「 超高断熱、無暖房、パッシブ、Q1、気密 」一覧

新潟の自然素材の家 論より証拠 20年経た樹脂サッシ

先日、「これからは樹脂サッシだ!アルミ樹脂複合サッシは賞味期限間近品だ!」と宣言しました。そうしたらその記事に貴重なコメントを建て主さんから頂きました。

「樹脂サッシは紫外線劣化するので心配」
なるほど!普通はそう考えますよね。そこで論より証拠。

はい。拙宅の20年経過した樹脂サッシです。その上のアイアンウッドのすだれ掛け(夏限定)がこだわり。この窓は西の海に面しており、水面で反射した紫外線とダブルで当たる、また冬は風速30m/sが吹き付ける県内でも最も過酷な場所です。ですがサッシ表面は未だツルツルです。
どこが一番痛んでいるか?それは・・・

サッシの下に錆び汁跡がありますね。

そのサッシの戸を開けるとこんな感じです。黒い線はパッキン1で、黒い線跡は押しつけられているパッキン2の跡です。そして錆び汁跡もあります。樹脂部分はしっかりしているでしょ。パッキン跡が残るということはそろそろパッキン寿命です。
 錆びの原因は家の真ん前の「海」です(笑)。・・・ではなく、このようなサッシ付属品のステー(金物)はステンレス製なので以外と大丈夫。実は錆びはこのステーを樹脂に留めているビス受けの内部金物なのです。とはいっても樹脂内部にあるので表面からわかりません。そこから錆びがでているのです。これは樹脂内部なので部品交換できません。サッシ全体の交換になります。

あっ、パッキンより外側は外部なので一度も掃除したことがありませんのでちょっとカビっぽいですね。


樹脂部分のアップです。どうですか?エッジの一番痛みやすい部分のです。しっかり角がアールでしょ。黒い線はヒビではなくただのこすり跡や傷ですが、傷が目立つということは表面がまだツルツルなのです。20年前でもすでに塩ビ(樹脂サッシの原料)の耐紫外線劣化防止剤は相当優秀です。

いやー20年後の住宅をアップで写すなんて、オーブルデザインだからですね。普通のメーカーさんや工務店さんには絶対あり得ない写真です。
自信があるのです。自宅を(家を)愛しているのでこの時間が経った雰囲気がすきなんですね。浅間は少し(大変?)変わってます。でも家って愛着があればとても長く大事にされるのです。



因みに10年ちょっと経ったご近所さんの海側の外壁と換気扇フードと軒裏はこんな感じです。引き合いに出してしまってすみません。

まとめです。
このとおり今のサッシの寿命は20年から30年。これは樹脂の寿命というより付属品の寿命なのでアルミサッシも同じ寿命ですね。だから緑の家SSプランAグレードではサッシ交換が簡単に可能なように取り外し枠がついているのです。これが70年以上(100年)家を保たせるまじめな解なのです。超高気密住宅に20年も住んでいる建築士だからわかる事です。

大手ハウスメーカーさんは外壁に力を入れてますが、実はサッシの交換の方が大変な工事になります。外壁を壊さないとサッシ交換できない構造だから・・・。
外壁にお金を沢山かけるのは、家の寿命が30年だった今までの住宅で、これからの長寿命住宅は、サッシの交換が簡単なように考える事がメンテナンスコスト削減の上で大変重要なのです。


新潟の自然素材の家 「エネルギー事情と超高断熱」 蟻の家です。

この図は東北電力さんの季刊誌に掲載されていた図です。それによると石油はあとたった42年、天然ガスであと60年、一番長い石炭で120年です。しかしこれはあくまでも埋蔵量で現在の石油、ガス、石炭の発掘費用が同じではありません。埋蔵物はとりやすいところからとるので、どんどん掘削するのに費用がかかる場所に移行して行きます。とうことはもし今後大規模の石油の新しい埋蔵が見つからなければやはり20年後の高騰は絶対避けられないでしょう。つまり奪い合いによる価格高騰と掘削費用増による高騰です。

 そこで生活のエネルギーの源である電気は上のような施策がとられてます。現在の東北電力さん管轄の電気は、1/3が石炭、1/4が天然ガスで、石油はわずか6%。

1980年には石油での発電が約2/3を占めていたんですね。当時の原油の価格は現在の1/3程度です。そしてその頃に発表された石油の埋蔵量も40年位だった記憶があります。それから30年後の埋蔵量がまだ40年ですからこれを根拠に石油は毎年新しい埋蔵がみつかるとの論調もあります。しかし80年台より相当進歩した埋蔵発見技術でもなかなか新しい大規模油田は見つかりません。そこでまだ埋蔵量が豊富な石炭にシフトしているのでしょう。しかしこれも掘削費がかかる所しか残っていないため、価格高騰が懸念されるため今度は原子力にシフト傾向がみられます。

原子力発電の一番の問題は、その廃棄物処理が確率されていない事です。その廃棄物が次の循環(人間に影響が少なくなるように変化する事)になるまで1万年もかかると言われてます。そのため大深度地下で管理するとう事が現在唯一の方法です。これが問題で私は今後原子力発電を増設することは反対という立場です。

現在のエネルギー使用量を増やさない事と、簡単に循環でするエネルギー(太陽光、風力、波、地熱、バイオマス)の発電を増やす事を是非推進したいと思います。現時点ではたった4%、10年後でも4%のこのエネルギー。さてどうするか?

そこで私にできる事が「超高断熱住宅」の推進になります。本来この「超高断熱住宅」は、石油高騰によりエネルギー全般が高騰する来るべき時期(予想では20年後)にも、暖かい家をと思って奨めているのです。「蟻とキリギリス物語」でいうなら蟻の家のことですね。

 それと同時に超高断熱住宅にすると、現在の暖房エネルギーの約1/2以下で快適暖房が可能なのです。現在のハウスメーカー程度の次世代基準断熱(所謂高気密高断熱)では、暖房エネルギーが以前のお住まいの住宅より確実に増えます(上図)。暖房エネルギーが少ない関東地方でこの数値ですから新潟ではこの1.4倍くらいは多くなります。これは以前から何度も指摘しており、超断熱とは冬に日が出る関東地方でもQ値1.3位、新潟ではQ値0.9以下が最低必要です。


新潟の家~ありがたい言葉と40年後に対して~

土曜日や休日は打ち合わせが殆どです。そんな今日、とてもありがたい評価を頂きました。それは、建て主さんAさんから、「色々な会社からプランを頂いたけれど、こんなに自分たちの思いが全部詰まったプランはオーブルさんだけ。無駄がないし、おしゃれだし・・・」

Aさんは家造りを始めてから色々な会社や展示場に行かれて、その度に様々な会社からプランを頂いたと聞いております。そしてある会社の「いわゆる無暖房住宅」を体験されてから、超高断熱って凄いという事でネットを検索していたら当事務所に偶然行き着いたという事です。
当事務所のSSプラン(普及)の家は、超高断熱でQ値が0.9の割にはコストがそう高く無い事が印象的で且つ高い基礎が理にかなっているという事で事務所にお越し頂きました。そしてプランを差し上げたのが2週間前ほど。そして今日お打ち合わせ時に、冒頭のお言葉頂きました。

私は設計屋です。仮に人柄やコスト、会社の大小でご縁がない事は仕方無いと割り切りますが、設計が良いという評価は素直に大変うれしいお言葉です。餅は餅屋でなければなりません。

また午後に建て主さんのBさんとお話ししていて、私が
「政府は2050年には日本においてで今の50%減(住宅は70%相当か?)のCO2排出量にすると目標を掲げていますのよね。これは後30年以上もありますが、その時の住宅の性能は最低でもSSプランの家です。その時のために当事務所では超高断熱仕様を選べるようにしているのです。」
更に
「その頃には私は生きていないでしょうね。だから関係ないのではなく、今からでないとその未来に合わない」といった時、自分で背筋がゾゾとしました(多少語句は違いますが)。

自分が生きていない時の事を考えて家(建物)を造る・・・。昔、知り合いの宮大工が「俺が死んでもこの建物はまだまだ立派に建っている。そしてその時他の大工がみて、この建物は立派に造ってある。まだまだ大丈夫というだろう。そういう建物作っている」と胸を張って言っていた事を思い出しました。

自分が死んでも後世に価値のある建物を残す意気込みは、大きな資源と大金を払って造る建物に関わる設計者や大工さんにはなくてはならない資質だと思います。
Bさんのお選びになった仕様は、今事務所が一押しのSSプランでまた一押しの外壁が無塗装の木貼りの「緑の家」です・・・(耐雪1.2mで耐震等級2)。快適さは無論、20年後には外壁の味と庭が完成し、新築時より雰囲気がよくなり、更に40年後にはトトロ家みたいにご近所さんからも愛される家になる事を願ってます。 最終チェックしたスタディー模型。南大開口部のあるSSプランの家です。きっと米杉の木が似合うでしょう。  


北陸地方におけるヒート&クールチューブ住宅(地中熱住宅)の感想

昨年の夏に地中熱採用の住宅について当事務所の見解をのせました。

このページです。↓

http://arbre-d.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-7809.html

http://arbre-d.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-5696.html

近年、低炭素社会が望まれ建築物もそれらの要求に応えるべく様々な試みがされております。その内容が先進的で優れたもので普及効果が認められる時は、補助金などの交付対象になります。今回の感想は「日本建築学会環境系論文集Vol.75 」の掲載されていた地中熱の利用での調査研究で、このシステムが組み込まれた住宅が国交省から200万円の補助金を受けているようですので、興味深く読ませていただきました。

 建築学会の環境系査読論文集。査読論文とは複数の専門家に精査された論文。よって内容の信憑性は極めて高い。

この研究目的は「埋設深さ2mのヒート&クールチューブ※によって得られる外気負荷削減効果を実測面から明らかにする事」です。従ってこのシステムがトータル的にとても有意義なシステムかどうかではない事を最初に書き添えておきます。
※クールチューブとは、地中内にパイプを設置しそこに空気等を通して、年間を通じて温度変化のない地中の温度を利用するシステムの事。

つまり外気負荷削減だけを明らかにしており、かかるコストや維持費、衛生面での評価はされていない事になります。しかし一方では
「埋設深さ2mとしたのは、本来なら埋設5、6m以上が地中熱利用の定説の深さらしいのですが、5、6mだと設置費用がかかりすぎるので現実的な提案ができない。それで2mでシステム構成をした。」
と書かれています。よって建て主さんにわかりやすいように当事務所が僭越ながらこの研究結果からシステムの「有意義、実現性」について考えてみたいと思います。

上のリンクでもあるとおり、住宅で地中熱の利用は30年も前から研究が行われていますが、未だに効果対費用のメリットから普及してません。古くは1981年に「長谷川・木村・吉野・石川・松本らによるクールチューブ(深さ1m)があるとこの論文でも説明されています。30年も普及しなかったこの点が従来の研究にはない、深さ2mの埋設の実験となっているようです。2mに配管埋設なら表層地盤改良を行う地域ならそう大きなコストが追加されません。

そこで下のようなシステムが計画されたと想像します。

出展:いずれも「ヒート&クールチューブ住宅の地中熱利用効果に関する調査研究」垂水弘夫教授・簑原由紀氏から 日本建築学会環境系論文集Vol75

最初に結果から
このシステムで夏期の除去総熱量5890MJ/年→1636KW/年
冬期の取得熱量5500MJ/年→1528KW/年

です。・・・この算出は、北陸の場合除去熱が期待される時期6月~9月、取得熱が期待できる時期11月から3月の期間ごとの集計と論文にには記されています。

これを経済面から考えるとエアコンで同様のエネルギーを得るには
1636/5(冷房平均COP)×25円/kw=8180円
1528/4(暖房平均COP)×25円/kw=9550円
トータル・・・17730円/年(結露水排水ポンプの電気代は少と仮定)

といった金額が回収できます。そこでどのくらい施工費がかかるか推測すると、表層地盤改良と同時に住居の下全てを2m掘りVP管を100m設置ですから30万~40万。更に結露水排水ポンプで10万とすると最大で50万/セット。但し表層地盤改良とセットしないと不動沈下の危険性が増すのでこの工事行う地域限定です(表層地盤改良コストはシステムには入れない)。
さて50万ですから1.8万/年で考えると27年でペイできます。仮に15年後電気代が1.5倍になったとして23年で回収可能です。これをどう考えるか? 私はこの金額であれば実用化できるしおもしろいと思いますが、次の点が問題で確定できません。

問題は、今回の研究で評価していない、
1.空気質の長期調査
2.継続性
3.夏期の実態評価
です。

空気質の評価は以前もブログでお伝えしたとおり、継続して結露している管の中はかびが生える事が考えられます。その空気が住宅を換気する新鮮空気となるのですからこの点の調査結果が一番重要でしょう。メンテナンスができないのですから10年くらいの経過後がどうなっているか?とても重要です(もしかしたら結露水排水ポンプがついているのでクールチューブ内に水道水を通して定期的に洗浄排水するのか?だったら凄い!)。

継続性は連続2年間測定して、地温の温度変化が殆どなかったとの事ですが、多年数のデータがほしいところです。

次の夏期の実態評価ですが、これはこの測定が
(外気-地中内を通過した空気)の温度差となっており、そこから単純に夏期は6月から9月としてその差を集計したと読み取れます。しかし冬期は11月から3月まで継続して暖房を行いますので、このような集計でも問題ありませんが、夏期(6月~9月)は住宅内丸ごとでいつも空調を使っている想定となります。しかし通常はそのような使い方は特殊であり、間欠冷房(本当に暑い時に冷房する。それ以外は窓開けが主)と考えるのが一般的です。よって外気温が26度超えた時のみカウントする事が必要ではないかと考えます。機会があれば直接筆者にお聞きしてみたいと思います。

まとめですが

数十年前と違い地盤改良が多くなっている背景で今回の地中熱利用システムは、従来にはない効果対費用のメリットがありそうだと言う事がわかりました。

最後に
もし当事務所の見解に間違いがあれば訂正の上お詫びいたします。


あり得ない事!太陽光発電のマイナス光熱費住宅 その2

先週ご案内した「あり得ない事!新潟で太陽光発電のマイナス光熱費住宅」の続きです。

先回は、光熱費総計でこんな真冬の新潟で24時間家中暖房でもマイナスにできる事を証明しました。今日はもう少し分析をして、いかに超高断熱と組み合わされた自然素材によって、すばらしい性能と環境を実現できるかを実測データを元に検証します。

 このグラフはA邸の代表的な日時の室温、湿度、日射・外気温(アメダスより)です。 

まずはっきりわかるのが、外気温2月下旬に一日だけ17度、そして3月上旬には3度という真冬並みの気温に戻るという大変上下した天候でした。にも関わらずA邸の1階のダイニングでは常に安定した20度前後を保ってます。つまり多少の外気変動にはほぼ影響を受けない家です。

