新潟では無暖房住宅はありえないか?Q1.0住宅は?

寒い日でしたね、今日は。この寒さで早朝の道路は「キョロキョロ」(方言です。つるつるの最上級のこと)。仕事に向かう最中に道脇に車が3台ほど雪のなかに突っ込んでいたのを見て、私もスピードを抑えるべくアクセルから足を離した瞬間、後輪がドリフト・・・。右へ後輪が30度近く触れ、全逆ハンを当てさらに今度は左へ20度、これも逆ハンをすかさずあて、最後に左へ10度くらい・・・。何とか持ち直しました。この間50m位2車線を使いドリフト走行。無事無傷でした。

さて、無暖房住宅とは、暖房機がなくてもお日様の日射、人や待機電力などの日常発熱だけで快適な温度維持できる住宅の事を指します。暖房しない住宅ではありません。(笑)
この定義にあてはめると、新潟県では、無暖房住宅は限りなく無理とわかります。つまり仮に計算上の熱損失係数が0.99W/Km2という非常に高い数値の家があるとします。そこには3人住まい、広さは30坪の家とします。するとこの家が外気0度のとき室内温度20度を維持できる熱量は、
1.0×20度×100m2(30坪=約100m2)=2000W
となります。つまり2000Wの熱を室内で発生させないと室内を20度にできません。ところが一般的な住まい方をすると、人は100W/人、待機電力は多くても400W/件、その他発熱が多く見て200W あったとしても合計は3×100+400+200=900Wです。
2000Wの半分にもなりません。ここでは日射の取得をいれてません。というのは、冬季新潟県の平野部では、お日様が1週間ぐらい顔を出さないことは普通です。かりに顔を出したとしても、市街地では太陽高度が低いため、窓から有効に入ることは少ないことでしょう。
関東では日が差すほうが普通にあるため、無暖房住宅はできると思いますが、日本海側の平野部では無理なのです(スキーに行くとわかるのですが、意外と山のほうが晴れ間が多くあったりします)。日常発熱900Wでは、熱損失係数が0.4W/Km2以下の家でないと成り立ちませんが、現時点の技術では価格的に不可能です。でも最近は無暖房住宅と呼んで売っているメーカーがあります。これをどう考えるか・・・。「アガリスクががんを直す」と同じ販売方法のような誇張販売と思います。・・・が皆さんいかがお思いでしょうか?もちろん、当方も熱損失係数0.99W/Km2以下の住宅はとてもお勧めしますが、誇張して宣伝することはしておりません。さらに窓を補助部材(ハニカムサーモ)で閉めた場合だけで計算するのは、現実ではあり得ませんから・・・。
新潟県はこの丸2日間ずっと曇ったり吹雪いたりしている新潟県の平野部。お日様は顔出しません。こんな時こそ気温は低く今日は‐4度。20度維持するのには2400Wのエネルギーが最低必要です。木造住宅の蓄熱などたかがしれてますので、熱損失係数0.99の家の室内温度は、10度から13度でしょう。普通なら寒くて居られません。これを無暖房住宅と呼んでいいのでしょうか?

Q1.0住宅はそのコンセプトが違うので次の機会に説明をします。


ペアガラスの寿命は・・・?


今日の朝の寺泊の海。荒れてます。昨日は気温10度近くまであったのに今日は0度。その差10度・・・。波が白く泡状になり凍って吹き付ける拙宅のダイニングの窓。こんな暴風雪が吹きつける西側ガラス窓だけれど無論結露はない。このペアガラスはYKKのプラマードの標準品。

18年前の設置当時は10年たつとペアガラス内の乾燥空気のシールが切れ、内部ガラス面で結露するという噂が広がった。今のところ大丈夫だが、私のお手伝いした家では完成の数年後にその現象に見舞われた。勿論交換となったが、それでもその保証は10年で今販売されているペアガラスの商品も同じ。窓は明るさの取り込みと視界確保、通風の3つが機能となる。その一つの視界の確保がだめになる内部結露は、やはり20年くらいは確保してほしい。特に最近のペアガラス(LOW-Eアルゴンガス入りなど)は高価。簡単に取り換えなどとはいかないと思う。


木造伝統工法は地震に強くない??強い?

赤字は2008.1.27に加筆

上の写真は、日系ホームビルダー2月号の記事の写真。

記事と写真によると、所謂補強金物とスジカイを使わない伝統工法の耐震性を公的団体が研究調査したということ。たんてきに結論から申し上げると、地震に対しては「普通」だった。(特別弱いわけでもない)

※・・・伝統工法とは、補強金物や布基礎など使用しない工法。最近ではほとんど建築されていない。今の木造は在来木造軸組みと呼ばれ区別される。しかし今でもお寺や神社、一部の民家として建築される。一般の木造の仕様規定に当てはまらないため、全て限界耐力計算などの難易度の高い構造計算が必要。ただ単に丸太梁等を使った在来軸組み工法の家とは全く違う工法。

この実験の伝統工法は、通し柱150mm(一般では120mm)、普通の柱120mm(一般では105mm)、筋かい代わりに、土壁(貫工法)の仕様となっている。写真でもわかるとおり伝統工法でも外観などプランのバランスは今の住宅と同じような総2階建てとなっており、偏心率は0.3(偏心とは建物重点と強度の中心のずれのこと)以下となっている。柱は基礎に緊結されておらず、石に穴をあけその中に土台、柱の一部をさしてある。

震度7の地震力を与えて壊れ具合を見ると、1階の柱が折れ傾き、法的には倒壊との判断。実験した団体によると、建築基準法で定められている土壁の壁倍率をおおむね満足しており、ほぼ予想通りとの事。

これより判断できることは、伝統工法だから特別な耐震性ではないということ。逆から見れば、柱が一般より多少太く、土壁という金額のかかる家(3割以上高い)であっても、耐震性は普通の家とかわらない。いかに今の在来工法が倹約(最小部材)してできているかということがわかる。工場でその多くを造るミサワホームなどは、その柱などの構造部材のが在来工法よりもっと小さいのでその最小断面の芸当は「芸術の域」に達している。

この実験棟の伝統工法は、一応構造がわかっている人がプランしているが、地方ではもっとバランスの悪い伝統工法と在来工法を2で割ったような家がある。そんなものの実験も必要かも知れない。どんな工法であれ、自由プランであれば最終的にはその設計者の構造思想で強さが決まるとも言える。

では、伝統工法のメリットとは何だろうか?それは金属やコンクリートに頼らない正真正銘の「エコ住宅」であるということ。建物のそのほとんどが、土と木、石でできている。まだ金属精錬加工技術やコンクリートが存在しなかった時代からある技術なので、当然と言えば当然。したがって解体時にはすぐに土になるすばらしい工法。そしてエコには必ず高コストがついてくる。コピー紙もリサイクルペーパーのほうが新紙より高いのと同じ。手間が掛かるのである。それが一番の問題・・・。

PS・・・伝統工法でも「暖房」するなら「高断熱高気密」は必要。これは12年間も当HPでご説明してきた。寒いところには、今の文化では「人は住めない=手放す」 と言うこと!建てた本人は我慢できるかも知れないが、その家を引き継いだ次の世代が同じように我慢できるとは限らない。だから高齢者が住んでいた「古民家」が売りに出され暖かく改造して建築されている現実がある。


新潟での高気密高断熱住宅(基礎断熱工法)とシロアリ

昨日NHKのクローズアップ現代で、「マイホームが危ない!(アメリカカンザイシロアリ)」と言うテーマの内容で放映されました。(←1月19日放送) 写真は拙宅庭にいるヤマトシロアリ

カンザイシロアリとは、その名の通り乾いた木材を食べる分散型シロアリです。外来種で日本にはいなかった種です。この乾いた木材を食べることと、分散型というところが、今までに日本にない種で駆除を厄介にしているのです。乾いた木材を食べるシロアリなら日本にも獰猛な「イエシロアリ」がいます。このイエシロアリは大きな巣(コロニー)を持つ集中型です。大きな巣には数十万のシロアリがいるため、短時間(数年で)で大きな被害を与えます。しかし逆に集中型なのでその巣を除去できればきっちっと駆除が完了します。ところが、分散型のカンザイシロアリは至る所に小さな巣をを造るので、一箇所集中的に駆除できません。ほとんどの巣を駆除しても家の中で一箇所でも巣が残ってしまうと、再びあちこちに巣が造られるらしいです。そしてこのシロアリは新しく巣を造る時季が、今までの日本のシロアリのように年1回だけではなく、条件さえ揃えば年に何回もあることが、駆除をさらに難しくしてます。

そこでNHKのこの番組では、「ほとんど今は打つ手なし」のような印象を与えております。このシロアリの原産国のアメリカでは、燻蒸処理と言って一軒丸ごとテントで梱包して殺虫処理するそうですが、住宅密集地のある日本では良い方法といえないそうです。つまり、仮に隣に既にカンザイイエシロアリがいたなら、そのお宅も一緒に燻蒸処理しないと、数年で再び食害にあうそうです。その隣にもいたら、又さらに隣にいたら・・・となり地域一体で処理しないと効果はないそうです。さらに燻蒸処理には100万/件以上のお金がかかり、費用面でも簡単にできないそうです。

NHKのゲスト解説者は、「建築基準法の改定も必要。現在の地面に近いところだけではなく、屋根まで含めた防蟻処理予防が必要、更に加害された木は大きな穴が開くため、今までと違う被害が出る」と言ってました。これを鵜呑みにすると木造住宅の根底を覆しかねないお話です。全てが防蟻処理された木材の中で暮らすことが想像できません。いくら人体に害が少ないとは言え、防蟻剤はシロアリを殺す力を持っているので、人体に無害、環境に無関係とはいえません。それに木製家具にも巣を造るらしいとのこと。テーブルや椅子にまで防蟻処理をするのでしょうか・・・?

