TEXT 浅間英樹
被災された方にお見舞い申し上げます。
大きな被害をもたらした中越地震。最近余震が少なくなり復興に大きなはずみが
ついてきたと思います。
報道では被害が大きいところだけクローズアップしているので、実際自分の目で
確かめ、今後の家造りの基礎としたいと思い、被害の大きかった地域に
足を踏み入れて自分なりに少しだけ見てきました。
高町団地の写真は、現在は心情的に撮影できなかったので、
他の報道サイトでご覧下さい。
また公共機関により、専門的な調査結果がでると思いますが、私が実感したことを
速報として報告しますので、訂正が後日生じる可能性があることをお許しください。
Q1 どんな建物が倒壊したか?
A.一言でいえば古い※建物で、耐震性が考慮されていないもの。
例えば1階が車庫などで、耐力壁がないもの。
完全に倒壊した建物のとなりで、最近立てられた建物は、
外見上は全く問題はありませんでした。
(※古いとは昭和56年以前で、且つ築20年以上は経過した建物)
Q2 どんな建物に大きな被害があったか?
A. 地盤の悪いところ、又はがけ地に建築された建物に大きな被害が出ました。
報道されているように、長岡高町団地は盛土と削り地でできた地盤があり、
盛土の方に大きな被害が出ました。そこには大手プレハブメーカーの家が
数多く建設されており、建物自身は何も問題ないのですが、大地が傾いたため
基礎も傾いたり、基礎が割れたりして、心理上ほぼ修繕不可能な感じです。
皮肉なもので、こういった盛土部分は、見晴らしの良いところが多く、
当時の販売価格も高め。従って、少し土地にお金がかけられる人が
購入されたようです。それが逆にあだとなりとても残念な思いと感じます。
(自邸もがけ地です。専門職なので大きな地震がきたら
問題とわかって購入しているので良いのですが、高町の人たちはそんなこと
とは、全く思ってもいないし、説明もなかったと思います)
特に販売当時16年~12年前は、地盤調査は一般的ではなかったことに
被害を大きくした理由の一つであるかも知れません。
Q3 最近流行りの免震住宅はどうか?
A. 大きな地震が襲った地域では、地面が割れ、又は傾いて、
大きな被害が出たこと考えると、大地震時に免震で修繕不可能な被害は
防げるかと言えば、新潟県内の平野部では効果は少ないといえます。
免震構造で家は無事でしょうが、地面が傾けば(割れれば)、
心理的に修繕は難しいと考えます。
中高層ビルのように、岩盤まで杭を打ち、
基礎(地面が傾かないようにしてからの免震構造は、
効果が大変あると思いますが、住宅等の一般基礎、べた基礎等、
地盤改良程度の上での免震構造は、
「大きなお金をかけた程の効果は薄い」と考えるのが
率直な感想です。家をしっかり造れば、倒壊等で生命が危機に
さらされないため、お金をかけるなら地震保険の方が、
復興時の大きな力になるような気がします。
(更に付け加えると、ライフラインが止まった時に家だけが全くの健全でも、
しばらくは住むことはできないでしょうし・・・)
推進メーカーのホームページにも、軟弱地盤や液状化の恐れのある
地域は、お勧めしないとありますが、県内では殆ど軟弱地盤に相当するので
難しいでしょう。(勧めているメーカーもありますが・・・??)
しかし、中規模の地震では、県内でも家具が倒れにくい、
食器、窓ガラスが散らばらない事や、
恐怖が軽減される等の効果があることは事実です。
Q4 地震時の地盤の良し悪しはどうやって見るの?
A. 判断は「難しい」の一言です。
地盤を考える時に通常状態時と地震時の
非通常時の地盤に分けられると思います。通常時の
地盤の良し悪しは、最近の地盤調査でわかります。
この通常時には、べた基礎は一般的に有効に働きますが、
地盤改良は地震時でも少なからず、べた基礎より有利と感じました。
これは2年前に建築した長岡のお宅での目視で感じたことです。
このお宅は2.5mの雪に耐えるように柱状の地盤改良が深く施されて
いるせいか、地面が建物を縁どるように、周囲の亀裂ができ、
建物の外側は1~2センチほど落ちこんで(建物が盛り上がった?)
いるようでした。これは建物とその直下の地面がが一体となり
地震に抵抗していたと思います。(軽びんな内装のずれのみでした)
オーブルデザインの手がけた被災地建物の被害状況
いずれも軽微な被害だったと言える。
(震度6弱と発表された地域)
教訓
被災地を見て「まずは地盤(形状)の良い土地を選ぶこと!!」につきる。
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災害地の状況(長岡市内)
実害無いと思われるが、詳細の調査中
右の建物は鉄鋼造と思われるが、一層目が大変形を起こしている「まれ」な例。(長岡市 10月24日)