いことは事実。本当に長期優良住宅を作ろうとした場合は、避けたい部材である。

青いアンダーラインも重要であるが、ここも「望ましい」と書かれている。もし建て主側にたった見解であれば、「しなければならない」であろう。この青いアンダーラインの解説は2008年の8月頃のブログにある。ご興味があればどうぞご覧ください。


新潟の住まい 良い住宅会社の選び方!過去の基礎仕様をチェックしよう。

今は情報時代。専門的な情報もインターネットでほとんど検索できる。最近では、国立図書館もネットに書籍データーをアップして誰でも閲覧可能になってきている。拙者のエアコンに関する論文(時代先取りと自負している)も「オーブルデザイン」とグーグルで検索するとたどり着く

そこで今、家に興味がある方は是非「べた基礎」で調べて見よう。べた基礎に関する法律や構造的考え方は2002年から変わっていないのに、なぜか今年から各社(新潟県のような多雪地域)いっせいに今年から変わる気配。←に詳しくあるのでどうぞ。

たまたま新潟県の低金額建設費で有名な会社のHPを見ていたら、やはりありました。標準仕様のべた基礎の写真。その基礎はべた基礎なのに、人通口が910(780)くらいある。もう5年も前から人通口はべた基礎の弱点なので人通口の幅を500(600)かつスラブに補強が必要なはず。法律では明確にこの幅は決まっていないけれど、べた基礎には裏づけなことは事実。その裏づけで簡易な方法が財団法人「住宅保証機構」が発行している「設計施工基準」にある。そこには人通口500(600)以下でスラブ補強が義務事項となっている。簡易な裏付け以外では、構造計算による確認があればOK。しかし構造計算で梁が一部欠損している補強はなかなか大変。さあ、過去のべた基礎の方法を探そう。するとその会社が将来に渡って正しく施工(計画)できるかの判断になる。基礎は一番の要。

拙者は、「家は社会の財産」と考えている。安くてもその時だけよければ・・・とは思えない。やはりせめて数十年先でもその家の価値(性能的)が下がらないように、前もって予想し準備をしておく必要がある。耐震性、断熱性は特にそうである。耐震性は等級2~3という避難病院並みの基準にしてもそう多くのコストは掛からない。設計者の心意気である。

断熱性は初期投資。必ず将来メリットとして帰ってくる。家はコンパクトになっても断熱性はSSプランが良いと今感じる。それは拙者が掲示板などで「将来はハイブリッド車が主流」と宣言した6年前と同じような確かな感覚を感じる。

の写真は人通口の下部分だけでも、普通の家の基礎高さくらいある「緑の家」のべた基礎。

10年乗っている愛車プリウス。いまだに燃費は16~19km/L。この秋プラグインのプリウスが発売されると聞いたが・・・資金がない・・・。

・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。


最大手積水ハウスの偽造 告発

今日業界の住宅ニュースを見ていたら、「建築確認の公文書を偽造、積水ハウス浜松支店の元社員刑事告発」とあった。びっくりした。最大手の積水ハウスが10棟もの建物について偽造していたとは・・・。これではどんどん確認申請の書類審査が厳しくなるはず。しかしいつも思うことは、悪いことをする人は世の中にはいる。こういう人に合わせて決まりを強化するのではなく、悪いことをした人をしっかりとキツク罰するほうが良いと思う。法律を守る人まで、法律強化のとばっちりをうけて、確認申請料のアップや、確認申請料書類の煩雑化となり、結局建て主さんへ経費アップとしてつけが回るから。積水ハウス浜松支店の設計事務所登録を抹消するくらいの事をすれば、こういうインチキはなくなると思う。普通この建築士だけの個人判断ではできない、支店ぐるみの行為では・・・と思う。でなければ管理建築士の管理が相当ずさんでやはり設計事務所登録の末梢にあたる。静岡県知事が決めることだけど、とてもひどい話である。積水ハウスは建築士の懲戒解雇と言っているが、そんな社内的な話ではないはず。
いつも申し上げるが、大手だから大丈夫!ということはありません。この事件のニュースはこのリンク先ですが、見るには会員登録(無料)が必要かも知れません。