アメリカカンザイシロアリの駆除については研究段階と言うことです。この問題は国が統一的基準を造り、いち団体や、ハウスメーカーで対応させる問題ではないと感じます。しかし気になったのは、NHKは怖がらしておいて有効な解決策はなしという終わり方。以前も同様な指摘がNHKのクローズアップ現代にされてましたが、NHKは唯一の国営テレビです。もう少し掘り下げてしっかりと国土交通省への聞き取りも行い、あんに国民を不安がらせる様なことは慎むべきと感じます。

ある有名なシロアリ駆除業者のサイトでは、「カンザイシロアリは食害スピードが遅く、食害も大きくなく建物に致命的な被害を与えることが少ない。まず専門家に相談」と書かれてます。NHKの「大きなが空き、今までと違う被害が出る。」という印象と違うような感じですが、どちらが正しいのでしょうか?専門家の間でもオーソライズされていない害虫を、住宅の総責任者の設計者はどのように判断すればよいか苦慮してます。しかし一般的に家内部進入は、基礎通風開口部(基礎スリット)から入りやすいとの事。と言うことは緑の家の「基礎断熱工法による無開口基礎は、近隣からの飛翔であれば家内部に入りにくい構造ともいえる。かな?

今のところ新潟県ではまだ被害例がありません。よって私の歯切れが悪く「・・・だそうです。」の表現が多くなりました。


新潟市 小新の 住宅(高断熱高気密自然素材)見学会にお越し頂き感謝します。

17日18日にお越し頂いた皆様には、感謝したします。特に建て主様のご友人様には大勢お越しいただきまして、改めてお礼申し上げます。

上の写真のとおり、日曜日もこんな晴天で行われました。熱反射ガラスに青空がびしっと写ってます。

さて見学会で次のことを学びました。

1.晴天で室内温度26度(相対湿度30%)近くになる急激な温度変化環境では、「性(しょう)」の悪い自然素材の無垢の木が悪さをする場合がある。お越し頂けた方に説明が難しい・・・。

2.緑の家は、耐震性、耐久性、メンテナンス性、快適性、触感、臭感、ローコストのバランスの良い仕様。従って、すべてに高次元である部分に特化していないことの説明の難しさ。

3.無塗装の床はやはり良い。

です。

1.はなかなか難しい課題です。「緑の家」では、造作材(窓枠、扉枠)に杉のKD材18%以下を使っております。KD材とは乾燥材という材料で、特に釜で人工乾燥させた材料のことです。ですが、中には乾燥しきれない部分があり、それがこの急激な温湿度変化で乾き、反ったりしてしまうものがあります。通常は1件で1本くらいですが、時には2から3本くらいあり、見学会中におこると修正ができなく苦労します。なるべく性のいい木を使ってほしいのですが、こればっかりは、材料を製材する場面にいないとわかりません。

3.はお越し頂いた方に伺ったのですが、その方は8年前に家を建てやはり無垢材の床にされたそうですが、表面に「柿渋」を塗ったそうです。それはそれで気に入っていらっしゃるのですが、やはり8年くらいでところどころ剥がれてきて、まだら模様になっているらしいです。柿渋は床に色をつけているので、剥がれるこのころが一番見苦しいころです。ヒノキの「無塗装床」では、その時期が1年未満にくることが多く(多くが水しみによるもの)、艶が出てくる2から3年後から安定します。どちらがお好みかでしょうか?やはりそのままが私は好きですが、茶色系を望まれるか方は、やはり着色が選択肢の一つでしょう。金額が高くてとも良いとおっしゃるかたは、こんな色付無垢床もあります。


冬の見学会で悩むこと。

今日見学会にお越しいただけた皆様、ありがとうございました。
晴れている時間が結構ありましたが、気温は低めで寒い一日でした。
さて、冬の見学会で悩むことがあります。それはスーツやジャケットを冬物にできないことです。見学会の家は、どの空間でも23度くらいあり、冬物ジャケットでは汗をかくので、春夏ジャケットでご案内します。が、一歩外にでるとそこは厳寒の冬真っ只中。見た目にもギャップがあり過ぎるので困ります。
さて、今回の家では太陽光発電パネルが設置されていますが、今日の最高発電量は何と11時頃に3.0kwを記録。定格出力3.0kwの出力どおり発電しました。私が見た時は2.69Kwで、噂どおり気温が低いほうが効率は高い感じがしました。下の写真では、発電量2.69kwで消費電電力1.78kw(照明とエアコン)。その差0.91kwを東北電力さんに売電しているところです。


再びNEDOの補助金復活!!そして明日から見学会!!

今年度最後の補助金が再び公募された。昨年12月に補助金で復活したものであるが、予想通りその応募が少なく(条件である性能表示の申請が業者から嫌がられる)予算が余ったので三度の公募となった。エコキュートの今年度補助金も終わり、太陽光発電の補助金は、通常21万のなか、このNEDOの補助金はその5倍(100万)は受けられる。

過去にも数回ご案内しているが、オーブルデザインの「緑の家」はほぼ標準仕様で、補助金100万以上を受けることが可能。さらに、この補助金の条件である、性能表示申請においては、耐震強度は避難施設並みの強度を国が認める「等級2」を、100年近く大規模補修なしを認める最高ランクの劣化等級3を認められる。 詳しくは当HPトップから上のマークアイコンをクリックして、条件をご覧ください。今回は施工期間が短いのでお急ぎを!!

明日の見学会はこの補助金を受ける住宅である。勿論、避難施設と同等の耐震強度がある性能評価の耐震等級2という性能。

普通このくらいの強度ともなると、窓が小さくなって、暗くなったりするのが多いが、そこはオーブルマジックで大変明るい。家中暖房も行っているので裸足で歩いても暖かい。明日は19時ぐらいまで行っているので、是非お立ち寄りを。m(_ _)m


除雪機を譲りました。

オーブルデザインが借りている駐車場は6台ほどあるが、2年前まで小型除雪機によって除雪していた。しかし数年前からとても体がついていかなくなった。エンジンで動く除雪機であるが、やはり転回や硬い雪の場合力が必要。雪かきの次の日に体が必ず痛くなる(朝一番に行うため、私がいつも除雪するのである)。同じ除雪機を使う義兄さんは私よりも3つも上であるのにぜんぜん平気みたいであるが、私はどうも腰がついていかない。そこでお隣の会社さんから地下水を分けて頂き、融雪することにした。となると除雪機が必要なくなるため、メンテナンスをして頂いているバイク店に引きとってもらおうとしたが、お金が1万程度かかるらしい。まだ動くのにお金を払って処分するのはもったいない。そこでオークションに出品した。その前に義兄さんにお譲りしようとお声がけしたが、2台もいらないというお返事。

昨日の夕方始まり価格10円でスタート。長引くものいやだったので即決価格5000円としたら、なんと1時間で即決した。確かに年数の割には調子がいいし、なんといっても可動品。落札してから他の類似オークションをみるとジャンク品は1万以下だけれども、可動品はどれも数万以上。まったく不思議であるが、町の販売店では1万払うし、オークションでは1万以上で売れてしまう。ネットがあると不用品でもごみになりにくいかも知れない。

ヤマハの除雪機さん。25年間本当にご苦労様でした。新しい土地山形県でもうひとがんばりです。


法律厳守とは・・・。家の構造で補強金物を使わなくてもよいか?

木で作る家の構造は次の4つになる。①在来軸組み工法、②2×4工法、③丸太組み工法(ロッグハウス)、④その他(ハウスメーカーや、ラーメン工法など)
木造2階建でふうつの大きさであれば、行政のチェックが必要ない。ということは「構造に関して確認申請で第三者のチェックがされない」ということ。各設計者(建築士)が責任を持つと法律で記載があるが、まったく無法地帯ではない。①の在来工法では必要な壁を設けて、木と木の接合部には決められた金物を使わなければならない。この金物が補強金物といわれる。さらに構造の第三者チェックが必要なら、「性能表示」を取得すればよい。

ところがこの補強金物を勝手な思い込みで省略できる(している)建設会社もいまだにある。金物の省略は構造計算で確かめられた場合や、実験で確かめられた限る。したがって「この工法は昔ならの大きい丸太を使う伝統工法だから、ほぞに込栓で大丈夫」ということだけでは法律違反となる。
数年前にアガリスクががん治療に効くと販売して検挙された健康食品会社が数社あった。日本憲法で「表現の自由」が保障されているので、各個人が自分の思いをどのように表現しても罰せられるこてはない(他の人に迷惑をかけることはNG)。だから個人として「この食品はがん治療に効く」と言ってもよいが、それを販売目的で使った場合は問題がある。朝のテレビショッピングでは、メーカーが良いと言っているのではなく、買った人に「体調が良くなった」と言わせてぎりぎり法律をクリヤーしている。アガリスクががん治療に効くと言って販売したら、薬事法違反と詐欺になる可能性がある。というのはアガリスクが公の評価でがんの治療に効果があるといえないから。日本では、根拠のないことで消費者惑わたり、だましたりして販売した場合は詐欺に当たることがある(経験上大丈夫や安全では、根拠にならない。そんなことを許したら、詐欺が横行するから・・・)。
住宅も同じで、「経験で大丈夫」とか「昔ながらの伝統工法」ということでは、根拠にならない。特に安全性の最重要性能の「耐震性」においては、勝手に補強金物を省略することはできない。だから丸太木組を見せることで有名な中堅建設会社も使いたくない補強金物を使っている。木で上手に隠してあるが、省略できる根拠がないので法律を守らなければ、「違法建築」になるということを分かっているから。

あなたは、愛する家族が住まう家の安全性を、多数の学者たちがプライドかけて作った法律と、建設会社一個人の判断で決めた安全性の決まりと、どちらを信じますか?無論オーブルデザインは、前者で法律は厳守します。

