見えないところが重要!!⑤ 基礎とコンクリート

text 2006.12初 2010.1鉄筋かぶり寸法訂正

オーブルデザインの緑の家のべた基礎の配筋。密のところは
下のコンクリートが見えないくらい。(耐雪2mの基礎)

オーブルデザインでは一軒一軒その仕様に応じたべた基礎の配筋を計画します。でもこれが法律厳守の基礎です。

見えないところが重要⑤は、皆さんお待ちかねの基礎とコンクリートです。

ポイントはずばり、1mの立ち上がりのあるべた基礎(ダブル配筋)とコンクリート

①ダブル配筋 厚22cm ・・・キーワード=シングル配筋とダブル配筋の違い
②立ち上がり1mと生コンクリートの仕様・・・キーワード=防蟻防腐と設計強度、スランプ値

です。
では①のダブル配筋 厚22cmから(その②は近日作成公開します)

最近は丈夫なべた基礎とか、高耐震性基礎のですとかチラシに掲載され、皆さん
そうか基礎は丈夫になったなーと思われると思います。(べた基礎がわからない方は
ネット検索してみてください)

ちょっと待ってください。
本当にそうでしょうか?

大手メーカー(関東系)から始まった、べた基礎で本当に大丈夫なのでしょうか?
ご存知のとおり、べた基礎とは家の下一面に鉄筋コンクリートを施し、家全体の重量を
分散させて家の下のべと(べととは「地面、土」の新潟方言です)が弱くても
家が沈みにくいように考えた基礎です。
さて、関東はご存知のとおり雪が降りません。(実際は積雪量約20cmですが)
それも新潟県と違い雪の重量は軽く2/3で計算されます。

例えば40坪位の住宅の屋根面積は100m2くらいあると、新潟県での雪の重量は30トン。
関東では4トンで構造計算します。なんと約1/9の重量です。
そもそも耐雪量1mを明記していない事自体が問題ですが・・。

基礎を除く家の重量は40坪くらいであれば約40トンくらいですので、
雪の重量30トンは基礎計画に大きな影響を及ぼします。
そこで準国の機関の財団法人住宅保証機構の10年保証住宅の設計基準では、
新潟県と関東では基礎計画を明確に分けております。
いずれも基本的にべた基礎の場合の配筋は構造計算しなければなりません。
但し、仕様書に取り決める内容にあたる場合は、
表Gにより決定できます。その前に底版にはどのような力が加わるのでしょうか?
一般的に基礎底板にかかる力は「図あ」です。
力は中央で家の内部側のコンクリートにかかり、周囲では土に接する側にかかります。
つまり力は途中で複雑に上下するのです。
一般住宅に施行されるシングル配筋では、底版厚さが15cmです。すると構造計算では
鉄筋のかぶり厚を6(3)cmとるので、鉄筋の中心距離までは7(4)cm
15-7=8cm 周囲の場合。 15-4=11 中央の場合
となります。(コンクリートは引っ張り応力に抵抗無しと考えるので)
ここで緑の家の基礎=ダブル配筋の場合、 22-7=15cm、周囲、 22-5=17cm 中央の場合。
となります。
かぶり厚を除いた寸法が、基礎の底版強さになりますので、「図い」のようなシングル配筋の場合は、
真中にある鉄筋が上下の応力に対応する事になります。このシングル配筋の問題は、
配筋が真中にあることが重要ですが、そうすると室内側のかぶり厚が8cmを超える事も
あります。するとたわみの大きい底板中央ではヒビが入る可能性が大きくなります。
(基礎間隔細かくあれば大丈夫ですが)

図 あ  基礎底板の応力

図 い 一般の会社のべた基礎
C=底版の厚さ 15cm~18cm
A=上筋のかぶり厚 4cm以上
B=下筋  〃    6cm以上


図 う べた基礎の基本形
C=底版の厚さ 20~22cm
A=上筋のかぶり厚 4cm以上
B=下筋  〃     6cm以上
また基礎を造っている現場を一度でも見られた方ならわかりますが、
基礎工事に1mm単位の精度は無理です。
大体10mmくらいは許容誤差になります。ある程度の安全性が見込める安全率も必要です。
すると先ほどの計算の厚さは全て10mmくらい余裕を見る事が現実的な計画と言えます。
しかし多くの住宅基礎構造はその10mmを考えない寸法で計算されております。

オーブルデザインの基礎は計算耐力に余裕を見て決めます。先ほどの計算で
中央部分のかぶり厚を4cmとする事で10mm余裕を考慮します。(最低は3cm)

さてチラシなどでよく目にするべた基礎 シングル配筋D13@20cm 厚さ15cmでは、
表Gにより通常1階にあるリビングの短辺方向は3m以下でないと基準を満たさない事に
なります。しかし巾3mしかないリビングは狭いですね。一般的ではありません。
どうしたらよいか?
方法は1つです。
構造計算しべた基礎を強くすればよいのです。
注文住宅のように間口4mあるリビングでは構造計算による安全性の確認が一件一軒必要です。

最近多いのが、「べた基礎シングル配筋D13@150 厚さ180mm」という仕様があります。
この仕様の配筋をすれば一応基礎間隔3.64mは取れるという計算がされていると思いますが、
非常に微妙な数値です。
細かい事は省きますが、この仕様の場合、基礎スラブ(基礎の底板のこと)の厚さを
103mmで計算します。(コンクリートは引張りに対し全く耐力がないので、鉄筋のある位置
が計算上の厚さであるため)
本当にぎりぎりで安全性をクリヤーしたこの基礎が、現場で正確に配筋できるかが
不思議でなりません。
というのは、地面(捨てコン表面)から77mm離さないと103mmで計算できないのですが、
77mmを離した現場を見たことがありません。鉄筋を地面から離すため、小さいサイコロのような
コンクリートを置くのですが、これでは6cmしか離せないために、実際の構造厚さは
103mm必要なところ86mmにしかならないのです。
シングル配筋で厚さ180mmでは実際難しいことがわかります。だから標準の仕様書
表Gには記載されないのでしょう。
正確な施行と計画をするところは77mmのかぶり厚を確保する下駄を造っていると思いますが・・・。

公的な基準では・・・

行政では・・・全て構造計算によります。が・・・、その安全性の確認は、建物を設計する人が「建築士」であればその人の責任において、任せております。(行政はチェックしませんよ)

準国の機関の財団法人住宅保証機構の10年保証住宅の設計基準では、やはり構造計算が原則です。が下の表に該当する場合は、その表の仕様に出来ます。しかしやはり構造計算のチェックはありません。そもそも耐雪1mをしっかりと計算していない建物ばかりでしょうから・・・。

表G

赤いところがシングル配筋の部分で。それによると3mまでの部屋の大きさになります。
それ以上は、構造計算で確かめなくてはなりません。