新潟の高気密高断熱住まい 設計事務所とは? その2 施工と設計の分離

この写真は、 7年位前のある家の設計と施工が同属会社の工事中の写真。

その2では、設計と施工の分離が完成後とても大事ということをご説明したい。

設計と施工が分かれていると瑕疵があった場合、責任の所在が明確にならないため良くないという不思議な主張がされていることがある。責任が明確にならないのは、しっかりした図面がないからの一言。施工と設計が違う会社だからではない(また付け加えるなら、工事監理者が施工側の人間だとさらに問題)。60枚以上にもなる図面があれば、その記録があるので責任の所在はおのずから明らかになる。なるから公共建築では設計と施工の分離が当たり前である。責任の所在が明らかにならないのは、記録が建て主側にはないということが一番。例えば設計や工事監理が施工と同じ場合の問題点は以前当コラムに載せた。まさにこの会社が設計と施工が同じほうが責任の所在が明らかになるといっているが、その写真の現場をどう説明するのだろう。「昔のことだから、釘の指定の記録がないので仕方ない」といわれた建て主はたまらないだろう。このころからしっかりと、専用釘以外は問題あると住宅金融公庫にも記載があるし、業界では常識。

また、一番感じるのは設計と施工が同じ会社であると、建築後(入居後)問題が起きたときに建て主側に立つ専門家がいないこと。設計者は、建物が図面どおり建築されるだけでその職務が終わることはない。建築後その建物に何か問題があった場合、設計の瑕疵なのか、施工の瑕疵なのかを一番わかる立場である。もし設計に重大な瑕疵があれば、施工中に普通は発覚し施工や建て主から是正を求められる。一方施工の瑕疵があり、それが工事監理中に見つけることのできないもの、例えば木材の品質(造作材や構造材も製品上の欠陥は、工事監理で見つけることは難しい)、設備機器や配管の品質等は専門性が高いので一般的に難しい。このような不具合が見つかったときに、第三者の立場(建て主さん寄りの)できちっと対処してくれる。ところが、設計と施工が同じ会社の場合、どちらの原因であっても経費(修繕費)が発生するので、なるべく両者とも穏便に済ませようとする。これは営利団体である以上仕方のない性である。全くの別会社であればそういうことにはならない。ましてや設計者は建て主に雇われた専門家である。間違いなく分離されたほうが、責任の所在は明らかになりやすいことは、冷静に考えればわかる。

また、設計と施工の分離の場合、コストコントロールが難しいというご指摘もある。これもう不思議な話。設計と施工の分離は、適正な価格がわかる最良の方法。万一、仮にどこに見積もりを出しても予算がオーバーするなら、その建物はその位の資産価値があることを、皆が認めたもの。予算オーバーなら、減額設計を行えば適正価格になるし、資産価値と同様の価格ということ。一方、設計と施工が同じ会社だとコストコントロールできるという主張は、昔の棟梁一括請負と同じ主張。予算があわなければ、建て主の気にしないところ(気づかれないところ)の仕様を削って予算を合わせる(利益を出す)ことになる。それが営利団体。勿論、図面と仕様がしっかりあれば(図面枚数60枚以上)こういうことにならないだろうが、ほとんどが少ない図面数(30枚程度)。

また、入札で建築後施工会社が安く受けたのことで倒産しやすく、その倒産後困る。などというのもおかしな話。しっかりした建物は、仮に造った会社が倒産しても特に大きな問題はない。建築後その施工会社が倒産して困るのと思うのは、無料の不具合修正がなくなるという恐怖感。しっかりとした設計で工事監理を行った建物は、不具合が少ない。先日倒産した大手マンションメーカーの住民は、建物自体では多きな問題はないはず(管理会社の倒産は大変困る)。

色々な言い方や主張がある。それは仕方のないことあるが、裏づけのない事象で「恐怖」をあおる様な説明は、あまり歓迎しない。


新潟の高気密高断熱住まい 設計事務所とは?