次に緑色で囲った所は、太陽の日射があった時間です。新潟県ではこのように関東に比べ冬期に日射はありません。この少ない日射と3.6kwの太陽光発電パネルの条件で、よく月1万以上を売電したと思います。

その中で2月25日は9時間近い一日晴天の日でした。にも関わらず、室温はオーバーヒート(暑くなりすぎ)をしてません。これは、室内に使用した「全面漆喰」が普通のクロスだけの家に比べ蓄熱していることと、窓カーテンが1階は閉じられていた事が原因と考えられます。←この事は以前のブログで指摘しております。 またエアコンによる床下暖房の緩やかな暖房方式が良いのだと思います。

また測定した地点が吹き抜けを持つダイニングの1階である点も原因の一つです。しかし建て主さんからは、「オーバーヒートで暑くなりすぎた記憶がない」とコメントがあるとおり、実際も暑くなかったのでは無いかと推測できます。オーバーヒートはしていないのは良いのですが、太陽光が室内温度に積極的に生かされているかどうかが今ひとつ不明です(次回検証できる機会があれば測定してみます)。オーバーヒートしていない原因が漆喰の全面採用による蓄熱であればこれはすばらしい事です。

ダイニングの湿度は以前もお伝えしたとおり、50%~55%と最適範囲で推移してます。時間的に細かく見ると、人が活動する朝と夕方に湿度が上がる傾向があります。普通の高気密高断熱住宅の湿度が40%から45%せ推移することが多いなか10%も高いのは、
1.全熱交換型換気扇をメインに設定。
2.竣工後間もないため、工事水分(漆喰やPB)が残っている。
の2つが考えられます。
全熱交換型換気扇については賛否両論ありますが、夏のエアコン使用時の快適性と、冬の過乾燥解決を考えると全熱換気扇を選びたいと現在考えています(新潟)。勿論全熱型換気扇の弱点の匂いのリーク(短絡移動)のため、トイレと浴室は局所換気扇としてます。これら二つとも現在の使い方であれば短時間ONで全く問題ありません。
トイレは使用後3分でOFF。浴室は使用後冬期で2時間、夏期エアコン時で4時間、中間期で連続運転です。経験上これでいつも乾燥状態を保てます。

全熱交換型換気扇とは・・・一般に顕熱型換気扇と言われる湿度の交換はしない空気温度だけの交換をする換気扇が推奨されている。全熱換気扇は、空気の熱の他湿気も交換できる換気扇。顕熱換気扇が主流であるが、これは20年以上前のR2000住宅の頃、顕熱換気扇が優れているとの案内がされたため。ところがR2000をはじめとする高断熱仕様の国の殆どが、日本とは違い夏期は乾燥している地域であり、夏の除湿には興味が無い地域であったためと言われている。そこで今再び全熱換気扇が注目されるようになった。

この実測が示すとおり快適な居住空間である事は言うまでもなく、3月(2月24日から3月26日)の光熱費総額が9千円で済んだ事はすばらしい事実です。

ここ数年いつも申し上げておりますとおり、10年後の低炭素社会の公約(CO2削減家庭用50%)と20年後訪れるであろう化石燃料枯渇の高騰に対応できる超高断熱住宅を益々声高らかに今後も勧めて参ります。


あり得ない事!新潟で床下蓄熱暖房 太陽光発電のマイナス光熱費住宅 

凄くドキドキしてます!
これは、先月分の実際生活されているA邸(新潟市中央区)のオール電化住宅の光熱費総額です(お湯や照明、TV、煮炊きも入っている)。なんと太陽光発電3.6Kwと普通の大きさでこの3月は光熱費がマイナス(お金が戻ってくる)になりました。それも家中暖房(20度)の家です。ここから割り出すと24時間

家中暖房の費用は・・・たった
月当たり3,000円!!!!

家中暖房24時間20度(18~22度)ですよ。

 画像をクリックして大きな図をご覧ください。A邸実測です。こんなに家中快適な温度湿度で月3,000の暖房費!!想像できたにも関わらず実際に見ると私も驚き。

3000円で3月のこの今年の寒い季節を暖房できるなんてもうマジックです。この家はSSプラン超断熱住宅です。この3月は特別日射があったわけでもありませんし(日射時間は月80時間)、寒い位の3月でした。そして2月の暖房費も4000円!!特に省エネ生活したのではなく、家中20度の快適な生活でです(無駄は排除してますが)。

さて世の中高気密高断熱住宅数多くあれど、このように暖房費を公開しているところは少ないはず。それは実態と宣伝文句が違う事が多いから・・・。当事務所では言ったとおりになります。

この超高断熱SSプランは凄いです。オール電化住宅で電気代が一番高くなる2月、3月でとんとん。と言う事はこれからの暖かく晴れの多い季節は電気代が帰ってくる(太陽光発電は3.6KWと普通)ただ以前のブログの太陽光発電の生かし方で説明した事を実践し、晴れた昼間は特に電気を使わないようにしていただけです。←重要
さてこれで完全ゼロ光熱費住宅が簡単にできる事が証明されました。そして今度はゼロエネルギー住宅です。もしかしたら、このA邸で実現可能性の証明ができるかも・・・。

今床下でHEAT FACTORYが稼働中なので、ある程度効果が期待ができ、給湯器がエコキュートになったときにゼロエネルギーは達成できるでしょう。このHEAT FACTORYは現在新潟県立大学にご協力頂きその効果を実測中です。結果をお楽しみに。

しかしこの電気料は驚異的です。これで温水器が電気ヒーター式(A邸)ではなくエコキュートならもう30002000円は削減できるかもしれません。すると3月の寒い時期オール電化電気代総額が7,500円!!←生活スタイルや人数で変わりますが。

超高断熱は地球の温暖化防止にも貢献しますし、何より建て主さんの懐に貢献します。

さて、先回推測した暖房費用ですが、
一日8時間床下エアコンが全開で運転していたとして
① 8時間×1.5Kw×7.5円×31日=2,700円・・・床下暖房(蓄熱)
② 1時間×0.5Kw ×27円×31日=420円・・・補助暖房(適時)
月あたり①+②=3,120円・・・実際と同じ金額ですね。

となり上の請求書と同じにになります。ここまで科学的に算出できます。
勿論建て主さんは今日も「裸足」でくつろいでいらっしゃいました。
凄いです。SSプランの超高断熱住宅!!
そしてそれをためらわず選ばれたA様!!

 


高断熱高気密用Q1用ソフト QPEX(キューペックス)の使い方

QPEX(キューペックス)という非常に優れた安価なソフトがあります。このソフトは北海道の室蘭工業大学の鎌田研究室で開発され、建設会社や設計事務所が、高気密高断熱で計画した家の熱損失係数Q値や暖房費をシミュレーションできる大変優れたソフトです。しかしソフトは使い方を間違えるとただの机上の空論になりますので注意が必要です。

 QPEXは私も利用しており、これをつくりだして頂いた鎌田先生始めそのスタッフ、また新住協さんには敬意を払いたいと思います。だからこそ間違った使い方で評判が落ちないようにいつも次の点に注意をしております。

以前も少し触れましたがこのソフトを使った時に普通の建設会社さんや設計事務所が間違えやすい所は、シミュレーションした家の生活方法や周囲の環境が因子として入力されない事です。

Q1住宅を造るために造られたQPEXは、熱損失係数と共に窓から入る日射を加味(暖房エネルギーとして加算)し、暖房費をシミュレーションします。
Q1住宅とは、暖房費が次世代省エネ基準の断熱性能で使用される暖房費の1/2(本州では1/3)以下になる家が目的です。非常に合理的かつわかりやすい家造りです。そしてQPEXはその目的を達するツールとして使われます。しかし生活スタイル、生活条件、周囲の環境因子が違うので実際の暖房消費エネルギーと必ずしも一致しません。

生活スタイルと生活条件は設計者がコントロールできないの仕方無いのですが、周囲の環境因子は設計者が一番わかります。しかしこの事を間違える方が多分いらっしゃると思います。それは・・・

Q1住宅を造るために造られたツールのQPEXは、熱損失係数と共に窓から入る日射を加味し、暖房費をシミュレーションします。ところがこれを建設会社さんは鵜呑みにして、このツールで計算すれば暖房費が1/3になると思い込んでしまう事が問題ですし、そのように説明している事を見かけます。先に申し上げたとおり、このソフトは窓から入る日射を勘案してます。よって南窓はカーテンがない方が殆どの場合は暖房エネルギーの削減ができます。そこでソフト入力条件でカーテン無しとすることが多いと思います。よってレースカーテンや普通のカーテンを実際閉められると日射が計算通り期待できなくなります。また西窓や東窓からも日射を期待してますが、冬の低い高度の太陽では、お隣に家が並んでいる場合は、1階にはまず日は差し込む事はありません。この部分はHPのコラムに記載しましたのでご覧ください。

「野中の一軒家」であれば、このソフトのとおり日射熱が家の中に入り、結果暖房費が削減されますが、都市部の家ではトップライト以外何らかの日射阻害があります。ですので暖房費削減が「野中の一軒家」のとおりなるはずがありません(常識的生活で)。新潟県の都市部では一般的に60坪、大きくても100坪、都市部では45坪の敷地は珍しくありませんし、住宅地の道路は6mが普通です。すると家同士はほぼ向かい合わせで、隣との隙間もなく、窓の先に窓があったりします。ですので窓にレースのカーテンは必須です。また関東圏では防犯上家の中が見える事を極端に嫌います。留守中や夜は雨戸を閉め、昼の在宅時にはレースカーテンで視界を遮ったり、面格子がついています。

多くの工務店や建設会社さんは、実生活や家の建設される周囲の環境条件を考えません。私を含め暖房費マニアや超高断熱マニアは、エコや省エネのためなら、近所から見られようがカーテンは開けっ放しでがんばれます(特に男性。女性は防犯上心理的に無理)。通常は見えるところに隣家があればカーテンを閉めます。全ての人が「近所から見られる事に対し平気」という感情を持ち合わせていないのですね。また天気が良ければ良いほど閉めたがります。直射日光は眩しくて、冬でも日差が直接当たっている所は暑くなるので「感情的」に閉めます。これを全否定できません。「Aさんの家は開口部から日射が入るのでQ値1.6でも暖房費6万/年しかかからないよ」とはいいきれないのです(無論言い切れる条件の家もあります)。

 拙宅の家(夫:省エネマニア)でも3月20日の晴天日は南側窓にはカーテンが・・・窓は3カ所も窓が開けられていた。

ですので希望する断熱性能(熱損失係数)は、窓条件を建て主さんと良く会話をしながら理解してもらう事が重要です。できない場合は、悪条件で安全側に考える事が良心的と思います。

高い性能を求める家ほど設計者は全体を把握する思慮が必要です。こんな便利なQPEXソフトを正しく活用し良い家造りに励みたいと思います。


新潟の家 次世代省エネルギー基準(高断熱)の家では短命住宅!

 昨日「新木造住宅技術研究所協議会」=新住協からQ1.0(キューワン)住宅の本が届きました。新住協さんは20年以上前から良く存じ上げているのですが、今まで会員になった事がありませんでした。しかし昨年から長期優良住宅先導的モデル補助金が貰えるというきっかけで入会させて頂いております(ご案内のとおり昨年は残念ながら不採択)。

 この本はコアな建て主さんにも一読をお勧めしますが、多少高断熱高気密住宅がなんぞやを知っていないと読みにくい本かな。お求めは「新住協」と検索して頂きとその団体が見つかりますからそこに問い合わせしてください。
本を買うなら著者は重要です。この本のようにやはり大学の先生が書いた本が確かです。今は誰でもお金で本を出版できますから、著者が住宅会社の関係者で結局広告本というのが殆どですね。

さてその本から図を抜粋し、「緑の家」の性能を示しました。
以前から当ブログで申し上げているとおり、ハウスメーカー程度の高断熱高気密程度では、逆に暖房費が増えてしまい、CO2削減どころか、CO2増に加担してしてしまうとの内容があります。これは15年以上前に建築学会で複数の論文が発表され、関係者には周知の通りですが、普通の建て主さんは知りませんし、業界の人でもしっかりと勉強された方でないとその理由は知らないでしょう。
次世代省エネ基準では全室暖房すると暖房費相当掛かるのです。従来の家から引っ越すと急に暖房費が増えるのです。すると暖房費を減らすため従来の住まいみたいに部分暖房をはじめ、それが原因で暖房していない部屋では結露が発生します。加えて今後のエネルギー費高騰がおき20年後はもっとQ値が規制され、結局Q値2.4位の家は短命住宅(30年資産価値ゼロ)となります。

新潟県ではQ値が0.9くらいを目指すべきではないでしょうか?

