無難な仕様 サッシと通気 その2

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6月4日12時53分更新

窓上に庇用の下地をの木をいれているところ。この後縦通気胴縁がいれられ縦横無尽の通気が出来上がる

住宅の外壁構造において近年重要性が増した通気工法。完成すると外壁内でその構成や効果が視覚的に全く感じられないので、この工事中がとても大事な期間となる。

4時54分撮影。今日は5時9分が熊本市の日の出時刻。

私のこの時期の起床は4時ごろである。老人と言われればその通りであるが、元々朝方人間である。今日もホテルで4時ごろ目が覚めたが、外は真っ暗。新潟県ではこの時期4時ごろではもう明るいが、日本でも最も西の地域である熊本県の今日の日の出5時9分日の入りは19時22分に対し、新潟県の日の出は4時21分日の入りは19時と朝方の地域である。特に日の出は50分も早いのには驚かされ、この熊本県の日の出時刻は新潟県では4月中旬ごろに相当し、48日も違うことに驚く。

さて本題の通気層。

通気層は日本の住宅でまた高断熱高気密住宅ではとても大事な役割を担うため、瑕疵担保保険の設計基準では必須の仕様となっている。このため実施的に日本の外壁下地の基準である。この通気層の役目は複数あるが、最も大事な役目は壁体内の乾燥の促進である。外壁内は雨漏り以外では容易に内部に水がたまらないと想像している人がほとんどだと思うが、冬季は室内から湿気の流入による液体化、夏季では蒸し返しによる湿気の液体化の可能性がある。室内が気密化された壁体内において気体の水は悪さをほとんどしないが、液体になったとたん水は建物の脅威となる。いわゆる有機物の腐朽である。この液体化するのを防いだり、また液体化しても早急に乾燥させ気体化する手助けをするのがこの通気層である。細かい原理はここでは詳しく述べないが、通気層の名のごとく空気を通すことで乾燥させたり、液体化させること防ぐ。つまり空気の流れがこの通気層の肝となる。

建築物は一般部分とイレギュラー部分が必ずある。外壁の下地となる通気層も同様で、一般部分は下の写真での大きな面の部分である。

一方イレギュラー部分の代表は窓回りである。

通気は温度差により原則下から上へ流れる。黄色い部分が一般部で緑色の部分がイレギュラー部分。窓で阻害された空気をいかにスムーズに流すかが重要。ピンク色が空気の流れ。

この窓回りの空気をいかにスムーズに流すかが大事であるがこれは通気層の施工方法でかわる。「緑の家」のクロス通気はこの部分の通気を確実に行うことが誰でも可能になる。2重に組まれた胴縁が縦横無尽に空気を流通させ、逆に空気の流れを止めるほうが難しい「組み方」がクロス通気である。よって工事監理者である私がとても工事監理が楽で、この組み方さえ目撃できれば正しく通気工法が行われているかの確認は終わる。ものの数秒でよく、写真だけでも判断ができる。

例えば下の部分。

一見一般部に見えるがここもれっきとしたイレギュラー部分。今回は庇が来るが、一般の建物なら給湯器やエアコンの室外機、電気の積算計、太陽光パワコンなどの数多くの下地がある。これを全部通気確認できるかが疑問であり。この点クロス通気ならそこを見なくとも全く問題ない。

ここは外壁仕上がりが横に貼られるので縦が通気胴縁の基本材となる。しかしここにはエアコンが設置されるので、庇を設ける必要がある※1。

※1積雪地でのエアコン室外機には庇が必須となる。また温暖地でも雪が降っている最中は庇があると効率が下がらない。この説明はその4で行う。

今回はコストを考え既製品のアルミ庇であるが、その下地は横に2m以上必要になる。すると通常の通気胴縁では1.8mごとに4㎝位の隙間しか開けることができないが(エアーホール胴縁を除く)、

ピンク色部分が庇を取り付ける下地位置。横に下地が必要なので外壁が横張の時は通気層の機能が阻害されていないかの確認が重要になる。

クロス通気の場合は、縦胴縁が18㎜も外壁から浮いた位置にあるので、4㎝の隙間でなく30㎝以上の隙間が空くことで※2通気が阻害されることは少ない。横に逃げた空気は下地補強の横材のないところで上に上がる気流を阻害されることはない。
※2上に流れた空気は通常小屋裏に入り小屋裏換気口で排出される。小屋裏換気の効率が重要になる。これはその3で説明する。

とここまで書いたら熊本空港での搭乗になったので続きは伊丹空港でアップする予定。

このように多くのイレギュラーがあっても自然に解決になっている計画が「緑の家」のクロス通気である。注意することは浮いているがゆえに留めつけの釘長さに注意すること。防水性を確実にする場合は、外壁仕上げ材厚さの3倍以上の厚さの通気層等になるようにする。

再度申し上げるが、通気層は滞りなく空気が流れることでその効果が発揮されるのである。よって通気されていない箇所があると折角の通気層が意味のないものになる。

最近通気層のない外壁構成があるが、これらは一般的に日本の気候とは違う地域で発展してきたことが歴史的にある。例えば蒸し返し現象は、夏季にAH(絶対湿度)が高くない地域では大きな問題ではないが、日本の夏はAH(絶対湿度)25g/kgを超えるのですぐに壁内結露となるこれが乾きやすいように通気層があるので大きな支障がなければ通気層を省略するのはやめたほうが無難であるこのクロス胴縁は工事監理の簡略化として自身で思考し、もう24年以上行っている「緑の家」の定番。このように20年以上続けられる根拠がある施工方法(設計方法)が無難な仕様なのである。

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