「基礎断熱工法のシロアリ食害」という大見出しで掲載された日経ホームビルダーの月刊誌5月号。よく調べると法律違反を行なっている住宅会社の記事であった。「基礎断熱工法は注意して行なわないと問題がある」ということはずいぶん前から指摘されていたが、その最低条件は、法律の厳守ではないだろうか?
日経ホームビルダーの月刊誌5月号の表紙には「住宅事件簿 基礎断熱工法のシロアリ食害」と書かれてあり、当事務所も基礎断熱工法を薦めているので、早速内容を読んだ。するとこのシロアリ被害にあったA社は、法律違反をしているのではないかと思い、日経ホームビルダーにEメールをお送りしたところ、早速、執筆者の池谷和弘さんから直接お電話を頂き、明らかに法律違反建築の記事であることがわかった。
建築基準法施工令49条2では、木造の安全性を高める為に、地面から1m以内の外壁内主要構造部には、有効な防腐措置をするとともに、シロアリの害を防ぐ措置をしなければならないことになっている。ところがこのA社では、建て主の健康上のことを考えて、あえて一般的な「防腐防蟻剤」を散布せず、その他有効な措置を講じなかった。このため築数年後の木造住宅の一部にシロアリの食害が見つかった。・・これが法律違反だが更に、その後の対応も法律違反だ。対応措置は家の外周部にシロアリ予防剤を散布したことだけ。防腐措置は行なわれていないことだ。法律違反を建て主に説明したのか?もししていないようだったら、確実に「瑕疵」の可能性がある。
法律違反をしたこの会社の問題だが、この記事が「基礎断熱はその断熱材のせいでシロアリ発見が遅れる」ことに集中しており、このA社の法律違反を明確に表現していない。逆に対応を迅速に行なっているような表現にもとれることではないだろうか?この雑誌は多数の住宅メーカーも愛読しており、業界に与える影響はおおきい。明日にでも大手営業マンがこのコピーを手に持って、お客様のところで「基礎断熱は危ない!!」等と言っている姿が目に浮かぶ。執筆者池谷さんによると、「A社は確信犯。編集段階でもどのように載せるか問題になった。」と言っているが、それが事実ならもっと悪いのでは??違法建築を一言も「違法建築」と記載せず、他の内容しか書かないのであれば、違法建築を後押ししていると思われても仕方がない。残念だ。
幸い、記事を書いた池谷和弘さんからは、「この記事についての訂正文を発表するかどうか、社で検討する」とのご回答を頂きほっとした。間違った認識で基礎断熱工法がなくなったり、一部の建材メーカーの利益になったり、更に49条違法建築が増えることのないことを願いたい。次号が出版されら続報を記載する。