湿気のメカニズム・なぜ気密化が必要か?

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冬の結露はいつ起こる

このグラフは「湿り線図」といい、中学校の理科の授業に出てきたことを、覚えている人も多いだろう。この線図を使えば、いろいろな湿気の事が一挙に解決する。空気が暖かいほど、多くの湿気が空気中に存在できる。それが思っていた以上に差がある。たとえば図の温度2℃の相対湿度100%の空気は、20度の空気に暖められると相対湿度30%になる。実に3倍以上の湿気を、20度の空気は含む事が出きる。
逆に温度20度、相対湿度50%の空気(快適な空気)は、9度で結露する事になる。つまり家の全ての部分を9度以上に保つ事が、結露をなくす大事なポイントだ。

なぜ起こる内部結露(暖房室からの流入)

冬、外気が2度で湿度100%が、新潟県に多い環境だ。このときの空気の中の湿気の量は、グラフより4.5g/m3である。家の中は、温度20度、相対湿度50%の空気で、このときの湿気の量は7.2g/m3となる。1.6倍も多い湿気は、外の少ない湿気と同じ圧力になろうと、外に向かって壁を突きぬける。このとき壁の中で冷やされ結露を起こす。これが内部結露だ。日常で発生する湿気は5人家族で14リットル(1日あたり)になる。これがすべて壁の中に入ったとすると、とても恐ろしい結果になる。阪神大震災の被害報告のなかで、内部結露による、柱や、耐力壁の腐食が指摘されていた。この内部結露を防ぐには、暖房を止めるか、ベーパーバリアという、防湿シートを壁に貼ることだ。これが高気密化といわれる施工である。

冬は換気で部屋の湿度を下げる

不思議と思うかもしれないが、冬の外気温度2℃の相対湿度100%の空気(新潟の冬でみぞれが降っているとき)を、部屋の中に入れることで湿度が下がる。この空気を20度に暖めると、相対湿度30%になる。(上のグラフより)この空気で家中を希釈し湿度を下げているのだ。非常に簡単な仕組みである事は、わかって頂けたと思う。
冬、車のガラスが曇ったときには空気の取りこみを”フレッシュ”にしている。車の中の湿度を希釈し、曇らないようにしているのである。しかし、こんな簡単な原理を、住宅は生かしていない場合が多く、計画的な電気式換気が、湿度を取るためいかに重要か理解していない。
一般に発生する湿気は、5人家族で14(リットル1日あたり)。これを、どのくらいの換気で、湿度が60%になるかを簡単に計算できる。
20度 湿度60%にしたい場合(外は2度、湿度100%)
14÷24(時間)÷(0.009-0.0045)グラフより=130M3/h  (完全混合のとき)
現実的に、完全混合はありえないから、安全率を30%ととると、130×1.3=169

家中を、1時間あたり170M3で換気することで、家の湿度を60%に保つ。適当に換気する必要はない!!