梅雨の過ごし方について考える!!

2006 7.20誤字訂正

今年は一段と梅雨のジトジト感が強いですね。
もう2週間近く雨が降り続いております。今までの梅雨と比べると異常と思うくらい晴れないですね。
さて、今回は湿気について考えたいと思います。

現在の家の梅雨の生活の仕方は、大きく2つ考えられると思います。

① 雨が止んでいる時には窓を開け、積極的に外気との入れ替え。
② 家を締め切って(高気密化し)、空調機(除湿、冷房)を入れっぱなし。

上のどちらでも良いと思いますが少しだけ梅雨時の「湿気」の知識を!!

外が雨が降っている梅雨時の一般的な外気の温度、湿度は
26度 相対湿度90%です。このとき湿り線図より
空気1kgに含まれる湿気は 19.2gです。(1気圧1m3の空気で重さ1.181kgです。)

次に一般の人が快適と思われる室内空気は
26度 相対湿度60%とすると
空気1kgに含まれる湿気は 12.7gです。

その差は6.5gもあります。

これを最近の家で検証すると、
窓を開けていなくても、法律で健康のため24時間換気が義務付けられているので
30坪くらいの家で 180m3/時間 の換気がされています。
すると

180×1.181×(19.2-12.2)=1382g/時間  1.181・・・1m3あたり26度での空気の重さ
つまり梅雨時は、じめっとした余計な湿気が、一時間あたり必ず1.4Lは室内に流れ込みます。
(そもそも家の中も湿度90%以上で「じとッ」としていれば、換気で湿気が増えることは無いですが・・・。)

ここで話を戻して①を実践した場合は、
3人が住んでいれば、人から大雑把に0.3L/時間(洗濯物の湿気は除く)の水蒸気が発生します。そのままですと家の中で霧(笑)が発生します。この湿気がどんどん高くなるのを防ぐためと、室内から発生した熱(人は100W/一人時間、待機電力200W/時間)によって室温が上がるのを防ぐため積極的に通風をします。すると26度90%の室外環境では、室内環境はせいぜい27度で相対湿度80%になるのではないかと想像できます。これは蒸し暑いですね。夜間気温が下がれば、少し改善され24度、相対湿度85%くらいになるかも知れません。これが一般的な日本の梅雨の住まいです。

次に②を実践すると
換気を行うだけで1.4Lも湿気が流れ込むので除湿をしなければ、それはそれは「ムシムシ」するはずです。それ以外にも人が住んでいれば大雑把に0.3L/時間(洗濯物の湿気は除く)の水蒸気が発生します。つまり1.7L/時間の水蒸気を取り除かなければ湿度60%程度のからっとした空気にはなりません。実はこの1.7Lは最低の数値です。なぜなら、窓を少しでも開けると室内の湿気が多い場合を除き、湿気の蒸気の飽和圧力差で、室外の湿気だけがどんどん室内に入ってきます。従って②を行う時は、家中の窓を閉めて家中除湿しなければなりません。トイレの窓や風呂の窓を開けてエアコンを動かす事は非効果的でないことがわかります。少しでも窓を開けるならより多くの湿気を取り去らなければなりません。
ちなみに市販されているエアコンは2.0L/時間(24時間で48L)を除湿できる機器がありますので、こちらを1台可動させれば、湿度65%程度にする事が出来ます。大きい家は1台除湿で1台冷房で運転すると良いでしょう。冷房と除湿は全く同じ動作ですが、あるメーカーは除湿して冷たくなった空気を再加熱して室温を下げずに湿気を取る機種があるのでそれを使うと、冷房感はなくとても快適です。

①と②。一般的にどちらが現実的と申し上げると、普通の家では①です。
但し、住まい方には注意が必要です。自然素材の場合、一日1回の掃除が必須です 。
共働きなどいつも留守がちな生活をされている場合、防犯上から窓を閉めきっている状況が普通の場合で、家の構造が高気密高断熱の場合は、②のほうが快適に過ごす事ができるでしょう。

エアコンの代わりに除湿機ではどうでしょうか?
除湿機は、通常室外機をもっていないため、消費電力分と潜熱回収分を室内に熱を放出します。この構造では、お風呂に設置し締め切って洗濯物を乾かすという事なら効果的です。原理的には電気式の乾燥機と変わりないと思いますが・・・。(密閉空間なら、洗濯物の気化熱を除湿機の消費電力エネルギーで確保する以外に考えにくいので・・・。)
また湿気発生源の少ない「緑の家」の床下の除湿には効果があるとおもいます。(現在実測されている方の結果を待っております)
しかし、室内ならばエアコンの代わりとして除湿機を使って「カラッと」する事はむずかしいでしょう。(梅雨時期)
なぜなら、
A.まずその除湿能力が少ない。一時間あたり最大機種で.0.4L/時間。(エアコンの場合は2L/時間)
B.次に廃熱が室内に放出するため室温が上がる。

これは、除湿機の消費電力が500Wとするとその全てが室内に放出され、更に気体であった水蒸気が液体に変わる時の潜熱分だけ室内に放出されます。その量は、0.4Lとすると
0.4L=0.4kg  気化熱=2260J/gとすると 400×2260=904000J=904000W.S
904000/3600000=0.251KWh
従って500+251=751Whとなり、751Whの電気ストーブを室内に置くと同じ事になります。
但し潜熱分を空気から除去しているので、高気密空間ではカラットする分、500Wだけの暑さと感じると思います。
少し暑く感じる時は、エアコンで除湿した方が理にかなっていると思います。

並んで置いてあっても全く同じ温度湿度にはならない。
左は価格2万円の温室度計。右は価格2千円の乾湿度計。

事務所にある温湿度計。写真撮影日は7月19日。曇り。
外気温26度。湿度90%くらいの時の事務所内の温度、湿度。デジタル湿度計は58%、アナログ湿度計では約62%位。とても快適な温室度である。この位の湿度であると誤差はほとんどない。しかし40%をキルと10%くらいの差が出る。   (ほぼ24時間空調を稼動している)。

比較的正確と言われる乾湿度計。湿球と乾球の温度差から相対湿度を読み取る。