T邸は築40年以上経過したお宅です。当時は断熱気密施工など全くの無縁の建て方が普通です。そこでどうやってこの建物の断熱気密を確保するか?これは大問題です。
というのは、古い立派な家を手放す最大の理由は「寒い家」だからです。いくら外側だけ綺麗にしても、キッチンを変えても、風呂が新しくなっても、寒い家は解体されてしまいます。
さて、今回の家の断熱はまだしも気密(防湿)をどうするか?
そこで浮かんだのが、現場発泡ウレタンです。現場で泡を吹きつけ固まって断熱材と気密材を兼ねるというものです。普段は全く使わないこの断熱方法ですが、今回はどうしてもコストの関係上使わざるを得ません(なぜ使わないかといえば、オーブルの理念的な問題で、将来この家を解体するとき、部材が次にリユースできないから。つまり、泡がびっしり木に張り付き、分離が難しいので、その木は破棄するしかないため)。
一時、吹きつけウレタンの発泡用ガスがフロンということで、また樹脂モノマーが放散するという問題もありましたが、この吹きつけウレタンは水で発泡させるもので、樹脂モノマーの放散も少ないというものです。ですから後は解体時のリユースだけとなります。もしこれを使わない断熱気密方法ですと、屋根を剥がしたり、天井を剥がしたりしなければなりません。
そして断熱・気密改修工事が始まりました。
また問題発生。小屋裏換気と通気層の換気がこのまま行うとうまくいきません。そこで下写真の黒い四角い所の上に穴を開け通気します。全てはトータルバランスでそれを理解していることが重要です。だからリフォームの難易度は高いのです。
リフォームは難しいとよく言われます。それは、その今ある家の現況把握と新しい仕様の結びつけの難しさがあるためです。本当に最初から最後まで住宅を知っていることと、各性能をバランスよく考えられるかが重要です。リフォームは、新築より難易度が高い事は間違いありません。大手リフォームさんで「○×そっくりさん」と宣伝してますが、ほんとに各担当者レベルでこのようなことができるのでしょうか?
今吹き付けているその場面にも立ち会ってます。これは、どこからどこまで吹きつけが必要なのかを現場で指示するため。この場面は、断熱区画を作るために、2階の床下に断熱材を吹き付けているところ。マスクなしではいられない現場状況ですが、担当者が無理してそのままで指示してます(感謝)。
2階床下へ断熱材の施工が終わった写真。
この写真は、基礎断熱を作るために、1階の床下基礎周囲に断熱材を吹き付けているところ。床下の土間コン下には、べた基礎より完璧ではないが白アリ断シート(木耐協施工)を敷いている。
1階小屋裏に施工が終わった吹きつけ断熱材。
このように目に見えないところに、しっかりとお金をかけることが、終の棲家になる条件です。
暖かい家。そして暖房費が掛からない家。今回のリフォームの最大目的です。