この画像は家の構造図で床伏せ図というものです。この伏せ図が請負金額(契約)の提示前にあり、その図面作成者が設計者であるということが設計事務所の仕事です。 すごく当たり前な事ですが、通常施工会社は契約後見ることになり、伏せ図は設計者でない人が造っています。
一般に設計だけを業とする会社(所謂設計事務所)と設計と施工をする会社(建設会社)の決定的違いは何?との疑問が当事務所におこしになる人にはいつもあると思います。その違いは、設計業務の完成度にあります。設計で仕事をし報酬を得ている会社は、設計が全てです。設計に間違いがあればとんでも無い事になります。というのは設計業務はその報酬額の10倍以上のものを造る事が多いので、大きなまちがったら会社は即無くなります。そして大きな間違いの多くは、小さな間違いの積み重ねで起きます。だから真剣に細かく考えているのです(たまに違う会社もあるけれどそれはイレギュラー)。つまり施工は違う会社が行うので「きっちりと正しく」引き継がなければならないという事で、施工と設計が同じ会社では、互いにかばいあう事(ごまかすとも言う)ができるので少々ルーズであってもよい気持ちが互いにあります。例えば日本という国を考えると、設計(決まり=法律)を造るところは国会で、それを実施(運用)するところは行政です。この2つを同じ機関(人間)が行うと、間違いやごまかしが起こるのできっちりと分けております。また法律を作る国会と実施する警察が同じ機関であったらとても怖い世の中です。自分に都合よく解釈をかえ色々なことをごまかす事さえ出来ます。勿論携わる人間の資質で問題ないとこが多いでしょうが、問題がおきやすいのでわざわざ分けているのです。建物も同じで、公共建物のほとんど全ては、設計と施工を分けます。これは設計と施工が同じになるとごまかしや力関係が対等でなくなるので、よい建物が出来にくいということからです。私どもの建て主さんには多くの公務員さんがいらっしゃいます。その公務員さんの中でも建物や土木行政に携わるひとは口を揃えて言います。「設計と施工が同じ会社なんてプレハブのようなハウスメーカー以外※はいやだ」と。現場で設計と施工が同じ場合の問題点をよく知っているからです。自由設計の注文住宅は、世界にただひとつの設計でなります。だからその設計がきちっとしていないとまず、よい建物が出来ません。だから設計だけを真剣にこまかく考える設計事務所が必要とされるのです。
※ プレハブメーカーの家は自由設計の家ではなく、相当の決まりの中で作っているので、本来の意味の設計業務はありません。設計業務は、本社の商品開発設計部門でおこなっています。