日本とヨーロッパの違い
まっすぐな針葉樹
曲がった広葉樹
針葉樹は、古来より建築材料として使われてきました。この木の性格は柔らかく、加工するとき、まっすぐで割裂(繊維に沿って割れる)しやすく、乾燥しても素直です。電動工具や、乾燥機などの無い時代において、簡単に長い材木を取るための絶対条件です。
一方、広葉樹は硬く、又幹は曲がっており、更に乾燥後の変形が大きいため、建築用材料 としては不適当です。そこで昔の人は、ブナや楢などの生えた森を雑木林と呼び、姥捨て山といえば広葉樹の山を指し、格下扱いをされていました。ところがヨーロッパでは、楢は最高の木材として「オーク勲章、オークスピリッツ」などといわれています。これは、ヨーロッパにおいて建物は、石やレンガで造るため針葉樹を多く必要としません。木材は、家具や内装等に多く使われ、これらは堅い木の方が細工しやすく、割裂もないので 、好んで使用されたためです。(現在は、針葉樹で作られる家も多い)同じ木でも、このように違った性格を形作る理由の一つが、広葉樹には、導管という水を運ぶ道が進化してできたことです。この導管のため、広葉樹は、鉋(カンナ)をかけても表面は「ザラッ」としています。そこでヨーロッパでは、表面に塗装をかける事で、導管がある欠点を、逆に重厚な仕上がりとして、好んで使いました。
一方、針葉樹は導管が無いため、鉋をかけるとシルクのような艶が出ます。
そのため日本では、生地のまま(無塗装)使われてきました。
木の肌触り
木の肌触りの良さは、木のもつ構造にあります。
セルロースでできた細胞は、水分をたっぷり含んだ構造です。木が切り倒され乾燥すると、この水分が空気に入れ替わります。この空気が断熱材の役目となったり、湿気を吸収する道になります。触れて暖かく感じるのは、断熱性能(熱抵抗)が、優れているためです。この熱抵抗は、アルミニウムの千六百倍、鉄の千倍にもなります。(とは言っても、木は断熱材の六倍も多く熱を伝えるため断熱材としては使いません。)
また木の表面の無数の穴は湿気の出し入れをしているため、人間の皮膚から放出される多量の湿気を瞬時に吸収し、「ベタッ」という感じがありません。このことは、夏暑い気候を持つ日本には、とてもよい肌触りとなります。
最近この穴を、塗装で塞いでしまい、湿気や空気を排除した「木」が数多く使われ、もともと木を大事にする大工さんでさえ、木に塗装を薦めています。これでは本来の肌触りは無くなってしまい、プラスチックでも良いのではないか?と思うときがあります。
無塗装材は無数の穴がある