見えないところが重要!!①外壁の通気工法 クロス通気胴縁の重要性。

 

text 2006.08

左の写真は外壁を貼る前の下地の状態。所謂通気層の部分である。
縦横にクロスに入る胴縁におかげで、縦横無尽に行き渡る事がわかる。空気が滞ることのない簡素な方法としてこのように縦横の通気胴縁をいれる仕様が「緑の家」である。

この仕様は既に5年以上前から行われていた。なぜこのような仕様になったかと言うと、設計事務所の仕事の中には、工事監理という最も重要な業務がある。これは図面と現場が同じであるかどうかを検査する業務。例えば図面には通気工法の指示があっても、実際は色々な細かい場所があり、よほど考えないと通気は無理と言う場所が出てくる。その場所を現場で発見するには、この下地が造られてから外壁が貼られる短い期間で検査しなければならない。基礎配筋と違い何時行うかわからない部分なので、事実上大変難しい業務。
良い設計とは、どんな場所の納まりがあってもできるだけ間違わずに性能を発揮できる方法が簡単でれば、それを選択する事が良い設計だと思う。これにより何も考えなくても確実に性能は発揮される。

あるハウスメーカーの北側外壁。
高そうな外壁に「藻」がはえている。(赤丸部分)

通気層は確保されていると思われるが、植え込みの部分で通気層が塞がれているか、逆に湿気を吸収ているようで「藻」がきれいに通気層に沿ってはえている。青部分が通気胴縁部分。

上の大手メーカーの隣に建っている工務店さんの造った家の
外壁は、通気層が無いか、施工不良と思われるほど「藻」がはえる。

北側外壁ではあるが、同じ北面でもしっかりと造ると
このリンク先のように綺麗な外壁のまま。

 

左、及び下の写真は「緑の家」の外壁下地のアップ。
ぱっと見ただけで、多少乱暴に下地を造っても青の矢印のように空気が
縦横無尽に行き渡る空気の流れが確保できる事がわかる。
是非、他の現場や工法とくらべてほしい。
またインターネットで「通気胴縁」とか「通気層」と検索すると様々な案件がリストアップされる。そのサイトの写真を見ると、理想の図や部分しかなく、窓まわり、エアコン下地など複雑な部分はあえて避けているようなものばかり。時には窓周囲の下地を減らしている写真もある。
又、なかにはイザットハウスさんの「外断熱では通気層不要」論まであるが、通気層は外壁が雨によって濡れたときに乾燥する時間を短縮する効果や、暴風雨の時に、風上面の風圧による気圧差を吸収する事で断熱材(室内)への、雨水侵入防止効果も期待できる。このような事を踏まえ当事務所では設置する事が重要と考える。そもそも新潟県では昔から雨板と呼ばれる木の外壁を張るやり方が多く使われていた。これは一種の通気工法で、今と違い隙間だらけの外壁の貼り方。なのに暴風雨でも室内への侵入は多くはなかった。これも通気層があったからだという研究がある。

必ず空気が通るクロス通気胴縁。
上のように厚い板や窓枠などにとおりぬける。

下から見上げたところ。
必ず空気が流通する隙間があくということがわかる。