見えないところが重要!!②小屋裏換気の重要性。

text 2006.10

さて見えないところが重要②は小屋裏換気である。小屋裏は読んで字のごとく、屋根の直ぐ裏にある空間の換気である。この小屋裏の換気の機能は下のとおり。

小屋裏換気の機能

1.主に冬季、天井から侵入した湿気をや熱気を速やかに排出する事。
2.主に夏期、屋根から侵入する太陽光によってもたらせる熱気の排出。
3.暴風雨後の屋根から侵入した微細な雨漏りを速やかに乾燥させるため。
4.建物新築途中、屋根瓦(板金)が載る前に降った雨による屋根下地の乾燥。

以上の4つである。
1.については
普通に考えると屋根裏に家の熱気が漏れても、屋根の雪を溶かしたり、寒くなくて良いのではと考えがちであるが、これが大間違い。屋根上の雪が溶けたき、その溶け方がが不十分で寒気が来ると、溶けた水が軒先で固まり「すが漏り」という雨漏り現象を引き起こす。
2.については
言わずとしれた夏の屋根やけによる熱気がそのまま下の天井を暖める。(暑いという事)
3.については
暴風雨時、瓦屋根はその排水性能(水切り性能)を超えてしまう事は多々ある。
全く漏れないという前提で造られる、防水屋根(ビルのような平らな屋根)とは考え方が全く異なる。例えば防水屋根は10cmくらい水を溜めても全く平気であるが、瓦屋根の上に水を溜める事は出来ないと、普通の方でも簡単に想像がつく。台風などの事は、屋根から屋根下地へと釘穴や貼り継ぎ部分から雨水が浸入している。これを速やかに乾かすために換気が重要となる。屋根下地がずっと湿っていたら腐朽する事は明らかである。

4.については
日本はその気候上、3日に1日は雨である。4日以上も晴れが続くのは夏の一時である。という事は、建物新築時、土台が設置されてから屋根瓦が葺かれるまでの最短で6日はかかるから、必ず雨にさらされている時期がある。そう日本の建築は雨が新築中にする事を前提に建てられる。

公的な基準では・・・

左の図は、国土交通省監修の住宅性能表示制度のマニュアルにある小屋裏換気の基準だ。

意外と大きな換気口が必要な事がわかる。
例えば、
aのような切妻の場合、直下の階の床面積に対し1/300以上なければならない。となると、直下の床面性が25坪(82m2)とすると、0.27m2の換気口が必要。
仮に良く見る写真1のような換気口があるとすると、なんと18個必要。(片側に9個)。また写真2のような高さ1mあるものだと8個(片側4個)。

bのような屋根の場合(棟換気がない)、1/250以上だから写真真1のような換気口があるとすると、なんと21個必要。
また、軒裏有孔ボード(写真3)の場合は、軒の出が60cmある場合は、9mの長さが必要。
cのような形状(これが片流れ屋根相当)、
1/900だから0.09m2必要。だから写真1のようなものが上部に6個、下部がわに6個は最低必要。下部がわに写真3の軒裏ボードであれば、軒の出が30cmとすると、5m分必要となる。
5m分とは軒の長さの約半分は最低必要である。

2×4または、断熱屋根など構造的に小屋裏が無い屋根でも、上機能の2以外は必要であるから、公的機関のマニュアルでは外壁と同じような屋根通気層が必要とされている。

皆さんのお宅は正しい数だけ小屋裏換気口がありますか?
また現在計画中の方!!小屋裏換気の計算等はさせている図面がありますか?
特に片流れ屋根(軒の出無し)に注意が必要です。

当社では・・・

上の写真は当社緑の家です。赤丸のところが換気部分です。小屋裏換気が取りにくい片流れ屋根は、上部の換気出口が非常に難しく、当社でも大変気を使います。上部の棟換気出口はこのリンク先です。

当サイトは様々な工務店さんがご覧になっているようで、その内容や写真にも配慮しなければならなので、悪い方法や思わしくない具体的な指摘や部分は、公道から一般的な方法で撮れる写真を探しております。今しばらくお許し頂きたい。