その4では、急に具体的になる。
この写真は現在進行中の性能評価申請中の現場である。建設審査はまったく何も指摘なくOK。この後最終検査をしてコンクリートを打ち込む。アンカーボルトは既にセットされ、一回で立ち上がりとスラブを打ち込むため、型枠を浮かせるということにになる。巷の基礎の多くは2度打ち込みだろうが、やはり基礎を一体化できる一回打ち込みのほうが、基礎が計算上の力を発揮できる。
普通の住宅のべた基礎は、「経験値」で鉄筋が組まれる。当事務所の家は、そのすべてが構造計算して決定される。すると、写真アップにあるように、鉄筋から下の地面まで7cm離すことになる。これは基礎底板の厚さが18cmのほぼ真ん中に鉄筋が来るようにしなければならないため。(詳しくは08.05.08のブログを参考)
基礎立ち上がりで囲まれた底板(スラブ)は、ピン構造の端部というより剛接になるため、立ち上がり近辺で力が下端にかかり、中央部で上端に力がかかり、両方の強度をこの鉄筋で補うため、コンクリートの中央に来る必要がある。
でも下端から7cm離れている現場を見たことがない。そもそも写真のように、鉄筋を浮かせる小さいサイコロは短辺が4cm、5cm、6cmという羊羹状である。7cmがないので、このように鉄筋を捨てることで7cmを確保した。勿論7cmのサイコロも注文すればあるのであるが、業者さんが勘違いをしたらしいのでこの施工となった。この方法でもコンクリート打ちの時、注意すればまったく問題ない。
雪の少ない新潟市に建つこの家は決して特別大きいわけでもないのに、シングル配筋のピッチは15cm以下である。大きい家はたぶんダブル配筋か、鉄筋ピッチが12cm以下となるであろう。本当に他の業者さんは、構造計算してべた基礎配筋を決めているのであろうか?最近はブログで基礎の写真を公開されている会社が多いが、見るととても問題あるような配筋や施工である。素人の方ではわからないだろうが、我々ならすぐわかる。
環境だけでなく構造の安全性をきちっと裏づけのある形で作る。チラシに書かれているように「18cmべた基礎で強い」などという裏づけのない計画はしないことが、「緑の家」の目指すもの。