エアコンその3は、なぜエアコンは暖房機として普及しないか?(準寒冷地)の理由の2つのうちの2つ目、「エアコンは暖かくない」についてである。
暖房器具として暖かくないと言うのは致命的である。エアコンは、新潟県の多くの年配者に「暖かくない」とレッテルを貼られている。なぜか?それは、暖房器具を連続運転させる習慣が少なかった頃に、エアコンを暖房として使った人が多いから。エアコンは他の多くの暖房器具と根本的に違うところがある。そう、エアコンは放射(輻射)暖房がほとんど出来ない構造で、空気だけ暖める器具であると言う事。古来から日本の家の中に暖をとる方法は、輻射方式であった。輻射方式とは、高い温度になる熱源があり、そこからでる赤外線等で暖をとる方式。例えば囲炉裏、火鉢から始まり、コタツもどちらかと言えば輻射主体の暖房器具。また灯油ストーブもほとんどが輻射であり、ファンヒーターでさえも、60度以上の温風が吹き出る前面の羽近くは、温度が高くなり輻射熱を得ることが可能である。この輻射熱の良いところは、空気の温度が低くても体の暖かくなる部分ができ、寒い部屋で暖房器具をONした瞬間から、暖かさを感じることができる。冷え切った部屋は、天井、壁、床、家具とあらゆる物から冷輻射が人に向かって発せられ、この冷輻射をすぐに緩和してくれるのが、暖房器具からの温輻射。これがエアコン以外の暖房器具の最大利点。最近では扇風機の形をしたハロゲン輻射暖房器具が良く売れている。これはまさしく冷え切ったところで速暖を得られる器具の代表。一方エアコンはその機器表面温度も高くならず、かつ吹き出す温風も50度を超える事はない。輻射熱は全く得られない。そのため、温風の前にいても、40度から50度程度の温風が勢い良く吹き出し、ちっとも暖かいと言うより、不快と言う感じになる。暖かさを感じるのは、部屋空気が暖まり、壁や床、天井面の温度が上がる1時間以上経ったくらいから。その頃には、他の部屋に行ってしまい、エアコンをOFFする事になる。だからエアコンは暖かくない器具であるということになる。加えて、冷え切った部屋でONするので、エアコンは最大運転能力で、すぐに霜取り運転が始まり、かつその間隔時間も短く、寒い時に暖められない器具とみなされる。これが年配者の多くが感じる印象である。(当時のエアコンはCOPも悪い事も大きな理由)
最近は、断熱性能が高くなった事で連続暖房運転が行う家が出始め、連続運転される空間では、部屋の壁、床、テーブル、天井など全てが暖かくなっているので、冷輻射を感じる事が少なく、輻射熱のないエアコンでも充分暖かく感じる事ができる。だから緑の家では、エアコン暖房で寒いという事は聞いた事がない。(但し冷え性などの方は除く)つまり、暖房を連続運転すれば、エアコン暖房が使えるのである。実際、母の家では、低気密低断熱ではあるが、エアコン暖房オンリーである。火を使わないので安全性も高い。問題は、低気密低断熱の連続暖房運転は、ランニングコストがかかると言うこと。だから断熱性能が重要なのだが・・・。