6月中旬に行なわれたNHK「ためしてガッテン」をご覧頂いただろうか?アレルギーに関してはよくわからないが、大発生すると有害なダニ。このダニとの新しい付き合い方を提案した内容だった。これによると、今までやってきた事でやらない方が良いと放映されたのは
1. 布団は干した時「たたかない」。
2. ダニを殺そう、絶滅させようと思わない。(殺虫剤は意味がない)
という今まであたりまえだと思われたことを、大きく否定している。特に民間TV局では絶対不可能な、「殺虫剤は意味がない」という事も大きく伝えていた。ではどういう方法でダニとお付き合いするのかというと
1. ダニは「生かさず殺さず、半殺しに」。つまり湿度(相対湿度)を60%以下にする。
2. 掃除は、掃除機で丁寧に!!
とのことだ。なぜ殺虫剤が無意味かと言うと、ダニの生存に適する湿度60%以上であると、一対のダニが生産する子孫の総数は30万匹(3ヶ月)になる。したがってダニが一対でも生き延びていたなら、毎日、殺虫剤を散布しないと直ぐに多くなる。しかし毎日殺虫剤を散布すると言う事は、そこに住んでいる人間にも影響を及ぼすだろう。そもそも人間だけしかいない環境はあるはずもなく、色々な微生物のおかげで生きている事を忘れている(腸内は微生物だらけ)、人間の「エゴ」だろう。ダニが人間に悪さをするほどの大発生は、近年の「意図しない」気密化と、断熱が適切でない暖房が生み出した事は以前から明白である。「気密」と言う人工的環境には、機械換気と言う人工的換気がふさわしい。このホームページでも、創設当時から言っていた内容を、NHKがこの番組で主張していた。「換気扇を使う。そうすれば昼間の相対湿度は下がると・・・。」しかしもう一歩踏み込んでもらいたかったのは、冬の相対湿度が極端に下がる関東以外は、ダニの大発生シーズンは、梅雨時だけでなく、冬にもあると言う事だ。断熱性の悪い建物は、暖房時に部屋の隅、押し入れ、たんすの後ろなどが結露し、ダニにとっては、とっても好都合の環境である。また冬は、寒いため換気も積極的に行なわない。このため益々ダニが大発生しやすい環境だ。これらを防ぐには、昔のように暖房を一切止めて窓を開けて生活するか、高気密高断熱と言う技術を使って、全室全空間暖房する2つしか現実的な選択はない。無論お勧めするのは後者である。この住宅は梅雨時(降雨時)、窓を閉めてエアコンのドライ運転をする事で相対湿度が、一般の住宅より下がりやすく、また冬は断熱欠損が少ない為、全体的に相対湿度が低い。加えて計画換気扇が必ず設置されている(設置されていない家は論外)ので、相対湿度の高くなりがちな就寝時などは特に有効だ。
蛇足であるが、ダニが生活しやすい環境はカビも増殖しやすく、相対湿度60%以上で急上昇する。相対湿度は60%~40%が快適である。
TEXT 2001.06.14