私が木のすばらしさに心をうたれたのは、S邸の設計および施工を行なったときからです。
樹齢800年の丸太を引き割り、乾燥させ、荒削り、仕上げた時に、年月の重さと木のやさしさ、
強さ、美しさを感じました。このすばらしさを感じることができたのは、子供の頃に、周りの大人たちが
与えてくれた環境があったからだと思います。 当時、神社やお寺の本物の木の床や柱で、
遊ばせてもらえました。又、生家の床も本物の木が使われていました。塗装のない木は、
古くなっても艶があり、つるっとして傷等が気にならなく、とても手に足に、自然な感じでした。
こんな経験があったため、木のすばらしさを、現在も感じることができたのではないかと思います。
改めて、このような 環境を与えてくれた人々に感謝すると共に、今の子供たちにも是非、
本物の木に触れさせたい。この無言の友人の良さをわかるためにも…。
そう願って今日も木の家の設計に勤しんでいます。
1999年 建築士 浅間英樹