この写真は、当事務所で手がけた古民家再生時の補強金物の様子。こんな木組でも根拠が確保できない場合はまず法律を守ることが重要。


外壁が無塗装の木の「緑の家」が着工② 冬外観

久しぶりに寺泊に雪が積もった。18年経った家の庭が薄っら雪化粧となった。

木の外壁はすぐに乾くので写真は乾いた時の色。濡れると木の幹に近い色になる。私は新品の木の外壁色よりこちらのほうが好きだ。

昨夜の寺泊は風速10m/sの暴風雪。気密性が1.0cm2/㎡以下の拙宅でもこの暴風では結構漏えい換気が増える。

上のグラフは昨日のリビングの床の温湿度の移り変わり(測定器は床上に直接置いた。ということは床温もほぼ22度ある。このくらいあると裸足でも問題ない)。結果は夕食時には水蒸気が多く出たことと、外気温がまだ高かった為、湿度は45%くらいだった。夜から外気温が氷点下となり、風も強く乾燥した空気と漏えい換気もちょっと増え、就寝して水蒸気発生も減ったため、湿度は40%を下回った。少し乾燥気味であるが当家族は特に問題はない。深夜湿度が少し上がるところがある。これはある事情で床を水ぶきしたため。敏感な測定機であることがわかる。

拙宅では寒がりが多いので、夜でも22度前後で寝ている。布団から多少出ていても問題ないくらいの温度だ。ちょっと贅沢であるが、家自体が小さいのでエネルギーはそう多く使わないので許していただきたい。グラフ中、系列1,2は湿度、3,4は露点温度、5,6は温度。各二つデータがあるのは、同じところに置いた測定器のデータを比較するため。ほぼ同じデータが得られて安心した(違っていたら測定値の絶対値が正しくない可能性がおおきいため)。

欅の細い枝に雪が積もったときの美しさは、桜の満開と同じように感動もの。しかも雪が音を吸音するので無音の静けさ。無塗装の木の外壁が温かみを与える景色となる。

左側が車庫、その上が菜園となっていて、外階段で上にあがることができる。この暴風でも今のところ菜園に植えられたブロッコリーは塩もみにならない。潮風よけの壁と屋根を昨年作ってよかった。(o^-^o)


外壁が木の「緑の家」が着工①

ターシャ・デューダの家に憧れ、昨年から薦めてきた外壁に木を採用した「緑の家」が三条市で着工した。外壁が木の家は、「緑の家」が目指すお勧め外壁である中霧島壁と双頭になる素材。加えて建設地の地域性を加味した耐雪2mを確保。完成がとても楽しみである。また、同じ三条市で内部のインテリアがターシャ・デューダ風の家の着工も間近。こちらも楽しみである。

写真は拙宅の外壁と玄関戸部分。同じ時期にリフォームで新調したが、ご覧の通り外壁は、グレーになって来ているが、玄関戸はリボスオイルふき取りを2回したのでまだ新品の色を残している。これだけで見ると、オイルふき取りがよさそうに見える。がしかし、近くで見ると、玄関戸のほうはところどころグレーのまだらがありなんとなく表面もやわらかさがない。これを見て家族は、「やっぱりオイルをふき取りしなければ良かった。無塗装の木の感じのほうが良い!!」と言う。確かに私もそう思うのである。ではなぜオイルを塗ったかと言うと、玄関戸は可動する部分。一方外壁は固定部分。可動する部分は、自然素材の特徴である木の伸び縮みがあると、可動に支障きたしてしまう。そこでこの厚さ60mmもある木の戸(スェエーデン製)は、ある工夫がしてある。それは表面が無垢の木が貼ってあるが、中は断熱材があり1mm程度のアルミ板が2枚入っている。表面の木の厚さは数ミリしかないので、劣化をなるべく防止したい。この薄い木を長持ちさせるため、質感と見た目より耐劣化を選んだ。

更に玄関戸こだわりは、玄関戸のガラスがトーメイであること。日本の住宅玄関戸に使われるガラスは99%不透明。しかし思い出してほしい。数十年前、木の外壁が主流だったころの家の玄関戸は、トーメイだった。一部下のほうは曇りガラスのところもあったが、多くはトーメイガラスだった。そういえば米国のドラマに出てくる普通の一戸建て住宅の玄関戸(内開きが多い)はほとんどがトーメイガラス。鍵を開ける前に相手の顔が見えるというもの(だからついつい、バルコニーの戸と勘違いして見ている)。このわけは、米国の普通の一戸建て住宅の多くが、建物の前に庭がある。その綺麗な庭も見えるという事を優先しているのであろう。前庭があると言うことは逆に道路からは距離があるのでトーメイでも問題ない。米国でも集合住宅ではガラスすらなく、完全に防犯性にウエイトをおいている。日本でも集合住宅は防犯性が大事。勿論、玄関戸の外は、廊下だけだから「見える」必要性がない。そう考えるとせっかく綺麗なアプローチがあるなら、玄関戸はトーメイが良いのではとなる。特に小さな敷地ほどせっかくのアプローチを緑で飾り活かすなら玄関戸のガラスは、トーメイがお勧め。特に南向き敷地に建つ家は、南側にお庭が配置されるので、そのお庭を楽しむことができる。この考えが極端になると、南のバルコニーサッシが玄関をかねる家になる。無論、ガラスが大きくトーメイであれば、玄関内も明るい。気をつけることは、ガラスが大きい場合は、強化ガラスか防犯ガラスがよい。

写真の玄関戸のガラスを見てもらうとわかるとおり、ガラスに景色が反射して、中が見えない。そうこのガラスは3層になっており、第一層目が強化ガラス、二、三層目が金属膜コーティング複層ガラス(所謂ハーフミラー)であるので、昼間はそのままでも中が見えにくい。夜は見えるのでカーテンか、プランに工夫が必要。既にこの扉で5棟の実績があり評判は良い。


太陽発電、CO2を38%削減するローコストなエコ住宅の完成見学会

2階にある造り付けの手洗いです。配管まで綺麗にデザインされたかのようです。これでもローコストなのですよ。ボール本体は1万弱。水栓は1.5万、配管類など2.5万、カウンター1万です。つま先が入るスリットもあり、よく機能を考えてます。

本題ですが、小新S邸が完成したので見学会を行います。日時場所はこちらです。

Sさんは、小さなお子様が2人いらっしゃいます。そのお子様に自然エネルギーやエコの大切さを実践したい。そのためにも「太陽光発電」は是非設置したい!!との強いご希望で、予算オーバーにもかかわらず、別予算を組んで設置した、とても高い志の建て主さんです。当事務所も少しでも役にたてればと思い補助金を探し、NEDOの補助金が運よく当てはまりました。さて補助金には規定があり、申請の条件が家の性能表示申請が義務でしたので、無論申請しました。ただ申請するのは簡単ですが、やはりそこは設計事務所。耐震性や耐久性にこだわりました。

当事務悪所の「緑の家」は、ほぼ標準仕様で耐震等級2、劣化対策等級3(最高ランク)です。耐震等級2とは、災害時避難施設となる学校や病院と同じ耐震強度があります。耐震等級の最低ランクの等級1とは大きな差があります。また劣化対策等級3とは、90年間大規模な修繕が必要ない高耐久住宅です。また次世代断熱基準より1.25倍優れた断熱性能、維持管理しやすさも最高ランクと、ローコストで基本性能は最高を取得してます。どうぞお越しください。土曜日は19時までお待ちしております。


ペレットストーブと薪ストーブ?高断熱高気密住宅との相性は?

緑字2014.01加筆 修正

赤字小文字2009.01.12加筆

ペレットストーブという暖房機が知られるようになってきた。ペレットストーブとは、木のくずなどを圧縮して燃料として使うストーブのこと。このペレットストーブのメリットは2つ。再生可能な燃料を使うことと、カーボンニュートラル(人為的活動を行った際に、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量と言うこと)。この同じような特性をもつ暖房機としては「薪ストーブ」がある。薪ストーブとちがいは、電気を使うかどうかということ(一部ペレットストーブは電気を使わないが、逆にペレットのよさがなくなる)。

ではペレットストーブと薪ストーブを比べたときのメリットとデメリットは・・・

ペレットストーブのほうが優れる点として、設置が簡単(施工費が小)なものが多い。これは電気による送風気を使って、燃焼空気を強制的に給排するため、煙突がなくてよいため。薪ストーブの最大の欠点である設置経費は煙突にあると言っても良いくらい高い。次に電気を使って燃料を定期的に補給するため、燃焼時間が長い。薪ストーブは、薪を人が必ず投入する必要があるため長くても1~2時間に一回程度薪を入れる必要がある。ペレットストーブは、機種にもよるが数時間から数十時間に一回で済む。加えてペレットの保管が薪と比較して楽である。薪ストーブは薪が綺麗ではないので床が汚れる。

私も2012年から薪ストーブユーザー。土間に設置される薪ストーブは相性抜群

薪ストーブがペレットストーブより優れている点は、先ほどの逆で電気を一切使わないと言うこと。ペレットストーブは機種にもよるが比較的大きな消費電力(100W~300W )である。(国産機種で消費電力50Wの物を発見。さすが国産のサンポット!)この電力の大きさは、同じ発熱量のFF石油ストーブの3~5倍程度になる。だから実際はペレットストーブはカーボンニュートラルではない。しかし薪ストーブは名実ともにカーボンニュートラルである。燃料費はこの電気代を加算すると同じくらいになるはず。次のメリットは、炎が美しいと言うこと。美しさには人それぞれの基準があるが、電気を使うペレットストーブはファン音がうるさくて、炎を純粋に楽しむことが薪ストーブより劣る。加えて、薪の炎とペレットの炎は感じが大きく違う(私はやっぱり薪ストーブの炎が良い)。

結論は、FF石油ストーブの代わりとしてペレットストーブはお勧めとなるが、薪ストーブの代わりにはならない。特にFF式ペレットストーブは、高気密高断熱住宅とは相性がとてもよい。よほどでない限り市街地でも設置できるでも(ただし住宅密集地では設置不可)。薪ストーブは無論、密集した市街地では、匂いや煙で近所からクレームを受けるが、まだ燃焼が安定しているペレットストーブは、この点は少し優れている。

しかし薪ストーブが高気密高断熱住宅にふさわしくないかと言うと、とてもふさわしい!!但し外気導入タイプか、それと同じようなシステムを考えないと、レンジフードを使ったとき、煙が逆流したり、せっかくの高気密での計画換気が崩れ、エネルギーロスを多く生む。高気密高断熱住宅と言いながら、完成時気密測定をしていない家なら問題はないかも知れないが・・・。

ちなみに灯油が100円/リットルであれば、ペレットと同じコストパフォーマンス。灯油が75円/リットルならペレットが灯油より1.25倍高い暖房費用となる試算(発熱量あたりの単価)がある。今現在では灯油のほうが25%以上安く暖房できる。

さてあなたはどちらがお好みですか? 


