久々辛口!!最近のハウスメーカーの造る家について

ふとしたきっかけである大手ハウスメーカー(所謂プレハブメーカー)のホームページを見ていたところ、基礎断熱、床下暖房などなど見慣れた言葉があった。しかしどうしても腑に落ちない事があった。

① 新築建物でどうして完成気密測測定を行わないのか?

10年前は、ハウスメーカーのパンフレットには、「この家は高気密高断熱です。」と一言も書いていないのに最近のハウスメーカーの家は、当たり前のように「高気密高断熱です」とカタログや商品説明がある。この高気密高断熱がハウスメーカー謳われ始めたのは、数年前。それ以前は逆に「高気密」を否定してづけた。オーブルデザインでは、すでに10年前から全棟高気密高断熱の家であり、オーブルデザインの代表者である浅間自邸に至っては、高気密高断熱住宅で18年目に入る。そしてこの18年間完成時の気密測定の重要性を訴えてきた。しかし完成時の気密測定を公開で行う会社はまだ非常に少ない。特にハウスメーカーでは皆無(県内)。確かにこのメーカーはカタログに気密測定全棟実施と書かれているが、よく見ると「工場で実施」とある。工場でほとんど作るプレハブメーカーの家でも、運搬の関係から巾は2.5m位がそのピースの限度であるため、数十個のピースの組み立てが現場では必ずある。組み立て=くっ付ける作業がある以上完成時の気密測定をしなければ全く意味はない。しかし完成時の気密測定が行われる事はほとんどない。なぜか?それはまだ建築基準法で決められていない事と、大衆(気密測定が必要と知れ渡っていないので)が要求しないため。しかし住宅業界の識者は口を揃えて言う。「完成時の気密測定数値が無ければ、気密性の数値にほとんど意味はない」と・・・。その通り。ちょっと電線の貫通部分を塞ぎ忘れただけでも気密性は出ないから、工場で測定したから、現場でも同じという事は無い。工場と違う人が作っているのだから、違う数値になる。
「高気密高断熱」の時と同じようにまた10年くらい経つと「完成時の気密測定全棟実施」などとハウスメーカーのパンフレットに書かれるのだろう。10年前に建てた人は「仕方ない」の一言で済まされる。この感覚が大手メーカーである。

② どうして床下の異臭のする空気をわざわざ室内に入れるの

最近ハウスメーカーの家でも「基礎断熱」が標準で行われている。しかしその発想は全く問題ある。オーブルデザインが基礎断熱を行った発想はここここにあるが、白蟻対策への物理的対策とメンテナンス重視、そして床に直接触れる快適性をアップさせるため。しかし私がみたハウスメーカーのHP上での基礎断熱の説明は、「床下に蓄熱暖房機を設置を設置したいため」と受け取れる。もう随分前に当HPで紹介しているが、床下に暖房機を置くデメリットをしっかりご案内しているのだろうか?当事務所も過去に一度床下暖房を行った家がある。確かに床面の温度は23度から25度となり快適性は高い。しかしデメリットがある。それは
1.床下の空気が積極的に室内に入る。
2.床スラブが必要以上に暖められて構造としての耐久性が低くなる。
3.床下内温度が上昇し、収納に相応しくない温度となる場合がある。
4.同様の理由で地下に損失する熱エネルギーが増える。

特に1.の床下の空気が積極的に室内に入ると言う事が致命的。「緑の家」の完成見学会にお越し頂いた人は分かるだろうが、床下はコンクリートで囲まれるために強烈な「コンクリートの灰汁臭」がする。この匂いが室内に入ると思うと「ぞっと」するくらい。「緑の家」の床下でさえ、強制排気で2時間ですべての床下の空気がすっかり変わるくらいの換気を行っているにもかかわらずその匂いは強烈。更に新築時は床下までクリーニングされ、綺麗であるが、10年後を想像してほしい。普通は床下など掃除する事は絶対と言っていいほどない。すると10年間掃除しない空間の空気が室内に運ばれるのである。なかには虫も死んであるだろう。その空気が寝室やリビングに入ってくることを想像してほしい。このメーカーのHPには、床下で造られた温かい空気を家の隅々迄とご丁寧に書かれている。
きっと10年も経たないうちに、このハウスメーカーの床下暖房は姿を消すだろう。理由もあいまいにして・・・。

因みに過去一軒だけ作った床下暖房の家は、その建て主とこのデメリットを申し上げた上で、それでも建て主が計画したいとの意向なので、承知し採用した。勿論床のスラブは構造と切り離してただの土間コンクリートとしている。無論一年目を過ごし床下暖房のメリットを堪能された。(薪ストーブの虜になったと言う話も聞く)