自然素材のデメリット そのお手入れ

TEXT  2005 03更新 誤字修正

自然素材にはメリットは色々あるが、デメリットもある。特に生まれたときから工業製品(塗装品、プラスチック等)で身の回りを固められてしまった、40代より若い世代は、自然素材との付き合い方を経験していないと思うので改めて解説を!!

ヒノキの無塗装の床。自然素材の代表。

自然素材のメリットが全てデメリットになることをご理解の上お住まいにならないと、「こんなはずではなかった。」「聞いていない」「そうなの?」ということになります。

素材が吸放湿する。気持ちの良い感触。

このデメリットとして、材料の延び縮みがあることだ。空気が乾燥している冬は、木材などが縮み、隙間ができたりする。反対に梅雨から夏、秋の長雨時期では、材料が延びて隙間がなくなり、時としてはたわんだりする。これは避けられない材料の特性だ!

また、吸湿時は問題ないが、放湿時は周囲より湿度が高くなりがちで、これはカビの生えやすい時期が後ろにずれこむことになり、梅雨が去って夏になってからカビが急激に発生したりする。

自然素材のカビ対策

そこで自然素材への梅雨時のカビ対策は、40年前まではあたりまえのように行われてきた、一日一回のお掃除。そして季節の良いときはできるだけ窓を開けっ放しにして空気の動きを止めないこと。多少雨が降っていても、完全に窓を閉めないことだ!!その後の梅雨が明けた時に、押入れや、収納など空気の流通がない空間を開放し、積極的に湿気放出を促すことで、カビとお付き合いしてきたのが日本民族だ!日本の梅雨文化はカビとともにあったと言っても過言ではないだろう!その頃は、畳上げをして(私が子供の頃は手伝った記憶がある)畳とその下地も乾かしていたが、最近は、床下が防湿化されているので、ここまでの必要は薄い。

シックハウス問題で変わった防かび方法

ところがここ30年くらいの住まいは、工業製品(建材)で囲まれて来たため、こんな事をしなくても、カビは生えにくい状況だ。しかしそれが行き過ぎたため、シックハウス等の問題も出てきたことは記憶のとおりである。

そんなことはできないが、自然素材を使いたい!!(一日一回のお掃除が難しく、窓の開けっ放しは、留守がちな毎日では不可能!ましてや梅雨明けの強制乾燥(いわゆる虫干しも時間がなくてできない)
そんな方は、梅雨時に入ったらエアコンを稼動させ、24時間休むことなく低い湿度(相対湿度で60%以下)を保てばよいだろう。(拙者宅では3年くらい、6月から9月まで24時間冷房をした。このときはカビなど一切お目にかからなかった)
このやり方は、自然素材の代表選手の紙や和紙などを保管する図書館の書庫で行われており、薫煙処理(防カビ、殺虫剤)に変わり、梅雨時のかびやシミ対策として行われている。昔は虫干しといって梅雨が明けたときに一斉に本を乾かしていた。

間違ってはならないのは、中途半端に除湿し、晴れ間だけエアコンを止め、また雨が降ってきたらエアコンを入れるやりかたでは、一日一回の掃除や梅雨明け干しを省くことはできない。このようなやりかたでは、梅雨の晴れ間も絶対湿度は高く、材料に湿気がこもるからだ。(これも拙宅で確認済み)

図書館と同じ防かび方法

「緑の家」は昔と同じ素材を使ってつくるので、生活の仕方も昔のようにするか、高気密高断熱という最近のテクノロジーの恩恵を活かして、24時間乾燥状態で、図書館と同じメンテナンス方法で住まうかは、建て主さんが選択すれば良い。選択の余地があるのは、緑の家の良い特徴だ!!また、自然素材を使わない大手ハウスメーカーの建材(床、畳、壁、天井)に使用されるホルムアルデヒドが規制され、カビが生えやすい状況になった。こういったメーカーはホルムアルデヒドとは違う防カビ剤で対応するのだろうが、はたしてそれが良いことなのかどうか?

実はホルムアルデヒドは随分前から身の回りにあった。ホルムアルデヒドを水に溶かすとホルマリンとなり、高い防腐材となる。このホルマリンは昔から家の中でも重宝されてきた。(囲炉裏で薪を燃やした煙には、ホルムアルデヒドが含まれており、それが屋根のカヤ葺きを守っていたことが、証明されている)突然家の中で薪を焚くことはできないが、虫干しや毎日の掃除など、できるだけ昔からの生活の知恵を働かせて、自然素材に囲まれつつ、健康的に暮らせるように日々考えたい。

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