新住協の勧めるQ1.0住宅の新潟での最低Q値は1.4くらいなるのですが、この性能ではたりません。というのは、Q1.0住宅は日射による窓からの取得熱を期待しています。だからQ値が1.4くらいでも暖房費が下がる試算がされます。しかし大部分の家では、レースのカーテンが南側の大開口窓に設置され、それが昼間は閉じられてしまいます。これは都市部にありがちですが、大きな窓から内部を見られてしまう事を嫌い、レースのカーテンを閉める事が多いのですね(防犯もある)。
これを「止めてください」と言う事はなかなかいえません。普通の神経の人なら内部が見られる事に対し抵抗がありますよね。だからこそカーテンがある程度閉じられてもよい位まで、Q値を上げる必要があるのです。それが最低0.9くらいだと考えます。

そんなQ値0.9の家が下の写真の家ですね。これからも夏から秋に完成予定があります。この価値がわかる方がどんどん増えてきてます。大変ありがたい事です。

是非この補助金が沢山あるときに、Q値アップ(超高断熱)にコストを無理にでもかけましょう。後悔はしません。


予想通り! 国が全ての家に高断熱を義務化!しかしユニクロ化は・・・

最近は住宅も「ユニクロ化」しているような気がします。ある程度の品質で安い既製品。家も最近はこのような造りが多いですね。
しかし家は衣料と違って数年で取り替えられるような事はできません。ここが衣料と全く違うところです。
家の基本性能を数年後変更しようと思うと、総新築費の半分程度お金が掛かります。そこをよく考えて仕様や会社を選んでほしいと思います。

特にこれからは低炭素社会(脱化石燃料)に必ずや向かいます。家造りでこの対応を間違えると、とても大きな資産の損失となります。

まずこちらをごらんください。政府が下のような発表をしてます。

http://www.asahi.com/politics/update/0204/TKY201002030475.html

政府が「温室効果ガスを2020年までに1990年比25%(05年比30%)削減する」中期目標を達成するため、家庭部門はなんと40~50%(2005年比)の削減が必須だからです。

このため政府は

①太陽光発電の最低でも10世帯に1世帯

②新車はすべてハイブリッド車

③新築はすべて高断熱化

④住宅全体の8割を高効率給湯器とする。

と宣言してます。①と②はいつでも、数回でもできますが、③の新築の高断熱化は一回だけです。ここで慎重になって考えましょう。もしこの「高断熱化」が次世代省エネルギー基準といわれる現在の高断熱仕様ならば・・・

業界ではすでに知れ渡っていますが、北陸、東北以北では高断熱化では暖房エネルギーが以前より増えてしまうのです。これはあたりまえで、高断熱化すると全室暖房することになります(リビング階段などオープンプランです)。

高断熱化する前の住宅では家中暖房は不可能でしたから、我慢してリビングだけとか暖房していたのです。だから意外と暖房エネルギーを使っていなかったのですが、次世代省エネルギー基準といわれる現在の低い高断熱仕様程度では、全室暖房すると以前より1.5倍もエネルギー消費(暖房費)が増えてしまします。

では少し良い性能のQ値1.8~2.0位でようやくとんとん(同じくらい)。しかし削減目標は50%ですから、これを考えると目指す新潟県の断熱性能はQ値が1.0付近は確実です。

1998年以来断熱性能を10年以上も強化していないのは、様々な政治的理由があるのでしょう。実は去年断熱性能が1.4倍程度引き上げられるはずでしたが、強い業界圧力で小幅に引き上げられています。この基準は、新潟市ですと

Q値2.7→1.9に引き上げ(1.4倍程度)

でしたが大きな抵抗があり分譲業者だけの基準となってしまったのです。だから一戸建て住宅は11年前の基準のQ値2.7のままです。

業界の同意が得られる新潟県の2年後の基準はQ値1.9で、2018年くらいに更に上がりQ値1.3~1.4くらいになるだろうと想像できます(今までこれらの予言は当たってます。予言は確実な情報を分析すれば現実となります)。そして2030年にはQ値0.9くらいでしょう。たった20年後ではまだローンが残っている頃です。

建て主さんより強い業界の抵抗・・・。大手メーカーの都合でしょうか?ですので建て主さんは自分で自分を守らなければなりません。私が20年前にQ値1.9の自邸を建てたとき、まだ高断熱推進など政府は言ってなかった時でしたが、今でもその断熱性能は十分通用します。これが本来の家の性能ですね(最低20~30年くらい先の標準性能)。

さて、普通は借金して家を建てるとと思いますが、そのローンは30年くらいではないでしょうか?それなのに10年もたつと断熱基準を満たさないエネルギー浪費の家になってしまう。それが住宅の、住宅のユニクロ化の行く末です。心ある設計者はQ値0.9以下をまず勧めます。

さて、今家を建てるならQ値は高すぎる事はありあません。床面積を少し小さくしても、高い自然素材を少し減らしてもQ値を0.9くらいにしましょう。必ず後悔しません。・・・どうしてもという方はQ値1.3以下が最低限ですね。

但し、Q値1.3では1990年比で「目標未達」ですからエネルギー消費住宅になります。


高気密高断熱住宅の欠点④ 基礎内断熱とシロアリ 新潟の家から

家を造る勉強をされているかたなら、基礎断熱という断熱工法を知っていると思います。
15年くらい前から北海道で開発され次第に南下し、今では大手ハウスメーカーにも標準採用されている断熱工法です。前々回のブログでも申し上げているとおり、断熱方法としてはとても理にかなった方法でとても優れています。

がしかし、
①シロアリを呼び寄せる
②シロアリに対し進入されやすい部分が多い
③シロアリが進入した場合駆除がし難い
という欠点も併せて持ちます。

当事務所では90%くらいが基礎断熱工法を採用しており、そのうち98%くらいが基礎内側断熱です。基礎内断熱に拘るのは②の欠点を和らげるためです。

下の図は(財)住宅金融支援機構刊の木造住宅工事仕様書(解説付)からの抜粋です。
この団体は国と変わらないくらいの権威がある団体で、40年以上も日本の住宅の基準を作ってきました。そこには・・・

関東以西の地域は必ずこの仕様。シロアリ予防の仕様.

新潟県を含む北陸以北で採用が可能な基礎断熱。但し家の周囲にシロアリが生息している場合は採用注意とある。

とあります。つまりシロアリ予防が高いのが基礎内断熱です。基礎外断熱はシロアリが現在いなくてもいつ家の周囲に来るかわからないので、当事務所では10年以上前から採用していません。

 これは当社がSSプランの標準基礎内断熱の図です。

このように基礎の内側に断熱材を貼り付けます。これは地中から進入しようとするシロアリをコンクリートでブロックするためです。が、基礎のL字を一回で打ち込む工法でないと効果は薄いです。それは2回でコンクリートを打ち込むとそのうち次ぎ面にわずかな隙間(設置金物錆、ジャンカ)が残りやすいためです(Sプラン布基礎の場合はこれを改善した方法で対処します)。
またこの方法では基礎内断熱の欠点である熱僑をうまく防いでおり、シロアリに侵入を目視できるようにしております。詳しくはこの日のブログです。

またオーブルの緑の家オリジナル仕様は、床下エアコンによる蓄熱暖房をしているので、人がいる階上よりはかえって断熱性能が高く考えてあることです。その一部が外部土の中に設置される外断熱です。

こんなに丁寧にブログで解説すると、他業者さんがまねをしてオーブルさんには不利益になるのではないですか?とのご心配をいただきますが、

「出し惜しみしない事が建て主さんの、そして自分の幸せになるよ」とのある方の教えがあり、私もその通りだと感じます。もし私の考えにご共感頂ければもっと詳しくご説明します。


超高気密住宅にデメリットはない。新潟の家から

超高気密住宅にデメリットはない。

と言いきります!
様々なネット情報では「高気密はいいけれど超高気密まではいらないし、そこまで性能を上げるとデメリットがある」と説明してサイトがあります。でもその事を書いている方全てがその超高気密住宅に住んだことがない人です。20年近くもほぼ超高気密住宅に住んでいる私が「もっと気密が高い方がよい」と言い切れます。

まず住宅に気密がどうして必要か原点に戻りましょう。お寺や神社の建物では気密が必要ないですね。家や店舗建物はどうでしょう。何となくあった方が暖かいと思いますね。そうです。この二社の違いは、暖房するかしないかの違いなのです。赤道直下の家に気密が必要ないように暖房しないところでは不必要なのです。神社も神様には暖房が必要ないので気密の建物がいらないのです。

つまり気密は暖房するために必要ものなのですね。だから沖縄などを除く日本の住まいでは必ず必要なのです。すると
「昔の家は気密などなかったのに問題なかったのでは・・・。」というとんちんかんな質問する人がいます。
「ではその昔に車が走っていたり、電気や石油があったでしょうか?」
文明は進化し、現代の人間は99%の人が「暖房」を好み「暖房生活」するのですね。それを直視しないで「昔はなかったから必要ない」という人は、電気も使っていない生活に戻ればよいとおもいます。でもできませんよね。全てはバランスで成り立つ世の中です。今は暖房を必要としている文化なので高気密住宅は家のバランス上必要な絶対条件です。

さてようやく本題ですが・・・
長くなりそうなのでこの続きはHPでご覧ください。


超高断熱の家 重要なのは防湿気密シート!

このあおり角度でないと吹き抜けが写せなかったので写真が歪んでいて見苦しいのはご勘弁ください。

このように6mを超える吹き抜けの床温度と天井温度の温度差が0度の家が、超高断熱の家ですね。高気密高断熱の家の性能の2.5倍以上の性能をを持つQ値0.97W/m2kという家。本当に必要でしょうか?

必要です!

超断熱の家が完成して本当にそう思いました。温度差が0度で、何も暖房をつけないなのに23度を19時間も維持できる性能(完成見学会時)は、来るべきエネルギー費高騰のときの備えと快適性の先取り!多少家の大きさが小さくなってもこれは最も賢い選択です。

最近のどのメーカーでも「高気密高断熱」です。といってお勧めしていますが、実はその中身には相当の差があります。特にウレタン吹きつけ系で気密を確保する高気密高断熱の家は、木の経年変化と中小地震時の揺れに固い断熱材が追随せず気密性が悪くなる事がわかってます(結果断熱性も悪くなる)。最初販売する時よければ10年後の性能は悪くてもよいという発想です。どこかで同じような事を聞いたことがありますね。
そうです。新建材と呼ばれる材料も同じでした。表面だけ取り繕ったフローリング材や、ビニールクロス、新建材の扉セットがその事です。これらは10年も経つと表面が剥がれ中身が露出します。綺麗な状態は最初が一番でその後化粧がとれていくように・・・。

高気密高断熱の基本は、室内側から防湿気密層、次に断熱材、最後に通気層があるのが基本中の基本です。いずれも省く事は何らかのデメリットが生じます。所が最近は防湿気密層(ポリエチレンフィルム)を省略する工法が多いですね。
外壁周囲に先貼りされるポリエチレンフィルム(薄ピンク色)
この防湿気密シートはとても重要で、建物の多少の挙動変化があっても、重ね200mm以上の伸縮性のある防湿気密シートはその変化に追随し、長期間気密性を確保します。拙宅の20年前の高気密高断熱住宅でもこの防湿気密シートは貼ってあり、今でも高い気密性を確保してます。こういった基本的なことを省いてお勧めする安価だけな高断熱高気密住宅の20年後は・・・少し無残な気密性になる可能性が高いでしょう。たまにこの防湿気密シートの耐久性を疑問視される意見を聞きますが、防湿気密シートの先進国北欧では、その耐久性が70~85年くらいは問題ないとの考えです(耐温度耐紫外線品)。

高気密施工にはこのような防湿気密シート(ポリエチレンフィルム)を真面目に使っているか是非ご確認ください。


高気密高断熱を科学的に検証!無暖房の見学会から

先週行われた見学会では、上の床下熱回収システムをみて、

「今までこのシステムを設置した事はあるか?」と尋ねられ、

「本物設置は初めてです」とオーブルデザイン

「よく初めてのこの装置を建て主さんは了解したね」と見学者

「我々にとって注文住宅はいつも世界に唯ひとつのもので所謂初めてです。ですので様々なシュミレーションや根拠を検討し、それが形になって根拠が間違いなかったと証明しているだけです。それが技術者ではないでしょうか?」とオーブルデザイン

「なるほど。そうだよね」と見学者

私たちにとってはいつも始めての事だらけです。だからこそ様々な角度から検証し根拠だてして家を造るのです。

さて、今回の見学会では雪降り日にも関わらず、暖房機がずっとOFFなのに16時間も23度が維持されてました。この現象は魔法でも何でもないので、これについて分析をしたのでご報告します。

見学会の温度と床下暖房の蓄熱分析

Q値が0.98W/m2Kの建物が16時間も暖房OFFで室内を約23度に維持できた理由を分析します(平均外気温3℃、曇りで直達日射量はなし)。

照明器具の総発熱量 約1000 W/h(見学会のため全照明器具の80%ON状態)

待機人の総発熱量 約300 W/h(3人)

来客者の発熱量 約 0 W/h(玄関の開け閉めなど熱ロスで相殺)

すると1.3KW/hの発熱でほぼ23度を維持していた事になります。

(アメダスによる外気の平均気温は3度・・・温度差20度)

一方この建物の設計熱損失Q値は0.98=約1W/m2Kですので 

1×105m2×20度の温度差=2.1kw/hの発熱が必要です。

よって暖房OFFから16時間も変わらず23度維持していましたから

2.1-1.3=0.8KW/hが床下の蓄熱によって支えられた事になります。

すると使用された蓄熱量は0.8KW/h×16h=12.8kw ・・・①

一方

コンクリートの表面温度がエアコンOFF時23(24)度で、16時間後21(22)度くらいまで低下しました。コンクリートの容積比熱2013KJ/m3℃、基礎内部の蓄熱コンクリートの容量12.5m3ですので、2013×12.5×(23-21)=50325KJ→14KWh

コンクリート温度有効面積80%とすると14*0.8=11.2KWh ・・・②

①と②は非常に近い熱量です。よって

照明・人体による発熱と、床下のエアコンによって暖められた床下空気で基礎コンクリートに蓄熱され、それが温度維持できた理由ではないかと考えられます。

このような根拠がわかる技術者がこの超高断熱住宅を支えます。感や経験だけではありません。エコという美麗な言葉で広告される家だけでは許されません。いまや家は科学的根拠がなければ眉唾です。


新潟の 超高断熱住宅の見学体験会終了

 今日の見学会もお昼を食べる時間がないほど大盛況でした。ありがとうございます。

特にHPをごらん頂き、超高断熱や床下のHeatingFactoryにご興味を抱きお越しいただいた方には、きっとその事実をご自分の目で見られてご満足されたかと思います。

今日の夜7時30分ごろの1階床温度です。見にくいですが23度(赤点が測定点)。
今日は深夜12時ごろ暖房OFFでしたから、この時間は全ての暖房OFFの19時間後の床温度です。脅威です。脅威。温度が全く下がっていないのではなく、朝の床温度22.5度より上がっているではありませんか?今日の新潟の平均気温は3度です。ほぼ曇りで、お日様はほんの10分くらい射した程度です。
次は吹き抜け天井の温度。なんと22.5度です。床表面温度との差はほぼ0度。これが暖房が全くなしの19時間経過後の温度です。まだ窓にカーテンがひとつもついていない一番不利な環境で、もしカーテンを設置すると更に断熱性能は増します。

これがオーブルデザインの「超高断熱住宅」緑の家の実力です。この性能があって初めて「超高断熱」と言えるのです。

こんなに窓が多くてもしっかり設計し施工する事で、計算と同じ結果(同じよりよい結果)が得られますね。設計した当人が一番感動しびっくりしてます。

天井の梁がきれいに見えます。
お越しいただいた方から、
「暖かい家という見学会に数多く参加したけれど、みんな暖房器具がしっかりと設置され運転していた。しかしこの家は暖房が全てストップしている。暖かい器具や部分が全くないのに、どうして家が暖かいか不思議で信じられない」

というご感想を頂いた。そして、

「どこかに隠して暖房機があるのでは?」との疑りさえ感じるその暖かさ!私もそう思います。想像できないこの暖かさがはQ値0.9W/m2Kの「超高断熱」+「超高基礎蓄熱」の効果なのです。名前に偽りはありません。その実力は県内最高でしょう!