新潟、海、家、冬、自然

今日は久しぶりに穏やかな海。朝の空は西の空が光り輝いている。地元の人が家を造るとき、西である海にはなるべく窓を設けないらしいが、拙宅や、他の地域から移り住んできた人は、やっぱり西にも窓を大きくとる。(夏の西日対策は、浜茶屋のようなすだれが海に似合う。)このような景観を毎日感謝してみるため。

海の近くに住んでいると、冬の海も素晴らしいということを教えてくれる。写真2枚目と3枚目は昨年のショット。テレビではよく目にする「波の花」。風に乗って国道まで舞ってきて、まるで桜吹雪のようになる。


新潟、海、家、冬、自然 お正月、瓦屋根など色々

26日の年末から今日まで、寺泊ではずっと風が強いまま。平均風速7m/s以上だろうか?この土地に18年近く住んでいるので慣れてはいるが、外に出れないのはつらい。風の轟きは止むこともなく、ちょっと近年では珍しいくらい強い風が続いている。しかしこのくらいの風であると、1km内地に入るだけで風がなくなる。寺泊の海岸部は東に山(丘)が連なり、この丘を越えると風が急に弱くなる。さらに10Km内地にはいると(旧分水町)そよかぜ程度になる。こんな強い風でも家の中は全く快適。裸足で家中過ごせる。自宅が高気密高断熱でなかったらとってもここには住めない。


年末の町内配布物として写真のパンフが配られた。耐震診断と耐震補強の薦めである。それを見ると昭和56年以前の家は、耐震性が低い可能性が高い。だから耐震診断を受けてほしいとのこと。補助が7万程度出るので、診断費用は1万で済む。確かに昭和56年以前は、筋かいの端部補強金物さえまともに入っていない家が多い。速やかな耐震補強は是非とも行ってほしい。正月に家族が集まるので、効果的なタイミングでの配布である。しかし誤解させるような書き方もパンフレットにある。そのひとつに和瓦の家が危険のように書かれているが、和瓦の家だから危険であるということにはならない。和瓦の家が注意する点は2つあり、ひとつは瓦の落下である。もうひとつは瓦の重さで家にかかる地震力が大きくなり、家や人に損傷を与えることである。しかしいずれも適切な設計と施工で全く問題ではなくなる。重い瓦がだめであれば、それより数倍重い積雪はどうかんがえるのだろう。屋根に雪があるときに、地震が来ないという保証はない。和瓦は耐久性が60年以上あり、加えてその材料がほとんど土であるというすぐれた建築材料である。間違った印象を与える書き方には注意が必要である。

皆さんは、ご自分の家の耐雪の量を設計者から聞いたことがあるだろうか?雪の重みは瓦の数倍になる。当事務所ではここ数年で耐雪住宅を5棟計画した。うち2棟は2.5mまでの雪に耐えられる。耐地震力は、建築基準法の1.25倍以上で計画したので、瓦が4層以上に重ねて積まれても全く問題ないくらいの耐震性をほこる。今後雪下ろしの可能性がある地方の家は、このような住宅がよいとと思う。


新潟市で完成見学会 1月17日、18日 (高気密 高断熱 高耐震 高耐久)

前続きで写真は、80年以上前の鉄で造られた水門のアップです。機械的な楽しいデザインがお気に入りで、実際の物を見た時は、その美しさに震えました。本当の色はオレンジ色で非常に深く派手です。このデザインが気に入って、濃い色黒に変換してノートパソコンの壁紙として使ってます。

さて、完成見学会を1月17日18日と行います。場所は新潟市小新で黒崎ICから車で5分くらいのところです。後日HP上でご案内します。
特徴は、建て主さんのたっての希望で太陽光発電を3KW屋根に設置していることと、住宅性能表示の設計建設評価住宅です。無論その耐震等級は2という数百年に一回の大地震の1.25倍の力でも倒壊、修繕不可能な被害が起きない性能ということを、法律によって認められた家です。簡単にいうと地震の際の避難所となる体育館、公共の施設と同じくらいの丈夫な建物性能ということです。○×工法だから地震に強いとか、壁倍率3.5だから強いとかいう、ほとんど偽りのような広告の家とは違います。壁がいくら強くても、建物全体のバランスや強度がなかったら意味はありませんから・・・。特に注文住宅では一個一個プランが違いますから、それぞれ耐震強度が違うことは当たり前です。また劣化等級も最高ランクを取得。これらを通常の「緑の家」の標準仕様で満足するのですからいかに優れているかおわかり頂けると思います。


職人魂のデザイン


この橋のデザインはたのしい。それはだだ機能だけのデザインではなく、遊び心も持ち合わせているため。詳しく調べてはいないが、築造年は70年前以上と思われれる。機能だけでデザインすれば、現在造られる橋の多くがそうであるように、すっきりとシンプルの機能と効率を最優先した橋となる。それはそれで美しいが、この写真のように遊び心をもった昔の職人気質の技術者(設計者)がつくると、シンメトリーをわざと崩すようなデザインや部材の使い方になる。橋の上部をつなぐ梁部分のデザインがそれぞれ違う。そしてアーチ部分も微妙に変形している。無駄な部材はないのだけれど、必要な部材でデザインすることを楽しんでいる。こういう職人魂は私も見習いたいし、心がけている。楽しいということは心が軽くなる。機能美が美しい古い木造建築でさえも実は遊びが顕著に現れるところがある。それは「建具」と言われる扉(雨戸、障子、ふすま)。必要な部材だけで楽しく、時には凛として造られている。その細い木が一本がないと建具が成り立たないそんな必要な部材で造られるから、昨今のような「うわべ」だけを繕った安易なデザインとは違う。そこにとても魅力を感じる。

PS

少しこの橋を調べてみたら、やっぱり異色橋梁設計者「増田淳」という技術者だった。通常は政府が設計する橋梁を個人事務所で委託設計をしていたという紹介があった。なるほど。


暖房器具が必要ない生活。という、うらやましいご質問。

今日、この夏に家が完成した建て主さんからエアコンの使い方のお問い合わせがあった。その中で「今の季節でも晴れると暖かすぎて2階では半袖です。」との事。本当にうらやましいですね。このお宅は2階にリビングダイニングがある逆転プランの家。だから2階の南には大きな窓があり、そこから冬至の低い高度の太陽でもきっちり暖かさが入り込む。これが1階リビングだったらこうは行かない。今の太陽高度は30度弱。単純計算でも南隣地と11mぐらい離れていなければ、1階には光は入らない。だから市街地ではほとんど難しい。しかし2階リビングであると、この距離が半分になる。5m南側隣地離れていれば太陽光が入る。太陽光が入れば、そこは高断熱の家。暖房OFFでも室温はどんどん上がり24度を簡単に超えてしまう。これは2階がリビングだから価値がある。昼間使わない寝室ではカーテンが閉められ、こううまくは行かない。そもそも昼間いないのでせっかくあったかいのに活用できない。このお宅では夏、風が通り庇もあるのでほとんどエアコンなしですごしたとの事。もし2階リビングをお考えなら、明るさだけではなく、冬晴れれば昼間暖房器具が要らない生活ができる。2階リビングでなくとも吹き抜け窓をうまく活用すれば、同じように暖房が必要ない冬の時が過ごせる。すごいです!!


高断熱高気密住宅の湿度 本当に湿度が低いか?

高断熱高気密住宅は過乾燥になりやすいと言われる。その通りであり、時には間違っている。

上のグラフは、高断熱高気密住宅の湿度の日中変化と、同じ日の事務所内の湿度変化を測定したもの。

すると事務所のほうが湿度40%前後に対して、住宅のほうは、湿度、高断熱高気密住宅の湿度は50%前後になっている。これは当たり前の結果がである。住宅は高断熱高気密のため、換気量がしっかりと調整されている。換気量がある一定に調整されれば、そこは「気密住宅=防湿層がしっかりある」ので湿気の壁内流失や天井から流失も非常に少ない。一方事務所は中気密低断熱のオフィス(当事務所)。換気もいい加減で防湿層もない。すると部屋の空気はどんどん室外の絶対湿度の低い空気に近づく。だから住宅より乾燥する。勿論水蒸気発生源が住宅のほうが多いことも主要因。水蒸気発生源のトップは人。続いて洗濯物、炊事、風呂等。事務所ではこれらの水蒸気発生源のうち、人が主となるためたとえ高気密高断熱構造でも乾燥しやすい。だから高断熱高気密住宅より事務所のほうが圧倒的に乾燥感があるはずであるが、事務所ではいつも発汗が促される仕事が多いので ( ̄Д ̄;; 感じにくいかも知れない。

さて、ではどうして高断熱高気密住宅の湿度 は低いと言われるのだろう。(但し、赤ちゃんを始め、高齢者、病気療養中の方は、湿度60%位が体にやさしいと言われているので湿度50%でも注意が必要)

1.住宅では湿度計を良く見る機会が多い。(湿度計表示がいい加減)

2.家の大きさが住人に対し大きい。

3.すぐ洗濯物が乾くことを見て、心理的に思い込む。

4.発汗作用の低い時間が多い(就寝、休養時など)ので乾燥感を感じる。

ではないかとおもう。特に2の「家の大きさが住人に対し大きい。」は大きい理由。それは7年ほど前に始まったシックハウス法により、家の換気が義務付けられほとんどの場合換気回数(住宅内の容積に対し時間当たり何回空気が変わるか)が0.5回以上と定められたたため。私みたいに高断熱高気密住宅を20年作っていると、家の大きさが住人に対し大きいときの冬は、換気回数が0.30くらいあればよしと判断できる。この判断は、寝室にある給気量で決める。一人当たり一時間に25m3の空気が必要。すると4人家族で100m3となる。家の大きさが40坪であれば、家の容積は約360m3。この360m3の1/3は120m3となりほぼ一致する。ただし、当事務所ののような換気システムでないとだめ。当事務所は必ず寝室に強制給気扇を設置しているから。穴が開いているだけの給気口では、安定して空気を必要量供給できない。またセントラル換気のように家中で給気量を平均的に確保するタイプも厳しい。なぜか?はまた次の機会に。