今日は午後から仕事。これは午前中の家の前の海の様子。風があったせいで波が白いが、沖はエメラルド色。

ここ数年「デザイナーズハウス」とか「建築事務所」と宣伝する、法律で決められた「設計事務所」でないのに、その匂いを感じさせる名称や商品名が多い。
設計事務所と会社名称につけられるのは、施工を行わない純粋な設計または、工事監理等しか行わない会社にしかつけることはできない。これは○○病院と同じように、その専門性(免許が必要)の保護の観点から法律で定められている。
ところが、設計事務所というと「センスの良い」、「最近の」というイメージがあるので、最近の建設会社の名称に、○○建築事務所と名称を付ける会社が多い。このぐらいなら良いと思うのであるが、一番納得がいかないのは、設計事務所が設計したのに、施工する会社をグループ会社や親族経営や設計事務所と社長が同じという会社に限定しているところ。まるで分譲地の建築条件付きと同じ販売方法。(公共建築ではあり得ない)
本来設計事務所とは、建築を造るという一大事業の計画を、建築を専門としない建て主さんの代わりに免許のある専門家が設計図という成果物で「形」にする仕事。先進国のほとんどは、この設計業務と建設業務を注文住宅という小規模の建物でも分離することが普通。日本でも公共建築のほとんど全ては、設計(工事監理)と施工が完全分離されている。これは建て主の利益を冷静に考えれば当たり前である。
しかし最近は注文住宅でも設計と施工が同じ会社のほうが良い建物ができると豪語する住宅会社がある(規格、プレハブ住宅は別)。それが本当なら公共建築も世界の国々も、設計と施工一体の事業がほとんどになるだろうが、そんな話は聞いたことがない。そんな眉唾な話をチラシ等で情報発信するのであるから不思議な感覚。本来建て主さんのメリットを考えるなら、設計と施工の一体化のメリットとデメリットをきちっと話せばすむことなのに、最初から丸めこもうととしているこの説明は、とても信じがたい。誰が考えても注文住宅なら設計と施工が分離されたほうが、しっかりと図面通りの建物が建つ確率は高い。図面がない戦前の大工棟梁の家なら別であるが・・・。
設計と施工を分けるデメリットとは、施工会社が決まるまで確定金額が不明であることに尽きる。当事務所の「緑の家」では仕様がほぼ同じなので、計画金額と実施金額の差が3%に納まることがほとんどであるので、このデメリットはそう大きくないが・・・。
みんな自分の業に誇りを持ってその仕事に当たれば、そう誇張宣伝する必要もないと思う。


新潟の住まい 性能表示とメンテナンス性 高気密高断熱の緑の家

先日S邸の「住宅性能評価書」をERIさんから頂いた。 設計性能どおり建設も同じ評価を頂いた。

評価は10項目あるが、「緑の家」が大切にする評価は1.耐震性、2.温熱環境(所謂高気密高断熱)、3劣化防止性、4.維持管理の4つである。この4つ以外は光や音、防犯性、バリアフリー等がある。

耐震性を除く等級はすべてトップ等級であり、耐震性は上から2番目の等級2である。耐震性をトップの等級3にすることは経済的にも技術的にも簡単であるが、あえて基本は等級2である。この等級は地震時の避難施設にも求められる性能で、必要且つ充分と見ている。等級3になると、吹き抜けや窓の大きさが制限されやすい。無論等級3にこしたことはないが、後はバランスの問題である。ちなみに耐震性最低評価の等級1は、評価機関で基礎の構造チェックをしないので、果たして基準法を守っているかどうかは、その設計者しか知らないブラックボックスとになり、これが問題である。

さて、超寿命住宅はどなたでも求めているものであるが、そのとき大事な性能が「メンテナンスのし易さ」だと私どもは考えている。例えば配管設備類。配管は長くても20年くらいで掃除やチェックが必要になるといわれている。その時、下写真のように最近流行のべた基礎の基礎スラブ内に配管されていたら、これではメンテナンスし難い。もちろん性能評価でも配管類をスラブ下に埋め込むと維持管理のしやすさの評価は低い。加えて床下にあるので、歩腹全身でしかメンテナンスできない。メンテナンス性がよいとはおせいじにもいえない。

中越地震のとき、被害地には「緑の家」があり、ある程度被災地が落ち着いてから被害状況確認と修繕のつもりで点検に伺った。内一軒で、床下内の排水管接合部のずれが見つかった。大きく漏水はしていないものの、ぽた、ぽたとしずくが落ちているのが確認できたので、早速修繕した。普通の家ではこのような発見は難しい。大きく漏水するまで発見はできないだろう。普通の家では、歩腹前進と真っ暗な床下は誰も入ることを躊躇するから・・・。

緑の家では11年間このように簡単にメンテナンスできる床下をほぼ100%提供し続けている。これが自慢である。

「緑の家」のお風呂の床下配管メンテナンス写真。配管は基礎立ち上がりから屋外に貫通し、スラブに埋め込まれていない。普通お風呂の配管は一番見にくい場所と構造になり、こんなにオープンに見えることはありえない。


