TEXT 2007年
二世帯等(田舎の農家住宅を含む)の住宅の場合、将来の世帯、催事、人数の増減によって使用される空間が一定ではありません。以前は暖房という概念が無いので、不使用部屋を暖房しなくても問題は起きませんでした。しかし、これからの家はシェルター性能を高くした高気密高断熱の家中暖房の住まいが前提(家中暖房以外では非暖房室で結露が発生し、家が傷む)です。
しかし、普段使用しない室内まで暖房することは今後の環境問題、エコロジー的観点からも経済的にも無駄です。そこで二世帯等(田舎の農家住宅を含む)のように、標準的な住まいより広い家は、将来使用されなくなるであろう空間が想定できる時は断熱区画を計画します。断熱区画とは接していない内部壁において、外部と同様な断熱、防湿層を設けることです。普段使う空間と使わない空間は断熱気密扉を設置し、断熱気密的仕切りを設けます。この事で将来起こりうる人数、ライフスタイル、慣習の変化に対応し、暖房部分と非暖房部分を明確に分離できます。このことは家の非暖房室の結露による痛みをなくすばかりか、経済的にも無駄の無い住まいとなります。写真は3年前に立て替えた農家を営む住宅で、普段は使われない三間続きがあり、「はれ」の慣習がある時にだけ使用します。よって客間は冬期暖房をほとんどしない空間となり、生活空間とは区画されています。奥に見える戸が断熱戸となり、日常空間はその扉の奥の空間でされています。この断熱区画したことで暖房費が半分程度になり、とても経済的です。