日本人は、木を大事に使ってきた。昔の人(棟梁)は、木に勝る建築素材はないと考えていた。しかし、ロッグハウスのように、家全体に使うことはなく、人間の手に触れるところを優先的に使ってきた。これは日本には、木が豊富にあっても、その加工は、全て手で行なわれる。このため、ログハウスのように、壁、床、天井、全てに使う事はせず、床、戸、戸枠、窓に使い、壁は土を塗った。壁は、触れることが少なく、視覚的要素が高い。また壁は、住宅の中で一番多くの材料を使うため、どこにでも有る安い土を使った。この事が、桂離宮を代表とするような、白壁と柱材で構成する、シンプルで繊細で美しい、建築意匠を完成させた。
このような合理性と繊細な感性が、今の我々にも残っており、多くの人が白い壁と木の柱の調和を好む。
壁も、床も、全て木でできたログハウスは、週末住宅としては良いが、ずっと住む事は考えられないだろう。これは、狩猟民族の家であって、農耕民族や現代の社会に生きる人々には、粗すぎて、リラックスしにくい。
環境住宅は、繊細で合理的な日本人の感性に、現代の科学による快適さを加えて創造されている。
最近見たログハウスは、不思議だった。全てに木が使われているのに、なぜか床は、木材に塗装がきっちり施されていて、やはり土足文化で、「木に素足で触れる」ことは、あまり考えていない住宅である。くつろぐのは、ソファーの上なのだろう。これは、日本の住宅メーカーにも同じことが言える。床には、無垢の木がたくさん使ってあるのに、全て塗装してある。塗装をする事で、傷や磨耗しにくくなるが、木の上に、プラスチックを張るようなものである。触れても木の触感はなく、ビニールに触れているみたいである。もったいない話しだ。このようなメーカーのカタログには、なぜか「木のぬくもりが有る家」、「自然な木を、ふんだんに使用した家は、フィトンチッドがでる」とか書かれている。ほんとに、ビニールコーティングした木から、フィトンチッドが感じられるの????