超高断熱だけではこのようになりませんし、蓄熱暖房だけではこのようになりません。全てはトータルバランスですね。


脅威の家!超断熱見学会初日 ありがとうございます。

自分でもびっくりしました。

今日の見学会開催と同時に床下のエアコンOFF。それ以後今日の見学会で暖房機の運転を一切しませんでした。それでも・・・
全く室温が下がりません。こんなに曇っているし、アメダスデータによると今日の新潟県の9時30分から17時00分までの平均外気温は2度弱と平年より低い気温にも関わらず・・・。

1階床表面温度         9時30分・・・23.5度
                  17時00分・・・22.0度
2階吹き抜け天井表面温度  9時30分・・・23.5度
                  17時00分・・・22.0度
いずれも放射非接触温度計で測定。
床が全く冷たくないのです。全く・・・。
6m上の吹き抜け天井と床の温度差が全くない!

照明器具を50%くらい常時付けてましたが、人の玄関の出入りを考えると決して大きな発熱元とはいいきれないので、こんなに温度が下がらない家は驚きです。
カーテンもない状態、調理もないので発熱体は人と照明のみで、家電の待機電力さえありません。それでも温度が下がらない超高断熱住宅。アンビリバボーですね。
この体験をあなたも・・・。

今日は12時30分から16時まで絶え間なくおこし頂いたので、お昼抜きでしたがこんな寒い日にお越し頂いた皆さんに感謝です。さて、明日は午前中が駐車場も空いてますのでお勧めです。


老後を悠々自適に楽しむため 建築士として② 高齢者の家

屋根の出があると外壁は少しの雪や雨では濡れません。ケヤキの幹は濡れ色ですが、外壁は乾き色です(花台のみ濡れ色)。

今日の寺泊は未明の4時ごろから突風が吹き荒れました。アメダスによると最大風速は27m/sとサッシ規定値位の風が吹きました。事務所へ通勤道中、寺泊から燕へ入ると風は弱まり、三条に入ったころはほとんど風が強いとは感じませんでした。新潟の冬は地域差があります。そんな厳しい環境にある拙宅は家にいれば冬も家中全く快適です。洗濯物は一晩で乾くし、寝起きも苦ではありません。

ここから本題ですが、拙宅の家族には今年満20歳を迎えるトイプードル犬(ビアンコ)♂もいます。去年から人間で言う認知症が始まり、朝と夜の区別がわからなくなっているようです。今日は深夜2時半から2時間くらいおきて徘徊をしてました。・・・徘徊する・・・そう、お分かりのとおりビアンコはロープでつないでもいないし、サークルも基本的にはありません。これはできる限り自分の足で動けるようにと思っているからです。既に走る事はできず、歩行もよろよろで時々転びます。転ぶと自分で起き上がる事ができないときがあり、この時間が長いと怪我や関節が痛むせいか数日間立ち上がる事ができません。ですので常時24時間付き添いがひつようです。
「そこまでするなら、サークルに入れたほうがよいのでは?」
とおっしゃる方もいらっしゃいますが、徘徊の歩く事はとても重要な事だと思ってます。適度に歩く事で足の筋肉が落ちないようなリハビリになり、バランス感覚も維持できます。この自分の足で動けるということは、介護するほうも非常に楽ですし、何と言っても介護する側される側どちらも楽しく感じます。この「楽しく」が家族には一番重要で、家族が檻に入っているような環境は楽しくありません。
高福祉で有名な北欧の介護の基本はいかに寝たきりの時間を短く(無いように)するかと言われてます。寝たきりは介護するがわに肉体的にも金銭的にも大きな負担を強いるからです。

今日は深夜2時30分から2時間位おきてました。 汚れてしまった床の清掃や座布団の洗濯をその時間にしました。
何がいいたいかと言うと、こんな深夜に起こされても家中寒くないので、そのストレスがないという事が大変ありがたいのです。薄い一枚のパジャマでお風呂場からトイレ、キッチンまで難なく裸足で移動できること(床が冷たくない)。これは実際夜の介護した人にしかわかりません。
故父も、認知症で徘徊がありました。実家は高気密高断熱ではなかったので、家中暖房は無理でした。トイレは10度くらいしかなく、お風呂場は外気とあまり変わりない温度です。そんなところを夜おきて仕事や洗濯をしたり、父に洋服を着せるのは大変ストレスがたまります。寒いと言う感覚がない父が寒い場所に移動したときは、直ぐに上着を着せなければならないし、最初から沢山着ていると今度はトイレのとき脱がす事が大変です。

介護施設はいつ行っても温度一定です。トイレでもお風呂でも暖かいですね。これは介護する側にも大変なメリットです。半そで一枚で介護できる事は、汚れたら直ぐに着替えられ、気温差によるストレスもまるっきりありません。もしかしたら介護を楽にするために、施設内を快適温度にしているのではないかと思わせるくらいです。
家中暖房は、高齢になったときその真価を最大限発揮できる人工環境です。自分ばかりか、介護する人にとても優しい空間なのです。

最近、数十年後はエネルギーが高騰するので・・・と言う理由で超高断熱住宅ををお勧めしてます。「するとそこまで考えてなくともいいよ。」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、ますます自宅で介護される施策が進められるなか、介護者に優しい家は介護される側にも楽しさをもたらします。
「寒い」と顔をしかめる事が介護する人になく、心に余裕を持って接しられます。その余裕が介護者にも伝わりお互いハッピーです。更に家中暖房できる家は、床が冷たくないのでスリッパがありません。これは私がお手伝いした家の99%そうでした。メンテナンスに伺ってもスリッパが玄関にありません。スリッパがないということは、引っかかって転ぶ心配も少なくなりなす。介護施設も入居者のスリッパは原則禁止ですよね。ほとんどがスニーカーですが、たまに裸足の認知症の方もいらっしゃいますが、足が冷たくなければ裸足ほど安全な歩行条件はありません。

自然素材重視の住宅メーカーさんのなかで、超高断熱の家を見ると
「そこまで断熱性能が必要ないよ。性能マニアの家だよ」
といわれる方がいらっしゃいますが、老後は何かと収入源が固定化されると思います。ですので新築後20年くらいたった時、断熱リフォームをされる意欲はないと思います。最初から断熱性は20年後のエネルギー高騰を予測し高い性能で新築すれば、介護する人にもやさしい家中暖房が少しの暖房費で可能です。もちろん、それまでの間でも家中暖房の良さを体の芯から感じることができます。高齢になったときは、家で体を鍛える必要はなく、体やお財布に負担を掛けずに悠々自適に快適な環境で過ごす事ができる住宅・・・超断熱住宅をお勧めする理由です。


新潟の家 太陽の恵みとパッシブ利用とアクティブ利用

パッシブとは・・・
直訳で「受動的・・・」
反対語にアクティブがあります。

写真の太陽光発電は、太陽の恵みをアクティブに利用し再生可能なエネルギーとして使う装置の代表ですね。
一方太陽が窓から入る光や熱は、そのまま受動的に使う代表です。
ほぼ冬至同じ太陽高度の25日の11時30分(ほぼ南中時刻)写真が↓これ。

冬至は太陽が一番低くなる季節。冬至を過ぎると太陽の角度は夏至に向かいまた高くまり力強くなります。さて、光と影の分かれ目をよくご覧ください。
ほぼ窓の上とピッタシです。つまりこれからこの窓から入る光と熱は少しずつ遮られ、夏至のころには完全に遮断されます。一番気温が暑くなる7月下旬から8月中旬のころは、夏至より少し太陽高度が低くなるので、そのころの太陽を防ぐように庇や屋根の大きさを設計すると屋根の出は1.1mにもなり、このくらい南側の屋根が出ていないと、暑くなる7月下旬から8月中旬の日差しは屋根で防げません。超高断熱の家は、夏は日射が大敵です。家の中に入ってきて大変な事になりますので、キッチリ防ぎます。この配慮が新潟の家では必要ですが、最近こんな大きな軒の出がある家はなかなかありません。秋に完成した超高断熱の↓家も屋根のでも屋根の出は1mありました。

屋根の下の「たるき」と呼ばれる綺麗に並んだ部材。神社などでは当たり前のように見えているこの部材。屋根の出が1.1mもあるためこのように細かいピッチで並びます。これを隠すのはもったいないので露出させました。木の家の証明です。

この家の見学会は1月23日24日25日に行います。そのパッシブですべてにおいて完璧な性能をお確かめください。


新潟の家の冬 超高断熱の家。結露とハニカムサーモスクリーン

ハニカムサーモスクリーン(セイキ販売)というカーテン類をご存知ですか?数年前からその筋の人(超高断熱マニアやパッシブハウス、無断熱住宅)には使われている断熱カーテンです。私自身は使った事がないので、もし使用経験のある方の情報をお待ちしてます。
何の情報かといいますと、新潟県は冬型の天候時、必ず西又は北風が強く吹き、吹雪や霰が窓にあたり融解し水となります。するとガラス面の表面熱伝達抵抗が小さくなり、室内カラス面の温度低下が起こります。風だけならその温度低下が予測できますが、雪や霰が表面を覆った時の低下を算定する式(表面熱伝達抵抗値)が見つけられません。
この時にハニカムサーモスクリーンを下していた窓は、結露するはずですが実際にお使いの方の体験をご投稿く頂ければありがたいです。当ブログはその方面の常連さんも多いので何か情報をお待ちしております。

ちなみに通常であれば内外温度差である部位の温度は次式で予想できます。

ガラス表面温度は・・・
θx=θi-rx/R(θi-θ0)
R・・・全体の熱伝達抵抗(表面熱伝達抵抗0.11、0.04含む)
rx・・・x点までの熱伝達抵抗
θ・・・室内温度i
θ0・・・室外温度

LOW-EガラスAr入り K=1.6の時の室内側表面ガラス温度
θx=20-(0.11/0.625(20-0))=16.4度

複層ガラスK=3の時の室内側表面ガラス温度
θx=20-(0.11/0.333(20-0))=13.4度

ハニカムサーモスクリーンとK=1.6の時の室内側表面ガラス温度
θx=20-(0.39/0.91(20-0))=11.4度・・・室温20度湿度約60%の露点温度
(ハニカムサーモスクリーン使用時の全体K値1.1と仮定)

と単純に計算すると複層ガラス表面温度 より2度低くなる。
この仮定は風速2から4m/sの穏やかな時の表面温度なのです。吹雪で風が直接吹き付けるガラス面の表面熱伝達抵抗は更に小さくなり、より温度低下が考えられます。すると寒波が来ているときの風上側サッシガラス表面で結露する可能性が高くなります。ですので当事務所ではハニカムサーモスクリーンは使用してませんし、当然当方から積極的にお勧めしてません。
日本海特有の風の強い(風速は10m/sを超える)冬の雪の時に結露したのでは何となくいやですよね。私個人としては、一時の結露は全く問題ないのですが、結露が相当悪いイメージをもたれてますので、いまひとつ躊躇しております。
どうでしょうか?使用されている方のレポートお待ちいたします(できれば日本海側)。

ガラスはLOW-EガラスAr入り複層ガラス12mmなのでK値は1.6としてます。以前のブログでガラスのK値がこのくらい上がると、外部風速の影響を受けにくくなるとのご報告を致しました。これは内部の付属断熱戸付きでのお話ではありませんから当てはまらないと言えますから・・・ああ・・・ わからない。 知りたい・・・。


新潟の家 超高断熱と融雪

昨日の拙宅(寺泊)の降雪風景

家造りは科学的根拠がなければ眉唾物です。
あるダイレクトFAX(っていうのかな?)が来て、説明文を読んでいたら???がありました。このダイレクトFAXには、「冬は屋根で空気を暖め床下に送る。夏は夜に放射冷却を利用して屋根で空気を冷やして床下に送る」とあります。関東の会社からのFAXなのでまあここまでは何とか許せますが、その後の説明に「雪国では室内の暖かい空気を先ほどの屋根に送り、雪を溶かします」とあり、そんな家のシステムを買いませんか?というものです。

「やっぱり・・・科学的に根拠がないなー。と言う事は、先ほどのもっともらしい『冬は屋根で・・・』や『夏は屋根で・・・』も怪しい」と言う事になります。これと同じシステムで有名なOMソーラーさんがありますが、新潟県では冬の太陽が期待できないのでほとんど建築されていません。

さて「雪国では室内の暖かい空気を先ほどの屋根に送り、雪を溶かします」がなぜ科学的に根拠がないのか?

それは雪を溶かすのにはとても大きい「融解熱」が必要なのです。この氷の融解熱はあらゆる物質の中でもトップクラスで、室内の熱を使ったら家の中は全く暖まりません。雪はできる限りほっとくのが一番です。

さて計算です。

雪の融解熱は 80 cal/g です。
30坪くらいの屋根に雪が20cm積もったときは
屋根面積を60m2とし、新雪の単位荷重を100kg/m2・mとすると
60*100*0.2=1200kg 1200kg→1200000g
1200000*80=96000kcal となります。

20cmの雪を溶かすのに96000kcalが必要です。
ここで6割(本来は5割以下)が有効に屋根から熱が伝わるとして96000/0.6=160000kcalの入力熱が必要で、
160000kcalの熱と言うのは、灯油18L分です。
緑の家Sプランで灯油18L分を暖房として使ったら2日分の暖房エネルギーを丸々捨てると言う事になります。超高断熱住宅のSSプランなら丸4日分以上に相当します。融解熱は確か中学の理科で習う基本的科学ですね。それを無視して、室内の熱を使えば良いなどといったシステムが成り立つはずがありませんね。感覚的に解けると間違って思い込んであるのでしょう。

また、室内の暖かい空気を雪を何かで接触させ溶かすということは、必ずその何かの接触面で結露します。この結露水がクレームとなり40年以上前から魚沼地域にある某会社は、大変苦労とクレーム対応してました。ですので、家の内部熱で雪を溶かすなどを考える人は新潟ではまずいません。つまり科学的根拠がないシステムを斡旋している事になります。
でも住宅会社ではこういう業者が大変多いです。例えば、

×あったかい家→
性能表示の温熱環境でQ値で認定された事がない。

×地震に強い家→
性能表示の耐震等級3を取得した事がない。

×べた基礎だから地震に強い→
基礎よりも木造部分が左右する。

×エコの家→
太陽光発電だけではエコでない。エコの基本は暖房Eと給湯Eの削減。

×ぬくもりのある家→
それってなに?触感?温感?質感?寒い家は木も冷たいよ。

でしょう。


発想の転換!なぜ超断熱の長期優良住宅は窓に奥行きがあるのか?その2

今の常識が10年後には非常識になる事はよくあります。
住宅でいえば本州での基礎断熱工法。
15年以上前から北海道で積極的に採用されていたこの工法。当時本州ではソーラーサーキット工法やエアサイクル工法という特殊方法と、当事務所みたいな高断熱高気密のマニアックな住宅会社しか採用されていませんでした。最近では高断熱高気密をそんなに知らなくても採用している会社がありますし、全国規模の大手ハウスメーカーも採用しております。
同じように、この外壁のサッシ周囲に枠のあるような住宅が多くなると思います。ただ県内ではまだオーブルデザインだけでしょう。