見学会にお越しいただいてありがとうございます。

昨日一昨日と新潟市粟山で完成見学会を行いました。新聞広告チラシ1万9千枚と当Webのそう多くないご案内でしたが、土曜日はご近所さん、同業他社さんを含め約60人様、日曜日は約20人様も悪天候の中、お越しいただき感謝しております。また完成会場を快くお貸し頂いた建て主様はじめ、施工会社さんには本当にありがとうございました。
事務所開設からはや10年以上たちましたが、「緑の家」のコンセプトはほとんど変化しておりません。これはとても事務所の自慢なのです。がしかし、10年前は「緑の家」の仕様は非常にインパクトがあり、同じチラシを入れさせて頂いても、来場者さまは今の倍近くいつもいらっしゃっておりました。ところが昨今は自然素材ブームや高気密高断熱が当たり前、また奇抜なデザインの住宅会社もあって、ご来場される方は昔ほどそう多くありません。少ないことが逆に濃くしっかりとした説明ができることで、貴重な時間を割いてお越しいただいた皆様に還元できることがよい良いと思っております。自然素材ブームでも間違った木の使い方や、構造を無視した奇抜なデザイン、耐久性を無視した外部への木の露出は、再び自然素材を封印する方向になる危機感を覚えます。だからこそ・・・
これからも無塗装の木の良さや、構造計算の大切さ、高基礎がもたらす様々な恩恵奇抜でない美しい外観を建て主様に広くお伝えしたいと改めて決意しました。長く愛せる良い家をローコストでご提供できるようにこれからも精進して参りたいとおもいます。

PS
最近は玄関にタイルを貼ることがとても少なくなりました。というのは、どんなにきれいなタイルを貼っても、日本のような雨の多い気候は、10年以上経過すると「藻」が生え緑色になります。その時に感じがよいのは自然石やざっくりしたレンガ、モルタルのような無機質素材と感じたからです。
次回の見学会は1月中旬ごろ、新潟市の小新で行います。ぜひご参加いただければと思ってます。


NEDOの補助金 20年度2回目公募募集に申し込みました。

まず最初に、今週末完成見学会を新潟市で行うので是非足をお運びください。詳しくはここです。

NEDOの補助金は金額が非常に大きい。実質今日が締め切りになるが、本日ヤマト宅配便午前中着便で申し込んだ。予定補助金額は100万/件を超える。今まで行われた太陽光発電パネルの補助金でさえも通常30万がMAXなのに、それに比べNEDOの補助金は3倍以上にもなる。だから申し込みが多いかと思うと確かに今年は多かったが、申し込み絶対数は少ない。新潟県ではほとんどが大手ハウスメーカーとなる。

なぜか?それは補助金の申請が「設計的」にとても難しい。まず新築の補助金の絶対条件が住宅設計性能表示取得だからである。この取得で温熱環境の等級4(所謂、次世代断熱基準)は、高気密高断熱の技術者なら比較的簡単。問題は住宅設計性能表示申請はすべての10項目の申請が必要であるため、他の性能もあからさまになってしまうからいやがられる。しかしこの言い分はユーザーを無視している。この住宅設計性能表示の法律の趣旨は、ユーザー(建て主)に家の性能を客観的にオープン評価にしようといいうものであるからだ。つまり各業者の表示はいい加減と言うこと。

たとえば耐震性と言う項目があるが、地震に強い家と言ったら、性能表示の等級2、3だろう。等級1は、建築基準法のぎりぎりレベル。つまり最低限の耐震性でこれ以下はない。だから「うちは地震に強い家です。」と言って営業して取得できた耐震性の表示が等級1だったらほとんど「詐欺」である。これ以下はない基準しか取得できないで地震に強い家はないから。通常等級1も計算していない自由設計と言っている建設会社は、この性能表示を申請することを嫌うのである(口では何とでも言えると言うこと)。また自由設計(注文住宅)は、基本設計の段階から耐震性をチェックしなければ等級2、3は取得しにくい。営業職がプランを行う会社は、チェックできないのでこれも嫌われる原因である。しかし、すべて建て主側から見ればまったくおかしい理由となる。

「緑の家」の耐震基準は「等級2」である。等級2とは、大きな地震がきたときに避難する公共の体育館や学校、市役所などの建築設計基準と同じ。自分の家より体育館が安心というのは、住宅設計者として恥ずかしいこと。自分の家が避難所とおなじくらい安心という家が私のポリシー。


新潟での高気密高断熱の冬の温度、湿度 その2

早速測定しました。

まず最初に行ったのが、新潟の冬の空気は乾いていることの証明。

グラフは昨日の夕方雨が降り始めてからの、外の湿度と事務所内の湿度を比べたもの。

相対湿度と言われる天気予報で紹介される屋外湿度は、夕方からどんどん上がり60%から明け方には95%になった。一方事務所内は、45%くらいで安定。これを見ると「やっぱり新潟の冬は湿っぽい」と言われそうだが、黄色の線と茶色の線があらわす絶対湿度(空気中の湿気の重量)はいつも事務所内が多い。特に人が働いている夕方は多く、人がいなくなる明け方には外部の絶対湿度に近づく。このように空気中の湿気は、雨が降っていても外の方がないのだ。新潟の冬の空気も外のほうが室内より乾いているのだ。

この乾いている空気が室内に入ると(所謂換気)もっと乾き、相対湿度が40%くらいで安定することになる。換気が多すぎたり、低気密の建物であると、壁を通して室内から室外に湿気が逃げ相対湿度が下がり、乾燥感を感じるのである。


新潟での高気密高断熱の冬の温度、湿度

今までは空気の温度と湿度を測ることはそう簡単ではなかった。温度はともかく湿度がなかなか正確に測れない。また、長期データを録ろうとすると計器が4万/台等、「高価」だったりしていた。今までオーブルデザインでは、新潟大学の自然科学研究科に測定して頂いたり、研究室の測定データを使わせて頂いたりした。ところが最近は安価(2万/台)にある程度の精度で測定できる機器が多くなったので2台購入した。写真の機器が30分最長半年間は連続測定可能な機器であり、10秒間隔でも5日も測れる。露点温度が表示できグラフも簡単に表示できエクセルへの取り込みも簡単である。写真のグラフは、10秒間隔で取り込んだデータ。瞬間的に数値が高くなるのは、手で持ったときのデータ部分のため。非常に敏感な機器でありながら、屋外使用可。これで同時に屋内外のデータを抽出可能。色々と楽しみな使い方ができるし、科学的解析も多少できる 。

大きさの比較をするためSDメモリーを置いてみた。グラフは事務所内の温湿度。低気密低断熱建物であるが、湿度は40%以上をキープ。(低気密ほど乾燥するので普通の事務所では湿度30%台となる)


新潟、海、家、冬、自然

新潟の冬はご存じのとおり厚い雲と台風並みの季節風が3日に1度はふきあれる。太平洋側の地域から移り住んできた人は、この天候をとても憂鬱に思う人が多い。確かに曇りや雨は「陰」の気配で「陽」ではないが、時には地球の歩みを垣間見させてくれる。
拙宅は日本海に面して建っている。よく「夏はいいでしょう・・・。」と言われ冬の事はあまりほめられたことがない。しかしここに住んでいると夏も冬も素晴らしい。(勿論秋も春もよいのであるが・・・。)写真は冬の嵐が通り過ぎた日の日本海。遠く(佐渡手前)で雨が降っているんのだけれど、東から朝日があたるので(つまり遮るものがないので)、海と空の接点で虹となる。まるくないけれど虹である。ちょうど夏に水撒きしているときに、虹を見るように・・・。
そして風が完全に納まると、今の季節は海面から水蒸気があがる。この水蒸気が沢山集まり新潟平野に雪を降らせる。そんな自然がバランスをとりながら時を刻んできたことを実感できる。
こんな風に感じることができるのは、拙宅が高気密高断熱で寒さを全く感じずに窓の風景を楽しむ事ができるためである。家中22度という環境では、外が氷点下ということを忘れさせてくれる。18年前は、高気密高断熱なんてすぐ腐るとか、そこまで必要ないとかで、大手ハウスメーカーから大工さんまでほとんど否定していた。それが今ではほとんどが高気密高断熱が基本となった(今度は緑の家の高基礎や無塗装仕様が標準となるだろう)。築18年となった拙宅。嵐にも負けずに頑張ってきた家。すごく愛しい。これからもよろしく。そして皆様の住んでいる「緑の家」も住人の熱い思いを受けていると願いたい。思いは家を長生きさせる力があるから・・・。


過去の掲示板の内容 その他色々

HP更新ののため、同じフォルダーに入っている過去掲示板をよみ返した。すると・・・何年経っても「ぶれ」ていない書込みがされており感心した(自画自賛)。2002年の集成材の話や、ファンヒーター廃止運動などなど・・・。今でももっともだと言う話。

家は他の家電製品や車などの最先端科学搭載の機器と同じように変化するものではない。時代に左右されない構造や性能が求められる。設備は入れ替え可能だから最先端でも問題ないが、基礎や柱、暖かさの性能などは50年(暖かさは30年)以上現役でいなければならない。だから毎年チラシを見るたびに変わるメーカーや建築会社の家には抵抗がある。・・・そういうおもいで「緑の家」は造られている。だから10年前に建てた家と今建てている家に違いはなく、今でも感じが良い「緑の家」だ。

