見えないところが重要!!③ 積雪荷重。

text 2006.12

さて見えないところが重要③は雪の重さである。雪は結構重い事を雪かきをされた方ならご存知であると思う。我々建築士が構造計算で行う雪が1m積もった時の重さは300kg/m2。屋根の面積が100m2あるとすると、なんと30トンの重量が家の最上層部にのしかかる。良く聞く言葉で「瓦は重くて地震の時に不利だよ!」といわれるが瓦の重さは100m2で9トン。30トン::9トン=3.3:1で単純には3倍以上も重い。
このように普段目に見えない部分にこそ気を使う事が建築士としての役目。

行政では・・・。

確認申請がおりて来ると、最近その副本には、積雪量の明示するプレートを住宅では設置しなさいと書かれた書類もいっしょについて来る.県条例での義務であり、プレートを建物につける必要があると判断し、最近からプレートを標準に設定している。

18.11に書いた文では「義務ではないようだ」としましたが、県条例での規定であり「義務」です。

長岡市に建設された耐雪2.5M住宅のプレート設置例。
2.5Mの雪は、法律どおりの積雪量なので、この場合プレート表示する必要はない。があえてわかるようにした。

三条市に建設された耐雪1.8M住宅のプレート設置例。
この地域は、通常雪下ろしは毎年しているが、年々人手が無くなり、かといって落雪住宅や融雪住宅ではイニシャルコストやランニングコスト又は、建築制約が大きすぎるという事で法律に合致した耐雪住宅としている。こちらも法律どおりの積雪量なのでプレートの設置義務はない。

公的な基準では・・・

左の写真は、建築基準法の条文である。
これによると、各地域に見合った積雪荷重に対して安全でなければならないとなっている。
例えば、
新潟市=100cm
三条市=180cm
長岡市=250(山間部400)cm
燕市=120cm
と決まっている。
がしかし、雪下ろしを慣例的にする地域では、100cmまで減じて、構造計算可能と法律で緩和されている。そこで木造住宅の95%以上は積雪1mで安全が確保されるように計画しているはず・・・。(1Mと減量されている場合は、建て主に告知する事は大変重要で、解釈によれば積雪プレートの設置義務もありそう。それよりも通常はどのくらいまで耐えられるか告知していない事が問題。)
さて、積雪1Mで家がつぶれる事は実際少ないが、屋根の一部に損傷を受ける事はよくある。
これは、れっきとした法律違反である。
例えば、良く建築される「軒の出」60cm位の金属葺きの家では屋根を最初に支える「たるき」という部材は、大きさの断面が75×51mmでピッチが45cmは最低必要。断面が60×45mmでは破壊される結果となる。瓦では75×51のピッチが30.3cmが最低必要。
ところがこの位の部材で構成される家はあまりない。雪による家の損壊は建て主のメンテナンスの範囲と、造り手側が捉える慣習があるからだ。しかしこれからの時代、何事にも明文化は必要。一度自分の家の「たるき」という部材を調べるとよい。

 

 

 

 

 

 

 

 

最近、確認申請書といっしょに「積雪プレート表示」の指示書
がついてくる。是非お手元に書類が届いたら確認してほしい。
「永久に表示できるように」とまで書かれている程、重要。

写真はオーブルデザインの緑の家の施工中の写真。この建物は軒の出が無いので、「たるき」は小さめ。軒の出が大きい場合は、この4倍の大きさのたるきが設定される。