なぜ超高断熱なのか?

TEXT 2007初稿

最終改定 2012

超高断熱にする理由は築後20年にわかる性能

2007年からオーブルデザインでは超高断熱Uᴀ値0.3w/㎡K以下をお勧めしてきました。なぜ超高断熱をお勧めして来たか・・・

20年後の断熱性能を今造ることはCO2防止や地球温暖化防止のためではありません。2007年から20年後、その頃はエネルギー代が2倍になっていると予想されるので、20年後を見据えた家造りをしているのです。

20年後の2030年はすぐに訪れます。拙宅は1992年に高気密高断熱の家として建築されました。断熱性能はQ値で1.9w/m2です。今となっては普通の高気密高断熱住宅ですが、20年前は、「何でそんなに断熱性能の高い家を作るの?家が腐っちゃうよ」と言っていた同業者も、今は高い断熱性に全く異論はないと思います。なぜなら20年前の断熱性能を家を作っている業者は今はいません。殆ど家がQ値2.0から2.6くらいの性能です(20年前の家はQ値4.0くらいです)。当時は灯油が40円/Lと今の半分以下でした。ガソリンは80円/Lですよ。暖房費なんてあまり気にしなかったのではないでしょうか?

また暖房設備も大きく変わりました。これは20年前に比べて電気代に大きな変化がなかったので、灯油暖房がなくなりエアコン暖房にシフトしました。実は私は1999年からエアコン暖房を勧めておりましたし、事務所設立後はほぼ全てにまずはエアコン暖房を勧めておりました。
今の「緑の家」のAグレードの性能は、他の同業者から見れば、「何でそんなに断熱性能の高い家を作るの?お金がもったいないよ」と言われます。しかし歴史は証明しております。この20年で家の断熱性能は2倍になりました。これは今後も当てはまります。20年後の家の断熱性能は今一般的に建築される家の2倍になるでしょう。だからそれを目指しているのです。多くの人が20年くらいのローンを組むでしょう。ローンが終わってみれば、自分の家の断熱性能が低い・・・。これでは何のために快適な家を望んで家造りしてのかわかりません。

 

建て替えの最大の理由は寒いから

今始めている古民家(昭和25年の古い質素な民家)の緩やかなリフォーム・・・。前の持ち主さんが手放した理由の一つは冬はとーーっても寒いから・・・

寒さはだけは何ともしがたい・・・そうなると冬に使う部屋は限られ、冬使わない部屋は物が置かれ、次第に夏も使わなくなる・・・すると家がどんどん傷む・・・手放したくなる、というサイクルが待っています。だからこそ今作る家は20年後でも暖かくできる家を今このときに作る必要があるのです。

寒冷化すのか、温暖化するのかわかりませんが、温暖化しても新潟県が国内で唯一暖房しない地域の沖縄のような気候になるとは思えませんし、関東にように冬に日がサンサンと輝くことは、越後山脈があるうちはないでしょう。この恵まれた大地新潟で冬も快適に過ごす事が簡単にできる「超高断熱」の家旧Q値0.99(Uᴀ値0.3w/㎡K)以下をお勧めします。

※Q値とは旧Q値の事で、この文章が書かれたときの断熱指標値。現在はUᴀ値0.3w/㎡K以下のこと.

「緑の家」は超高断熱の家が基本

「緑の家」の家で最高性能値を誇る西裏館の家 Q値0.83w/m2K。樹脂サッシ&高床でこの数値は凄い。今抱えている多数の設計のなかで、これを上回る要素があるのは日ノ出町の家くらいか?
「緑の家」の家で最高性能値を誇る西裏館の家
旧Q値0.83w/m2K。樹脂サッシ&高床でこの数値は凄い。
今抱えている多数の設計のなかで、これを上回る要素があるのは
日ノ出町の家くらいか?

