見えないところが重要!!⑥ 基礎とコンクリート その2

2007.08.23

「緑の家」の基礎の区画写真。きっちりと区画されているのがわかる。コストがかかるが、
やはり正しい計画と施工が重要。

区画イメージ  (財)住宅保証機構から抜粋

見えないところが重要⑥は、皆さんお待ちかねの基礎とコンクリートその2です。
上の写真は「緑の家」の標準仕様のひとつのダブル配筋のべた基礎完成風景です。これから土台と言う木を設置するための準備をしているとことろです。下の一般の会社が行うシングル配筋べた基礎と見比べて大きく違うところが2つあります。ひとつは⑤で記したとおり、立ち上がりの寸法ですが、もうひつ重要な違いがあります。それは、区画がちゃんと出来ている事。区画とは、べた基礎の平らなところを底板と言いますが、その底板の4周が立ち上がりによって囲まれている事です。立ち上がりが無いところは、0.5M以下であればスラブ補強によって基礎梁補強までしなくても良いのですが、0.5Mを超える開口部がある場合、基礎梁などによって補強しなければ、場合によっては底板にヒビが発生します。すると鉄筋が錆び、時間が経つと本来の強度が出なくなります。

ある会社の工事現場基礎状況。区画は3.64×3.64である。この場合、
シングル配筋べた基礎なら構造計算が必要。
でもその前に区画がしっかりと取られていない。開口部が
1.82Mあったり、ローソク基礎(赤部分)があったりで、この下には
基礎梁が普通必要である。が・・・。
多分ローソク基礎が出来たのは、構造図を設計者が
作成していないから。

10年保証を行う準公的機関の(財)住宅保証機構の設計(厳守)基準では、べた基礎の場合は、構造計算でその配筋やスラブ厚さを決定しなければなりません。(下図)すると一般会社が行う一般的な8帖の部屋は3.64M×3.64Mです。基礎も上の写真のようにやはり3.64M×3.64Mです。この場合短辺寸法は3.64mですので表Gから構造計算しない場合のスラブ厚は、20cmでダブルは配筋が必要です。しかし上の基礎はシングル配筋でしょう。となるとこの住宅が(財)性能保証機構に加入していて、かつべた基礎の構造計算をしていない建物であれば、保証を受ける事が出来ない建物です。たくさんありますよ。多分こういう建物は。チラシをみるとほとんどがシングル配筋のべた基礎ですから、べた基礎の構造計算無しでは×です。もしシングル配筋のべた基礎の場合は必ず構造計算書をもらいましょう。計算書といってもA4で納まるくらい簡単になものですので設計者なら直ぐに作成できます。

表G (財)住宅保証機構発行の設計施工基準書から抜粋

この表によらない場合は、基礎配筋を構造計算する必要がある。

(財)住宅保証機構発行の設計施工基準

その中の必ず厳守しなければならない項目

このようにいくら住宅の事を調べてメーカーや工法を決めても、熟練の建築士でなければ、わからない所が沢山あります。設計事務所に依頼する価値は必ずあると思います。(なぜこのまま基準外の建物が建つかというと、検査する側も大目に見ていたり、設計担当者の事を信頼して、うそはつかないだろうと思っているからです。(^_^)  )