5. 現在の建築方法の間違いを正す計画

text   2009.04

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ある工務店さんの防腐防蟻薬剤散布後 この骨組み状態の時に散布する。
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ある北欧大手さんの薬剤散布後の現場風景。 構造用合板にもしっかり薬剤散布。

① 防腐防蟻剤(シロアリ予防剤)は10年後は効果がない?

上の写真は家を施工中の現場の写真。木に色がついているところが防腐防蟻剤を塗布したところである。これは法律で地面から1m以内にある木材は防腐防蟻対策をしなさいと決められているから。(図1) さてその防腐防蟻剤の効果は5年後から次第に無くなり、

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雨水が飛ぶ範囲が防腐防蟻が必要な高さ。

10~15年後には効き目がなくなると言われているので、メーカーの保証も最長で5~10年くらいが多い。
すると、15年くらい経った時再び薬剤を塗布しなければならないが、上の写真のように外壁を全部剥がす必要がある。
街にはたくさんの家が建っているが、薬剤を塗布する為にだけに外壁を剥がしている現場を見たことがない。
つまり、15年後には全ての建物が法律違反になる。これは現在の住まい作りの間違いではないだろうか。
オーブルデザインでは1m以内の木材を99%使用しない(土台を除く)という物理的対策で薬剤には頼らない建築方法を採用している。
図1 跳ね返り雨水による壁面足元の濡れ
(腐りやすい部分)

② 新潟県ではベタ基礎の場合、構造計算が必要

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表は瑕疵担保保証協会の設計基準から抜粋
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長岡市に建設された耐雪2.5m住宅の設置例

まず最初に新潟県のほぼ90%以上の地域は雪の重さを最低積雪1mまで必ず考慮する必要があると法律で定められている。できればその土地で定められている積雪量を考慮(例えば三条市で1.8m、長岡市では2.5m、旧新津で1.2m)することが理想である。雪とベタ基礎は深い関係があり、上記表をご覧いただきたい。この表は法律で定められているベタ基礎の配筋寸法である。この表によればベタ基礎の構造計算をする必要はない。「えっ、住宅は構造計算がいらないのでは?」と思う方もいらっしゃるだろうが、平成21年10月からは実質この表によらない場合は構造計算の必要があると法律で決まった。ところがこの表では一般住宅が採用する二間間(8帖)以上のベタ基礎シングル配筋の数値がない。つまり、ベタ基礎シングル配筋の時は全て構造計算が必要なのである。ところが巷で行われているベタ基礎はほとんどが構造計算していない建物である。
「緑の家」では全棟ベタ基礎の構造計算を行う。また積雪の多い地域は写真のような表示プレートを設け、その積雪に見合ったベタ基礎を提案している。

 

③ 積雪量プレートは必ずつける

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建築確認が下りてくると、その副本には「積雪量を明示するプレートを設置しなさい」と書かれた書類も一緒についてくる。県条例での義務であるにもかかわらず、このプレートを他の会社の住宅で見ることはない。
建築基準法では、各地域に見合った積雪荷重に対して安全でなければならないとなっている。例えば、
新潟市=100cm  三条市=180cm  長岡市=250(山間部400)cm  燕市=120cm
と決まっている。がしかし、雪下ろしを慣例的にする地域では100cmまで減じて構造計算可能と法律で緩和されている。そこで木造住宅の95%以上は積雪1mで安全が確保されるように計画しているはず・・・。このように1mと軽減されている場合は、建て主に告知することは大変重要であり、上の積雪表示プレートの設置義務がある。ではなぜ建物の完了検査で問題にならないのか?それは雪の量に対する構造は設計者の責務であり、行政では構造のチェックが行われない。つまり行政では表示プレートが存在しない場合、法律上の積雪量の安全性が確保された建物とみなしてプレートの表示が無くてもOKとなる。しかし例えば三条市で積雪1.8mで設計している住宅はほとんど無いはず。この積雪量を1mに軽減したのにプレート表示のない住宅は法律違反といえる。

右上の写真は三条市に建設された耐雪1.8m住宅のプレート設置例。この地域は通常雪下ろしは毎年しているが、年々人手が無くなり、かといって落雪住宅や融雪住宅ではイニシャルコストやランニングコストまたは建築制約が大きすぎるということで法律の積雪量に合致した耐雪住宅としている。本来なら法律どおりの積雪量なのでプレートの設置義務はないが、建て主に注意喚起のため設置した。

p5-7④ ロフトは必ず法律を守る

流行のロフト(小屋裏利用)は楽しい空間である。ロフトは高さが最も高い所で1.4m以下としなければならないと法律で決まっている。ところが、1.4mだと立つことができず、腰を曲げる体勢となる。だから法律を無視して1.4m以上のロフトを造る業者が多い。(法律違反のロフトを勧めるのは論外である)それもわざわざ行政が行う完成検査の後に造ったりする。なぜ、法律ではわざわざ人が立てない高さにしているのか?
それは常時人がいると危険である為である。3階建ては火災時に、2階建てよりも避難しにくい危険性がある。その為、避難はしごや消防隊の侵入口を設置する決まりがある。ロフトに常時人がいるということは3階建てと同じになる。つまり、避難はしごや侵入口がなければ安全性が低い。また、人が常時いるということは、荷物や床、壁、天井の重さが増える。重さの増えた分だけ耐震性をアップさせないと地震時に倒壊することになる。ロフトを造るときは法律を守り、決められた重量の割り増しをしなければならない。こんな重要な法律すら守れない会社がしっかりした建物をつくることはできない。