なぜ外壁の周囲に枠のような物がとりついているか?
それは、窓単体で取り換え可能な構造にしているからです。
住宅が高性能になればなるほど窓は重要な部位となり、求める性能維持期間が長くなります。先のブログで説明したとおり、当事務所の目指す気密性能は最終的には、パッシブハウスと同じ超高気密性(隙間相当面積で0.25~0.3cm2/m2)です。このくらいの性能になると、窓の気密性はとても重要です。とはいっても、引き違い窓がだめではありません。気密測定をしても超高気密住宅0.1cm2/m2くらいの家は、特に引き違いが少ない家ではありません。むしろ多い家です。9か所も大きい引き違いサッシがあっても隙間相当面積0.1cm2/m2になります。ですので最近の超気密住宅のサッシは引き違いでも問題ありません。

ではなぜ性能を高く求めるとサッシの取り換えが必要なのでしょう。

車を考えてみましょう。今の車は10年くらい乗っていても気密性が落ちたと感じられませんが、私みたいに20年くらい乗っていると(笑)、ドアの気密性を維持するパッキンが劣化し気密性がおち、走行中に外の音が聞こえやすくなります。パッキンはEPDMという超耐久反発性ゴムが使われており、これと同じような性格の素材がサッシのゴムに使われています。
また、可動性があるものはその部分に金属がつかわれている関係上、疲労破壊や酸化により、速い場合で20年遅い場合でも30年くらいでだめになります。ゴムがだめになればそこから隙間風が入ってきます。
更に、最近はペアガラスもしくはトリプルガラスを使っていますが、そのガラスに挟まれた気体の漏れ、抜けでガラス内結露します。こうなるとガラス部分の取り換えをしますが、20年もたてば、更に性能のよいサッシが販売されているはずですから、ガラスの取り換えよりサッシ全体の取り換えをしたほうが効果が高いのは明らかです(ペアガラスの保証は10年)。
つまり取り換えが、各々出てくるはずです。より多く使って窓はやはり早く劣化しますし、あまり使わないところは、劣化まで時間があるでしょう。つまりサッシ各々で取り換える時期が違うはずです。

さて、ここでお気づきの方もいらっしゃるようですが、今の施工方法では外壁や、内側の木枠を壊さないとサッシがはずせません。   となると外壁の一部を壊してはずすのですが、最近の外壁は、サイディングのタイル調であったり、特殊な形状の表面ですね。特に大手メーカーほど拘った形状です。そんな特殊な同じ表面の外壁が20年後もあると考える方は・・・いませんよね。あるはずがありません。そうなるとどういうことになるか?
一個サッシが交換で、その外壁全てやり返えですね。そうでなければカッコ悪いでしょう?
だから今の家は、サッシ交換などせず、どうせならといい、建て替えてしまうのです。すると統計上の日本の家の寿命30年はサッシから見てもちょうど交換時期なのです。
勿体ないですね。
すぐ建て替えられる人はまだ良いでしょうが、建て替えできない人は性能の悪くなった家に住み続けなければなりません。新築時は最高の気密性があったにも関わらず、20年後はサッシから隙間風が吹き込む・・・なんて事も考えられます。

実は築19年の拙宅では、その事例が出てきてます。当時気密性が最高性能オール樹脂サッシ開きタイプですが、パッキンの劣化や海の前ということで、ステンレス以外の枠に埋め込まれた金属からさびが出てきてます。この現象はある一個のサッシだけなのですが、これを変えるには外壁を剥がさなくてはなりません。一個のサッシのためせっかく数年前に木に張り替えたばかりの外壁なのに・・・。
それでも拙宅は外壁が木なので色違いは許せます。数年で同じく同化しますから。ここが無塗装の木の外壁の利点です。
ところがハウスメーカーのような特殊外壁の場合、全て貼り直しということが考えられます。そもそもサッシの取り替えを考えていなので、一部だけ外壁を切って貼るということは、防水処理上問題があるからです。ここでまとめです。

長期に対応する住宅の外部重要ポイントは

1.サッシ単体で交換できる構造(納まり)
2.シーリング修繕が家の中からできる

3.1.2ができなければ同じ外壁が20年後も入手可能なものである。

ということです。ハウスメーカーの宣伝であるように、外壁の寿命が長い事がそう重要ではありません。
住宅寿命が長い欧州は、外壁素材ががほとんど決まっているのですね。日本みたいに「石調サイディング」、「タイル調サイディング」など1年で変わる物はつかいません。あくまでも、木そのものや、漆喰などの左官、レンガ等です。
これら素材なら、一部直しでも違和感なく、また数十年でなくなる素材ではありませんから。


新潟県でゼロエネルギー住宅が可能か?

自然素材の家 「緑の家」SSプランでゼロエネルギー住宅は可能か?
をシミュレーションしました。詳しくはここにあります。

まずゼロエネルギー住宅の定義ですが

① オール電化住宅で
  太陽光発電力量
消費電力量(住宅内全部)

② オール電化住宅で 電気代が年間ゼロ以下の家

の二つが考える事ができますが、正しいほうは①ですね。

シミュレーションの条件は
現在建築中のSSプランの実際の家
Q値0.98W/m2k
C値0.5cm2/m2(完成予想 中間は0.17)
電気温水器 370L
太陽光発電 3.6KW
その他家電消費電力 133KWh/月 冷暖房を除く実績値
昼は窓のカーテンを閉めない(南の太陽が入ること)

結果は

太陽光発電力量 3.535KWh<消費電力量 5.611KWhで
ゼロエネルギーにはなりませんでした。

しかし②の電気料金では-8,000円/年間となり、
電気代が一切かからない家となります。

さて、このSSプランをゼロエネルギー住宅にするには、
給湯エネルギーの削減が必要です。
冷暖房に使うエネルギー1554KWhに対し
給湯エネルギーは6,000KWhの消費電力にもなります。

これを簡単な設備追加や変更でゼロエネルギーにします。
それは、
1.エコキュートにする(現時は電気温水器、+15万)。
2.太陽熱温水器を屋根に設置する(30万)。
3.夏は積極的に窓を開け通風を利用する(0円)。
を行うと何とゼロエネルギー住宅になります。

こんなに簡単にゼロエネルギー住宅は可能です。
基本はやはり、家に超断熱性とし、冬の太陽日射を窓から
有効利用する事で、大きな消費エネルギーだった暖房を
642KWh/年間まで下げているためです。
もし、ゼロエネルギー住宅に拘るなら、
超高断熱+太陽光発電+太陽光温水システム+「少し通風」です。

まず基本はやっぱり超断熱ですね。

PS
冷暖房を昔みたいに一切ガマンすれば、超断熱は必要ないですが、そんな非常識な事を条件にすれば、電気がない150年くらいの前の生活で、植林をしながら生活すればこれもゼロエネルギー住宅です。


ネットは簡単に削除可能。これが一番の問題。その② 目標の断熱性能

当事務所は3年前から高気密高断熱の性能(Q値)を更にあげ、超断熱としました。

現在のお勧めはQ値0.99W/m2k以下の超断熱です(無論1.9の

Sプランもあります)。

さて、当方は新住協といういう団体に所属しておりますが、

この団体のお勧めはQ1住宅(キューワン住宅)というQ値です。

これはQ値が1と言うことではありません。

新潟県の属する地域Ⅳで、暖房に使うエネルギーを

次世代断熱基準の1/3から1/4以下にできるQ値のことを

Q1住宅と呼びます。

Q1住宅は専用の熱計算ソフト(Qpex)があり、

このソフトには窓から入る太陽光で暖められるエネルギーを

勘案し、暖房エネルギーを計算してくれる優れものです。

が・・・、仮にその太陽光が入る窓のカーテンが閉めてあると

計算と大きくかけ離れます。つまり夫婦共稼ぎであれば、通常

カーテンを閉めて留守にしますよね。また、居室の大きな

窓のカーテンがいつもあいているのは、相当勇気がいります。

つまり外部から室内が丸見えを許容することです。

また、南側窓の先には背の高い建物があれば、

一番日射がほしいときに、冬の低い日射はまず入りません。

この事を考えずにシミュレーションソフトだけを鵜呑みして

エネルギーが1/3になると考えるのは明らかに「あさはか」です。

あくまでもよい条件を集めるのではなく、

普段の条件で考えなければいけませんし、

その説明もHP上でしっかりしなければなりません。

さて、上のソフトで計算するとQ値が1.5から

1.2くらいで、エネルギーが1/3くらいになります。

ですが当事務所はあくまでもQ値0.99にこだわります。

先ほどの窓のカーテンの理由もそうですし、

新住協さんのQ1と妥協点が違うからです。

当事務所の目標は、あくまでも暖房機なしで快適な家に近づけると

言うことで、Q値を.3 0.6以下にしたいのです。

が、現時点では建築コストが現実的(高くなる)ではありません。

現在コストパフォーマンスがよく、将来性のあるQ値を思考錯誤

したところQ値1前後がよいことがわかりました。

新住協さんの推薦は、どうしても断熱材がGW等繊維系となり、

高性能フェノールフォームの約半分くらいの素材断熱性能ですから

コストパフォーマンスがよい断熱数値はすこし劣ります。

何となくQ1と同じような見え方なので、誤解がないように

Q値0.99以下という目標にしました。

偶然にも省エネ基準の育ての親の坂本先生の推奨する

数値も(Ⅳ地区)もこれと同じ0.99です。

このQ値0.99w/m2k以下にするためには、

窓(サッシ)を最低でもU値1.6W/m2kにしないと実現不可能です。

1.6W/m2k以下のサッシは、その種類が限られており、

アルミ樹脂複合サッシペアガラスLOW-Eでは絶対むりです。

ここが重要で、将来一番交換し難いアルミ樹脂複合サッシを止め

サッシを最初から性能の高いものにすることが賢いですね。

するとU値1.6以下のサッシになり

必然にQ値は0.99くらいになってきます。

現在ほとんどの工務店はQ値0.99はオーバースペックと言うでしょう。

しかし数年後「当会社はQ値0.99です。」と胸をはって言っている

工務店が増えてくると思います。その時、今その会社のHP上で

推奨しているQ値は知らぬ間に削除されているのでしょう。

ここが問題なのです。

要は「今売れれば将来どうなってもよい、都合の悪い過去は消し去る」

と言う工務店さんが多い!!これでは誠意があると言えないでしょう。

「仕様が変わる」・・・

それを進化(技術進歩)という方もいるでしょうが、進化には過去が

あってのものです。歴史を消し去って進化という言葉はありえません。


エネルギー問題と建築士

日本の家庭は他先進国から見るとエネルギーを使わない優等生。

これは昨年ブログにも書いている。

だから地球規模の温暖化防止対策を日本の家庭が努力しても効果は薄い。

それはわかっている。他先進国との比較も大事だけれど、

比較ではなく、自分の感覚を研ぎ澄ましたい。

高気密高断熱住宅に住んで約20年。

Qt値が約1.8w/m2kの性能だけれども、それでも暖房費は大きい。

また、暖房の燃料はつまるところ殆どが化石燃料とウラン。

しかしこの二つは日本にはほとんどなく全て輸入。

だからもっとエネルギー消費をなくしたい。なぜなら・・・

暖房や給湯はエネルギー損失が大きいと感じる。

心が感じるのである。

だから、もっとQ値を高くし、損失をなくしたい。

給湯で捨てている熱を回収したい。

そう思ってSSプランを造った。

ドイツは暖房に相当エネルギーを使っているから

パッシブハウスがある・・・と聞いた。日本の家庭は優秀だし、

標準が関東(温暖地域)だから、

そう力を入れなくともよいのでは・・・という。

比較ではなく、エネルギー資源がほとんどないこの国住んでいて

冬、日射がない新潟だからこそ もっと暖房エネルギーを

減らしたいと感じるのである。

エネルギーは準寒冷地に住む我々には一番重要な問題。

豪雪地、新潟では凍死という死の恐怖を拭い去れない。

心が寒さから開放され豊かになるためにも

この恐怖を住まいで遠ざけたいと感じるのである。

その昔、東北や北陸では凍死者(冬を越せない者)が大勢いた。

夏が越せなかったという人は少ない。

この感覚は、冬でも路上生活できるほど寒くない、

冬に日射に恵まれた関東の人にはわからないかも知れないが、

「理解」はできるはず。最初から思考を停止させてはいけない。

島国日本。今後の世界情勢を考えると、

家はその島国の中で自立可能なように日本にある資源で

日本の人は暮らしていけるように目標を立てたい。

自分で使うエネルギーや資源は、

全て身近なところで間に合えば、とてもそれは豊かである。

50年以上使っていただける長期住宅を考えるときに、

避けては通れない問題である。

ただ単に太陽光発電等の電気が主流になるだけの

予感では、我々建築士は仕事をなしていないと言える。

この国を引き継ぎぐものに、目標や光を指し示したい。


電気自動車も家と同じように超断熱化するのか?

