建て主さんとの会話1

「そこそこの気密で大丈夫!!快適ですよ!」???

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外断熱時の気密施工。この建物の完成時気密測定は、0.8cm/m2であった。

最近の会話の中で「おや?」と思ったひとつに、「そこそこの気密で大丈夫!!快適ですよ!」とメーカーが再び言い出していることだ。確かに20年前の北海道でこのような高断熱、中(低)気密が造られた頃も同じような会話がされ、確かにそこそこ暖かかった。しかしその後5,6年過ぎた頃に待ち構えていたのは、壁体内結露※1による欠陥だった。このことは、良識ある住宅関係者であれば誰もが知っている。通気工法が間違いなく施工されていれば内部結露は起こりにくいが、確実な通気施工は難しく、窓廻りで通気層の連続が遮断されていることが多い。通気工法は、あくまでも保険であり、これに大きく頼っては危険だ。また、「そこそこの暖かさが得たいから中断熱中気密で良い。」と言う高気密高断熱の目的を忘れてしまっている発言も多い。あくまでも目的のひとつは、家中暖房※3したときのランニングコストを下げることであり、その技術が高気密高断熱であり、もし、エネルギーが無限に有り、環境にも悪影響を及ぼさないのであれば、高気密高断熱ではなく、床暖房+各所電気暖房などで、暖房費がいくらかかかっても良い選択肢もある。
私はこれまで200棟以上の気密測定立会い、自分自身で気密測定を50棟以上行ってきた。そこでわかったのは、「気密性は測定してみないとわからない」と言うことだ。どんな工法でもほんのちょっと※2だけ間違うことで、気密性のC値は5cm/m2を超えることになる。通常施工の木造軸組み工法でも、今のクロス仕上げであれば、C値は5cm/m2以下になる事が多い。しかしC値を2cm/m2以下にすることはよほど意識しないと難しい。逆に気密を意識すると、2cm/m2以下にすることは比較的簡単だ。この簡単な事を「そこまでしなくとも」と言う事が理解できない。気密性能を上げて悪いことは、コストが30万~50万(天井断熱時)のアップだけだから、新潟以北で住宅を販売するメーカーは、無論気密性を2cm/m2以下にした商品を販売している。これは気密性の重要性を理解していることの現れである。とにかく建築後の気密を測定する事を条件とした契約をお勧めする。

 

  • ※ 1・・・壁の内部で起こる結露。目に見えないので、気がつかなく、カビや木が腐朽する原因。実際の写真は、「結露 壁体 内部」で検索すると多くのページで見ることができる。
  • ※ 2・・・気密シート重ね合わせ不足、コンセント廻りの気密層の欠如、不連続等
  • ※ 3・・・家中暖房が、結露をなくす条件。