改めて考える。換気システム

2007.10.16 作成 2011.01.26加筆

「緑の家」の換気システム Sプランの家とSSプランの家

当事務所のSプラン換気システム=給気側=和室丸で囲ったのところ
単純なパイプファンでメンテナンスがとても簡単

当事務所のSSプランの換気システム ダクトレス全熱交換換気システム
(2009年からSSプランに採用)  2011年に加筆

数年前に改正された建築基準法で住宅への24時間換気が義務づけられた。建設会社やハウスメーカーは様々な換気システムを提案している。換気というと家の空気を捨てる=排気が直ぐ浮かぶが、大きく3つのシステムがある。

1.第一種換気
2.第二種換気
3.第三種換気

字のとおりである。(^_^; え…

簡単に申し上げると、
1.第一種換気・・・排気と給気をファンで行う換気
2.第二種換気・・・給気をファンで行い、排気は穴をあけておくだけ
3.第三種換気・・・排気をファンで行い、給気は穴をあけておくだけ・

「緑の家」は1.の第一種換気が標準である。
ではなぜ第一種換気としているか?
それは、換気が安定しているから。つまり他のシステムはでは、外風によって大きく左右されてしまう。例えば冬などは新潟県の平野部であれば西から強風が吹く。このとき建物の西側にトイレがあり、東側に寝室があったりすると、第三種換気方式では寝室に給気されずトイレの排気する換気扇から強風で押された風が逆流して入ってきてしまう。トイレからの逆風はまだ良いが、折角寝室に新鮮空気を与えようとする給気口から全く入ってこないことはとても問題である。(家の内外で温度差があっても同様な現象が起きる)
だから多少強い風でも必ず寝室に新鮮空気を与えることができる第一種換気システムを選んだ。またその第一種換気システムの中でも総合的に高い評価のあるセパレート型換気システムとしている。

最近、換気の権威の大先生が集まって「住宅ビルダーノンための常時換気設備の選定マニュアル」というものが取りまとめられ、トステム建材産業振興財団から発刊されている。この中でこれらを裏付ける資料があったのでご紹介する。因みに当事務所が採用しているシステムは、新大の赤林先生が発案し私が以前お世話になった会社で開発したセパレート型全換気システムである。17年くらい前に新大赤林研究室からトレーサーガスによる換気の実験が行われ、その結果、第三種換気システムに比べ安定性、換気効率ともに高評価であった。それ以来ずーっと同じシステムを組んで使っている。今はこのシステムを多くの会社で販売され使用されている。(当時特許でもとれば・・・)

「住宅ビルダーノンための常時換気設備の選定マニュアル」トステム建材産業振興財団発行 図74
(関係者がご覧になりHP上に載せることが問題であれば削除します)

では、ご自分の換気システムを確認するには、寝室にある給気口にファンがあるかないかで第一種換気システムか第三種換気システムかがわかる。(第二種換気システムは住宅では用いられない。手術室や集積回路を作る部屋クリーンルームに用いられる換気である)
これからチョイスされる人は、間違いなく第一種換気のほうが良いだろう。コストも当事務所で採用しているセパレート型なら1件あたり12万高いくらいである。

予想外だったのは民家みたいなスカスカな家でも換気システムがないと換気効率が悪い部分が多くなるということ。多分この比較プランは現代の間取り(5LDK)で行われており、そのどこかの部屋で換気効率が落ちるのだろう。そういえば昔の民家は、2部屋くらいで繋がっていたため、仕切りがなく換気効率がこんなに落ちる事も無いし、寒い事を当たり前だと思っていた人たちなので、窓も開けてもいたのかもしれない。
いつも申し上げているが、民家みたいな昔の家(素材、建て方)が良いと思っても、生活のスタイルが現代的なら、気密断熱は無論、機械換気も必要であるという事。

以下は2011年に加筆

2009年からSSプランという超高断熱仕様が追加された。
その為換気システムも追加されそれが上写真でご紹介しているダクトレス全熱交換型換気扇である。住宅では下のような換気システムがあり、「緑の家」ではAとDのシステムである。

緑の家のSSプランの家ではAが標準で、Sプランの家ではDが標準仕様。

ダクト(配管)を使わないダクトレスは、その設備の単純さが導入時の設置費とメンテナンス時の手軽さ、取り替え時の負担分散などメリットがデメリットに比べ多くある。

Aタイプの設備は給気口と排気口が近すぎてショートサーキットが相当多くあるのではと考える人もいる。しかしこのようなショートサーキットの効果を評価できる空気齢から見ると問題ないことが既に建築学会で多く発表されている。
勿論コストや配管空間が許せばダクト式の換気もお勧めする。

因みにショートサーキットとは、外部から入って来たばかりの新鮮な空気が直ぐに排気口から出てしまう事を指し、少し前の常識では給気口と排気口が並んで設置する事は考えられなかった。数多くのシミュレーションや実測で給気口と排気口の間隔を20cmも離せば全く問題ないことがわかり、よ写真のような一カ所で給気と排気を熱交換する換気扇が数多く販売されている。ダクトを使用した換気システムと比較すれば確かに少し劣りるが目的である換気の条件は十分満たす。

さて熱交換型換気システムと熱交換無し換気システムの違いはこのブログに詳しく書いたので参考にどうぞ。

またトイレの換気扇の考え方はここに、お風呂の換気扇の考え方はここに書いたので参考にどうぞ。