緩和された??住宅金融公庫の木造仕様書 PART1  

左が12度版。右が13年度版

左が12度版。右が13年度版

5月下旬に発刊された13年度住宅金融公庫木造住宅仕様書の防蟻防腐工事が大きく緩和された。この仕様書は当事務所も手本にしているところが多く、建築基準法より上の基準として活用している方が大部分ではないだろうか?その仕様書が昨年の改正された法律に準じて一新されたのだ。まず感じる事は、社会問題になった「シックハウス」に対して、現況の施工状況を優先させたため、耐久性を緩和すると思える内容だ。これは建築主にとってよい緩和と言えるのだろうか?

従来、建物の防腐防蟻部分は外壁周りで、地面から1m以内の下地および主構造で、下地、主構造ともにシロアリの食害に強い樹種(ヒノキ、米ヒバ、ヒバ、米ヒバ、こうやまき、栗、けやき、保存、防腐処理材)かシロアリ協会認定の薬品現場処理(いわゆる農薬まき)の二者択一になっていたものが、6種類のなかから選択できるようになった。選択の巾が広がった事は良い事だが、昨年の仕様書には使わない方が良いと思われる木の樹種までOKになっていることや、新潟県では10年前からあたりまえだった通気工法のみでOKなどという事は、とても不安が残る改定である。ほんとにこれで50年?家の基本性能が保てる防腐防蟻工法なの?と言いたくなる。これは大手軸組みメーカーの影響が大きく反映されていて、昨年まで規定では「現況ではそこまでやる事は無理!!どうしても農薬を使わないとクリヤーできない。したがってそのままではシックハウスの原因とされる防蟻防腐剤の塗布をしなければいけない」と言う声に押され、コストアップ無しで可能な、緩やかな防腐防蟻規定となったのではないだろうか?

昨年の仕様書には「米松、ダフリカから松の、木の特性として耐不朽性が中、耐防蟻性が小」と記入されているのが、今年はなぜか防腐防蟻性があると称され、薬品処理の必要性がなくなっている。これはとっても、とっても理解しにくい。 また柱を太くしても、湿気に弱く白ありが好む樹種であれば、あっという間にその性能を失うだろう。本当に変だ!!ちなみに当事務所は土台を除く木材が、地面から1m以上離れるように設計され、通気工法も標準で織り込んでいるという、2重の対策をとっている。(無論高気密高断熱で室内湿気が壁体内に流入しないようになっている事は言うまでもない)

最低でも樹種のよる防蟻防腐と、通気工法などによる防腐防蟻を組合わせる事(オーブルの薦める方法)が良いと感じる。

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上写真のように12年度版では「米松、ダフリカ松」は耐久性が中、防犠牲が小とされていたものが13年度版では防腐防蟻効果のある方法の1つとして認められているのだ????納得いきますか?

 

従来(12年度版)どちらかを満足する  

1.木材の樹種によるもの 2.薬品散布(塗布、シート)によるもの。
ヒノキ、米ヒバ、ヒバ、米ヒバ、こうやまき、栗、けやき、保存、防腐処理土台 (社)日本シロアリ対策協会認定品、(社)日本木材保存協会、その他JISで決められたもの(クレオソート等)

 

改定後(13年度版)木質系下地材は3.4.5.のいずれかを満たし、軸組みは1から6のいずれかを満たせばOK。

1. 木材の樹種によるもの(耐防蟻防腐効果がある樹種) 2. 薬品散布(塗布、シート)によるもの。 3.通気工法を採用したもの
ヒノキ、米ヒバ、ヒバ、米ヒバ、こうやまき、栗、けやき、すぎ、からまつ、ベイすぎ、ダフリカからまつ、さわら、ねずこ、・・・中略・・・米松、保存、防腐処理木材 (社)日本シロアリ対策協会認定品、(社)日本木材保存協会、その他JISで決められたもの(クレオソート等) 通気胴ぶちにより、外壁直後の部分に空気の流通する部分を設け、その後ろに防水通湿シートを設けたもの

赤字が今年から増えた樹種

4.板壁を採用したもの 5.軒の出900以上で真壁の構造 6.柱断面を太くしたもの
雨板、ドイツ下見板、南京下見張り いわゆる昔の民家、社寺などの工法 120ミリ以上。オール4寸の家等