リフォーム

2009.09.10

目次

はじめに(このページ) 当事務のリフォームの考え方
1.T邸のリフォーム 数奇屋風の屋根の欠点
2.T邸のリフォーム 寒い家がリフォームのきっかけ
3.T邸のリフォーム 完成
4.おまけ 木耐協(日本木造住宅耐震補強事業者共同組合)の手抜き工事

リフォームの考え方

まず高耐震と暖かい家!!これが基本

リフォームは新築より高度な建築知識を求められ、高難易度の仕事です。簡単、簡単と言って気軽に行う業者は数知れず多いですが、こういう業者ほど気をつけなければなりません。オーブルデザインがリフォームを行った場合、オーブルデザインが新たにその建物のついての構造的責任を負う事をお約束いたします。
平成16年10月23日に最大震度7という中越地震が現在の長岡市付近でおきました。これにより家屋の全半壊は1万6千棟に上りましたが、死者は阪神淡路大震災に比べ非常に少ないく、大不幸中の救いといってよいと感じてます。お亡くなりになった方には冥福をお祈りいたします。
この地震が起きる半年前に、当事務所にリフォームの考え方及び実施例について地方雑誌取材のお話がありました。この時代は某TV番組の「劇的・・・」の大当たり年で、このようなリフォームが多く行われており、同じようなリフォームがもてはやされておりました。がしかし、オーブルデザインはお断りする事になりました。そのときの文面がこれです。

長岡市  ○×様

リフォームについて
平成16年3月

まず最初に当事務所ほ、「安易な」リォームに対して2つの大きな問題があると考えております。
従って今回の取材のご趣旨が、これに反するものであればご迷惑となるので、予めあ断り申しあげたいと思います。
勿論、リフオーム自体を否定するものでなく、今あるものを壊してごみにすることなく、資源を大事に使うという姿勢に大いに賛成であり、今後も取り組んでいく重要な業務と考えてあります。
日本は高齢化社会には入り、65 歳以上が全人口に占める割合の21%を超え、また平均寿命が80 才前後まで延び、更に核家族化が進んだ社会において、60 歳以上の世代が建築した住居は築後25 年から30 年を向かえております。
この65歳以上の方の多くは、子供と一緒に暮らす同居型が減っため、新築に伴う仮住まいや、愛着のある家を壊して建替えるといった事は望んでいないと推察しております。しかし今後20年以上あると思われる人生の多くを過ごす住居が、設備が古く、寒い家であることを望んでいないため、今ある住宅を改装 (リフオーム) し、設備 (キッチンやお風
呂、トイレ) を新しくし、また室内の模様替えをして生活に変化をもたらそうと考えております。
このとき子世代が共に家造りを行えれば (同居等)、仮住まいや、建替えの苦労を乗り越えられるため、「どうせだったら…」と建替えることになり、リフォーム市場は、こればどまで大きな市場でほなかったと思います。
しかし核家族を薦めた社会背景があり、2世代同居は少なく、このことが高齢化の進む中で、リフォーム急増の一つの要因になったと考えられます。
リフォームは社会資本のストックから見れば大変良いことなのですが、そのリフォームの多くは、建物において一番大事な安全性に対して充分配慮しているとは思えない状況が、いたる所で見受けられます。あるテレビの番組では、安全性の確保の前に、劇的な変化を遂げた綺麗なキッチンや、お風呂、インテリアだけをクローズアップして放送し、安全性のアップは殆ど語られないで製作放映されていることが、とても目につきます。
資源を大事にする観点がらリフォームは良いことなのですが、危険な建物が壊されずに残ってしまうことは大変な問題です。
建物の基準を定めた建築基準法では、一般木造住宅で 10M2 (約6帖) 以上の増築 (家を大きくすること)を伴わない住宅のリフォームについては、市役所や行政に「確認申請」を行う必要がないため、法律上の適合について第三者の確認がおこなわれません。また25年前の家は、当時の古い法律で建築されているため、現在の法律には合致しないところが数多く存在します。その中でも、昭和55年に大きく法律改定された新耐震基準は重要で、この基準を満足していない建物の多くが、平成7年1月17 日に起こった阪神淡路大震災によって一度に5000 名を超える多くの人命を奪ってしまいました。そこで行政は、この悲痛な体験を基に更に安全性を高めた基準を平成12年に取り決め施行しました。
その基準に則って建物を改修すれば最低基準の安全が確保された安全な建築となるのですが、それには家の殆どの仕上 (壁、床、天井)を剥がして、構造を確認する必要があります。
(建築基準法は第一条に「この法律は建築物の敷地、設備及び用途に関する最低の基準を定めて国民の生命と、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉に資することを目的とする」とあり、建築基準法は安全の最低基準という認識が必要です。)
しかし、リフオームを薦める建築業者の殆どがそんな説明は一切おこないません。更に T.V番組でもリフォームによって違法建築となった家を「快適な家」と堂々と宣伝報道しているありさまです。資金的に耐震性を確保するところまで考えられないということも理解できますので、設備だけ新しくするということを否定しません。しかし我々専門家は、今の家の安全柱について説明する義務は少なくともあると強く考えます。設備の取替えだけではなく、大きな模様替えを行う際に、耐震性の安全説明がないまま行われた「安易な」リフォームに対して待ったなしの改善が求められるのではないでしょうか?
もし将来地震がきて建物が倒壊したなら、これほ人災に等しいと私は考えます。
「あの時教えてくれれば、キッチンではなく耐震性をリフォームしたのに…」と後悔させることになるのではないでしょうか?

もう一つの大きな問題として・・・もありますが、これほ少々主観的な考えにもなりますので、ここでは安全性の問題のみ記させていただきました。

有限会社オープルデザイソ
代表取締役 浅間 秀樹
そしてこの半年後にその長岡市で中越地震を迎えることになります。
私はこの時とった私の行動は決して間違いでなかったと今でも胸を張ることができます。
古い家のリフォームをお考えのときはまずは

安全第一の家&暖かい家

とすることが鉄則です。
その信念でオーブルデザインはリフォームを行っております。
下は実際のリフォーム例です。

img053501

dscn37211

築30年以上経つ数奇屋風の端正な住居。しかし窓が多く不自然で耐震性は悪く冬寒い。 窓下には基礎がなく不安定。

 

リフォーム後↓

sdim12611

窓下にしっかり基礎をつくり、窓一部を耐力壁に変更。サッシは全て樹脂サッシで高断熱仕様。

 

外壁色は白からブラウンに。屋根は瓦で痛みが少ないため手をつけずに見合った耐震性を確保。

外壁色は白からブラウンに。屋根は瓦で痛みが少ないため手をつけずに見合った耐震性を確保。

 

この住宅は、3年ほど前に、木耐協の耐震補強診断を受け、その改修高コストから気持ち程度耐震補強を受けたという。しかし簡易とはいえ耐震補強したはずなのだが、逆に耐震性が落ちてしまった・・・この続きはここです。下はその証拠写真です。

dscn38012

切断された「かすがい」という補強金物。かすがいは錆びてはいるが切断されてないよりましと思う。
では上のお宅のリフォームをご紹介します。ここをクリックして下さい。