最近住宅業界ではこんな商品の特許が多く申請されているらしい。
「耐震カワダ式」
「耐震ナッター」
「シメール」
いずれも、在来工法の柱と梁、梁と梁の端部を補強する金物である。それは、柱、梁が新築後1年経つと乾燥し縮む。その隙間を、ばね等の力などでなくすというものだ。隙間があると、地震が起きたときの初期剛性がなく、建物の揺れが多いというのである。最悪の場合、設計段階の耐震性はなく、随分性能が落ちるということもある。
しかし、ちょっとおかしい。最初から乾いた木を使えば、そんなものはいらないはずである。乾いた木は、材木屋に行けばちゃんと取り扱っている。また住宅金融公庫住宅は、乾燥材の使用が標準と定められている。
しかし、多くの建設会社は、乾いていない木(われわれの世界では生木と呼ぶ)を使う。なぜか?答えは簡単で、価格が安いからである。そして生木の悪さは建て主にはわからないからである。こんな木を、高気密高断熱の構造体に使われたなら、1年後には気密性が大きく失われ、中気密中断熱住宅になる可能性が高い。当方のデーターによると、気密性が半分になった住宅も存在する。構造体(柱、梁、土台)と、主要な下地材(根太、間柱)を、全て生木から乾燥材にすると、3~4万/坪価格が上がる。この価格を、説明することが難しいらしい。しかし住宅は、50年以上お世話になる、とても価格の高いものだ。キッチンや風呂の仕様を変えてでも、乾燥材を使いたいと思う。ちなみに新潟県では柱は杉材が多いが、この乾燥材はない。したがって乾燥材を使うためには、樹種を変えるか、集成材を使う事になる。また、梁に使う松材の乾燥材も少なく、安定して手に入れるためには、集成材がよい選択だ。
くれぐれも未乾燥材を使った、悪い高気密高断熱住宅を、掴ませられないように。ちなみに乾燥木材には、D20やD15などの表示が、必ずあるのですぐわかる。
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