TEXT 2002.05
はじめに
5月中旬「緑の家」環境住宅の玄関框がシロアリに食害されるという事件が起こりました。環境住宅は薬剤に変わる予防方法(基礎高1m)で、シロアリ予防対策を行っておりますが、悪条件が重なると、食害も避けられないとの認識を再確認致しました。
尚、当事務所でお手伝させて頂いた全てのお住まいの家を、このシロアリ郡翔期に緊急点検行うことで、このような悪条件を早期発見し、薬剤を使わないシロアリ予防対策についてさらに安全性を高めて行きたいと思っております。皆様のご協力とご理解をお願いいたします。
悪条件
1.新築時に既に直ぐ近くにシロアリのコロニー(巣)があった。
2.新築時、湿っている可能性がある玄関框(造作材)が使われていた。
3.新築時に羽蟻を発見したときに、それが屋外だったため、安易に考え放置していた。
4.シロアリが建物進入時(新築時)、コンクリートの乾燥に伴う湿気放出多かった。
(安易に土台下に蟻道形成を許すことになった)
5.一年目のメンテナンス時に、蟻道を見逃した。
(3、5はオーブルの過失です。)
シロアリ被害の内容
2年前からこの家の直ぐ近くで羽蟻が目撃され、「乾燥している木はヤマトシロアリの食害を受けない」との理由でシロアリ防除剤を散布することなく、様子を見てきたが、2週間前、玄関の框部分に羽蟻がいると電話を受け伺って見ると確かにシロアリが框から飛び立っていた。
今までの建築業界内の通念から逸脱し、このような乾燥した家でも
被害に遭うことが実際にあり、少々戸惑い気味であるが、相手が
生物である以上、進化や、耐性を持つことはある程度想像できる。
(今回の玄関框の中心部分が、当時未乾燥であったかも知れない)
シロアリ駆除会社のピコイさんでは
「今回のような框部分は、シロアリ予防剤を散布している住宅でも、
框は散布しない部分に該当するため、被害は最近多くなった。シロアリが
どんなものでも食べるように変化しているかも知れないし、偶然食した
のかも知れない。しかし言える事は、化学薬品駆除、予防が難しくなった
現在ではシロアリが家に入りにくい構造とメンテナンスで、対応するのが重要。
巣は地面の中と思われるが、この家を建築するときにすでに土中に
巣があったかも知れない。築1年で羽蟻が飛び立つことは当初からコロニーが
あったことを裏付けるものだ。框しか被害を受けなかったことは、
集成材は乾きが安定しているし、接着剤などもあるためやはり
食べにくいのだろう」との事。確かに、土台下部に蟻道が4Mもあるのに、
その通り道の米ヒバの土台、SPF集成材の柱、米松KD材の根太などは、
明らかに避けたような気配がある。
今回はこの家の周辺に木廃材などあり、シロアリがすみやすい環境
なので「ベイト工法」(誘引駆除)で、化学薬品を土に撒くことなく駆除する予定。
薬剤散布の土壌処理より周辺の環境負荷を最小限度にし、メンテナンスを重要視する方法を
選んだ。
今後オーブルデザインでは玄関周辺部分の材料、構造をさらに強固にし、
化学薬品を用いないでシロアリに食害されにくい方法やメンテナンス計画を考えていく。
この件でご迷惑をおかけした関係各位様にはこの場をお借りしてお詫び致します。
また加害を受けたこの建物は、加害部分およびその周辺を全て取り替えさせて頂き、
シロアリのコロニー駆除まで責任を持って対応いたします。
オーブルデザイン 代表取締役 浅間英樹