左が12度版。右が13年度版
木造住宅を造る時に誰もが一度は考え、新築の半数以上がお世話になる住宅金融公庫(以下公庫と呼ぶ)であるが、その住宅は優良な木造として広く知れ渡っている。これは公庫を使用した住宅は、公庫が定めた厳格な仕様書に沿って行われる(強制部分と任意部分がある)ためであり、その仕様書は100ページを越える。この仕様書は、建築基準法より上の基準として、また具体的な方法として活用している方(建築士)が大部分ではないだろうか?
しかし5月下旬に発刊された13年度住宅金融公庫木造住宅仕様書の防蟻防腐工事が大きく緩和された。「シックハウス」に対して、現況の施工状況を優先させたため、耐久性を緩和すると思える内容だ。更に詳しい内容はこちら。これは建築主にとってよい緩和と言えるのだろうか?
具体的には、上のような設計は一般的に行われる方法だが、去年までは融資は受けらなかったのが、全く同じ図面で可能となったのだ。これは緩和ではなく、改悪仕様と思う。新潟県では下の設計図の通気工法はあたりまえのように15年前からおこなわれてきた。また、同様に木の板壁も数十年前から行われてきており、それでも耐久性のある住宅を造るためには防蟻剤が公庫では標準とされてきた歴史があるが、それを今年からはしなくても耐久性のある住宅となったのである。過去の実績や歴史を「シックハウス」の対策のために簡単に翻していいのだろうか?「シックハウス」対策はとても重要であるが、オーブルが薦めている方法で、防蟻剤を使わなくとも解決できるのに・・・。この仕様変更が将来の住宅に悪い影響を及ぼすことがないことを祈るばかりだ!!TEXT 2001.10.3