上の写真は昨日から基礎工事が始まった性能表示住宅。(耐震等級2、維持管理、劣化防止等級最高ランク)で評価された。残ねんだが雪で工事がちょっと中断中。
9年くらいに前にスタートした国の住宅性能表示という法律。これは質の良い住宅を安心して取得できるようにするためにつくられた法律。チラシやパンフレットには、地震に強いとか、耐久性があると科学的裏づけがなくて勝手に宣伝しても、よほどの事がない限り違法性はない。これは表現の自由が憲法によって保障されているから。だから、自分が勝手に日本一地震に強い家と思い込んでしまったら、その人はそのように表現してよい。但し宣伝する場合言い切ると問題があるのでよく「日本一地震に強い家を目指します」となる・・・。
しかしこれが極端になってしまうと「ジャロ」や「国民生活センター」又は「公正取引委員会」の注意、指導、勧告を受けることになる。従って全国規模の大手ハウスメーカーのチラシには、ただ単に地震に強い家という広告はなく、法律との比較や実大実験によるという注釈がある。一方中小施工店程度であると、このようなモラルが守られていないことが多い。それは大手みたいに実大実験をするような豊富な資金力(営業経費)がないため裏づけが難しいのである。そこで国は平成12年に法律を作り、誰でも同じ土俵で比較できる基準を作った。これが住宅の性能表示制度である。この制度を使えば、大手メーカーであろうが、小さな工務店であろうが、住宅の持つ性能を同じ基準で比較できる。
そんないい法律があるならなぜもっと建て主さんに広まらないかと思われるだろう。これには理由がある。
理由1・・・評価にお金がかかる。申請書手続きの費用は別として、申請費用だけで約15万。それに申請書の作成料が15万から25万。計少なくても30万は最低かかる。30万掛けて申請する人は少ない。
理由2・・・造る側(工務店、建設会社)は、自分の作る家を評価されたくない。評価されると地震に強い家と宣伝していたことが違った場合大変なことになる。
という2つの理由で、新潟県の住宅性能表示の申請件数は大手ハウスメーカーを除くとほとんど利用されていない。特に新潟県の中小建設会社が利用するであろう審査機関の(財)新潟県建築住宅センターでの19年度の利用率は0件。しかしこの(財)新潟県建築住宅センター以外の利用率は419件。つまり新潟県以外でも営業されている大手会社しか一昨年度は利用していないということ。昨年度は当事務所でも2棟申請し、今年は既に1棟申請しているので、0ではなくなるし、私が知っている限りでは、昨年度地域工務店さんが2棟申請したということは聞いている。それでも昨年度の(財)新潟県建築住宅センターでの申請は10件程度だろう。
大手ハウスメーカーを除くと、法律上の評価を受けた棟数が年間10棟しかない。といことは、その他の家は、自分勝手に「地震に強い工法」とか、「耐久性がある工法」と根拠もなく言っているに過ぎない。特に何度も申し上げている「基礎」については、ほとんど裏づけのない計画と施工ということ。(一般住宅の確認申請では、行政の構造のチェックはしなくてもよいと法律で定められているので・・・)