杉は良い材?
新潟県の住宅の柱は、杉材が多く使われます。これは1本3mの長さで3500円と、比較的安く手に入る材料です。癖も少なく、白蟻にも比較的強い材料のため、良く使われる柱材です。しかしほとんどが未乾燥材です。この杉の柱は、その中心が赤く、周囲が白いことが普通ですが、この赤い部分が乾燥するまで非常に時間がかかります。(自然状態で4、5年)したがって、市場には、杉の柱の乾燥材はありません。ただ芯去り材と言われる、直径60センチ以上の、大きい木からとった物であれば乾燥材もありますが、価格は1本、20000円以上し、なんと一般の6倍もします。それでもエアコンの装備された室内に設置すると、若干縮みます。
梁は、米松材が多く使われますが、乾燥材では有りません。乾燥材は、価格が1.5倍することも珍しくないため、通常は未乾燥材を使います。「せい」が30センチの物であれば、乾燥すると、1センチも縮むため、床鳴りが頻繁に起こります。これを防ぐため、現場で接着剤をたくさん使い、今日問題になっている、シックハウス症候群の原因の一つになっています。
乾燥すると
縮んで割れが生じる
集成材
集成材は、木を厚さ30ミリ程度に薄くカットし、乾燥させ、接着剤を使って張り合わせた木です。したがって木の癖や乾燥収縮はなく、加工性や、肌触りは木そのものです。なんといっても乾燥が徹底でき、含水率で18%以下が普通ですから、縮みはほとんどないと考えても良いでしょう。価格も柱であればごくわずかに杉材より高い程度です。また、強度は杉材より、約1.5倍程度高くなり、コストメリットは高い材料です。高気密高断熱の住宅には、乾燥材使用が絶対条件ですから、集成材は、なくてはならない材料です。
また,梁材としても良い材料です。梁は一般にヤング率といわれる、変形抵抗で強さが決まりす。未乾燥材は、このヤング率が通常の数値より低く、また、乾燥して縮むため問題が多発しています。集成材なら、このようなことはありません。更に集成材は小さな木からも製作できるため、ローコストの乾燥材として、今後も需要が増えるでしょう。ホルムアルデヒドは合板のFcoと同じく、「微量」と報告されています。また、集成材の歴史は古く、日本では鎌倉時代に大きな木が少なくなり、集成材を使って創った大きな佛像が、現在でも残っています。
厚さ30ミリで乾燥させた物を張り合わせる