家中暖房と家中換気が結露を防ぐ

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家中暖房の必要性

結露を防ぐには家の中で温度差が有ってはいけない。下は湿り線図といい、結露温度がわかるグラフだ。

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家中暖房の必要性

今、リビングが温度20度で湿度50%である。廊下を挟んで隣の部屋は、暖房していないため9度。すると、この暖房していない部屋は、いつ結露があってもおかしくない状況だ。上のグラフで、温度20度、湿度50%のところを、右に水平にいった所に、9度とかかれてある。これが、温度20度で湿度50%の空気が、結露する温度だ。普通の窓ガラスも、表面温度が、9度以下になるため結露する。湿気は、暖かい空気には多く存在できるが、冷たい空気の中では、存在できない。簡単な原理だが、住宅は、なぜかこの現象を無視している。家中の湿気量は、大きな変化が無いため、温度にムラがあると結露する。

 

家中換気の必要性

今まで換気は、トイレ、キッチン、風呂等、主に空気が汚れていたところを、換気(排気)していた。ところが換気には「湿気の排除」、「新鮮な空気」の導入と言う重要な役目もある。冬は、家中閉めきりがちになるが、家の中では、1日当たり14kg(五人家族)の湿気が放出されている。この湿気を希釈するのが、新鮮空気だ。不思議と思うかもしれないが、この空気で家中を希釈し湿度を下げる。
冬の外気温度2℃、相対湿度100%の空気(新潟の冬でみぞれが降っているとき)を、部屋の中に入れることで、湿度が下がる。この空気を20度に暖めると相対湿度30%になる。(上のグラフより) 非常に、簡単な仕組みである事が、わかって頂けたと思う。これは我々がよく体験している。冬、車のガラスが曇ったときには空気の取りこみを”フレッシュ”にしている。車の中の湿度を希釈し、曇らないようにしているのである。しかし、こんな簡単な原理を、住宅は生かしていない場合が多い。換気が、湿度を取るためいかに重要か理解していない。日常で発生する湿気は、5人家族で14(リットル1日あたり)。この量がわかれば、どのくらいの換気で、湿度が60%になるかを簡単に計算できる。

20度 湿度60%にしたい場合(外は2度、湿度100%)
14÷24(時間)÷(0.009-0.0045)グラフより=130M3/h  (完全混合のとき)
現実的に、完全混合はありえないから、安全率を30%ととると、130×1.3=169

家中を、1時間あたり170M3で換気することで、家の湿度を60%に保つ。適当に換気する必要はない!!

高気密は絶対条件へ