2009年初稿、2023年10月加筆修正
基礎は鉄筋といわれる鋼の棒と、セメントと砂利を混ぜたコンクリートからできています。これは鋼だけで作ると強度は十分なのですが数年で錆びてしまい、コンクリートだけですと耐久性は長いのですが、もろく強度が出ないのでこの2つを組み合わせて作ります。
① 立ち上がり寸法について
新潟県の多くの住宅は立ち上がり寸法が60cm位しかなく、住宅性能表示で定められている多雪住宅地における基礎高標準の75cmさえクリヤーしておりません。
この立ち上がり寸法が大きければ大きいほど構造耐力が高いと言えます。
「緑の家」のAグレード、Bグレード共に、この立ち上がり寸法が117cm以上ある為、
重い雪も支える構造になっております。
② コンクリート強度について
コンクリートは全て同じ強度ではありません。一般的に多く使われている強度は21N/m㎡というものですが、「緑の家」ではその約1.4倍の30N/m㎡が標準です。
この強度はただ強いだけではなく、耐用年数100年基礎のポイントである中性化劣化にとても有効です。中性化とはコンクリートの強アルカリ性が空気中の二酸化炭素によって中和され、アルカリ性が低下していく現象です。中性化がコンクリートの内部にまで進行するとアルカリで守られていた内部の鉄筋の錆も進行し、強度が低下して鉄筋コンクリートの寿命を迎えることになります。
一般の21N/m㎡の強度のコンクリートでは補修不要年数が50年と言われています。
「緑の家」では30N/m㎡を標準としているので補修不要年数は約100年です。
③ 立ち上がり幅について
②と同様にコンクリート表面から鉄筋までの厚さ(かぶり厚)が多くなればコンクリートの中性化によって起こる内部の鉄筋へ影響を遅らせることができます。住宅金融支援機構の基準でもある一般的な基礎の幅は120mmですが、「緑の家」のAグレードの仕様では幅180mm、Bグレードの仕様でも幅150mm標準として、鉄筋までのかぶり厚を多く確保し基礎の耐久性を高めます。
④ 水セメント比とスランプ値
コンクリートは混入している水が少ないほうが良いコンクリートとなります。そこで通常60%の水セメント比をAグレードでは50%以下として、より水の少ない良品のコンクリートを使います。更にコンクリートは流し込む固さも固い方が良質でしまったコンクリートになります。
⑤ 基礎の一体化(一回打ち込み)
基礎の大部分を占める材料はコンクリートです。コンクリートはご存知の通り、作りたては液体でドロドロしています。
よってどんな形にでも作ることができ、この性質を生かして一体成型することで高強度を得る構造ができます。
しかし、今までの一般的な住宅の基礎工事では、ベースといわれる(図)部分を最初につくり、そのベースのコンクリートが固まってから立ち上がりをつくります。これではコンクリートが一体成型ではなく、二つのブロック成型となり、欠点が継ぎ目に出やすい可能性があります。
そこで緑の家では特殊な金物を使いベースと立ち上がりを一発で打ち込みます。これで本当の一体成型のコンクリートができ、従来の欠点である継ぎ目の剥離や水の浸入による鉄筋の腐食を防止し、白蟻の侵入も防ぐことができます。
⑥ 入念な仕上がり押さえ
コンクリート打ち込み後数時間経った時、再びコンクリート表面をコテで押し付けます。コンクリートはその上の方(表面)の密度が低くなりがちで、欠点といえばこの部分の強度と言われています。この欠点を解消する為、よいコンクリート工事ではコテで押し付け仕上げをします。
⑦ 熱橋のない断熱とシロアリ対策
基礎断熱の欠点は、白蟻に進入されやすい事と、その対処が難しいことです。そこで緑の家の基礎は、シロアリの進入となる外部立ち上りを露出させ、発見を容易にしております。
しかし外部を露出させると今度は、アンカーボルトや土台下部が集中的に冷える(熱橋)事で結露の危険性が高まります。
そこでAグレードの基礎では、熱橋をなくすため、右図のように断熱材を基礎より少し下げて施工する計画となっております*。
この納まりは、熱橋がなくシロアリにも物理的に強いすばらしい基礎です。
*Aグレードの基礎の場合でも、長期優良住宅取得の場合はこの限りではありません。