省令準耐火構造のメリットと誰が完成チェックするのか?

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木造真壁など梁や柱がむき出しでも省令準耐火仕様を取り入れやすくしたJBNさんの仕様書。

ご存じのとおり省令準耐火構造は火災保険料が安価になるため、魅力的な仕様であるといえる。

まずその火災保険料だが、上で示した通りチューリッヒさんのネット簡易算定では、省令準耐火構造の約30坪の木造2階建て新築を計算すると5年で8.8万となる。これを省令準耐火構造ではなく、普通の新築木造住宅で算定すると5年で15.3万となる。もし住宅存続年数を40年とすると、40年で52万の差額ができる。全く同じ条件でそれぞれ地震保険を追加して同様に計算すると40年間の差額が64万でありこれが大きいので魅力があるとお伝えした。しかしここで普通の木造を省令準耐火構造にするためには余計なコストアップがある。次はこれを試算することにする。条件は一般地域(22条地域)に建築される木造住宅を省令準耐火にすることでどのくらいの工事費に差がでるかを下にまとめる。
※現在の火災保険の多くは加入時の築年数で保険料に差が生まれる試算となるので、これより差は大きくなり最大で1.5倍の78万以上となる可能性がある。

省令準耐火構造と22条地域での準防火仕様が主要な異なる点は・・・

①外壁の防火仕様

②軒裏の防火構造

③内壁の防火被覆の下地45mm化

④天井の防火被覆

⑤室内の梁や柱露出の防火被覆(120角以上を除く)

⑥防火被覆を貫通する措置(ダクトやコンセントBOX、ファイアーストップ等)

となる。これにかかるコストを30坪くらいの総2階建てで算出すると・・・

①の防火仕様は通常窯業系サイディングを使用するならコストアップ無。但し木の外壁等で準防火仕様から防火仕様には40万アップ。

②の軒裏の防火については通常は防火構造ではないのでコストアップになる。15万アップ。

③の下地のみ30×105を45×105にすることになるが、全間柱を15mmアップする費用として10万。

④の防火被覆は20万~。但しロフトや床下収納がある場合は40万~。

⑤120角以上の断面にすれば被覆は免除なので5万。

⑥ファイアーストップだけなら5万だが、ダクトやスイッチ等設備類を入れると15万~のアップ。

よって①から⑥までの合計金額は小屋裏がない場合で65万、小屋裏や床下収納がある場合で85万~となる。木の外壁等(準防火仕様から防火仕様へ)なら105万(125万)~となる。

従って省令準耐火構造の保険適用でも40年で52~78万しか下がらないので、小屋裏のない単純な構造の2階建て(大壁仕様)であれば65万ほどのかかるので省令準耐火構造としてのコストメリット少しある(※の試算で78 万の差はある可能性が高い)。小屋裏等があったら85万~なので保険料アップ分の52~78万(64~96万)に対してコストメリットは少なくなる。更に木の外壁がある場合は、105万(125万)~となりコストメリットはなくなる。但しこれは火災保険料が今と変わらない利率や建付けならである。もし火災保険料が将来値上がりしたらその差が広がるかもしれないし、縮まる可能性もある。特に昨今では火災より風災や水災が増えているので、火災の支払額より風災や水災の支払いが増し、火災にしか影響を及ぼさない省令耐火構造との差が縮まる可能性が高いともいえる。よってこの辺りは少し投資に近い感覚となる。

さて今回の話は省令耐火構造の問題の部分である。

省令簡易耐火構造とは先のブログで案内しているとおり、①の外壁以外は建築基準法とは全く関係ない仕様である。この為、フラット35で準耐火構造で申請した建物以外は、この仕様通り建築されているかについては、確認申請を含む設計時の検査や完成検査などを含む施工時の公的な検査は全く行われない。また瑕疵担保における施工検査もにも該当しない。唯一行われるのは工事監理者により図面と現地との照合となる。但し①の外壁については建築基準法も絡むのでここは問題ないが、②から⑥までが正しく行われているかについてはグレーになる可能性が他の仕様より高い。特に③と⑥は厄介で、木下地は施工中に直ぐに見えなくなるし、設備のダクトを鋼製にするとか、不燃材でまく等の措置が必須なのだが、この確認を完成後行うのは難しい。仮にフラット35を使用しても、フラット35の省令準耐火建築の採用はどの融資ランクでも強制ではないので、設計、現場審査も緩いだろう。

照明スイッチが樹種プレートの場合、通常のプレートは使えず上の簡易耐火プレートとなる。

また照明のスイッチプレート内やコンセントプレート内に鋼製の下地が必要だったりする。20以上あるスイッチを一つの残さずいつも違う仕様にし、またチェックすることは手間のかかること。これを火災保険では一枚の書類に「この建物は省令準耐火建築であることを確認した」と設計者又は施工者が署名、承認印をつく。これだけで省令準耐火建築となるが、もし仕様が違っていたことが後にわかってそれが悪意を持っていたなら、先とおり保険料が違うので最悪「詐欺罪」として告発されてしまう。地震保険の耐震等級割引なら公的書類がないと地震保険の割引が受けられないのとは違い、この省令準耐火適用はとてもその敷居が低いので署名する人にとっては怖いところ。

更に超高断熱住宅では換気に第一種熱交換換気を使用するが、この時に使うダクトで天井や床、壁を貫通するときには、大型ビルのようにそのダクトに防火上の措置が必要となる。しかしながら私が把握している限りではかさ比重0.024以上のグラスウールがまかれた100φ程度の断熱ダクト(スパイラル)が一般的に販売されていない(特注扱い)。この為、市販品にさらに断熱材を増し貼りして規定を満足させる必要があるので敷居は高くなる。ここまでしっかりと省令準防火構造を守って建築されている会社が多くあるのだろうか・・・というのが今回の疑問となる。

住宅支援機構の省令準耐火構造の抜粋(木造住宅工事仕様書解説付p304)スイッチ及びダクトの構造

「緑の家」では床下収納が小屋裏等に該当するので、ここにいつも貼らない天井を追加で貼るコストがかかるため及び類焼防止の性能が悪いことで省令準耐火建築の積極提案は行っていない。

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