核心の前にまず世の中の動きを知ることが必要です。以下のデーターは「世界経済のネタ帳 http://ecodb.net/pcp/imf_index_pnrg.htmlから」
(以下2011年に本文を作成)

1
私が自宅(旧Q値1.9w/m2K)を造ったのが1992年とかれこれ21年前。この当時のエネルギー指数は現在の1/5です。つまりエネルギー価格は5倍になった(円レート換算すると2.5倍くらいでしょうか?)

次に原油だけの指数は・・・

2
1992年から見ると4倍(円レート換算で2.2倍から2.4倍くらい)。

次に大事な食料&の飲み物指数は・・・

3
1992年から見ると2倍(円レート換算で0.8~0.9倍)。日本では実質価格が低くなった・・・だからデフレと言われます。しかし上のエネルギーと原油は相当上がったのです。この事をマスコミも政府も大きく取り上げません。デフレだから良いでしょうと10年間あまり大きな声でエネルギー価格が高騰した事をアナウンスはされておりません。

産業の大事な原材料価格指数は・・・

4
1992年から見ると1.9倍(円レート換算で0.7倍から0.9倍)。実は食料の下げ幅より安くデフレになっていたようです。

もうおわかりですね。ここ10年で食料品も原材料も価格が上がったのですが、それを円高が帳消しにしていました。ところが今後政府を始め大手民間企業でも円安が好ましいと言う事で、輸入されるものは徐々に上がる可能性があります。世界の取引価格の上昇と円安の影響で一番大きく価格が上昇するのは、上のグラフからわかるとおりエネルギー価格です。このエネルギー価格は原油、石炭、ガスなど主な化石燃料が入ります。

これだけ20年で急に上がれば今度は下がるか上げ止まりでは・・・と楽観視する人はほぼいないはずです。なぜならこの急上昇は発展途上国だった大国の中国、インド、東アジア諸国、南アメリカ諸国、アフリカ諸国が急激にエネルギーを消費し始めたからで、この国の人口増加と産業が先進国に追いつくまでは消費エネルギーは上がり続けると思われるからです。

つまり・・・

新潟県で一番大きなエネルギー消費の一つ、「暖房」にかかる費用が上がると予想されます。

現在24時間家中暖房を次世代断熱基準の家(Q値2.4w/m2K)で行った場合、30坪くらいの家で年間の暖房費は12万~14万でしょう。これが上の理由と日本の20年後の経済を考えると20万~24万になる(私感です)・・・でも収入は2倍になっていると想像できますか? スーパーインフレで円の切り上げがあれば・・・なんて戦後直ぐのような事は多分ないでしょうから。

さあ、そこで家の造り方がどんどん高断熱化しているわけです。多分、エネルギー費が現在の1.5倍になった頃は、断熱性能も1.5倍くらいになるでしょう。それは2025年に訪れると私は考えています。ローンが25年だったら、まだローンの払い終わらないう頃に、廻りに新築建築される家は断熱性能が1.5倍もある超高断熱。 ローンが終わる前に家の価値がなくなるような気がして、それを考えるとゾッとします。建て替え理由のトップには何時も寒い家だからが来ます。寒い家はどんなに立派な家でも住む事を考えると価値がありませんから(お寺や神社は別)。

さて、今こそ新潟県で建てる家は断熱性能に特化した家です。例え家の大きさが1割小さくなろうと、断熱性能はあとから性能アップできません。だから私は自宅の性能アップできないのです。自宅性能アップする為には、外壁を壊し、内装を取り払い、サッシを全て交換しないとできません。家を建て替えるくらいの勇気が必要です。しかし狭い家を広くするには超高断熱住宅でも簡単です。自宅も3度ほど広くしました。家の広さを変えるのは、外壁の色変えのように気軽にできますが、断熱性能を変えるのはとても大変です。私のような思いをさせたくないので「変人のように」強く2007年から勧めているのが、オーブルデザインという設計事務所なのです。(2011年作成)