新潟の家はQ値0.9W/m2k以下を勧めている当事務所ですが、電気自動車も近々に超断熱化するのではないかと思います。
自動車産業のほうが、住宅産業より進歩しているイメージがありますが、ガソリンから電気に燃料が変わる事で、家のような断熱部材が使われる予感がします。

自動車のガソリン効率は15%以下だそうで、つまり85%は熱として大気中に捨てています。今の車は、この大きな排熱を冬の暖房用としてを活用している時期があります。
スキー場などで経験する零下10度と雪の付着。これを除去するのに暖房は最大で利用しますが、排熱なので存分に暖房エネルギーが使えます。
一方電気自動車の場合、電気効率が80%を超えるので排熱がほとんど出ません。ですので暖房するためにヒーターやエアコンを追加装備しバッテリーの電気で暖房しなければならないでしょう。すると走行に使われる電気が減るので、できる限り暖房で逃げる熱を減らす必要があります。
車は機能上トーメイなガラス=ウインドウが多くつかわれます。その全てが一枚ガラスであり、また走る特性上ガラスの表面熱伝達率(ガラス表面から大気中に逃げる熱)は相当大きく、暖房した熱が非常に多く逃げてます。
そこでガラスを今の家と同じように「LOW-Eペアガラス アルゴンガス入り」等になってゆくと想像できます。(但し着氷雪の融解熱をどう供給するかが課題。逆に全く融かさないとかもある)また、ボディーも断熱材がキッチリと入り、換気も熱交換型換気になっていくと容易に考えられます。
気密性だけは家より数段優れているので変化はないでしょう。これは現時点でも時速100km=風速27m/sで走行しても隙間風を感じないので相当気密性があると思いますが、一度測ってみたいですね。

夏は超断熱化によって熱くなりがちですが、冷房を始めれば超断熱のほうが効率よく冷房できます。問題は駐車時の温度上昇です。いかに畜熱量を減らし、すぐに室内表面温度を下げることができるが重要になるでしょう。そのためにもプリウスが現在オプションで選べるような、屋根にソーラーパネルを乗せその発電力で駐車時の換気を充分行い、室内温度上げない工夫があるのですね。
逆を言えば、車の屋根程度のソーラーパネルでは、換気扇を回すくらいの電力しか得られないということで、バッテリーへの充電はまだまだ先の事です。

蛇足ですが、ガソリン自動車の効率は良くて15%。一方電気自動車の効率は80%で、仮に火力発電で全て電力を賄うとして発電効率を37%とすると0.37×0.8=0.3となり30%の効率ですが、停止時のアイドリングストップや停止動作時のエネルギー回収をいれるとガソリン自動車より3倍くらい効率がよくなるという試算があります。つまりエネルギーが1/3でよいためCO2の排出量が少なくなります。これが巷で言う「環境に負荷が少ない」と言われる所以です。電気自動車で同じ距離を走った場合、CO2を出さないのではなく1/3になるという事です。


新潟のQ1 超断熱の家 その基礎断熱

上の写真は、現在施工中の超断熱の家の基礎の部分です。
左が断熱施工後、右が断熱施工前。基礎にまで断熱材が被っているのがわかります。
これは熱橋による結露防止とシロアリ防止(予防と駆除)のバランスを考えた計画。
よく見ると、断熱材が下から30cmくらいのところで材質が変わってますね。これは基礎と土台の部分で精度が違うので、柔軟性のあるGWを使い誤差の吸収をしているためです。

熱橋とは・・・コンクリートは断熱材(壁に使用)の80倍も熱を伝える素材。そこにアンカーボルトと呼ばれる基礎と土台を固定する鉄の棒が入っています。鉄は断熱材より4000倍も熱を伝える素材です。そのため外部に露出する基礎から熱を奪われ、それがアンカーボルトを通して暖かい室内につながってしまう現象を熱橋といいます。セキスイ、ダイワホームさん等の鉄骨構造はこの部分の対処に苦労します。

超断熱のような超高性能になると、このアンカーボルト周りを断熱材で覆ってしまわないと「あ」のところで結露する可能性が高くなります。そのためには、断熱材を基礎の外部施工する基礎外断熱が有効です。しかしこれには大きな欠陥があります。それは基礎外断熱は、シロアリの蟻道形成されやすい構造となるからです。仮に断熱材にシロアリ予防材(ホウ酸類)が混ぜてあっても、断熱材と基礎の隙間に蟻道を造ってしまえば土台の木までたどり着くのはたやすいことです。シロアリの少ない北海道ではこの基礎外断熱で大丈夫ですし、そのほうが結露防止として有効です。
新潟県では基礎外断熱はよほど理由がない限りしません。
多少の結露よりシロアリが怖いからです。仮に結露でその周囲木が多少腐朽しても構造に致命的ダメージは与えません。しかしシロアリは構造に致命的ダメージを与え、そして柱や土台にシロアリがいると思うと気持ちよくないものです。そこで上のような構造になります。しかしこの基礎外断熱を行っている会社もあります。将来が不安ですね。

SSプランの床下は真冬でも22度以上で積極的に使用しますので、このような熱橋対策は必ず必要です。超断熱ではこのような洞察力と技術力が設計者に必要です。安易な超断熱発想、見よう見まねでは欠陥が生じることになります。


一気に普及か?超断熱住宅。大手、特にトヨタホームが宣言!!

オーブルデザインでは、いま一生懸命超断熱の家をお勧めしてます。
が、なかなかそこまでする建て主さんの理解が得られていません。
がしかし、さてこんな記事があります。

「2013年にゼロエネルギー住宅を商品化すると宣言したトヨタホーム。」

大ヒット「プリウス」で有名なトヨタのエコ戦略。そのトヨタの子会社でトヨタホームの出した戦略です。新潟県では無名のハウスメーカーですが、中部では大手ハウスメーカーとして有名です(あのトヨタ自動車ですから)。
そこの社長さんが、この表現で発表するとインパクトありますね~。
オーブルデザインが昨年からこれからは超断熱住宅といっても、
「そこまで必要ないよ」という声もありますが、プリウスのトヨタさんが言うと、
「なるほど!そうか!」と思うのですね。

さて、この記事(インタビュー)によると、
1.家の断熱性を高くし
2.エコ設備を装備し
3.自然エネルギーを利用する

なってます。この3つは世の流れです。
この内 2.は年々変わる新製品に変わる設備に重きを置いても仕方ありません。ある程度考え、そして10年後入れ替えたときに簡単に入れ替えられるようにする空間を用意するほうが利にかないます。←床下空間のように・・・
3.の自然エネルギー利用も同様で、設置できるよう考えれば済むことです。普通はここに自然素材も入りますが、プレハブメーカーはそれができませんので言いません。
問題は 1.のQ値です。やはりこれが一番変更不可。最初からそういう家にしなければいけませんし、建築士の仕事です。

トヨタホームさんのQ値(熱損失係数)は今一番よい自社建物が約1.9W/m2kとあります。これは緑の家のSプランくらいです。これは今では当たり前の性能ですね。しかしそんな性能も表示していない住宅会社が新潟県では大変多いですね。ここは本当不思議な物語です・・。2年後急に「当社の熱損失は○×だ。凄いだろう!」と宣伝するのでしょうか?

更にこれを強化するとトヨタホームさんは言っていますから、多分Q値1.3~1.4W/m2kくらいが2013年の目標でしょう。当事務所は2013年で全ての緑の家を0.9w/m2k以下と思ってます。更に窓を強化するだけで0.8w/m2kになります。この窓は先日ご紹介した
この高性能3層真空ガラスサッシで実現できます。金額は30坪くらいの家であれば30万ほど上がりますが、価値はあると思います。

ミサワホームさんやその他大手さんが実験棟で宣言し始めているゼロエネルギー住宅(超断熱)の先取り、そして更に先行をしましょう。

この超断熱仕様はときっと将来よかったと思いますよ。

追加
ミサワホームさんの未来型ゼロ住宅実験棟は何と「基礎断熱」によるもの。白蟻関係者や床断熱派からあれだけいろいろなことが言われた基礎断熱。オーブルデザインではもう設立時の13年前から標準です。






  

新潟の家 Q値計算の難しさ 本当にその性能?

どうもQ値に対する不信感のある家(会社)があります。その家のQ値は世界トップクラスと宣伝されているのですが、普通のプランならどう見ても考えてもその性能にはならない感じです。

Q値は計算で算出するのが普通で実測で算出するのは極めて困難です。国をあげて研究する予算でもなければ難しいと私の恩師の環境の権威の先生も言ってました。つまり実測であると常に非定常の外部環境にさらされているので、でたらめな数値になります。が、・・・あるメーカーのHPには「測定」とあるのです。
しかも各部位の熱貫流率の明記がどこにもありません。これでは信用しろというほうが難しいです。Q値計算は難しいものではありませんが、その計算している人がちょっとっでもミスするとあっと今に変化します。例えば家の床面積をちょっと大きく捕らえるような事を故意に行えば簡単に0.3くらい変わります。計算は設計者(評価者)しかわかりません。
だからQ値1w/m2k以下の家を作る設計者は、各部位の熱貫流率を表記しております。これを明記する事で大体の精度がわかるからです。その熱貫流率を示さない会社は、??となります。適当でもわかりませんが、現在の社会ではこういった事が許されるから不思議ですね(手すりのない階段など)。

さて、現在建設中のQ値0.98K/m2Kの超断熱の家。
各部位の断熱スペックは

屋根(桁上小屋断熱):高性能フェノールフォーム180mm 熱貫流率0.11W/m2K

壁:高性能フェノールフォーム105mm 熱貫流率0.19W/m2K

床(基礎1):高性能フェノールフォーム120mm+50mm 熱貫流率0.14W/m2K

床(基礎2)中央部:土 熱貫流率0.11W/m2K

床(基礎3)外周部: 熱貫流率0.24W/mK

窓:木製3層LOW-Eガラス U値 1.2W/m2K

窓:樹脂サッシLOW-E アルゴン U値 1.6~1.5W/m2K 

窓付属部品:無し

換気:全熱交換型換気 熱交換率66%

玄関戸:スゥエーデン製木製断熱戸 ガラス無し 熱貫流率1W/m2k

です。これで間柱、柱、土台、桁の断熱欠損を勘案してようやく0.98W/m2kとなります。
 

県内でも複数のメーカーでQ値1以下の家を提供していますが、公の評価をQ値で取得している会社は当事務所だけです(調べた限り)。所謂「設計性能表示制度」で温熱に関する表示の等級4を取得するに当たって、Q値で計算して評価を得ました。
つまり設計者以外の第三者がその計算を精査したということです。

Q値という数値は、国で計算方法が決められています(指針)。計算は単純ですが少し間違えただけで簡単にQ値は変わります。だから皆さん注意を払って各部位の熱貫流率を出し合って、互いに納得しております。

次にご紹介するのは、まじめな設計事務所のQ値0.8w/m2kの家のスペックです。そのHPからは、すばらしい仕事をされているオーラを感じます。

屋根断熱435㎜(EPS50㎜+GW100㎜+ロックウール235㎜+GW50㎜)熱貫流率0.098W/㎡・K
壁断熱 295㎜(EPS50㎜+GWB50㎜+ロックウール140㎜+GW50㎜)熱貫流率0.135W/㎡・K

基礎外周EPS120㎜、土間下EPS断熱200㎜(100㎜+100㎜)熱貫流率0.47W/㎡・K

換気方式は、第1種換気方式、(スウェーデン製熱交換換気装置、熱交換率60%)

窓は、スウェーデン製木製トリプルガラスL0-E、アルゴンガス入り(熱貫流率1.3W/㎡・K)

玄関ドアは、スウェーデン製高性能木製断熱ドアで、更にペアガラスで備えた風除室を装備(熱貫流率1.11W/㎡・K)

このくらい行って初めてQ値0.8です。これ以下の家を作るなら、
窓は最低でも木製トリプルガラスLOW-Eアルゴンで、樹脂サッシは難しくましてやアルミ樹脂サッシでは到底不可能です。また換気の熱交換率も規定の換気量を確保したときの熱交換率で、弱運転等の効率のよい時の数値ではインチキですね。この熱交換換気システムで最高90%のものがありますが、非常に大掛かりでないと達成不可能です。果たしてQ値が0.7とか0.6では上の仕様をはるかに超える家でなければなりません。
はたして本当でしょうか?と思われる建設会社があります。

昨日のブログも件も含め家の設計はその設計者の思想(考え)が全てです。是非納得できるパートナーをお選びください。


新潟の家 Q値0.98w/m2kのQ1住宅 見学会 明後日

明後日行われる現場見学会はQ1仕様(Q値が0.98w/m2k)ですので、 半端じゃない断熱材(高性能フェノールフォーム)の量が現場に来てます。
通常の「緑の家」の2倍ですから室内は至る所に断熱材が置かれてます。一枚の厚さは60mmと45mmで、合わせて105mmです。一般的に使われるグラスウールという断熱材に置き換えると、約30cm!!に相当します。このグラスウールで外壁を作ったとすると、約40cmになり現実的ではありません。ですので断熱材を高性能フェノールフォームにすることで外壁厚を10cm減らし30cmにしてます(それでも30cm・・・)。
このように60mmある断熱材です。凄いですね。

これを気密シートが貼られた上に105mm重ねる事で外壁を作ります(気密シートは地震時の揺れを考えた場合大事な部材で、省略しているメーカーが多い中、当事務所では開設以来ずーと入ってます)。
現在この105mmの厚さで外貼り断熱の防火構造認定はIGサイディングくらいしか取れていませんね。新潟でこの厚さの外貼り断熱だけでQ1するのは多分当事務所だけです。
これは、将来断熱材を増やせることができる計画をしているためです。
将来20~30年後のQ値は0.7w/m2kを予想してます。
なぜこんな超断熱性能が必要かについてはこの前のブログにさらっと書いてありますし、この一年のブログ集に細かく載せてあります。ご覧ください。


新潟の家 超断熱 Q1 自然素材の「緑の家」 来週見学会


来週、超断熱Q値0.98w/m2Kの構造見学会です。出来上がりを考えるとわくわくしますね。
今回の構造見学会は予約制ですが、あと少し空いてますので是非ご予約をどうぞ。こちらです。
arbre@cocoa.ocn.ne.jp
詳しい内容は左バーの見学会にリンクがあります。

現在は外側全てに構造用合板を貼り付け終わって、高性能サッシをほぼ取り付け終わったところです。

内部はこんな感じです。ほぼ木でだけで囲まれておりますが、最終的には漆喰の壁になります。

現場では床下の感じがわかります。排水熱回収タンクも仮設置され何となく地下室のような雰囲気です。


エコ?エコは数値で表そう! 新潟の家 超断熱Q1

最近とにかく「エコ」って文字が多いですね。一番エネルギーを使いそうな車から食品、洋服までとにかく「エコ」。住宅もエコというPRが多いですね。
そんな「エコ」って何?と最近思います。多分CO2排出の事でしょうが・・・。

通常、CO2排出=エネルギー使用量です。
まず新潟県の住宅で一番エネルギーを消費する行為は、何と言っても暖房です。次に給湯。
仮に家がコンクリートで造られていても、鉄でも、木でも建設自体に掛かるエネルギーは、住んでいて使われるエネルギーと比べ凄く小さいものです。数値で示すと、建設、廃棄、修繕で掛かるエネルギーは13%。住んでいて掛かるエネルギーは87%です。これは30年くらいの周期の家のことですから、長期優良住宅みたいに50年以上を考える場合はもっと比率が下がります。
ですので構造材等使用材料でエコを比較するのは合理的または正確性に欠けます。

となると、やはり住んでいてこの家はどのくらい暖房にエネルギーを使う家なのか?または給湯に使うエネルギーをどのくらい削減しているのかが一番重要です。
暖房に使うエネルギーは、その暖房設備方法より断熱性(日射利用を含めた)で決まります。この事に異論を唱える人はいないでしょう?特に冬に太陽がなかなかでない新潟県は、純粋に断熱性で決まります。その断熱性は数値で必ず表せます。それがQ値といわれるものです。

不思議と「エコ」を前面に出している建設会社ほどそのQ値が出ていません。とーーーっても不思議です。そしもっと不思議なのが、それで納得してしまう建て主さんです。今や住宅の性能はほとんどが数値で表せますし、政府もそのような数値で示す性能評価システムを法律で決めてます。どうして「凄く断熱性がよい」とか「むろん高断熱だよ」というあいまいな言葉で納得するのでしょうか?技術者から見ると不思議です?
Q値を示さないで「エコ住宅」とPRするのは果たして本当にエコなのか疑ってしまいます。せめて断熱性を表すQ値と気密性をあらわす実測C値くらいを載せましょう。それが建て主さんに対するエコ評価の誠意ですね。・・・と思ってます。

