3.効果的な木の使い方

床と壁の違い

 

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無塗装材は皮膚の湿気を吸収

 本物の木は、他の建築材料と比べけっして安い物ではありません。これは古来も同じです。したがって昔から大工さんは、木を効果的に使っていました。例えば土壁がそうです。壁は家の中で 一番面積が多く、(床の約三倍)たくさんの材料を使うところです。壁に木を多く使うと 金額も高くなるため、どこにでもある土を選び、土壁仕上げになりました。この事は、桂離宮を代表するような、白い壁と柱のコントラストが造る、シンプルで計算された、有機的な日本の美を形成しました。現代の和室は、ほとんどがこの頃完成された意匠です。
現在土壁は、コスト高である事と、断熱性能が低いためあまり使われず、プラスターボード(石膏ボード)になっています。これは壁を手で触れることが少ないため、触感よりも価格と機能優先でチョイスされたと考えられます。
以上を考えると、木は、肌が直接触れる床、戸、枠、に使った方が、本来の木の性質や、質感を生かした使い方といえるでしょう。また、資金に余裕がある人は、壁や天井にも、使うと良いでしょう。
最近は自然回帰が求められ、いろいろな個所に木が使われますが、木を使っていても、手にあまり触れない壁や天井に使い、なぜか触れる部分の木には、塗装が施されています。(最近見学したロッグハウスの床も、塗装がされていた。) まず最初に、木を使うところは、触れる部分を無塗装で使ってほしいと思います。

 

木は生きている

木は、切り倒されてから強度を増します。特に桧は、三百年までは強度が増し続け、千年経ったとき、切り倒される前と同じ強度になることが、法隆寺で確かめられています。
また無垢で無塗装の木は、季節の湿度によって寸法が変わり、梅雨から夏にかけて最も大きくなります。(木の吸放湿作用)このように、他の建築材料と違って、まさしく生きている材料といえるでしょう。
ところが近年は、無垢の木に塗装や、樹脂液(接着剤、プラスチック等)を注入して殺して、使っているメーカーが、とても多くなっています。木の破片を再利用するためなら良いのですが、新しい木を、このようにすることは、とてももったいないことをしていると、言わざるをえません。木によって得られる安らぎは、同じ生きているもの同士だからであり、死んでいる鉄や石と同じ使い方では、安らぎは感じられないでしょう。

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