木耐協(日本木造住宅耐震補強事業者共同組合)の手抜き工事

2007.10.31、2009.09編集

dscn69601

T邸は数年前に「木耐協」の加盟店によって耐震診断され、その時に発行された報告書。8~10万近くかかるが、当時は市の助成金でほとんど全額まかなわれたと聞いている。それだけ行政がかかわっているこの団体が、事もあろうに下のような欠陥といっても良いくらいの補修工事をして数十万請求された。

dscn41781

数年前に「木耐協」の加盟店によって施工された意味のない補強。この金物は筋かいに周辺にあると効果があるが、まったく力のかからない、扉下にある。どうしてこんないい加減な事ができるのであろうか?またこの金物本来取り付く場所である筋かいがしっかりと施工せれているかが前提条件。解体してみると筋かいはしっかり施工されていない。専門家なら築年数を考えれば想像はつくはず。
これらの写真は、オーブルデザインが手がけている「断熱・耐震リフォーム」中にいろいろ発覚した事実である。この住宅は以前「日本木造住宅耐震補強事業者組合」=(所謂、木耐協)の組合員による耐震補強がされた住宅である。この団体が行う耐震調査は、多くの自治体で補助金が支給されている。また、この団体は、国土交通省認可法人とあり、いかにも正しい施工が行われる気がする。しかしこの写真を見る限り、鵜呑みにはできない。アンカーボルトの代わりとなるべき金物が、全く意味のないところに施されていたり、「大引き」と呼ばれる構造材ではない部材に補強金物をこれでもかと設置されている。建て主に話を伺うと、「水害後でもあり、耐震調査自体は無料で行われた。耐震診断士による調査結果は、「全体的に大崩壊の危険がある。」「床下は湿気があり改善の必要がある。ホールダウンや火打ちなどで補強しましょう。小屋裏は金物が全体的に不足している。小屋組みの耐震補強を実施しましょう」とあり、1階や2階の耐力壁について書面によるコメントはない。つまり補修費用がかかる壁の補強はなかなか実施してもらえない事がわかっているので、費用が比較的安価で、実施しやすい床下や小屋裏の補強を薦めているのである。しかし、我々は実際この目で中越地震や中越沖地震を見ている。家が大崩壊するのは、①地盤が崩壊した時②1階の耐力壁が弱い時 と学んでいる。書店に行くと多くの「中越沖地震の写真集」が販売されている。そこにある倒壊した家の多くが、2階又は屋根は形があるのに1階がペッシャとつぶれている。基礎内部が弱いからとか小屋が弱いから崩壊したとい事はほとんどない。にもかかかわれず、壁の耐震補強を薦めは積極的に行われず、費用の安価な床下補強を薦める。その実態がこの写真のとおり、補強する必要性がないところまで補強し、その実施写真を見せ、妥当な工事費を請求する。ほとんどインチキに近い。ただこの家の担当者は、何回か「今回の補強でほとんど耐震性はアップしませんが、行わないよりいいでしょう」と伝えていたと聞いている。これも微妙な事で、意味がないなら薦めなければ良い。それよりも、早く正規の耐震改修をと言ってくれたほうが誠意がある。当事務所は、耐震性を満たしていない住宅のリフォームは、まずそれを満たす事が前提でお手伝いする。なぜならば、一度リフォームをお受けしたとたん、その家の耐震性の責任は、建築士である「浅間」が請け負うから。私が設計の責任を持った建物で地震によって人命が失われたとしたら、私の仕事は全て否定されるから。また人間としても、凶器となる家を造るわけには行かない。これは信念であり、医師の心得を述べた「ヒポクラテスの誓いのようなものである。

dscn41811

既存の「火打ち」がしっかりとあるのに、更に補強する金物の必要性はない。明らかに金物をつけたのでお金をくださいというような施工である。

床下には通常柱はない。1階の床を支える部材の根太と大引きがあるだけ。ところがあるTV番組では床下に専門家が入り、本来柱など存在しないのに「束」を「柱」と言ってそれが継がれているので欠陥だと言っているニセ専門家がいる。この写真も同じ理由だろうか?大引きを過剰とも言える金物で補強している。通常大引きは構造材ではない。大引きが土台から外れても通常家は崩壊は無論、大きな損壊はない。