あっ・・・それから、薪ストーブがエコかという事も正確ではないですね。木がカーボンニュートラルだからという理由だそうですが・・・。
仮に日本国中が石油や電気暖房器具を全て薪ストーブにしたら20年で国内の木を使い果たします。それだけ日本の家で多くの暖房エネルギーを使ってます。現在使わないで破棄している木を使う事はエコですが、それより暖房が少なくて済む超断熱のほうがエコとして正しいですね。


新潟の家 自然素材の「緑の家」の超断熱 Q=0.98W/m2kの小屋裏と窓

今月末構造見学会を予定している超断熱の緑の家は、小屋裏断熱材が施工をほぼ終わりました。ネオマフォームという最高性能の断熱材が180mm敷きこまれてます。これをグラスウール(セルローズファイバー)で換算すると450mmにもなります。設計者もびっくりです。450mmといったら足のひざ下が全て埋まります。もし輻射熱をもっと遮熱したい場合は、この断熱材の上にアルミホイルのような金属テカリがあるシートを貼れば完璧です。

そんな断熱材が敷きこまれても、小屋裏は美しいままです。整然と並ぶ垂木(屋根を支える細い木)は、23cm間隔と一般の2倍の量で施工されます。これは軒の出といわれる、外壁から突き出た屋根の長さが110cmもあり、これを支えるためですね。神社なども軒の出は大きく、垂木が細かく入っている事を思い出しますよね。この長さで夏の暑い日差しが家内部に進入することを防いでます。超断熱では大切な要素です。

さて今日はいよいよ窓の取り付けが始まります。
一部木製の3層ガラスサッシで、内側からメンテが可能なサッシと、オール樹脂サッシのLOW-Eアルゴンペアガラスのドレーキップ窓(内倒し内開き)、引き違い窓の3種類だけを使ってます。ドレーキップ窓を最初に使ったのは既に20年前。夏の夜、開けてあった窓を閉めるとき、普通の開き戸では、一度網戸を開けてから閉めなければなりませんが、ドレーキップ窓はそのまま閉められます。つまり引き違い窓を閉めるように、網戸に付いた虫が入ってきません。そして家の中から窓周りのメンテができます。デメリットは、内側に開くことでスペースが取られることと、雨上がりに窓を開くと、水が床に落ちる場合があることです。

さて窓の性能が大切な超断熱ですが、エクセルシャノンからエクセルウインドスーパーという製品が販売されております。図は全てエクセルシャノンさんのホームページからです。下の画像は、サーモグラフの画像で、色で温度をあらわしてます。
ガラスは真空ガラスという凄いガラスでガラス面温度が壁並みに近づいています(脅威的です)。しかし枠部分は少し温度が上がったものの、以前依然低いままでその面積も大きいことがわかります。何とか枠の断熱改善ができれば夢の窓Q値0.9以下が実現できそうですね。シャノンさん!がんばって安価で発売してください。


新潟の家 長期優良住宅で耐震等級3の家 SSプランが上棟中


出勤途中の風景で火曜日の早朝の朝焼けです。
遠くに靄がかかり幻想的です。この季節になるとよく見られる風景ですね。つい車を止めて撮りたくなりますが、この張詰めた空気までは撮れませんね。

SSプランのK邸の屋根形状は南側に大きい部分があります。この所に太陽光発電約3.6Kw を載せます。

上の写真は小屋裏部分です。床が既にありますね(2階ではありません。小屋裏です)。
この床が28mmの厚さがあり、2階をワンルーム空間にしても、耐震等級3が取れるポイントなのです。今回は32帖ワンルームが可能です。更に写真では床が光っています。この光っているものが、気密シート兼ベーパーバリアです。そしてこの上に約20cmのネオマフォームという建築材料中最高の断熱性を持つ素材を敷き詰めます。
よくベーパーバリアを省略する高気密高断熱施工がありますが、これは地震等があると気密性が大きく落ちることが知られてますが、このようなポリエチレン製の気密シートがあれば、ゆれにずれに追随しやすいので気密性が落ちにくいです。ピシッと綺麗に張られてます。

さて、お待ちかねの背の高い基礎ですね。下の写真はこの基礎の中を撮ったものです。基礎内部の半分は設備室(床下暖房)、残り半分は収納です。
大工さんの角刈りと鉢巻・・・見るからに職人!最高に似合ってます。

四角い穴は「人通口」と呼ばれるメンテナンス時に人が通る穴です。応力のかからない1/4のところにあります。50cm角ありますが、まだこの余裕。たいした基礎です。

床の高さ(中央の木の上が1階床)が土台(コンクリートの上にある木)より高いところにありますね。ここがポイントで土台と筋かいのメンテナンスが容易に可能です。長期優良住宅ではメンテナンスの容易さが重要ですね。


新潟の家 超断熱SSプランの家が上棟 情報収集で価値のある家造りを

皆さんは20年後を考えたことがありますか?

Q値1.9W/m2kの拙宅は築19年目に入りましたが、当時は高気密高断熱住宅なんてマニアックな会社しかお勧めしてません。
無論大手メーカーなど高気密高断熱ではありませんでした。しかし拙者はそのころから10年以内(2000年頃)までにはきっと、新築住宅はほとんどが次世代基準の断熱であろうと予想してました。20年経って高気密高断熱でない家は、今どのように暮らしているのでしょう。

数年遅れて12年後(2002年)、ほぼ注文住宅の大半が次世代断熱基準(←気持ちとしては高気密高断熱とはいえない低い性能・・・)になりました。
ほぼ予想は当たりました。予想を当てるのは実は簡単です。正しい情報を集め分析し、用意周到にシミュレーションを行えばほとんど予想がつきます(汗)。
ハイブリッド車(プリウス)の爆発的ヒットも予想通りです。水素などの燃料電池車はその技術的ハードルから眉唾物と考えてました。

さて、今後20年後社会はどう変わっているでしょうか?
きっと間違いないのは、エネルギー価格の高騰でしょう。不安をあおるつもりはありません。ただ、エネルギー自給率がたった4%と先進国で韓国と共に最下位である日本は、来るべき原油取り合いのころには、やはり原油価格は今の2倍で買うことになります。つまり、電気にしても灯油にしても価格が現在の2倍を覚悟する必要があります。もしかしたら10年後に早まるかもしれません。

20年後は昔と違い所得が今の2倍になることは考えられませんし、エネルギー問題が一気に解決するような新エネルギーは今のところありません。従って今できることは、エネルギーを使わなくても良い生活に準備を進めることです(せめてエネルギー需給率50%に)。これが解決しなければ工場の海外移転も少子化もやむ得ないでしょう。

準備のひとつが太陽光発電だったり、電気自動車や、ハイブリッド自動車、小水力だったりしてます。これらも急には増やせませんから、政府は理由はCO2削減というお題目で今から準備し始めていると思ってます。

さて一番高価な買い物である住宅ですが、
今後の推進として高断熱住宅がどのCO2対策にも提案されてますが、この位の断熱(次世代基準)では、CO2は減るどころかかえって増えます

新潟県を含む寒い地域での断熱として超断熱くらいで無いと、将来のエネルギー高騰を考えるととても性能不足です。
Sプランの床面積を3坪減らして減額してでも超断熱SSプランをお勧めすることになります

そのSSプランの家が上棟しました。

この段階で既に綺麗な構造です。構造が綺麗なことは、構造に無理がないばかりか、仕上がった時のプロポーションも美しくなります。上下の柱ができる限りそろい、横の木(梁)も大きく統一されてます。基礎は高く頑丈です。まだ写真ではわかりませんが、これから外壁厚30cmに向けて施工が始まります。


新潟の家 自然素材とエコ、そして超断熱の長期優良住宅の見学会

10月31日(土)と11月1日(日)の二日間「緑の家」SSプランの構造見学会を行います。詳しくは左のリンクバー「見学会」をクリックください。

この構造見学会は、国の長期優良住宅普及促進事業で定められた現場施工途中見学会です。簡単に申し上げると、「100万の補助金を出す代わりに、他の皆さんに長期優良住宅の良さを広めてください」ということで、途中見学会を行いなさいと聞いてます。

長期優良住宅の現場見学会は、先日ご案内した建設会社約30社(57会場)もありますからわざわざ長期優良住宅の家のためだけにお越し頂いても何も感動はないでしょう。しかしこの見学会は違います。なんと壁厚が30cmにもなる超断熱材や、1階の床高さが地面から1.5Mもあり、その下半分が設備メンテ空間、半分が収納室、将来窓だけを取り外しできる構造と今まで見たこともない高性能な家が見れます。内部は全て自然素材ですが、これは完成にならないと無理なので今回は構造だけをごらん頂ければこの家のすごさがわかり、近未来の家が見えてくるでしょう。
駐車事情によりご予約となりますが、その予約範囲3時間内ならいつでも結構です。
スタッフ一同お待ちしております。


新潟の家 超断熱Q1住宅(同等以上)が必要な理由

2009年10月6日グラフ追加、2010年3月20日緑字加筆

9年ほど前に改正された断熱基準である「次世代断熱基準」。これが現在の大手ハウスメーカーの断熱基準となっています。ところがこの基準であると、家の暖房費は以前のお住まいより費用が嵩むことが調査で確認されています。
その理由は、次世代基準の断熱性能で家中暖房を行った場合、性能が低すぎて(次世代断熱でも低すぎる)エネルギー消費が大きくなるためです。今までお住まいの家はほとんど断熱性が考えられていないため、それが逆に暖房費を少なくしていました。つまり限られた部屋の暖房と、間欠暖房と少しの我慢で暖房費が少なかったのです。ところが次世代断熱基準の家でこのような暖房を行うと、結露の発生が避けられません。家中暖房が前提の次世代断熱基準で間欠部分暖房では、結露して欠陥住宅になってしまうからです。
そこで家中暖房となりますが、当事務所の「緑の家」の断熱基準(次世代基準より1.4倍くらい高い性能)をもってしても暖房費がある程度かかります。30坪くらいの家で23度暖房を家中に24時間して年8~9万くらいの暖房費です。

下にQ1住宅で使うQPeXという簡易熱計算ソフトで色々な断熱の家のシュミレーションをしてみました。まずは緑の家のSSプラン超断熱の家です。さて、シュミレーションで大事な事は設定条件です。少しでも条件を変えると結果に相当影響の及ぼすものもあります。今回は窓からの日射は全て有効で考えます。実際は、カーテンや、他の建物があるので、これより暖房費が掛かります。
超断熱SSプランではその断熱性能高さと床下暖房の効果で設定温度は20度(昼)、18度(夜間)で充分快適。すると暖房費が年間約1万円←ほとんど暖房費用が要りません!!

Sプランは設定温度22度(昼)、20度(夜間)。すると暖房費が年間約7万円←暖房費用が月平均に1万程度です!!先ほどの経験値より1万くらい多めです。


次世代断熱基準の家は断熱性能が悪いので設定温度24度(昼)、22度(夜)。すると暖房費が年間約10万円です!!

設定温度がそれぞれ変わるのは、断熱性能や暖房方法の違いにより快適感が違うためです。次世代基準の断熱性能でも夜間22度は、少し設定が現実的ではないですが、このソフトではこれしか設定できませんので御容赦ください。

いずれにしても、次世代断熱基準に比べ断熱性能が3倍だから暖房費が1/3になるのではなく、もっと少ない1/7になる感覚です。このグラフで見てもわかりますが、2次曲線ですね。これに温度ムラ、体感も加わります。また表より、新潟県の冬ではQ値が0.3以下で無いと無断房住宅にはならないとわかりますから、「無断房住宅」というPRでは「誇大表示」ですね。

その暖房費の差額はSSプランとSプランで6万/年となり、25年でペイすることになります。しかし電気料金1Kwh=25円としましたが、来るべき石油枯渇危機となるときに、果たして25円/Kwhでないでしょう。少なくとも1.5倍程度に高騰するはずです。すると15年でペイする可能性がありあます。
如何ですか?超断熱。間違いなく今、お勧めです。

PS
図中、自然温度差がSSプランで約8.5度とあります。これは暖房をまったくしない時に外部との温度差のことで、あくまでも平均ですから目安です。真冬でも日が窓から入れば25度くらいの自然温度差は簡単につきます。たった1.5kwの熱量があれば20度温度差がつく家です。


新潟の家 CO2を25%削減に対し設計者でできること!!① 断熱区画

「2020年までに1990年から見てCO2の25%削減しよう」という目標を日本が国連で表明しました。これは現在のCO2を25%削減するのではなく、大体現時点から約40%の削減であるといわれてます。だからすごい反響があるのですね。
いろいろなご意見がありますが、CO2削減は子供たちもためにも重要なことです。できるだけ応援、協力を行っていきたいと思います。
さて、家の設計者ができることは・・・。限られてますね。しかし何か行動します。

新潟の家で一番エネルギー消費(=CO2排出寄与率)が多いものは、暖房と給湯で、それぞれ1/3づつを占め2つで2/3にもなります。節水や節電より暖房と給湯の対処にウエイトを置かなければいけません。
残りの1/3は照明、調理、通信、娯楽です。これは建築屋さんの分野ではないので他の技術者にがんばってもらいましょう。
暖房エネルギーが1/3あると認識すると、高気密高断熱技術は家の熱を逃がさない技術としてCO2削減の良い手法と考えられそうですが、実は誤解があります。
一番取り組みやすい暖房エネルギーを削減するのは、「寒さを我慢する」事です(汗)’’。
19年前に建てた拙邸(高気密高断熱Q値1.9w程度)でもわかりますが、高気密高断熱の家は、既存家一軒あたりの平均暖房エネルギーより多くかかる傾向があります。 えっっ・・・と思われるかたも多いと思いますが事実ですね。いろいろな論文もありますので探して見てください。建築学会では知られた話です。
なぜ多くなるか?
それは、家の各部から逃げるエネルギーは、断熱の悪い家より格段に少ないのですが、家全体を暖めるシステムのため逆に増えるのです。断熱の悪い家は、寒さをがまんして居間とか台所しか暖房しません。寝る前に個室を少し暖房しますが、夜は暖房しません。少しの暖房空間で我慢します。でも高気密高断熱住宅は、24時間暖房が前提ですので、多くの家で家中24時間暖房します。そして24時間家中暖房しても、以前の家より少しだけ多く電気代がかかる程度なので快適さを優先して暖房します。だから暖房エネルギーが増える傾向があります。一度24時間家中暖房の快適を知ってしまいますとなかなか寒さ我慢生活に戻れません。

何か手を打たなければ40%削減は、快適さを犠牲にして「寒さを我慢する」という戦前の暮らししかありません。これは望みませんし、これでは設計者として失格です。そこでご提案しているのが、超暖房のSSプランと「断熱区画のある家」そして「コンパクトな家」です。