8年前の緑の家の内部。今と変わりなくヒノキの無塗装の床


無塗装の木の外壁

先日、木の外壁をこのブログでお勧めしたとき紹介した「ターシャの家」の本の写真をアップします。いいですね。この雰囲気。一般にこのような外観から受ける印象は、冬寒そうな感じを受けますが、そこは高気密高断熱構造、厳寒期でも家全部が温かいです。上の写真で外壁がシルバーグレー色になっていないところは、まだ10年くらいの部分でしょう。グレー色は35年です。
無論、日本では軒の出のない木の外壁は、避けたほうが良いですが、もう少し軒を出せばの日本でも耐久性は十分です。

最近は法律が変わり、よくログハウスが町中に建てられますが、このように木や緑があふれていないと何か重要な物が足りないと感じます。せめてシンボルツリーでもあればと思います。ちなみにターシャのこの家は多分2×4工法であってログハウスではありません。


見学会を行います。

12月13日(土)と14日(日)の二日間、新潟市東区にて完成見学会を行います。詳しい内容は、HPの完成見学会でご案内いたします。

写真はまだ施工中で、玄関戸の梱包ボール紙もくっついたままのものですが、シンプルで端正なイメージが伝わると思います。右手にあるケヤキの幹がこの家のイメージアップに大きく貢献してます。右の屋根が低いのは、隣の北側になる保育園に光を落とすためです。あとはシンボルツリーで完成。

敷地いっぱいに建てているのにこの開放感は、周囲の環境をうまく取り込み、室内天井高が3m近くあるからと思います。更に通常は床から使う掃き出し窓を、普通の家の天井高さとなる2400mm付近から設置することで、明るさと安心感を両立させております。ローコストながら工夫いっぱいの家 I邸です。設計事務所だからできる計画。ぜひ足をお運びください。

又随時写真をアップします。


素のままの「木」の外壁のススメ

木の外壁は、日本の住宅で古くから使われている。特に新潟県では雨板(あまいた)と呼ばれる杉の外壁。この雨板は、施工性に優れ、貼るだけで通気工法と同様の効果も得られる優れもの。欠点は、どうしても和風外観になること。そこで多くの住宅で敬遠されてきた。しかし同じ木でも横に貼るようにすると完全和風ではなく、洋風に近いイメージを与え、スッキリと納まる。まるでシンプルな角ログハウスのようである。写真は寺泊の拙宅であるが、この度皆様に強くこの木の外壁をお勧めしたい。今までお勧めできなかったわけが2つあったが、それらが解決したのである。お勧めできなかったのは、1.防火(コスト)の件・2.色の変化と材料変化である。防火の件は1年位前に防火の規定がはっきりと示され、一般の市街地でもOKとなる施工が紹介された。今までは準不燃加工した木や一部しか使える方法はなく、コストアップになったけれども、安価な杉板でOKとなった(詳しくは問い合わせてください)。2の色の変化や材の変化についていては、問題ないというより「良い」感じになることがわかったためである。色の変化は好みもあるけれど、写真上の2年後には綺麗なシルバーグレーになりかけている。シルバーグレーになれば、庭の木々の緑とベストマッチング。そもそもシルバーグレーという色は、木の幹の色。写真上のケヤキの幹と外壁の色が同じでしょ。と言うことは葉っぱの緑色が一番自然に見えるそんな色がシルバーグレーなのである。だから周りの緑に溶け込む。シルバーグレーは無塗装の外壁だからこの色に早くなる。家の中も外部も木の無塗装万歳!!これで「緑の家」が外観からでもはっきり「緑の家」とわかるようになった。

ただし木の特性上雨の日と晴れの日では外壁色が大きく違うことに理解が必要(私はこの色の変化が木を含む自然材の特性と理解し賛成である。水にぬれて色が変わらない素材はほとんど人工素材だから。硬い石でも濡れると色は大きく変わるよね。だからやさしい)。またこれも木の特性であるが、雨の日は外壁が隙間なくピシッと平らになるが、雨から晴れに変わったとき、外壁に少し隙間が開く。勿論それを考えて「サネ」という構造になっている。この変化は緑の家にお住まいの建て主さんは、無塗装の床で実感しているはず。暴風が吹き荒れる寺泊でも大丈夫なのでご心配なく。近々に詳しく当HPのコラムに載せる予定。


エアコンだから乾燥する?

※以下相対湿度と表現してますが、通常の天気予報で言う「湿度」のことです。

冬になると、「暖房」というワードの検索が多くなる。最近の生活スタイルでは、寒いということは暑いと違って我慢できないものである。「暖房」という検索ワードで見ると、ウエブ上に多いQ&Aには、まだまだ「エアコンで暖房すると乾燥する。だから石油(ガス)ファンヒーターがお勧め!!」といったアドバイスがある。

果たしてエアコン暖房だから乾燥するのか?

確かに石油(ガス)ファンヒーター類は、日本以外の先進国が決して行わない燃焼排気ガス室内放出をしているので、石油1Lが燃えたら水が約1L水蒸気となって放出される。だから室内に加湿器があるのと同様。しかし、そもそも燃焼排気ガス室内放出は行ってはいけないことである(同じ石油関連機器の自動車を家の中におくようなもの)。完全燃焼すれば、害のある燃焼ガス成分はないというが、通常使用で完全燃焼などありえない。石油(ガス)ファンヒーターを使っているお宅に伺うと必ず燃焼ガスの匂い(どんな成分かわからないが)がする。30分いるとなれてしまうのであるが、これがもっと恐ろしい。

高気密高断熱(C値1程度)の住まい人数にあった家の大きさ(一人当たり10坪弱)であれば、エアコン暖房でも決して乾燥感はない。これは計算で実証できる。計画換気による室外の乾燥空気の流入量と、人が活動によって発生する水蒸気があるところで釣合い、相対湿度50%位となる。隙間からの水蒸気流失はわずかになるためである。

ところが高気密でない家は、計画換気以外にも温度差換気により換気量が増え、乾燥した空気が大量に室内に入り、人が活動によって発生する水蒸気とのバランスが崩れ相対湿度が40%以下になる。さらに高気密高断熱でない家は、家中(居室)暖房でないため、暖房しているリビングの戸を開けて開閉するたびに、乾燥した廊下の空気が流入しリビングの相対湿度は下がる。だからリビングの相対湿度は時には相対湿度30%となる。だから石油(ガス)ファンヒーターによる加湿を行わなければ乾燥感を感じる。これは深夜型蓄熱暖房機とて同じこと。

つまり、暖房の仕方や家の構造によって左右されるのが冬の相対湿度である。決してエアコン暖房が悪いのではない。よく床暖房が乾燥感がないのでよいということも囁かれる。これは事実であるが、床暖房というもの自体が良いのではなく、室温が2から3度低くても暖かさを得られる暖房方式だからである。仮に快適性が得られる室温22度のエアコン暖房の環境では相対湿度50%とする。この部屋で床暖房を行った場合室温19度で同じ快適性が得られる。このときの相対湿度は60%になる。まったく同じ部屋の空気質で相対湿度が10%も変わる。この原理は空気の湿り線図というキーワード検索すれば丁寧に説明しているウェブがある。当ホームページでも解説している。室温が低くなると同じ空気であっても相対湿度は上がり、同じ空気であっても室温が上がると相対湿度は下がるのである。エアコン暖房だから乾燥感があるということは、正しい表現ではない。


今までの建て主を蔑ろにした講習会が堂々と行われる不思議。

先日、政府所管の財団法人主催で木造住宅の壁量計算等構造設計の講習会が三条市内であった。しかしこの講習会に住宅の設計実務者が行っているとしたら、それは非常に奇妙な講習会となる(行っていないと信じたい)。この講習会の趣旨は、来年実施されるであろう4号建築物の特例廃止に伴う確認申請の混乱を防ぐものであるととされる。が、その内容は壁量計算の実際の方法や計画である。確認申請の混乱を防ぐ目的なら、事務手続きのみの説明であるはず。しかし内容は、壁量計算の方法(構造設計)が主である。

そうこれがなぜ建て主を蔑ろ(馬鹿にした)講習会かと言うと、そもそも壁量計算は、数十年前から必ず設計者が行わなければならない決まりである。例外はなく、確認申請のいらない田舎でもそれは同じである。

平成11年の改正で壁量計算の項目が数個増えたが、あれから8年以上も経過している。この8年間、もしかしたらこの新しい壁量計算を知らないで、建て主に「安全、安心」といいながら建物を設計してきた設計者がいるのだろうか?(いやたぶんいるはず。そうでなければ国をあげて講習会を行うはずがない。木耐協の調査でも既に建築されている築25年以内の62%が耐震性に疑義があるとの結果がある。)なんといい加減なことであろう。住宅設計に携わる設計者は、この7年間に行った家の壁量計算を全棟行ったのだろうか?特に危惧するのは、純日本建築(数奇屋造り)や、デザイナーズ住宅といったアクロバットな住宅、三角形の変形住宅、片流れの屋根の家そしてロフトを持つ住宅である。

当事務所では築7~8年以内の住宅の簡易壁量計算を行うことをHPでご案内した。是非ご利用頂ければと思う。この期間であれば無償で施工会社から直してもらえる法律があるからだ!!