床下には通常柱はない。1階の床を支える部材の根太と大引きがあるだけ。ところがあるTV番組では床下に専門家が入り、本来柱など存在しないのに「束」を「柱」と言ってそれが継がれているので欠陥だと言っているニセ専門家がいる。この写真も同じ理由だろうか?大引きを過剰とも言える金物で補強している。通常大引きは構造材ではない。大引きが土台から外れても通常家は崩壊は無論、大きな損壊はない。

この「木耐協」が行った耐震補強の中で唯一良かったのは、床下地盤面への防湿シート敷きこみであろう。これは効果が発揮されており、現在床下は乾いている状況。下の写真は、あまりにびっくりしたのでご紹介。
一番驚いた補強は、補強したがゆえに建物が弱くなったという補強である。
下の写真を見てほしい。断熱材を貼るために外壁仕上げを撤去したところである。斜めの棒状は「筋かい」と呼ばれる耐力壁部材。この材の両端部は金物によって補強されていなければならない。

dscn37961

dscn38021

ひとつ上の写真のアップである。木耐協によって補強された平たい金物。よく見ると筋かいの両端部の補強金物が、切断されている。この金物はかすがいと呼ばれ、一応補強金物となる。それを切断して取り付けた金物に意味があるかというと、まったくない。かすがいを切断したためここには圧縮方向の力しかかからない。
かえって耐震性が弱くなった。

dscn38012

切断された「かすがい」という補強金物。錆びてはいるがないよりましと思う。

そし2007年の10月にこのホームページを公開したところ

dscn69591

2008年の11月ごろ、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(所謂 木耐協)の事務局長「Iさん」からお手紙をオーブルデザインあてに頂いた。
内容は、当HP上に掲載されている木耐協の組合員が行った「耐震リフォーム」が意味の無い工事であった、またそればかりか現在より耐震性能を低くする工事であったとの記事のことである。「その事が本当なら看過できない問題」であると書かれた手紙であった。

早速このIさんに電話で連絡したところ、施工した工事店名を聞かせてほしいとの事であったので、「個人情報なので建て主さんに許可を頂いてからお答えする。手元に資料は確かに日本木造住宅耐震補強事業者協同組合の印鑑があり、登録番号が載っている」と答えた。それを聞いたIさんは、「では数日後に連絡をします」と言ったきり2009年の9月減現在なにも音沙汰ない。こちらは建て主さんへ「これこれこういった事がありました。」と報告し、建て主さんは「それは何か動きがあるのでしょうか?是非情報を全部お伝えください。」と喜んでいらっしゃったのに・・・。

結局、当HPの「記事がでたらめでないかと確かめた」が、本当であったためそのままというとところがIさんのお手紙の真意と推測する。
もういまさら期待は建て主さん共々していないが、あまりにも残念。せめて国が認可する組合を束ねる事務局として、建て主さんへご説明が直接あってもよいのではないだろうか?

この日本木造住宅耐震補強事業者協同組合=木耐協は、有名な組合で、国交省からもある意味強く後押しされている団体。県内でもほとんどの市町村で住宅の「耐震診断」に対し、補助金(5~8万)くらいでると思うが、その条件がこの木耐協の診断が条件となっている。それほど行政が後押ししている耐震診断による補強工事で瑕疵があったのに、組合としては「組合員がしたことは責任が持てない」という消費から見れば理解しにくい内容。残念である。

しかし、おかげでしっかりした耐震補強と断熱補強ができ、かつ大きな補助金も頂いたので結局建て主さんは「ツイていた」ということ。感謝!!感謝!!

最初に