TEXT 1999.2
高気密高断熱住宅に住んだことのない人は、いまだに「洗濯物を部屋で干さないでください。家が痛みます」と言っている。これは全く現実離れしている。最近は、計画換気の量を増やす傾向であるため※1、新潟県の冬であっても、家は乾燥気味になる※2。したがって、洗濯物から蒸発する水分は、自然の加湿器である※3。しかしいまだに、「部屋で干すことを控えましょう」と言っている営業マンだったら、気をつけたい。なぜなら、彼らは、高性能住宅に住んだことのない人か、計画換気量が少ない家か、又は、ファンヒーター等の開放型ストーブ(1Lの灯油で1Lの水蒸気が出る)を考えている家だからである。
※1・・・揮発性有機化学物質が問題となっている今日、計画換気量を多めに設定し、室内空気を希釈することがシックハウスに対する、現実的な対処法である。従来は一人あたり25~30m3/hに設定したが、現在では30~40m3/h以上(当社)に設定している。したがって5人家族であったなら、200m3/hになる。
※2、3・・・5人家族で1日に家で生産する水蒸気(汗、炊事、入浴)は、14Lになる。これに洗濯物から蒸発する湿気5Lを加えて、19L。換気量は計画換気で200m3/h、風や温度差による漏気で40m3/h(大雑把に)とし、合計240m3/h。
洗濯物を部屋で干した場合
2度 湿度100%の外の空気は、0.0045kg/kgの湿気を含む。(新潟の外は2度、湿度100%が多い)
19÷24(時間)÷(X-0.0045)=240M3/h (完全混合のとき)
X=0・0033+0.045=0.078
現実的に、完全混合はありえないから、安全率を1.3倍とると、0.078×1.3=0.101kg/kg
これを、「乾き線図」に当てはめると、22℃ 湿度55%になる。
部屋に干さない場合
2度 湿度100%の外の空気は、0.0045kg/kgの湿気を含む。(新潟の外は2度、湿度100%が多い)
14÷24(時間)÷(X-0.0045)=240M3/h (完全混合のとき)
X=0・0024+0.045=0.069
現実的に、完全混合はありえないから、安全率を1.3倍とると、0.069×1.3=0.090kg/kg
これを、「乾き線図」に当てはめると、22℃ 湿度46%になる。
湿度は50~60%以上が人に優しい湿気量と思われる。計算でも実測でも、洗濯物を部屋の中に干した方が良い。ちなみに事務所などのオフィスで、エアコン等で暖房している場合は、湿度30%以下になっていることが多い。これは極端に多い換気と、水蒸気発生が少ないためである。冬の仕事部屋は乾燥に注意。