エアコン暖房について。暖房機器は燃費(効率)が重要。

ほとんどのブログと同じようにNIFTYブログには検索機能があり、どの検索言語でブログにたどり着いたかがおおよそわかる。ここひと月は調べて見ると「エアコン、暖房、コスト、暖かくない」などの語句が多い。暖房の季節が来たので暖房器具の検索が増えるのだろう。当ブログはエアコンマニアの管理者が書いているので、結構エアコンの話題が多いので訪れてくれる方も多いのだと思う。そこで「エアコン、暖房、暖かくない」で他のブログや話題を検索すると、意見が2分されていることに気づく。それは

「エアコンは暖房に向かないので使わないほうが良い」「エアコンを暖房器具として積極的に使いましょう」と言うまったく正反対の意見となる。

当ブログや当HPをご覧のかたは、「これからの暖房はエアコンかな?」と思って頂けると思うのであるが、断熱性能の低い家の住んでいる方の多くは、「エアコンなんてだめだめ」となるだろう。このことは昨年のブログに4回に渡って掲載した。

しかし、意見が2分されていようとエアコン暖房はこれからの主流である。そして国をあげてエアコン暖房推し進めるだろう。東北電力さんも以前は蓄暖の暖房を進めていたが(補助金が出る)、現在は蓄暖は勧めていない。理由は行政がエアコン暖房を推し進める方針を打ち出したから。国のNEDOの補助金も「エアコン暖房」が主流で補助金対象となるシステムが多いことがこのことを物語っている。

ではなぜ今も「エアコン暖房はだめ」と言っている人が半分いるのだろうか?これはエアコンのシステムと燃料代についてよく知らないからだとおもう。 エアコンは暖房機であるが、ほかの暖房器具と決定的に違うのは、直接熱を造らない機器と言うこと。「えっ。ではなぜ暖かい風が出てくるの?」となるが、簡単にいうとエアコンは熱を運ぶ機器で、熱を集めて凝縮して運ぶので暖かくできるのである。熱は運ばれてくるだけ。暖房時だったら外の熱を凝縮(圧縮)するので、外気0度から熱を吸い上げ40度以上の熱に圧縮して室内に放出する。だから運搬の効率がよければ電気を直接熱に変える機器(ハロゲンヒーターやオイルヒーター、IH機器など)に比べて6倍以上の熱を室内で発生させることができる。つまり暖房費(電気代)が1/6になると言うこと。結果、何もしなくてもCO2 も削減されることになる。こんな簡単原理とシステムなのでちょっと説明すればわかるのであるが、どうも理解されていない。特に暖房機は、その購入金額よりも運転しているときの金額が5倍以上にもなることも多い特殊な機器。たとえば車であれば購入金額200万でその車の燃費が10kmで10年間(10万キロ)乗ったときの燃料代は、130万程度で、とても購入金額の200万にはならない。ところが暖房の支払い料金は、年あたり少なくても3万/一人。10年暖房器具を使えば30万となり、どんな暖房器具の購入代金の10倍から2倍になる。車などと違い唯一と言ってもよいくらい特殊な家電機器と言える。

暖房器具は購入代金より、使用時の燃費(効率)が重要なのだ。

もし、暖房費が年6万を超えるなら主暖房は、迷わず効率の高いエアコン暖房をお勧めする。エアコンの効率は外気温湿度で変わる。本州でも最低条件に近い新潟県の外気環境でも、平均COPは4を超える。←年間測定結果(2007年論文による)


住宅のメンテナンスは床下がほとんど。

先日築1年経った家のメンテナンスに伺った。特に重要視するところは、「緑の家」の床下。左の写真は床下のもの。配管や排水管が露出され、誰でも見ることが可能。加えて、お分かりの通り明るい。人は暗いところには、なかなか行きたがらない。この床下は、照明器具が配置されているので、明るく乾燥している。住宅は床下に配管や電線が集中している。加えて湿気やシロアリの害を受けやすい弱点が集中するする部分。中越地震後の被害地に建つ家のメンテナンスに行ったとき排水管が少し外れていることに気が付いた。緑の家のような家中の床下が見れる構造でなければ、気がつかなかっただろう。見逃せば、後々木が腐ったり、カビ臭が出てくる。普通の家は、床下隅々まで簡単にはいけない(ご自分の床下を見たことがない人がほとんどのはず)。

ユニットバスの下の配管を見たことがありますか?下の写真は、ユニットバスの下の配管部分。人の大きさと比べると如何に余裕を持ってメンテナンスできるかがわかると思う。光ファイバーの増設でも床下で配管すれば、設置業者さんもらくらく。勿論、1階の床面積の1/2まで床下収納にも使える。くまなく床下を動けるように計画され且つ財団法人住宅保証機構の基礎計画を守った立ち上がり人通口(人が行き来できる開口部)も重要点。最近は床下を使う家も増えてきているが、基礎の構造計算や計画はとてもずさん。本当にこれで大丈夫なの?という基礎も多くある。普段目にしない床下の構造まできっちり美しいのが「緑の家」である。


NEDOの補助金復活!! 20年度2回目公募募集

20年度NEDOの補助金復活!!再びお申し込みを!!

今年の春に第一回目の補助金申請が、その応募件数が一年分のさらに1.5倍もあったため、すぐに打ち切りとなってしまった。ところが地球温暖化防止策の一環として個人が利用できる補助金の意義は大きいらしく、この秋補正予算がつく(はず)。このため第二回目の公募が可能になった。多くの補助金をもらうためには、高い性能(高気密高断熱)の住宅を造る必要があるが、当事務所の「緑の家」の仕様では、ほとんどが標準でOK(基礎はべた基礎のとき)となる。詳しくは当HPのここへ。

蛇足であるが・・・

この補助金は住宅の性能表示制度に合わせて申し込む必要がある。この性能表示制度は、今回の断熱気密性ばかりではなく、耐震性や耐久性といった最も重要な性能についても、客観的に評価してくれる。よくチラシに「当社工法は耐震性が高いよ」と言っても、実は偽り(自分の勝手な評価)で、実際は低い耐震性が明らかになる。よって多くの施工会社は勧めたがらない。この性能表示で目指す耐震性の等級は2以上が基本。等級1は最低限度の耐震性があると言う評価になるので「高い耐震性」は偽りになると考えるから。


最新エアコンの選び方 暖房編

毎年秋はエアコンの最新機種が各メーカー揃って販売される。自称エアコンマニア(浅間の事)が注目する今年機種は・・・       情報が混乱しており赤字にて加筆修正11/22しました。

3位・・・東芝のエアコンRAS-221PDR 251PDR 281PDR

なんといっても東芝のエアコンは、今年から高気密高断熱住宅(マンション含む)向けとカタログ表記されたこと。これは、通常のエアコンのお勧め表示能力で高気密高断熱などの性能の高い住宅で使用すると、少ないエネルギーで運転され本来のCOPピーク値からはずれ、COPの低いところで使うことになる。結果経済的ではないし、無論エネルギーロスが出る(私の2年前の論文で発表した)。しかし、エアコンを購入する人は、どんな性能の家で使うかわからないので、闇雲にも小さい出力値にCOPピークを持ってくるわけに行かない。ではどのように東芝は対処したかと言うと、コンプレッサーを2つにした。出力が小さいときには1つだけ運転し、大きい出力が必要なときに2つ同時に動くようにした。まるで最新の車のエンジンと同じである。東芝はこれをデュアルコンプとなずけた。また、これも前から必要と思っていた、エネルギーモニターも設置。車のプリウスのオーナーが燃費を気にする運転をするのは、その瞬間燃費がわかるエネルギーモニターがついているからとコメントした。だからエアコンもこんなモニターがつけば、COPを気にして温度設定や運転方法を変えるようになるはずと・・・。東芝さんすごく「偉い」。

1位・・・日立の床置きRAF-36Y エアコン 

日立さん「がんばったね」というエアコン。またしても数年前に研究し論文発表した中にあるが、エアコンが発売された当時(50年以上前)は、暖房としてはまったく考えていなかったため当時クーラーと呼ばれていた。ところがメーカーは夏しか売れないのでは困る。冬も暖房機として売ろうと考え本腰を入れたのがおよそ25年前。時代は変わり、今やエアコンは暖房機器として使われるほうが多くなり、年間あたりの消費エネルギーも暖房のほうが10倍になることもある。となると冷房主体だったときに考案された、天井付近に設置することの意味が薄れ、暖房時に効率が良い床設置となる。しかしメーカーは保守的なため、今まで床設置型のエアコンはほとんどなかった。ところが昨年から日立は床置きエアコンを販売しはじめ、今年本腰をいれて商品を投入した。暖房時、エアコンの室内機では室内空気を吸い込んで、暖かい冷媒に触れさせると言う熱交換がおこなわれる。このとき吸い込み温度が低いほど、熱交換の効率がよい。一般に天井付近の空気は、温度が高くこの空気を吸い込むのは暖房時は効率がわるい。つまり天井付近に設置したのは、冷房時の効率を上げるためと邪魔にならないようにするため(当時は畳の部屋が多かった)。なるべく低い位置に設置するだけで効率があがる、と同時に暖房は足元からが基本であるので、床設置は理にかなっているのである。ただ2位になったのは、COPが少し低い。せめて5.5以上はほしい。

2位・・・ナショナル(パナソニック)のお掃除エアコン CS-X229X

ナショナルはお掃除エアコンの元祖。面倒なフィルター掃除をまったくしないで10年大丈夫として数年間に発売し大ヒットした。加えて各社が室内機サイズを小さくしてCOPが落ちたこの3年間も、がんばって大きな室内機でCOPのトップを常に守り続けた。室内機が大きいと販売店(備え付けが面倒)で嫌われるので各社は小さくし、COPも一時低くなった。なぜ室内機が小さいとCOPが悪くなるかと言うと、熱交換器が小さくなるため。COPを簡単に高くするには、熱交換器を大きくし、風量を上げるだけでよいが、この両方とも使用者から嫌われる。6帖用は暖房COPがトップの6.76!!(がしかし昨年は6.85)今年は10畳用機種もCOPが落ちた6.67→6.27(表記の機種はそのまま)。これはAPFという新しい基準値(これもCOPの一種で年間のトータル時のCOP)は上がったのだが、低格時のCOPが落ちては元もこうもない。APFをあげるにはCOPのピーク値を低い出力側にもって行けばよく、エアコンの使い方で悪くなることも予想される。小手先の改善のため2位とした。本来は一位のなのに残念。

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今回の東芝製品は自信があるらしく、値段が他メーカーの同等機種より高い。コンプレッサーが2個あるので仕方がないが、数万円も高いとちょっと手が出ない。せめてコンプレッサー1個分の金額だけとしてもらいたい。東芝性エアコンはちょっと気持ちが入れ込む。私が高気密高断熱の暖房用として使い始めたきっかけは14年前に255SDと言う機種が出たから。この機種のCOPが4.65で当時はその効率の高さに大変驚いた。この255SDは自宅、事務所で計4台もある。海沿いの拙宅でもオーバーホール1回(室外機のケースが錆びてなくなった)で11年間動いている。当時の機種の耐久性もたいしたもの。しかしパナソニックの設置フリーエアコンはここ4年くらいトップ性能を維持している。すごい!!