新潟 家情報 「虚偽」、「過去の削除」の多い住宅業界。

今日のアサヒネット情報で、「「トヨタホーム」が顧客に虚偽説明を2000件以上」という記事があった。トヨタホームは、車の大手トヨタの完全子会社。中部ではとても有名なハウスメーカー。ローンの手数料が無料と言いながら、2300件以上の人から手数料を取っていた。問題はこれを2002年から「公正取引委員会」から排除命令を出されるまでほっといたということ。こういった事は、なぜかよくある話。実は、まえからアナウンスしているとおり、新潟県のべた基礎は非常に大きな問題がある。「緑の家」の基礎は高さが1mあるので、基礎梁として構造計算を行うと、主筋が2-D13でなんとかOKであるが、巷の一般的な高さ60cmの基礎では、主筋D13で3mを超える基礎梁は全て「×」となるだろう。ということはほとんどの会社のべた基礎は×だ。そんな基礎配筋の現場写真を「しっかりべた基礎区画で造ってあり大丈夫」と堂々と公開しているブログが多数ある。知らないとは怖いこと・・・。

大手木造メーカーのホームページはとても立派にできていて感心するのであるが、ひとつ大きな問題がある。それは、過去数年前の家(商品)がどこにも載っていないのである。10年前、新潟県では「高気密高断熱」を薦める大手メーカーは皆無。それどころか、「高気密高断熱」は不必要(あぶない)で、かえって高断熱だけがよいとまで言っていたメーカーがあるくらい(今でも自然素材住宅会社や薪ストーブメーカーは、高気密に否定的。゚゚(´O`)°゚)。ところが、今では「高気密高断熱が標準ですよ」と大きく書いてある。そして過去の家の標準仕様はデーター削除。削除ですよ。探してもホームページ上からない。住宅より相当短命の家電製品でさえ、過去の商品仕様は残してある。本当に不思議な業界である。でも大丈夫。過去の8年分の他社チラシは当事務所に保管してある。見たい人はお問い合わせを。さてそのチラシを見るとまったく違うことを言って販売していた会社がわかる。これってとても問題だと思う。なぜなら、高気密高断熱だったら、新潟では20年くらいまえからあったし、拙宅も20年前に計画し18年前に完成している。ということは当時否定していた会社は正しい情報を選別する目がなかったということ。つまり他の性能部分も同様と考えると、耐震性の部分がとても心配。さて、皆さん!過去住宅データーを集めてみませんか?その会社の本質がわかりますよ。その時だけの使い捨て商品をすすめるか?本当に良いもの勧めようとしているか?住宅は25年以上はともにする長寿命物であるから・・・。


無断房住宅、ゼロエネルギー、200年住宅は耐震偽装匹敵か?

たまたまこんなブログを見つけた。住宅研究者では有名な鵜野日出男氏の元旦のブログ!!

そこにはきっぱり、「200年住宅も無暖房住宅、ゼロエネルギーも耐震偽装に匹敵。」

詳しくはここのページをご覧ください。無断房住宅やゼロエネルギーと言って販売しているほとんどが偽装。200年住宅に至っては「官製偽装」ときっぱり言い切っている。そういえば私の恩師である先生も「ゼロエネルギー住宅」で販売しているセキスイハイムの担当者に、3年以上前から「いんちきだ」と言っていた。太陽光発電は初期投資がとても大きいので、ただ単にエネルギーの先払いをしているに過ぎないと。

ここまできっぱり言って頂けると気持ちが良い。私もそう思うし、先回の私のブログでも「新潟では無断房住宅はありえない。」と明言している。住宅が日本の数倍の期間使用(イギリスでは100年は当たり前)される先進諸国でも、200年住宅と言って「販売」している国はない。なぜ日本のような取り壊し平均寿命が30年と言う住宅後進国が200年住宅などと国をあげていえるのだろうか?カナダや米国から住宅を輸入することはあっても、輸出することはない住宅後進国なのに・・・。悲観的意見ではなく、客観的にみると、他国からはそう見える。そういうことである。 家を愛する、愛される、その仕組みを考えて初めて200年メンテナンスされるはず。有名な神社、仏閣のような信仰心と同じ位、その家を愛する気持ちでもなければ、継続することはできない。田舎の古い民家が100年以上あったのは、そういう気持ちに家族、一族がなれる仕組みがあったから。・・・だと思う。


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