今日は「断熱区画のある家」をご紹介します。日本の断熱に関する法律、性能や施工方法は上の写真の「住宅の省エネルギー基準の解説」という本に書かれてます。その中で下の図は、「断熱構造とする部分」として紹介されている図です。これを見ると通常、外気と直接接する壁や天井、床を断熱することになってます。ここがエネルギー浪費のポイントとなります。

家を建てるとき、ほとんどの人は家族が全員いる事?が前提でプランします。つまり子供やご高齢者の部屋も必要として考えることが普通です。しかし、最近のご夫婦の一生を考えると子供と同居していたり、高齢者と同居している期間は、全体の半分にもならない事がよくあります。55才を過ぎた頃には50坪以上の家にご夫婦だけという家も多いのではないでしょうか?そうなると家では普段使わない部屋が半分くらいできることになります。使わない部屋も24時間暖めないと、結露やカビなどの被害が発生するために、人がいなくても暖めることになります。それが大きなエネルギー消費増を招きます。
一方断熱区画は「LDKと寝室と風呂、トイレ」と「子供室、客室、予備室」と断熱的に分ける家です。ひとつの断熱区画は最大30坪(100m2)以内として計画します。もし「LDKと寝室と風呂、トイレ」で30坪を超えるなら、「LDK」と「その他の部屋」に更に分けても良いでしょう。こうすることで、仮にSプランの家を作っても以前より暖房費が上がる事はなくなります。
次次世代断熱基準を作るときには、この断熱区画の計画を盛り込んでほしいと思います。どうでしょうか?東大の坂本雄三先生(次世代基準を取りまとめた先生)・・・。

あっ、、、肝心のCO2の40%削減には、SSプランの断熱性能がまず必要です。残念ながらSプランをもってしても「我慢」しないと40%削減は不可能です。SSプランの家なら暖房用エネルギーは1/4(Qpex試算)です済みますし、この性能であれば、給湯エネルギーを増大させる浴槽のお湯はり入浴が少なくなるでしょう。高性能家では夏と同じようにシャワーだけで冬でも全く問題なく利用できます。つまり浴室も暖かいので、わざわざ浴槽であったまるという行為が減ると思います。

太陽光発電パネルが良いのでは?というご意見があると思いますが、CO2排出=エネルギー消費ですから、まずはエネルギー消費を少なくする事(超省エネ住宅)が王道です。効率よくエネルギーを造ること(太陽光発電パネル)が最初の対策ではありませんよね。


新潟の住まい Q1以下の性能のSSプランの省エネ達成率は?パッシブハウスとの比較は?

2011修正 家電エネルギーの一次への換算係数を入れてませんでした。

「緑の家」のSSプランは超断熱構造です。ではそれを評価すると・・・

上の図が省エネ法で定められた国の評価方法のひとつです。それによると太陽光発電3.0kwをつけた今回着工しているSSプランは、
省エネ達成率301%
太陽光発電を除くと231%です。

但しこれは給湯設備にエコキュートを設置した場合です。電気温水器ですと
省エネ達成率138%
太陽光発電を除くと121%です。
急落しますが、それでも138%もあります。

急落する原因は、お湯以外に使うエネルギーが小さくなると、分母が小さくなり影響が大きくなります。また皆様の推測のとおりエコキュートは電気温水器の約3倍の効率でお湯を沸かせます。つまり電気温水器の方が3倍もエネルギーを使う、それが一次エネルギー使用量を大きくさせてます。

さて、給湯設備ではエコキュートがトップの省エネ度となりますが、ほとんど省エネ度が変わらない設備として潜熱回収型ガス給湯器があります。料理はガスが好きという方にはこちらの給湯器がお勧めです。それはこの給湯器と組み合わせて使う高効率ガスコンロのほうが
IHコンロより一次エネルギーは少ないです。
上の図中の「あ」の部分は一次エネルギー量です。太陽光をマイナス評価(異論はあるが)した分の合計は32.2GJ/戸・年→32200MJ/戸・年→322MJ/m2・年です(床面積100m2の場合)。
この数値を今後世界環境基準になるのではという流行のドイツの「パッシブ住宅」の基準(家電を含むエネルギー消費量120kwh/m2以下)と比較すると89.4kwh/m2となります。
が、これには家電の消費エネルギーが加味されていません。家電の加味方法として、もし中間期に使用する(6月ごろ)電気量が250kwh/月(月7000円程度)の家庭であれば、250*12/100m2(床面積)*2.7=3081kwh/m2となり89.4+3081=119.4170.4kwh/m2120で合格不合格です。
ただ太陽光発電をマイナス評価方法、また細かい設定条件は違いますが・・・。いづれにしてもパッシブハウスの基準は相当厳しいに近いことは間違いないでしょう。

下は上図と同じ条件での電気温水器にした場合の省エネ度になります。

このとおり、超断熱の家では給湯方式が違うと倍近く一次エネルギーの使用量が変わります。これは暖房エネルギーがほとんどかからなくなるためです。
但し実際にこの差になるかは地域や使い方によって大きく変わるといわれてます。
いずれにせよ給湯エネルギーを少なくする方法として、排水熱再利用システムをSSプランでは用意してあります。


新潟の家 Q1以下の性能の超断熱SSプランの普及版

赤字2009.10.01加筆修正

長期優良住宅先導的モデル事業の補助金事業が採択されると、この下で提案する普及版SSプランならほぼSプランと同じ金額で建築可能です。こちらをどうぞ!!

先日ご案内したとおり、本格的なSSプランが着工しております。価格は当HPのとおりSプランより結構高額です。そこでSSと同じ断熱性能で少し価格を抑えた仕様を考えております。
現在のSSプランは、壁はオール断熱で小屋断熱で最高の施工方法。将来さらに断熱性能を引き上げたときに簡単にリフォームできるスーパー仕様です。そのメリットに施工手間がかかり価格が高くなっております。これを将来のリフォームを念頭におかないSプランと同じように考え、断熱性能のみSSプランの超断熱とします。
具体的には壁は充填断熱と外断熱の組み合わせとし、天井は小屋で450mmのセルローズファイバーを入れます。この仕様で約-1.5万/坪下がります。また、同じようにSSプランではサッシ後取替えができる仕様になってますが、これをやめSプランのように、外壁を剥がさないとサッシが取替えられない仕様にダウンします。これにより約0.4万/坪下がります。さらに、床下を1.4mにしないSプランの床下高さで約-1万/坪。更に柱、梁をオール4寸(120)から3.5寸(105一部120)とすることで-0.7万/坪となり合計約-3.7万/坪となり少しお求め安いSSプランの普及版が可能です。

サッシの取替え及び断熱性能の簡単アップは大変魅力的ですが、必要もない方もいらっしゃると思いますので、普及版をご提案を行って行きます。HPに近々にアップします。しました。


新潟の家 住まいのエコランキング

緑字2009.11.05
加筆盆休み前のブログでエアコンランキングをお伝えしました。省エネセンターのホームページには、家庭内でよく使う家電製品のランキングがあり、最近は購入時の目安としてこの「省エネ度」が使われます。ご家庭で購入されるもっとも大きい金額である

「住まい」「家」のエコ度はどうすればわかるのでしょう?

それは・・・

単純に家本体の断熱性「Q値」と「C値でわかります。

国では、これのほか住宅設備まで含めて「エコ度」を表示できる施策を今年から始めてます。が、・・・住宅設備は後から比較的簡単に更新が可能です。

ところが、家本体の性能は簡単には更新不可能です。

エコ度の性能を上げる家のリフォームは最低でも1000万~です。

だから選択するのは設備の性能よりまずは家の性能です。

私の恩師である新大の環境の先生は、「家本体のQ値、C値の高い家なら例えば北海道旭川に持っていっても快適である。ところが家以外の周りの環境に依存する(エコ)性能は、その場所で意味があるが、環境が変われば性能が低下する可能性があり評価はむずかしい。」と20年位前からおっしゃっていた記憶があります。少し私のなりにわかりやすく訳すと、

「家の周りにあきスペースがたくさんあり、緑が多く、涼しい風も抜ける家では、冷房がいらないから一番のエコ度であろう。またある程度の断熱性があり、冬の低い高度の日射がしっかり窓から入るくらい敷地が広ければ、暖房も少なくてすむだろうからこれも一番のエコです。しかし現実の多くの家が、そんな敷地に建築は不可能なので家単体の断熱性を示すQ値とC値がエコ度を評価するときの基本の指標となります。

だと思います。

だからこの断熱性を数値で示すQ値やC値を比べればエコ度のランキングがわかります。

新潟県の自然素材や天然素材でアピールする会社の多くが、このQ値やC値が表示されていません。大体「次世代省エネルギー基準クリヤー」の高性能と説明されています。ではこの次世代省エネルギー基準はどんな数値でしょうか?

省エネ法の次世代省エネルギー基準では、新潟市の大部分がⅣb地区となりQ値は2.7、C値が規定なしとなります。でもこのQ値2.7では性能が低すぎてランキングに入ることができません。というのは最近の断熱性はこの次世代省エネルギー基準の3倍も優れた家を勧めているメーカーがあるからです。そのメーカーランキングは

1位 セキスイハイム シェダンQ=0.99(地域、プラン限定 05年)

   一条工務店 i-cube   Q=0.76(地域、プラン限定 08年)     

   サンワホーム 無断房の家  Q=0.8(地域限定 08年)

   オーブルデザイン「緑の家」Q=0.99以下(自由設計 08年)

   その他イシKWさん、アサヒAさんの商品の一部等Q=0.9以下

2位以下 その他 諸々 

となります(Q値が0.99以下ならほとんど同率1位でもよいと思うのでこのようにランキングしました)。ここで大事なことは、この高性能住宅が会社全体の中でどのくらい占めるかのですね。どんなに優れたQ値の家であってもそれがモデルハウスだけとか、客寄せだけの性能であれば、技術的にその会社の家とはいえないからです。また、Q値はちょっとした手違い、数値ミス、故意で簡単に変化します。大手はパンフレットに記載された商品ですから間違いは少ないと思いますが、それ以外は性能評価で審査のされたQ値計算でないと信用できません。

最近の流行で、広告では「エコの家」といってもQ値が公開されていなかったり、次世代省エネルギー基準の断熱性では、ちっともエコではありません。なぜなら次世代省エネルギー基準ができて既に10年以上経過して、既に「次世代」から「現基準」となっており、数年後にはあらたな基準ができる予定だからです。エコ基準はまだまだ高くなります。だからこそ設備(太陽光発電、地中熱等)に建築費を割くより、断熱性能(トリプルガラスサッシや30cm近い壁の断熱材)を先取り施工することが成功の秘訣です!・・・ね。  きっと。


新潟の住まい 地中熱は?評価は?将来性は?

最近地中熱利用の話題を2つ耳にしました。ひとつは、ローカル新聞の記事。もうひとつは見学会にお越しいただいたお客様からです。

地中熱利用は古くから何度も実験や実測されて、実用されています。住宅において地中熱利用は2つに分けられます。一つ目はパッシブ的(受身的)利用です。たとえば当事務所の仕様である基礎断熱がそのひとつでしょう。建設時一年目は、基礎下地面の温度は周囲外部地面と同じ位ですが、一冬過ぎたころから、周囲地面に比べ多い温度で安定します。これは冬室内空間となる基礎下は、外気で冷やされることがないため、周囲地中温度より高くなり、これが結果冬の地中へ奪われえる暖かさが減ります。しかしパッシブ的な利用なので、このことを大きく宣伝する必要はありませんし、極普通の技術です。

次に積極的利用される場合です。ローカル新聞の記事とは違いますが最近は、仙台市の住宅展示場でも設置されているような利用方法があります。地中40mくらいまで直径数十センチの穴を掘り、深い地中の安定した熱を取り出して暖房や冷房に利用します。冷房は今から50年以上も前に井戸水冷房が多くの住宅に設置されていたことを思い出す人もいると思います。しかし井戸水冷房はくみ上げた井戸水を使ったら河に捨ててしまう事が環境によくないと言うことで今では消滅してしまってます。こちらは(仙台市)井戸水の熱だけを使うので井戸水は直接取り出しません(取り出しても地中に戻すと言う方法もある)。地下の地下水中にエアコンの室外機を水没させると思ってください。これについては今年の建築学会で効率の発表があります。結果は暖房COP平均は3.1だそうです。3年前に新潟で実測した当事務所のエアコンの平均COPが4を超えてましたので、特にエコロジー、または経済的とはいえません。

ローカル新聞で発表された地中熱利用は、

現在の地中熱冷房方法は、ドイツで多く設置されているクールチューブと言われるもので、地下に40mくらいの穴を設けそこに空気を通して家の中に取り入れれば天然冷房(暖房)となるという原理で設置されています。一見よさそうなクールチューブですが、日本(新潟)にはあまり効果はありませんし、不衛生になりがちです。それは

①日本は梅雨と言う雨季があり、地中の大気に開放された穴は、この雨季に水没する危険性がいつもあり、実用されているドイツと違う環境と言うことです。(密閉回路で水没回避可能です。)

②クールチューブ内夏季はいつも湿度100%状態です。つまりカビ菌に最適な環境で、仮にいつも通風状態であっても、カビは多量に発性します。この中を新鮮な外気が通って来た場合、家に入ってくる空気は多量のカビ胞子が混入します。(これが健康によい空気でしょうか?)エアコンのドレン管も同じような状態ですが、カビ球ができるくらいの環境です。クールチューブ内は当初綺麗ですが、数年すると間違いなくカビに汚染されると論文発表があります。また物理的に掃除はできません。

③地面は断熱性が高いので安定した土温になります。逆を言えば最初クールチューブを通って来た空気は効果的に冷やされておりますが、土の断熱性が高いため、あっという間にクールチューブ内は温度が上がり(地下水であれば回避可能)冷やされた空気が入ってきにくくなります。本当に50%削減もできるのでしょうか?

この3点でクールチューブは実用が難しいと建築学会で何度なく発表されております。特に今回は地下5mくらいで地下水利用ではなさそうです。

建築学会とは、日本では唯一の権威ある学会で、こちらで査読された論文でなければ大学の最高学位(博士)の取得ができないとされている学会ですので、その信憑性は国際的に有効です。

このような建築の学会では既に多くの発表がありますので、このシステムは国交省からの受賞暦はなく、環境省や土木工学会、通産産業省となってますね。地中熱利用に将来性はあると思いますが、ローカル新聞の記事には「冷暖房費50%削減」となってます。本当ですか?その根拠を知りたいです。これに惑わされ裏づけの少ない実験住宅を購入されないことを願います。

新潟においてエコで快適な家は何よりも先に「超断熱」からです。


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