世間で騒がれているシックハウス病。その原因の一つに、VOC(揮発性有機化学物質)※1があるが、環境住宅では、どのくらいのVOCがあるか測定を行ったのでご報告する。建設会社の広告では、「VOCに配慮した住宅」などと宣伝されているが、実際は測定してみないとわからない。したがって今回の報告は、非常に画期的試みとなる。
※1・・・この中のひとつが、ホルムアルデヒドである。ホルムアルデヒドばかりでなく、トルエン、キシレン、ベンゼン等の有害物質を総称してVOCと呼ぶ。したがって、このVOC測定のほうが、ホルムアルデヒド単体測定よりも正確に汚染物質を測定している。
建物概要
所在地 新潟市
築年数 平成11年10月竣工
述べ床 153.2m2
構造 木造二階建て(地下車庫付)
性能 気密性 0.37cm2/m2(実測)
断熱性 1.5Kcal/h℃m2(計算)外断熱
耐震性 施工令88条による確認(安全率1.1)
使用主材料 主構造 集成材(WW製)
床 ヒノキ
壁、床 PB12.5mmの上AEP塗装
測定条件
測定方法 TenaxTA吸着剤に1H(間隔4h)
減圧排気において濃度測定
種類 分析はガスクロマトグラフ質量分析計29種類のVOCs
測定機関 新潟大学工学部
測定日 平成11年11月 7日間
測定結果
WHOの定める望ましい目標値TVOC 「0.3mg/m3以下」 の2%と極めて良好であった。
これは、意識して作った環境住宅のすばらしさを裏付けるものである。
図18 図19はBL研究会2000年3月の研究発表配布資料より
床はヒノキ無垢無塗装
床の接着剤は、無使用。
木枠の部分のみ酢酸塩ビ系を使用。
壁は、AEP塗装仕上げ。
この住宅は、VOC低減を目的に造られたわけではなく、素材は「古きよき時代に習って」木を無塗装で、技術は最新のものをに習って造られている環境住宅である。その結果VOC低減になった。最近中堅住宅メーカー宣伝では、集成材は、ホルムアルデヒドが出やすいとか、塗装は悪いとか言われるが、選定を間違わなければ、VOCの極めて少ない住宅ができるよい例だ。