集成材について正しい情報を!!

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数年前からある大手メーカーによる、「集成材は使わない方がよい」など、根拠に値しない事例を大きく取り上げて、自社の優位性をアピールしているメーカーがある。2005年2月8月にこのコラムで発信している。しかし今でもその情報を大きくアピールしているようだ。年間で建てられる木造一戸建て住宅は大雑把に40万戸あるとすると、4年間前に起こった集成材の接着面剥離の事故は、約200戸とすると200/(40万×4年間)=0.000125・・・約0.01%となる。これが多いかというと、多いとはいえないのではないだろうか?またそのときの事故でさえ、構造上の耐力は問題ないので補強の必要なしと当時の国交省は判断している。当事務所でも構造用集成材は、一軒だけ問題があった。それは木自体の乾燥ヒビで4年前の接着面の剥離とは全く違うもの。集成材は本来キルンドライされてい木を組み合わせるので、建築後の乾燥におけるヒビ(ヘアークラックを除く)はほとんど発生しない。ところが、その家の集成材だけは、ヒビが多数発生したのである。輸入代理店とその木材を供給する木材屋さんから直ぐに来て頂き調査を行うと、「そのロットには性の悪い木があったか、乾燥時に不手際があった可能性を否定できない」との見解であり、しかし設計耐力にには全く問題ないことを保証するという報告書を頂いた。
無垢の木を使って家を建てている現場から見ると、そのヒビ自体は日常的なヒビであり、まったく問題とならないようなヒビであるが、集成材だからこそ細かく調査し検証する。これは如何に集成材がきちっと監理されているかの現れ。一方無垢材は、本来ならJAS(日本農林規格)で定められているので、その基準に沿って検定したマークやスタンプが木にあってしかるなのに、そんなマークのある現場を見たことがない。昔、全国規模のハウスメーカーの住友林業さん等には、無垢の柱の場合、スタンプがあった記憶がある。しかし現在はJASの集成材がメインである。一方「集成材は使わない方がよい」と言っているある大手メーカーの現場や写真ではシールやスタンプを確認できない。集成材にはJASマークがある。果たしてあなたはどちらを信用するか?国の定めたJASか、ひとつのハウスメーカーが訴える無垢材の基準か?・・・

また、そのホームページには不思議な事が書いてある。
本来引用は問題があるとと思うが、とても科学的ではないのであえて引用する。
ここから引用。
「本物」でない木とはどんな木でしょうか? 本物の木の特徴を失ってしまっている木、それが「本物でない木」です。たとえば、本物の無垢材には温もりがありますが、「本物でない木」には温もりがありません。本物は、冷蔵庫で冷やしておいても、触れると木の本来の温かみが残っています。ところが、「本物でない木」を同じように冷蔵庫で冷やしておくと、触った感触は冷たく、まるで鉄やコンクリートのようです。しかも、本物の無垢材は冷蔵庫から出すとまもなく温かみが戻ってくるのに比べ、「本物でない木」の方は、いつまでたっても冷たいままです。
つまり、本物の無垢材を使用して建てた家は、いつまでも温かく、暖房費も少なくて済むということです

ここまでが引用。
この引用文のところに「本物でない木」のイメージとして構造集成材の写真がある。本物でない木の定義を、「木の特徴を失ってしまっている木」とすればこれは問題ないと思う。木の特徴は多数あるが、例えば集成材のようにほとんど均一な強度を無垢材に期待するのは無理。本物の木には品質のばらつきと言う特徴がある。(笑)しかし、本物でない木が触っても冷たく、また何時までも冷たいと言うのは、明らかに変である。触って冷たいかどうかは、その材質の熱伝導率できまる。集成材だから、本物でないから冷たいと言うのは間違った表現である。熱伝導率が木の中では特に低い桐があるが、この木は長い寸法が取りにくい木である。だから市場に出回る建築材は、ほとんど接着剤で継いだ木であり、このメーカーで言う「本物の木」ではない。にもかかわらず触ると冷たくない。一方硬い木の代表、樫やなら、アイアンウッドの何も加工されていない木(本物の木)を触ると、明らかに桐より随分ひやっとする。答えは簡単。樫やなら、アイアンウッドは熱伝導率が桐より大きいから。ただそれだけである。材表面の凸凹感にも影響されるが、繊維方向で仕上げが変わらないなら、材の熱伝導率で決まる。これは高校程度の科学知識である。従来からよく床に使われていた合板は表面がナラであり、かつウレタン塗装であったため、手で触るとヒノキや杉よりひやっとする事は当たり前。これは偽者の木「合板」だからではなく、熱伝導率の高い材料のならや樹脂塗装材を表面に使っていたから。どうしてそんな簡単なことを間違って、「我々は木を知り尽くしているので、無垢の木で良い家を建てますよ」と言えるのだろうか?本当に暖房費が安くなるのであれば、どういう根拠か教えてほしい。
間違った内容を、信じてだまされてしまう人が・・・・。

最後に私どもは、別に手が加わっていない木(無垢の木)が悪くて集成材みたいに手が加わった木が良いといっているのではない。あくまでも情報は正確に。と言う事。「緑の家」では無垢材を多く使う。適材適所に・・・。