基本計画の重要性

現在施工中の家が新潟市にあります。この住宅の敷地条件は通常の考えでは、あまり良くありません。東側道路で東西に長いのですが、南にすぐ住宅のがあるため南の景観が期待できないからです。しかし考え方によっては、とても良い条件に変わります。写真のとおり、北側の保育園があるからとても開けているのです。特に境界付近にケヤキのような広葉樹があるので、窓から見ると借景としてとても良い雰囲気です(写真は足場がまだあり、養生シートで曇って見えます)。また東側窓の位置を、前の道路にあわせて目線の先の障害物がないので広々としており、市街地のコンパクトな敷地を感じさせないばかりか、とても贅沢な景観が見れます。この見学会は、1月くらいを予定しておりますが、お越し頂き、真剣に考える設計事務所のプランとコストの絶妙さをお感じいただければ幸いです。

北側に隣接する保育園の園庭がとても贅沢な敷地条件

リビングの窓からは、すべて広がりのある景観。(施工中)

窓のすぐ外には市街地では、よほど庭が広くないとめったに見れないケヤキの紅葉も真近に見える。

2階北側の窓から見える風景は、園庭のおかげ開放感たっぷり。まるで自分の敷地がそこにあるよう・・・。

南に窓があっても目の前に家があるようではカーテンが閉めっぱなし。それに比べこの住宅では、北と東の窓がいつもオープン状態。市街地の敷地ではこれがとても贅沢なこと。良い敷地を選ばれました。


設計・工事監理を受託時、「重要事項」の標準雛形発表

住宅や建物を作る場合、必ずその設計が必要になり、通常は自分以外の人や団体にお願いすることになる。これは昔ながらに大工さんに直接発注しても同様である。実はこれは住宅などの小建物向けの法律である。中規模以上の建物は、この法律以前にしっかりとした約款がある書式の契約書で契約(説明)している。住宅などの設計と施工一式請負に、このような説明が一切されなかったので、義務化したのである。 と思っている。

住宅における設計や工事監理の責任が一般の人にはあいまいでわかりにくいため、このたび11月28日から土地などの不動産取引と同様に「重要事項」の説明が契約前に説明することを義務付けられた。つまりこの住宅は誰が設計をして誰が工事監理をするか?その金額と期間はいくらか?報告はどのようにするのか?という当たり前のことが今までなされていなかったので、法律で義務化しようというもの。よく誤解するのは、家は○×ホームに頼んだので、設計者は○×ホームという団体だと思われがちであるが、それは正しくもあり間違いでもある。法律ではあくまでも設計者及び工事監理者は個人名が記載される。したがってそのもの個人の責任と設計を受けた法人(団体)の責任と分かれることなる。複雑な法律解釈は専門家サイトをご覧頂くとして、姉歯耐震偽装のときある程度認知されたと思う。

新しい書式詳細はここにあるのでご興味がある方はどうぞ。内容は今まで当事務所が使っていた契約書の中身とまったく変わらない。(リンク先は当事務所の平成10年の契約書)いかに当たり前のことが住宅業界では省かれてきたかがわかる。ただし記載例にあるとおり「逃げ」がある。「・・・・本説明内容は最終的な契約内容とは必ずしも同一になるとは限りません」と・・・。不動産と違って可変性のある人間の行為だから仕方がないが、これを悪用する人もいるだろう。


太陽光発電パネル補助金復活! 違法な階段その2

さて、太陽光発電パネル設置を考えている人には吉報。1kwあたり7万で補助金が復活。普通は3~4KWを計画するから、21万~28万を国からもらえる。詳しくはここに。無論当社でも補助金申し込みのお手伝いをしております。ご利用ください。

さて、数年前から何度なくアナウンスしてきた違法階段。これを業界最大手出版社が取り上げた。それによると建築士の16%は知らなかったと答えている。果たしてこの16%をどう感じるか?そしてその記事にもある違法階段がある常設展示場が結構あるらしい(実際に長岡市に建っている)。それをどうかんがえるか?まあ階段くらいよいのではと考える人もいるだろうが、建築基準法第一条には「この法律は安全性の最低基準」という位置づけとある。それから考えると、とても許されるものではない。


地震対策はトイレ対策

今日のMSNで報じられていたが、都市型地震ではトイレ不足がもっとも深刻な問題となる。これは近年2度の地震と水害にあった新潟県人の経験上もっともの話である。当事務所は中越地震後に、タンクレストイレ(タンクがなく、水道と直結している流行のトイレ)を積極的に勧めることは止め、タンク付のトイレを最初に勧めている。タンク付なら断水状態でも、配給水、雨水、井戸水、風呂の残り湯をバケツで汲んでタンクに入れれば普通に使える。しかしタンクレスの場合は、便器に直接水を流し込むため、汚物が散乱して何回か流さないと綺麗にならない。この違いは大きい。電気は比較的短時間で復旧するが、水道は復旧まで概ね電気の数倍の日数が掛かった。ガスはなくても何とかなる。つまりお風呂は2から3日我慢しても平気であるが、トイレは1日でも我慢できない。水害や地震後は食料も最初に届く品物であり、飲み水、食料もそう困らなかった。困ったのは、トイレ(と寒さ)に尽きる。

さて、都市で地震が起きたら、85万人が「トイレ難民」となると記事にある。中越地震のときもそうであったが、地震のひどい地域から数キロ離れただけで普通に生活できる地域が必ずあり、その差に驚いた。たぶん首都地震も同じと思うため、まずは都心や被害の大きいところからすぐに移動し、郊外に行くことがよい。そのため災害後は、的確な情報処理をを行政が行い、人を移動させられる自衛隊トラックや、民間トラックを自由に使えるシステム構築のほうが、介護用オムツを常備するより良いと考える。本当に数キロはなれるだけで、すべて普通どおり生活できるので、ある程度震災部の受け入れが整ったときに、事後処理をはじめることが精神衛生上もよいと思う。


光る床!

今日築8年を経た「緑の家」I邸に撮影のため訪問させて頂いた。

家の撮影なら新築の家が被写体になるのが普通。ところが「緑の家」では、築年数を経た家のほうが美しい部分が多い。その代表がヒノキの無塗装の床である。写真は光が床に反射して輝いているのがわかると思う。実はこの艶は、8年の歳月で自然と出てきたもの。通常1年目から出始め、5、6年で深みがあるくらい光る。お手入れは特別必要ない。裸足でよく歩いてもらうだけ。足が多く触れたところほど光る。この状態になれば汚れもつかない。(多少吸湿感も落ちるが、たたみもそうであるように素足になじむ)

新築時は、赤ん坊のようなピンクの床が、こんな感じで「飴色」になる。そしてさらに数十年たつとお寺さんの床のように茶色くなってくる。そんな床が「緑の家」の無塗装の床だ!!

ちなみにI邸は2年までご夫妻だけの住家であったが、この2年間はお孫さんと同居している。多少へこみも増えたが、トップクラスの美しい床をもつ「緑の家」。お忙しい中、撮影ご協力して頂きありがとうございます。

この写真は、新築時の「緑の家」のヒノキの床。このピンクも良いし、あめ色もよい。しかしシグマのSD14で撮った写真は、色や質感を忠実に再現する。


確認申請時の図面があれば無料で耐震性のチェックします。

今日、増築申請建物(既存の家に付け足すこと)の確認申請を審査機関に提出した。すると妙な電話が審査機関から掛かってきた。

既存(3年前に新築した部分の建物の、耐震性のチェックしました。と一筆ほしい。」

当事務所返答

「では新築する部分のところにも耐震性のチェックをしましたと書き入れるのですか?」

審査機関返答

「いりません。」

当事務所返答

「どうしていらないのですか?」

審査機関

「あたらしい建物だからしっかりと壁量計算※してあるでしょう。(数年前の建物の壁量計算はしていないでしょう?)」

当事務所返答

「絶句・・・・」

心の中で「だって法律では壁量計算を数十年前からやるように決まっている。数年前にやりなさいと決まった法律じゃないはず」

たった数年前の建物の壁量計算が怪しいと言っているのだ。このように審査機関が、数年前の建物は壁量計算(耐震性)が怪しいと認めている。となるとまだ数年しかたっていない現在建っているのほとんどの建物が・・・。なんと恐ろしいこと。

もし平成13年以降引き渡された住んでおり、壁量計算書がお手元になければ、当時設計者に申請し、壁量計算書をもらう権利はある。それがなければ安全性の裏づけはないから。そしてもし壁量が足りなければ、所謂「耐震偽装建物」であるため、無料で直す義務が設計者に生じる。是非チェックをお勧めしたい。法律で定められた保証期間の10年を過ぎれば請求は難しい。今がチャンスだ。ちなみに10年を超えても、耐震性の著しい瑕疵は民法上の不法行為となるという前例がある。心配な方は、当事務所に確認申請図面をもって来ていただければ、無料で簡易チェックします。巷にある木耐協のいい加減な耐震診断よりしっかりとしてます。  (ちなみに13年以降の建物としたのは、すべての家が原則10年無条件に保証される住宅になった施行年のため。)

※壁量計算書とは・・・

数十年前から法律で設計者が木造建物の安全性を確かめる義務が決められている。建物審査機関は、建築士が設計した建物であればこのチェックをしなくてもよい。それをいいことに、この20年間壁量計算をしない木造住宅が数多く建築された。壁量計算の実務は2時間もあれば十分可能な業務である。営業マンがプランしたり、設計施工の一体契約の場合、壁量チェックすると契約後に、耐震性が悪く建たなくなる家もあるので、設計者は見てみぬふりで行ってきた。特に注意が必要な建物は、ロフト付や、南側に大きな開口部のある建物。そして片流れと言われるとんがり建物。このとんがり建物は、風圧力が地震力を上回ることがあるので、要注意。


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